2016-12-08(Thu)

カジノ推進法で一番喜ぶのは。。。

カジノの害とか闇とかは、他の人たちもたくさん書いているので、ここでは繰り返さない。

ここで問題にしたいのは、何のために安倍晋三たちはここまで無理矢理に法案を成立させようとしているのか、ということ。
そして、モラルや人倫はおいといて、本当にカジノが経済成長に寄与するのか、ということを考えてみたい。

まず、カジノを推進する立場から、かなり正直にカジノの経済効果を書いている論考を見てみる。
 
なぜ日本のカジノは莫大な利益を生むのか
関東、関西2施設計の年間営業利益は3000億円
2014.7.9 東洋経済 小池隆由


カジノ施設の収益規模を決定する要素はきわめてシンプルで、エリアの国民金融資産の量と施設数により規定されます。国民金融資産はカジノの潜在市場規模を示し、施設数は潜在市場のシェアを示します。日本のように、単一大型経済圏で、政府が施設数をコントロールする場合、事業者はほぼ確実かつ永続的に莫大な利益を確保できます。
(略)
日本の富裕層の個人金融資産量は約450兆円とアジアではトップであり、それに対して施設数は10カ所程度が想定されています(IR議連の考え方)。日本の「一施設当たり個人金融資産量」は平均45兆円と世界最大級です。アジア各国は中央政府が施設数をコントロールしますので、事業者は大きな利益を確保しています。

(引用以上)

この著者は、別の稿ではこのように言っている。

「カジノは日本のとくに富裕層の個人金融資産の一部を吸い上げる事業です。日本にとって個人金融資産の蓄積は最大の経済資源であり、その一部を開発するわけです。」

世界の金持ちが集まるから経済成長になるんだ、というようないい加減な話よりも、的確にカジノの経済効果を表現している。

ちなみに、法案に対する反対議論の中では、依存症や破産や自殺や、そうした議論がまず取り上げられるが、カジノの側からするとそれらの被害者は本命の客ではない ということのようだ。
マグロをのはえ縄に、たまたま小魚がかかってしまったようなもので、小魚が破産しようが自殺しようが、カジノにとってはどうでもいいことなのだろう。

それはともかく、カジノの経済的な効果は、富裕層の莫大な貯金を、市場に引き出すことだという。
まるで返済する必要のない国債のようにも聞こえる。
450兆円の金持ちの貯金が、毎年1%ずつでも吸い上げられて、日本経済に再投資されれば、たしかに経済効果はあるかもしれない。

しかし、カジノで1億円失うのと、事業で失敗して1億円なくなるのと、どちらが経済効果があるだろうか。
カジノでは基本は1億円の所有権が移動しただけで、その場の運営費以外はまったく経済効果は無い。
しかし、1億円投資して失敗した場合は、その金は給料や下請けの売り上げなどに使われているので、本人は損しているけれども社会的には経済活動になっている。

まずその意味で、カジノそのものは、ほとんど経済効果は無い。
少なくとも、動く金額に比して、著しく効果は低い。
別の言い方をすれば、最小限のコストで莫大な利益を上げることができる。

なので、カジノと経済効果の関係は、客から吸い上げたカネを、ちゃんと国内の生産活動に再投資するかどうか にかかっている。
富裕層の貯金を吸い上げて、それを生産活動ではなくて貯金にしてしまったり、マネーゲームにつっこんでしまったら、通帳の名義がかわっただけということになる。

まずこれが問題だ。



日本経済を動かすほどの巨額のカネを富裕層から吸い上げたとすると、国債の売れ行きに影響が出ないか、ということも心配だ。
1000兆円という巨額の国債は、日本人の金融資産に支えられている。富裕層の450兆円は日本国債を買い支えている原資でもある。それを食い荒らしていった時、国債は大丈夫なのか。

だったらいっそ、競馬のように公営にすればまだマシなのではないか。
富裕層から吸い上げたカネは、一般会計に入れられて、税収と同じあつかいになれば、それこそ返さなくていい国債ということになる。
ところが、IR推進法案では、国は規制をして入場料はとるけれど、運営は民間任せ。
(公営じゃないのに入場料だけ取る てのも不思議な話だが)

それでも、国内の企業が運営するのであれば、国内にいくらかでも再投資されるだろうが、こんなニュースもある。

「日本版カジノにぜひ」IR法案の行方にらみ米カジノ王、日本進出に熱い視線
2016.10.22 産経


世界一のカジノ運営会社、米ラスベガス・サンズ社のシェルドン・G・アデルソン会長は「法案が通れば日本進出に手を挙げたい」と意欲を示した。
(引用以上)

そう、サンズのシェルドン・アデルソンといえば、これを作った人だ。

20161208-1.jpg

そして、こちらの話題でも名前を聞くことが多かった。

トランプ大統領「就任式」運営委員が決定 カジノ業界の大物が多数
2016.11.20 フォーブス


委員会を率いるのはフォーブスの長者番付、フォーブス400にも選ばれた、ロサンゼルスでプライベートエクイティ企業Colony Capitalを運営する大富豪のトム・バラック。バラックは7月の共和党大会で「トランプとは40年来の親友だ」と述べていた。
(略)
残る19名のうちの4名もフォーブス400に登場する富豪たちだ。3名のカジノ王(シェルドン・アデルソン、フィル・ラフィン、スティーブ・ウィン)と、米国で最も成功した女性起業家にあげられるダイアン・ヘンドリックスがここに含まれる。4名の資産額の合計は407億ドル(約4.5兆円)に達する。

(引用以上)

アデルソンがトランプの強力な支援者なのは周知の事実で、奥さんも就任式運営委員だという。
右の二人が アデルソン夫妻。

20161208-2.jpg
Signs Of The Times というサイトより)

これまで頓挫してきたIR推進法案は、今国会でもやや及び腰で議員立法というかたちになっている。
上程はされたものの、なかなか衆議院の審議には入れていなかった。
ところが、

20161208-3.jpg

11月17日に安倍晋三がトランプ詣でをやらかした直後から、空気が変わった。
22日には二階幹事長が審議入りすると明言し、26日には公明党が審議入り了承、29日は菅官房長官が「IR法案をお願い」発言(議員立法で政府側が要請は異例)、30日衆議院内閣委員会で審議入り、12月2日にはわずか6時間の審議で内閣委員会で強行採決。
と、さすがの読売や産経までもが 口を極めて非難するほどのトンデモナイ議事運営で、強引にカジノ法を通そうと動き始めた。



さて、ここでクエスチョン

だれが一番カジノ法案を通したがっているのでしょうか?

もうひとつ

アデルソンさんは、儲けた金を日本のために使ってくれるでしょうか?


今日から参議院で審議入りして、来週冒頭には強行成立されそうな IR推進法案=カジノ解禁法案は、こういうものだ。
もし仮に、暴力団を排除して、依存症を克服したとしても (それはあり得ないけど、もしかりに)、それでも通してはいけない法律だ。

日本の金持ちの資産を、アメリカの超金持ちが吸い上げて、持ち帰ってしまう。

それが一番の本質なのだ。



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2016-12-07(Wed)

「少子化→人口減」は運命じゃない

年金カット法案が国会会期末の14日に強行採決されようとしている。

年金についての議論は、すべて少子高齢化がどんどん進むという話が前提になっている。

20161207-2.png
(総務省HPより)

こんな感じで少子化+高齢化+人口減 が進行していく、と言われているし誰も疑っていない。

たしかにこれまで少子高齢化がすごいスピードで進行してきたのは間違いない。
とくに最近の30年くらいの進行は劇的で、人口も2005年から減少し始めた。
そして、そうなるだろうということは、何十年も前から予測され、指摘されながら、あえなくその通りになってきた。

こうしたこれまでの経験から、人口問題は予測はできるけれども手の打ちようがない、という常識という名のあきらめが蔓延している。
しかし、では少子化担当大臣などという御大層なお大臣を置いているのは何なのか?
少子化が運命なのだったら、担当大臣を置いてもしかたないではないか。

しかし
少子化は運命ではない。
高齢化はある意味どうしようもないけれども、少子化についてはこの世に女と男がいる限り、手のうちようはある。

20161207-1.png
内閣府HPより)

フランス、イギリス、スウェーデンに注目。
ここでは詳細は省くけれども、どの国も人口予測をふまえて、早くから対策をとってきた。
「やればできる」ということを、実証している。

もちろん、少子化対策には予算はかかる。税金の集め方、分配の仕方をがばっと変えなければ、十分な少子化対策はできない。
日本は、「そんなところに予算をかけるくらいなら、どんどん少子化が進んで人口が減って、少ない若者がどんどん苦しめば良い」という哲学で政治が運営されている。
しかも、その苦しむ将来の若者を人質にして、年金カットをするという裏返し技まで披瀝してくれるのだから、まったく感心してしまう。

もちろん、いくら本気で少子化対策をやっても、逆転するまでに時間はかかるし、人口維持できる出生率2.1まで回復するまでは時間がかかる。
それでも、これは絶対にやらなければならない政治の役割だし、やればできるという他国の実績もある。

内閣府だってこんな調査を発表している
 少子化に関する国際意識調査(日本、フランス、スウェーデン、イギリス) 
わかっているのにやらない、それが今の政権だ。

このまま安倍晋三君にまかせて少子高齢化がじゃんじゃん進んで未来の若者がヒーヒー言うのがいいか、政権交代して少子化の「運命」にさよならするのがいいか、その中身をわかりやすく見せる努力を、野党はやらなければならない。




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2016-12-06(Tue)

なぜ世界3位の経済大国がどんどん貧乏になっているのか(その1)

まずは、このグラフから

20161206-3.png
FX羅針盤というサイトからお借りしたものに目盛り線を加えました)

赤が貿易収支、青が経常収支、緑が円相場(右目盛り)
経常収支は、ザックリ言うと外国の銀行に預けている金利なども含まれている数字。

普通は、貿易が黒字になる(グラフ上がる)と円は上がりだし、円が上がると貿易黒字は減りはじめる。あるいは、円が上がると貿易黒字は減り、貿易黒字が減ると円は下がる。こうしてバランスがとれる というのが教科書的な説明になる。

輸出して売った代金はドルだから、日本に持って帰る時には両替する。すなわち、ドルを売って円を買うことになる。円は買われるので高くなる。円が高くなると、同じ値段の製品がドルにすると値上がりしてしまうので売り上げが落ちて、輸出が減って黒字も減る。
同じことが、円相場のほうが先行しておきることもある。

いずれにしても、長期的には為替相場と貿易の収支はバランスするはず。
グラフで言うと、若干のタイムラグをおいて逆向きに動くはず ということ。

ところが、実際はそのようにバランスすることはあまりなく、貿易黒字と円相場が同じ方向に動いている時もある。
とくに顕著なのが、2002年から2006年と 2012年から2014年だ。
小泉・竹中時代と、アベノミクス時代である。

この期間に特徴的なことはもうひとつあって、赤線と青線の開きが大きくなっている。

つまり、日本に持って帰らずに、外国の銀行などに預けっぱなしにしている売り上げの金利や配当が増えているということ。
持って帰って円に両替するカネが実際より少ないから、バランスする力が働かなかったということではないか。

このように、日本の国や企業や個人の所有だけれども、海外(主に米国)に預けたり投資したりしているマネーを、対外資産という。
もちろん逆パターンもあるので、日本にある外国人所有のマネーは対外負債。
その差額が、対外純資産 という名前で、これが差し引きして日本が「損」してるぶん。

え?なんで「損」なの?? と私もはじめ思った。
アメリカにあろうとどこにあろうと、儲けた金なんだから。

その疑問はちょっとおいておいて、対外純資産がどのくらい増えているかが、次のグラフ

20161206-2.png
(財務省「本邦対外資産負債残高」より作成)

単位は億円なので、一番上が1000兆円。
で、赤線が対外純資産。

1996年の3倍以上、今年6月末で総額920兆円、差し引きで330兆円もある。
総額でGDPの倍ちかく、差し引きでも3割以上のカネが、海外(主に米国)におきっぱなしになっている。

ではなんで おきっぱなしにすると、日本が貧しくなるのか。
それは簡単なことだ。
金は天下の回りもの だからだ。

つまり、お金は儲けた分を、次々と他に使うから、多くの人の商売が成り立つ。
自分で使わなくても、その国の銀行に預けて、その銀行が他の商売に融資をすれば同じ効果がある。

もし、日本中の人も企業も、みんな超節約をはじめて、稼いだカネは全部タンス預金をしてしまったら、日本経済は秒殺でつぶれる。
あの高度経済成長も、国民に貯金をさせ年金料を徴収し、その金を投融資して実現してきた。
国民ひとり一人は、そんな投資をしているつもりはなかったけれども、じつはそうやってカネを回していた。

ところが、所有権がいくらあっても、国内で投融資できないカネは、ドケチのタンス預金と同じで日本経済にはなんの役にも立たない。所有者には金利が入るからいいかもしれないが、社会全体では燃料切れをおこしてしまう。
では、そのカネは腐っているのかというと、ちゃんと活躍している。そう、米国で。

アメリカは、そうやって他国の他人のカネを集めて、それを投融資することで経済を維持してきた。

20161206-4.png

われわれ庶民感覚では、他人のカネは他人のカネだと思ってしまうけれども、実際は金利さえ払えば他人のカネは自分のカネなのだ。

こうしたアンバランスを崩さないように、小泉・竹中や、アベノミクスは人為的に努力をしてきた。
その結果、国内で回せるはずの330兆円が、消えてしまった。

稼いでも稼いでも、あがりを吸い取られる日本。
中小零細企業が苦しみ、給料が下がり続け、年金の手当もおぼつかない こんな日本に誰がした。
その目星がついたのではないだろうか。

それにしても、米国にそれだけ投資しているのだから、もっと米国に言うことを聞かせることだってできるのではないか? という疑問もある。
そのあたりは、その2 に書いてみたいと思う。




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2016-12-05(Mon)

イタリア国民投票が否決 ~世界中でおきるグローバリズムへの叛乱 ~

イタリアの国民投票が否決された。

レンツィ首相が提起した、上院の権限縮小の憲法改正が否定された、ということらしい。

マッテオ・レンツィという人は、2014年2月に39歳でイタリアの首相になった。
市長出身で、演説がうまく、毒舌を吐き、閣僚の半数を女性にしたり高級公用車を競売にかけるなど人気取りが巧妙で、ツイッター中毒で、自らの進退をかけて国民投票。
日本の誰かさんを彷彿とさせる。

就任当初はかなりの期待をされたようだが、結局はEUの緊縮財政を推進するこれまでの政治と大きく変わらないことから、どんどん支持率を下げ、EU離脱派の五つ星という政党にわずかに逆転された。

イタリア五つ星運動の支持率上昇、首相の民主党を逆転=世論調査
2016.7.7 ロイター


そうした情勢の中での、起死回生としてうちだされた国民投票だったわけだが、男前のレンツィは逆転することができなかった。
そして、イタリアの政権は EU離脱派の五つ星運動が担うことになるかもしれない。

イタリア「五つ星運動」、政権に就く用意あると表明
2016.12.5 ロイター


まだ予断は許さないが、イギリスの実例を見た上で、それでもEU離脱をイタリア国民が選ぶとしたら、それはただの勢いではなく国民の判断だと言うこと。
グローバリズム経済の方向ではなく、国民経済の方向を選択するという流れが、イギリス、アメリカに続いてイタリアでも実現することになる。

グローバリズムとか新自由主義とか、言葉だけ聞くとすごくイイコトのようにきこえるので、日本ではこの用語はあまり使わない方が良いかもしれない。
新自由主義のことを強欲資本主義という人がいるが、それでもまだ不正確だし、新自由主義を褒めすぎだ。

新自由主義の「自由」とは、無条件無制限な収奪の「自由」を意味している。
この収奪は、資本主義の「搾取」とは違うものだ。
端的に言って、新自由主義は 資本主義ではない。

資本主義においては、資本を投下して何らかの生産活動をおこなう。
そこで労働者がはたらくことで付加価値が生まれる。
その付加価値の分配をめぐって、搾取をするとかしないとかという問題が生じる。

ちなみに言えば、「搾取の自由」 が旧来の自由主義=リベラルであり、「搾取はまかりならん」というのが社会主義や共産主義である。だから、リベラルとは資本主義であり、社会主義とはもともとは敵同士だった。
ところが、ファシズムや独裁政権が資本の活動を抑制することに対しても、リベラルは「搾取の自由」をもとめて闘った。だから今では リベラルと社会主義が友達みたいに思われている。

それはともかく、新ではない自由主義は、資本と労働力を透過して付加価値を生み出しそれを搾取する自由 は主張していたが、なにもせずにいきなり労働者の財産を奪う自由 は認めていない。
しかし、新自由主義は基本的に生産活動はしない。マネーでマネーを売り買いして巨大バブルを作り、儲けるだけ儲けたら信用崩壊させて担保を奪っていく。
このスキームには付加価値もなければ搾取すらない。ただ、そこにあった富を一方的に奪っていくだけだ。

自由主義=資本主義であれば、労働者はいかに付加価値を搾取されても、少なくとも明日働くための糧は得られたし、次世代を育てることはなんとかできた。
また、それができないほどに過剰に搾取すれば、資本主義にとっても労働力を失うことになるので、そのバランスがあった。

しかし、新自由主義はそんなまだるっこしいことはしない。その国民が疲弊しきったら、別の国に移動すれば良いだけだからだ。
それが世界をまたにかける、グローバリズムということ。
マネーを使う国を吸い尽くすと、こんどはマネーを使っていない自給自足の社会で出かけていって、自給するより簡単に手に入る小麦粉を持ち込む。そうやって自給自足社会を破壊し、モノカルチャーとマネーを持ち込み、収奪のための舞台作りをする。
その国の独裁者が言うことを聞けば手先とし、聞かなければ反政府勢力を育成して内戦をしかける。どんな手を使っても、収奪の舞台を作り続ける。
なにせ、収奪は「自由」なのだから。

もはや地球上に新自由主義の餌食になっていないフロンティアはほとんどなく、やつらは「2周目の収奪」をたくらんでいる。
すなわち、先進国をもういちど吸い尽くす ということ。
リーマンショックでその正体を見られたことで、先進国ではしばらくおとなしくしてきたが、ここ数年貪欲な牙がうごめいている。そして、それに対する国民的な叛乱とも言える現象がうまれている。

ギリシャのツィプラス政権がそうだったし、イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ勝利、そしてイタリアの国民投票否決。
また、フランスのルペン人気や、当選はしなかったがオーストリアの大統領選では極右政党が接戦だったことも、同じ流れにある。
もちろん、2009年の日本の政権交代も、世界的に見ればそうした流れの先駆けだったのだが。。。

日本がなんで景気が悪いのか。
腐っても500兆円のGDPがあるのに、なんで財政赤字になるのか。
なんで企業がブラックになり、社員は過労死するのか。

すべての根源は、じつは非常に単純だ。
吸い取られているからだ。
それは、搾取だけでなく、富そのものを吸い取られているからだ。

その根本問題を抜きにして、じつは中小企業対策や、年金問題を論じても埒はあかない。
では、なんで私がここ数日、中小零細対策とか年金問題について書いているのか。

切り口は、具体的であるべきだからだ。

「シンジユウシュギ」などと連呼するのではなく、敵を批判したり揶揄したりすることでもなく、本当に直面している問題から切り込んでいく。そしてその先に、だんだん敵の姿が見えてくる。
やはり、これが普通の感じ方であり思考法だ。

新自由主義への叛乱の流れを見据えつつ、日本の中小零細企業対策を考える。
これが、政権交代に必要な政治の課題だろう。




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2016-12-03(Sat)

カジノ法案は安倍晋三からトランプへの貢ぎ物

議員立法にもかかわらず、審議入りの与野党合意もなく、たった2日で6時間の審議で衆議院の強行採決したカジノ法案(IR推進法案)。
安倍内閣はどんな酷いことでもする、と思っている私でもびっくりするほどの、超強行だ。

安倍晋三応援団の読売新聞もさすがに驚いたらしく、こんな社説を出している。

カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか
2016年12月02日 読売


カジノの合法化は、多くの重大な副作用が指摘されている。十分な審議もせずに採決するのは、国会の責任放棄だ。
(略)
法案は2013年12月に提出され、14年11月の衆院解散で廃案になった。15年4月に再提出された後、審議されない状況が続いてきた。自民党などは、今国会を逃すと成立が大幅に遅れかねない、というが、あまりに乱暴である。
(略)
そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である。

さらに問題なのは、自民党などがカジノの様々な「負の側面」に目をつぶり、その具体的な対策を政府に丸投げしていることだ。

(引用以上)

と、読売らしからぬきわめてマトモな論説を書いている。
ただし、この後を読むと「なんだ公明党の言い訳記事だったのか」とも見えるけれども、それでもあの読売がここまで書くとは、本当にどん底最低の法律であり国会運営だってことだ。

カジノ禁止は、銃の禁止などと並んで、いわば日本の国是ともいえる。
もちろんパチンコや競馬などいくらでも抜け道はあったけれど、少なくとも一線は引いていた。

その日本のあり方にかかわるような決まりを、たった2日6時間の審議で強行採決とは、安倍政権側の「常識」で考えてみても、やはり異常である。
なぜ、安倍晋三はそのような異常行動に走ったのであろうか。

たぶん、原因はトランプだろう。

これまでの日米安保に巣くってきた連中の感覚では、トランプが日本に何を望んでいるのか、見当がつかないに違いない。
めるで目隠しをして歩かされているようなモノだ。だから、泡を食って安倍晋三は50万円のゴルフクラブを捧げてトランプタワーに駆け込んだ。

しかし、トランプはやり手のビジネスマンだ。自分のほうから要求をだすようなヘタな手は打たないはずだ。徹底的に相手をオロオロさせて、勝手に貢ぎ物をもってこさせて、その様子を見てからおもむろに要求を言い渡すつもりだろう。

トランプタワーから出てきた安倍晋三は、オロオロと考えた挙げ句に、ゴルフクラブの次はカジノ法だ、と決めたのだ。
トランプ様のご要望は皆目見当がつかないけれども、あの方のことだから日本にカジノ事業をできるようにすればきっと喜んでくれるだろう。そう思い至ったのだ。

トランプ様のご機嫌をとらなければならない事態は、実は太平洋の向こうからの圧力だけでなく、オホーツク海のかなたからもやってくる。12月15日に。
オバマとはうまくいかないプーチンは、日本を抱き込んでアメリカに圧力をかける戦略をとってきた。ヒラリーが勝っていれば、プーチンはこれまでの戦略通り、北方4島に関するなんらかの目に見える成果を安倍晋三にプレゼントするつもりだったのだろう。

ところが、気脈を通じるトランプが勝ったことで、プーチンにとって安倍晋三は利用価値がなくなった。
手のひらを返したように、国後島と択捉島に地対艦ミサイルを配備し、「主権はロシア」と明言した。12月15日、安倍晋三は故郷に錦を飾るどころか、故郷で大恥をかかされることだろう。

こうなったら今度は、トランプ様を通じてプーチンに圧力をかけてもらうしかない。安倍の脳みそはそう考えたのだろう。

その結果、読売新聞ですらひっくり返って批判記事をかくくらい非常識きわまりないカジノ法の強行とあいなった。
来週からは参議院に回される。

最後に、その参議院で奮闘する山本太郎さんの記事を貼っておく。
ぜひお読みいただきたい。






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2016-12-02(Fri)

年寄りをいじめるつもりではないけれど・・・(世代格差の実態)

昨日は 大企業と中小零細企業の格差について書いた

実は、これ以外にもかなり激しい格差がある。
世代間格差だ。

この問題は、まるでおおさか維新のように国民どうしのいがみ合いを煽ることにもなりかねないのだが、それでも避けて通れないと思うので、慎重に読んでいただきたい。

以下は、総務省家計調査(2015年)から抜粋した、年代ごとの貯金などのデータだ。

20161202-2.png

住宅ローン残高を差し引いた正味の貯金の合計額が、世帯主が60最未満の世帯と、60歳以上の世帯で、なんと6.5倍以上かけ離れている。
世帯数の合計はほぼ同じなので、60歳未満に比べると60歳以上がいかにカネをもっているかが分かる。

「いやいや、今の若い世代もこれから貯金がたまっていって、歳をとったときには同じくらいになるはずだ」という説もある。
しかし、ちょっと望み薄な気がしている。

20161202-1.png

これは厚労省の国民生活基礎調査のデータをグラフにしたもの。
点線は、1985年にそれぞれの年代だった人の所得が、その後どう変化したかというもの。ちょっと分かりにくいが、水色点線がちょうど私の年代ど真ん中。
日本は年功序列の給料だから、40代、50代でどんどん昇級してここでカネをためるというのがこれまでのパターンだった。うちらの親世代から団塊世代くらいまでのグレー点線が、典型的にそうなっている。
ところが、私のちょっと先輩であるオレンジ点線になると、最後の50代で勢いがなくなり、私らの世代である水色にいたっては、40代、50代になるに従って上昇角度が緩くなってしまっている。

すう勢的に見ると、私らの下の団塊ジュニアからロスジェネの諸君は、もっと緩いことになりそうだ。全体の平均給与が下がり続けている上に、非正規雇用が半数を占める状態だから給料が上がる見込みはないし、将来の退職金だってもらえない。現状の資産マイナス状態から抜け出せるのか、ヒト事ながら心配になる。

■■

ものすごく乱暴な言い方をすれば、日本人の1/4は比較的カネをもっている高齢者。
1/4は大企業の社員とその家族。
1/15は公務員などの安定した職業。
という構成になっている。

もちろん、高齢者でも貧困にあえぐ人もいれば、大企業で過労死する人もいる。様々な例外があることは承知の上で、あえておおざっぱな構成を捕らえておきたい。
要するに、この国の1/4+1/4+1/15≒55%は、まだ目の前が真っ暗になるほどには困っていないのだ。
対するに、45%ほどの中小零細に勤めている59歳以下の人々は、ジワジワと、あるいはかなり強烈に貧困が押し寄せている。

もちろん個人差はすごくあるので、どのくらいがそれを自覚するほどに困っているのかはよくわからない。それでも、昨日書いた中小零細と大企業の給料の差、非正規雇用、現在の資産の世代格差、昇級カーブの鈍化、どうしたってあまり明るい未来は見えてこない。

問題は、格差があることを嘆くことではなくて、どうやって45%の将来を作るのか、その具体的な青写真を示すことだ。

誤解を恐れずに言うけれども、どの党に限らず、政治に関わっている圧倒的多数が45%ではない側に属性をもっている。
政権交代だと頑張っている運動から、60歳以上の高齢者と公務員と大学教授を除いてしまうと、かなり寂しいものになるはずだ。
もちろんやっている本人は、本当に真剣にやっているのであって、それを非難したり揶揄したりするものではない。

ただ、圧倒的に疎外されている45%の側から見ると、疎外されていない「社会の中の人たち」が野党だ与党だと言ってやりあっているように見えはしないか。
ここに格差がある、ということを明確にして、ではどうするかを具体的にしめさない限り、「格差はいけない」とか「若者が輝く社会」とか言ったって、虚しく響くだけだ。

中小零細企業が儲かるようにする というのも それと根っこは同じ。
ちなみに、各政党の中小企業対策を比較したサイトがあったので貼っておく

 政策比較表2016参院選【雇用・労働・中小企業対策】

民進、共産、社民 はどれも労働者がわの政策。まあ、かつかつでやり繰りしている中小零細の社長は(たぶん社員も)、こんなのできれば苦労しないよ と感じるだろう。
そのなかで、有効性も善し悪しもべつにして、なんだかパッと見ると中小零細のことわかってんじゃないの、と思わせるのがおおさか維新だ。キレイゴトじゃなくて、実態がわかっている かのような印象を持つだろう。
このあたりにも、おおさか維新の強さがあるのだろう。

キレイゴトや方程式じゃなくて、本当にこの現実をどうするのか、10年後、50年後、どうやって私たち(あくまでも45%がわ)は生きていられるのか、社会の経営計画をたてなくてはならない。

政権交代を目指す政党の、必須の課題である。




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2016-12-01(Thu)

国民の7割は中小零細企業の社長と社員とその家族だ

私自身も零細企業の末端の個人事業主なので、実感をもって言えるのだけれど、政治が取り組むべき「中心課題」は、中小零細企業のことだと思う。
政権交代!というかけ声と、中小企業対策という地味っぽい政策が頭の中でつながらない人が多いかもしれない。けど、7割の国民の生活は中小企業の給料で支えられているってことに、もっと注目すべき。

その理由は、この図をみれば明らかだ。

20161201-1.png
(中小企業白書2011より クリックするとPDFにリンク)

企業数にして 中小企業が99.7% うち小規模企業が87%
従業員数は 中小企業が69.4% うち小規模企業が23.2%

世の経営者の99.7%が中小企業の社長であり、勤め人の69.7%が中小企業に勤めている。
この一大勢力に対して、これまで政治は正面から、日本の一大問題として取り組んできただろうか?

保守勢力は経団連に入って企業献金をバンバンしてくれる大企業に寄り添い、革新勢力は経営問題は自分たちのテーマじゃないと考えてきた。
その狭間で、実は国民の7割が属している中小零細企業のことが、なおざりにされてきた。

一番右のグラフは製造業のデータなので、単純に当てはめられないが、ここはごくおおざっぱに「従業員一人あたりの付加価値」を考えてみる。
大企業 52.3÷30.6=1.71
中小企業 47.7÷69.4=0.69
小規模 9.1÷23.2=0.39

つまり、大企業の従業員は小規模の従業員の 4.4倍の付加価値を稼いでいる。
当然ながら、それは給料に反映される。

20161201-2.png
(年収ラボ よりお借りしました)

ちなみに、中小企業と小規模企業の定義はこのとおり
20161201-3.png

中小企業の社員のほとんどは、全体の平均年収ももらえていない。
まして小規模にいたっては、社員5千人以上の超大企業の6割にすぎない。
これに福利厚生や退職金を含めれば、もっと大きな差が開くはずだ。

日本の最も大きく、広い格差感はここにあるのではないか。
1%vs99%という話は実感がともなわないが、30%vs70%のこの格差は、たぶん70%側の人はほとんど実感しているだろう。

■■

でも、中小企業が儲けていないんだから仕方ないじゃん と言われるかもしれない。
そうだろうか

日本の労働者は、会社が簡単に首切りをできないように、法律で守られてきた。
その代わりに、下請け、孫請け、ひ孫請けという仕組みを発達させ、景気が悪くなると社員の首のかわりに下請けを切ってきた。

1998年に派遣法が改悪されてからは、派遣社員という首切り要因が社内にも用意されるようになってきたが、産業構造としての下請け制度は何も変わっていない。
下請けは継続して仕事をもらうためには、基本的に元請けである大企業が利益を確保した「残り」でやりくりをしなければならない。家康の「百姓は生かさぬよう殺さぬよう」と同じことだ。

日本の場合は、資本家vs労働者という搾取よりも、元請けvs下請けという搾取のほうが激しい。
そこでの利益の偏在が、そのまま企業規模による格差になっている。
中小企業が儲けられないのは努力が足りないのではなく、大企業の利益を抜いた後の絞りかすから利益を生み出す という構造にある。ここに手をつけなれば、社員の給料の格差もなくならない。

もちろん、ここの企業で利益を上げてウハウハの中小零細もある。
ただ、ここで書いているのは政治の役割。つまり、ほとんどの企業に通用する話であり、希有な成功例はちょっとおいておく。

また、給与のグラフを一見してわかるように、男女の差も激しい。
元データが国税庁なので、年間103万円以上のパートアルバイトも含まれており、女性の収入が低いことの要因の一つではあると思う。ただ、そもそも女性が働きにくい、出世しにくい、同一労働でも賃金格差がある、などの要因が全部かけ合わさっての数字だから、やはり大きな問題だ。
ただこの問題は、また別の機会に考えてみたいと思う。
今回は、とりあえず中小企業のこと。

中小零細が、大企業の下請けから脱却するとか、元請け下請けという構造ではなく、対等な取引相手になるとか、現状ではどうしたらいいのか分からないことだらけだが、それを突破する方法を考えるのが、政治の役割ではないか。

そもそも、なぜ中小零細の立場が弱いかというと、技術革新する資金力がなく、自前で売る力が弱いからだ。
ではなぜ、技術革新が必要で自前で売るのが難しいのか。それは、日本にはモノがあふれているからだ。
貧困から急成長する高度経済成長期ならば、いるのかいらないのかよく分からないような技術革新はしなくても売れたし、膨大な広告費をかけなくてもものは売れた。

ところが今日では、資金力にものを言わせて客をつかんでいるところが、圧倒的に力が強い。また、客の望むように、あるいは客を欺すために技術革新を頻繁に行う必要がある。
こうなると、資金力のない中小零細は、大企業の言うなりになるしかない。

もうひとつ中小企業が苦しい理由として、新自由主義というか多国籍資本が資本を国外に持って行ってしまうということがある。
対外資産という名で、GDPに匹敵するほどのマネーを海外(主に米国)に置きっ放しにして、米国経済の潤滑油としている現状がある。
これを日本に持って帰り、日本でカネを回すようにすれば、そもそものパイが大きくなり、大企業による独占も相対的に低くなるだろう。

こうした 格差の原因を諸々考えつつ、抜本的な手を政治が考えなければ、中小零細はこれからの大きくは縮小していく日本経済の中で、ジワジワと真綿で首を絞められ、日本の7割を占める経営者も社員もその家族も、救われない。

そのため、少なくともまずやらなければならないのは、企業献金の禁止だ。
大企業からガバガバ献金されている政治が、こんなことに手をつけられるわけがないのだから。

■■

自由党が本気で政権を取りにいくつもりならば、中小零細企業の問題を中心課題として据えるべきではないか。

自民党がどんなに悪さをしても負けないのは、たぶんそれなりに中小企業対策をやっているからだと思う。
国民の7割をおさえているからだ。

その自民党の中小企業対策を、はるかに上回る政策を示すことで、社長と社員と家族の心をつかむことだ。
それができるのは、社長の気持ちも社員の気持ちもわかる党、自由党しかないだろう。

少ないスタッフでそうした政策立案をするのは無理かも知れない。
しかし、全国にはいろいろな能力をもった支持者が埋もれている。広く全国に呼びかけることで、そうした知恵を発掘し、アイディアを集積し、国民の7割が未来に希望を持てる政策を、ぜひ作ってもらいたい。

中小零細企業の問題を、中小企業庁と市役所に丸投げしているうちは、本当の政権交代は勝ち取れない。




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2016-11-30(Wed)

年金「賦課方式」の罠

朴槿恵とかASUKAとかのニュースで埋め尽くされている陰で、年金改革法案が強行採決されている。

要するにこういう仕組みで、支給減になりすぎないためのセーフティーネットをはずしてしまおうというもの。

20161130-0.png

民進党の玉城雄一郎氏によると、このくらい減るらしい

20161130-00.jpg

なんたることだ、と思いつつも、年金については 「もらう人数が増えて払う人数が減るのだから、支払いは上がって受給が下がるのはしかたが無いだろう」 と言われるとなかなか反論しにくいのもたしかだ。
しかしこの理屈は、今の現役世代が今の老齢者を支える「賦課方式」を前提にしている。どこを見てもそういう説明しか書いていない。

では、あのGPIFが運用している積立金はなんなのだろう。
純粋な賦課方式だったら、その年に集めた掛け金はその年に使い切ってしまうため、積立金はないはずだ。

そう思って調べてみると、日本の公的年金の仕組みは「賦課方式」ではなかった。
正式には「修正積立方式」といって、賦課方式で使った残りを、将来に備えて積み立てておく、というもの。
さらに、かなりの部分が税金で賄われているので、実際は「賦課、積立、税 混合方式」なのである。
ちなみに、国民年金は1975年、厚生年金は1999年にはその年の掛け金+運用益で、その年の給付を賄えなくなっているので、それ以降に積み増しされた分は、実は税金だということになる。

しかも、2002年くらいからは積立金の取り崩しが始まり、2006年まではGPIFの運用益でなんとか微増したが、その後は大幅に積立金は減っている。
その意味では「賦課、取り崩し、税 混合方式」と言うべきかもしれない。

下のグラフの青を見ると2011年までに30兆円ほど減っているのが分かる。運用益を含めなければ、実際は40兆円くらい取り崩している。
20161130-1.jpg

緑が急増しているのは、取り崩し分を補填するために、GPIFで運用する比率を急速に高めたためだ。
官製相場を作って、株などの時価を高め、積立金の「見かけの」残高を増やしたのだ。

なぜ「見た目」かというと、持っている株の価格が上がったので、計算上は残高が増えているけれども、実際にその株を売って利益を確定させたわけではないので、「見た目」ということになる。
なお、最近のGPIFの巨額損失についても、損失確定したわけではない。
問題は、本当に株を売って年金の支払いに回さなければならないタイミングがあるということ。その時の日本とアメリカの株価次第で、大損する可能性があるということ。しかも、自ら買いこんで作った官製相場でキープしているわけで、大きな売りが始まると相場自体が危ない。

それはともかく、そういうわけで、日本の公的年金は 「賦課、運用、取り崩し、税 のミックス」でなんとか成り立っている。

その仕組みと実体についてはこちらのサイトが、分かりやすい
 → これで分かる!「日本の年金制度」の概要と勘所

毎年払われている年金はだいたい50兆円。
そのうち、保険料が33兆円(うち13兆くらいが厚生年金の企業負担)、税金が12兆円、運用益が5兆円 くらい。
よって、個人の負担は23兆円ほどで、全体の半分以下ということになる。

GPIFの積立金残高は今年9月末で132兆751億円だそうだ。
(ちなみに2004年度末で145兆9322億円だったので、実にマイナス14兆円)

たしかに、一般会計の税収に匹敵する額が、年金として支払われていくのだから、大きな問題ではある。
しかし、さかんに政府などが「個人の負担が増えるぞー」と煽る「賦課方式」にあたる部分は半分以下であり、バカな運用をしなければバッファーになる積立金は130兆円以上ある。

また、危機感をあおることで未納が増え、国民年金の納付率は20年前は85%以上だったのに、現在は55%程度だ。
年金に信頼が戻って納付率が上がれば、それだけでも毎年1兆円は収入アップだ。

総じて、賦課方式による危機感を煽りすぎている、というのが現在の姿ではないのか。



さて、積立金は130兆か と思っていたら、こんな記事があった

公的年金、積立金8年ぶり200兆円超え 14年度
2016/9/8 日経


厚生労働省が8日発表した2014年度の公的年金財政状況報告によると、積立金は13年度より17兆3千億円増えて203兆6千億円となった。(引用以上)

あれ? 2014年度末は約146兆だったんじゃないの?
50兆円以上もの差はどこから?

それはこれだ
20161130-2.png

真ん中の三つ、共済年金だ。公務員と私学教職員。
あわせてなんと55兆円もの積立金がある。

でも 共済組合は2015年10月に厚生年金に統合されたんだから、この55兆円は今ではGPIFの魔の手(?)に渡ったんじゃないの。
そう思った貴方。 甘いです。

統合による積立金は、こういう扱いになる

20161130-3.png

つまり、お財布は別々のまま、紫の部分は「厚生年金のつもり」という勘定をしているだけ。
運用も、GPIFと同じ運用にするという建前はあるけれども、実際は安全運転で損失を出していない

年金5兆円損失でも…「国家公務員共済」安全運転で運用益
2016年8月2日 日刊ゲンダイ


そして、約半分の白い部分は、上乗せ分(3階部分)として、シモジモの厚生年金には手を触れさせず保管される。
統合までに受給していた人には3階部分として、それ以降の人には「年金払い退職給付」という名目で、しっかりと特権は確保されている。
 → 年金払い退職給付が創設されます

しかも、公務員は一般の厚生年金加入者と比べて高齢化率が高い。
つまり、同じ比率の積立金だけで厚生年金に統合されると、今後、もともとの厚生年金の積立金を、公務員の年金が食い込んでいくことになる。

おおさか維新のような公務員をいじめて溜飲を下げる趣味は、私にはないが、かといって、公務員だけが優遇されるのはオカシイ。
公務員が高い保険料を払ってきたのならば分かるけれども、保険料率は一般よりも安かったのだから。

こうして特権を確保した官僚が、一般国民の年金をどうやってカットしようかと頭をひねって作り上げたのが、今回の年金改革法案だ。

今の年金制度を改革しなくて良いとは思わないが、この法案はよろしくない。

年金も含めて、国民が「安心して死ぬまで生きられる」方法を、全知全能を振り絞って考え出す。
それが政治と行政の使命であり、命のナショナルミニマムだ。

それができない、やる気のない政権は、そのイスに座る資格はない。




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2016-11-29(Tue)

朴槿恵はなぜ突然失脚したのか

お隣の韓国の騒動は、日本のマスメディアもこぞって報道しているから、チェスンシルとかいうオバサンの名前を日本中の誰もが知っている。

報道が過熱するにしたがって、私はどうもおかしいなあ とは思ってきた。
だいたい日本のマスコミが一色に染まる時は、なにかがある。
トランプのことさえそっちのけで、スンシル、パククネ を連呼するテレビには異常を感じた。

たぶんよからぬことはあったのだろうが、ヒラリーのメールの内容に比べれば大したことなさそうだし、縁故でがっぽり稼ぐなんて、韓国に限らずそこら中に転がっている話だ。
だいたい、よく知られた話だったみたいなのに、なぜ今になってこんなに大騒ぎになるのか?

朴槿恵の父親である朴正煕は、軍事クーデターで政権を握って人権と人命を蹂躙し尽くした独裁者であり、同時に漢江の奇跡と言われた超経済成長を成し遂げた大統領であった。
従米の国是に従いつつも独自路線を追求し、最後はKCIAの部長に暗殺された。KCIAの部長にやられたということは、ほぼCIAに抹殺されたということだ。
北朝鮮に対峙し、中国とも渡り合えるような国力をつけるまでは大鉈を振るい続けたが、ある程度それが達成されると用済みになったということだろう。

その娘である朴槿恵が米国に良い感情を持っていたとは思いにくい。
もちろん露骨に反米を出しはしないけれども、あきらかに中国に寄っていく政治姿勢は見せていた。それを、オバマがなだめすかして引き戻そうとしてきたのが、ここ数年の流れではないか。

朴槿恵が、中国寄りの姿勢を変化させたのは、2015年末のいわゆる「慰安婦問題の合意」からではないかと、巷では言われている。
オバマになかば強引に説得されて、日本との「合意」に踏み切った。
さらに大きな出来事は、今年7月の「THAAD(高高度防衛ミサイルシステム)の韓国配備決定」だ。これまで中国への配慮と配備予定の地元の反対もあって拒否してきた朴槿恵が、配備を決定。習近平は激怒した。

韓中間の国防対話 THAAD配備問題で全面ストップ
2016/11/05 聯合ニュース


この流れで見ると、、あれれ、スンシルゲート事件の裏に中国なのかな と思わせるのだが、THAADミサイル配備問題で中国と韓国が外交戦の火花を散らしていた同時期、こんな動きもあったのだ。

中国 米国に米朝平和協定を打診か=韓国当局は「事実無根」
2016/05/09 聯合ニュース


トランプ氏「正恩氏と話してもいい」 米朝会談に意欲
2016/5/18 日経


米朝直接対話を…中国、トランプ氏発言支持
2016年5月18日 日テレニュース


つまり、オバマ(≒ヒラリー)が韓国にTHAADミサイルを配備させようと躍起になっているそのときに、中国は米国に米朝対話を呼びかけ、トランプは「話してもいいぜ」と言っていたのである。
オバマ・ヒラリー路線と、トランプ路線の確執が、こんなところで炸裂し、朴槿恵の頭を悩ませていたのだ。

朴槿恵は、結局ミサイル配備を決定するものの、かなり苦渋の決断であり、状況が変われば翻意する可能性もある。
あるいは、中国に本気で北朝鮮を押さえさせるためのブラフだった可能性もなきにしもあらず。
オバマ・ヒラリーにしてみれば、このようなトランプ路線に同調しやすい大統領を韓国においておくのは、望ましくないだろう。

もちろん、逆の可能性もあるが、いずれにしても、THAAD配備問題は東アジアの関係を激変させる問題であり、米中関係を規定するほどの問題だということ。どうやら、それをめぐっての確執が、スンシルゲート事件となって朴槿恵を襲ったのではないか、と思われる。
また、韓国の国民があれほど朴槿恵に怒っているのには、日本では三文芝居しか報道されないが、実は勝手にTHAAD配備を決めてしまったこともあるのではないか。

とするならば、この事件は、日本にも深い関わりがあることになる。
オバマヒラリー路線で米中対立が深まると、下請けとして前線に立たされるのは、韓国人と日本人だ。
THAAD配備は実は日本でも行われている。京丹後に配備されたXバンドレーダーは、THAADミサイルの目なのである。

韓国配備のTHAADレーダーと日本配備のXバンドレーダーの関係
JSF | 軍事ブロガー 2016年9月8日


このように、直接的にシステムに組み込まれている。
韓国では大きな反対運動があるが、日本ではほとんどニュースにもならず、Xバンドレーダーに反対しているのはわずかな人たちだけだ。

さらに、東アジアをどうするのか、朴大統領の首をも飛ばすせめぎ合いが繰り広げられているまっただ中で、その張本人のひとつである日本は、のほほんと何も知らずに「これまでどおり」だろうと信じている。

朴槿恵が、THAADを渋ったから切られたのか、配備を決定したから飛ばされたのかはまだ分からないけれども、この激震を他人事のワイドショーネタだと思っていると、まもなく大波はやってくるに違いない。




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2016-11-28(Mon)

自由党 大阪府連大会を終えて

先週の土曜日(26日)に、大阪府連大会が盛況のうちに無事終了した。

IWJが録画配信してくれているので、参加できなかった方は見ていただきたい。

Video Production Services(2分〜 開会/4分〜 来賓挨拶/24分〜 村上氏/28分〜 渡辺氏/32分〜 真白氏/40分〜 議案提案・採択/44分〜 小沢氏/1時間14分〜 がんばろう三唱/1時間16分〜 小沢氏ぶらさがり会見)

正確にカウントしていないが、資料がすっかりなくなっていたので、たぶん180人くらいの参加ではなかったろうか。
熱心な党員やサポーター、自由党に注目している市民活動家、ナマ小沢を見てみたいという人、などなど様々な人たちの熱気があふれていた。
会場を探した段階では、党員サポーター+αで100人ちょっとという予定だったので、半分近くの人が立ち見になってしまった。

たしかに会場にあふれんばかりの盛会だったが、ただし、小沢氏が来ることと誰でも参加できることをネットでもフルオープンにしたので、このくらいの参加者は当然といえば当然であり、私個人としてはさほど驚きはしなかった。
むしろ、この中でどれだけの人が党員やサポーターに登録してくれたのか が気になる。

私のいちばんの思いはこのツイート

これは小沢事務所のツイートにメンションを送ったもの。
醒めた言い方をすれば、熱気だけでは政治は変わらない、ということ。具体的にヒトモノカネを配置して、戦略的に活動をしなければ、心の中で「小沢さん頑張れ~」と言う人が何百、何千人いようと変わらない。(何百万人いれば変わるけど)

今回の自由党大阪府連大会では、その具体的な指針、方針は見えなかった。
人事についても、選考委員会を組んで決めるということで、心機一転して動き出すのか、これまでどおり音無しの構えなのか、参加者にはズバッと見える形にはならなかった。

一つ前の記事にも書いたけれど、今の制度の中で闘う以上は、政党助成金をどう活用して組織をつくるのか、がキモだ。
地方は地方で勝手にやれでは、市民運動レベルの動き方しかできない。
もちろん市民運動がダメなのではない。そうした力を糾合してこそ、大きなチカラが作れる。

生活フォーラム関西は、まさにそういう市民運動として2年以上続けているし、生活フォーラム無くして今回の府連大会は無かったと思う。
党の街宣車の維持費を市民会員を募って賄うのも、いいことだと思う。おかげ様で目標の30口集まって、年末までには初街宣ができそうだ。
しかし、世論調査で支持率0.3%、比例の得票率が全有権者の1%という現状から一歩踏み出すためには、それだけでは足りない。圧倒的に足りない。

全国に散在する支持者や市民レベルの活動のエネルギーを、選挙で勝てる勢力に糾合してくためには、政党による具体的なリソースの配分と活用がなければならない。

自由党が、本気でそれをやる気なのかどうか、今回の大阪府連大会だけからは私は判断できなかった。
もうしばらく、寄り添いながらも、冷静に判断をしていこうと思う。

最後に、大阪府連大会に来ていただいたみなさん、ありがとうございました。




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2016-11-25(Fri)

今ほど「党」が必要なときはない

今ほど「党」が必要な時はない。

しかし、「党」らしい「党」がない。

自由党のバナーを並べ立てて、明日は大阪府連の大会だと、さんざん宣伝しておきながら、何を言っているんだこいつは? と思われるかもしれない。たしかに、主催側に片足突っ込んではいるけれども、自由党が「党」なのかどうかは、実は私にもわからない。

党とはパーティーであり、国民の中のあるパートを代表する集団だ。
そのパートの利害を実現するために、政治活動をする、それが「党」の原点だ。

「党」が成立するためには、三つの要素が必要だ。
まずは、国民をパートに分けるための価値観。
スポーツが好きか嫌いか という価値観では党は作れない。政治的な価値観で国民が分類されているのが前提。そのなかの一定のパートを代表するのが「党」だ。

次に、自分がそのパートの国民の代表になる という自覚と決意と実行をする先頭集団がいなければならない。一般に政治家とか政党として認知されている人たちは、基本的にこの部分と言うことになる。
政治はカネだ」という稿にも書いたが、この先頭集団が十分な活動をするためにはかなりの資金も必要であり、決意だけでできるものではない。

最後に、代表されるパートからの物心両面の支持と支援、さらには共に行動する組織が必要。先頭集団だけが永田町でガンガンやっていても、母集団が不在ではそれは「党」ではない。
また、気持ちだけ支持があっても、具体的な組織、物質的な支援、日常的な活動がともなわなければ、これまた「党」とは言えないだろう。

その意味では、現在ある政党の中で「党」と言えるのは共産党と公明党だけなのかもしれない。
ただ、公明党は政党以前に宗教団体なのでこれも「党」とは言いにくい。
共産党はだいたい600万人の母集団をキープしているが、そこがパートの境界になっている。



ひるがえって、わが自由党を見てみる。

どのパートを代表しているのか。これが非常に分かりにくくなっている。
個別政策的にはほぼ社民党や共産党と同じであり、もっと着地点というか、目指すべき世界観を表現しないと、本来代表しているつもりの国民のパートに届かない。党の側は代表しているつもりなのだが、されている側は全然そんな自覚がない。だから100万票しかとれない。

これについては、新しい主要政策も発表されたようだし、また稿を改めて書きたいと思う。

先頭集団は、どうなんだろう。
現職至上主義のせいで、一度議席を減らすと、極端に活動量が落ちて復活の兆しを作れないという傾向があるように思う。
全国の浪人中の総支部長を、もっと組織的に活用しなくては、現在の現職だけでは先頭集団と言うには小さすぎる。議員の党なのか、議員を作るための党なのか。

民進党のように浪人中でも毎月50万円支給するような余裕はとても無いのは承知しているが、せめて主要都市には小さくとも事務所を開いて常時ボランティアが詰めるくらいの体制はとれないのだろうか。事務所のない政党に、政権交代の期待をかけろというのは、客観的に見るとなかなか無理があると思うのだが。

自由党の支持者は、減ったとはいえ100万人はキープしている。
ほとんど活動らしい活動をしない時期が続いてきたが、それでもジッとがまんして支持をつづける人たちが100万人いる。
ただし、ほとんどの人が「隠れ小沢派」だったりして、自分の心の中だけで満足している。
このあたりが、社民党との差になっている。

社民党を応援している市民運動や労働組合の人たちは、心の中だけでなく行動する。
私の目に映る範囲では、自由党とくらべると日常的な活動量は二桁違う。
(それだけの活動量をもっと有効に使ったら良いのに、と言うのはまた別の話)
結果、自由党は分厚い保守層が(本来の)支持層だと言いながら、得票数では社民党にかなり負けている。

先頭集団たる党本部や支部が、隠れ小沢ファンをちゃんと組織して、カネも力も出せるステップを用意すれば、自由党も「党」らしくなれるのではないか。
将来にとてつもない不安を感じているけれども、日々に追われて何をどうして良いのかまったくわからない、社民党や共産党の「反対運動」には入っていけない、そんな人たちの「党」。今は存在しているとは言いがたい「党」。そんな「党」が、今ほど必要な時はない。

永田町の党から、国民の「党」に。
現実的にその舵が切れるかどうか、そういう発想が出てくるかどうか。
明日の自由党大阪府連大会 そういう目で、私は見てこようと思う。


■■お知らせ

自由党大阪府連大会
11月26日(土)14時から
大阪市立社会福祉センター(上本町)
小沢一郎共同代表も登場
大阪府以外の方や、党員サポーター以外もオブザーバ参加できますが、予想以上の申込があり、当日飛び込みの方は入場できないこともあり得ます。ご寛恕下さい。

詳しくは → https://www.facebook.com/events/328157494223706/



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2016-11-24(Thu)

トランプ TPP FTA

トランプがTPP離脱を堅持することで、ついにオバマも諦めたらしい。

トランプ次期大統領「就任初日にTPP離脱通告」 2国間協定交渉へ
2016年11月22日 AFP


TPP オバマ政権、断念を正式表明 トランプ氏方針で
毎日新聞2016年11月23日


この報道を受けて、これまでTPP反対で一致してきた日本国内の勢力が、真っ二つに割れつつある。

「トランプは見かけによらず良いやつじゃないか。TPPが無くなってよかった。」

「トランプは極悪人だから、絶対これでは済まない。日米FTAでもっと酷いことになる。」

どっちにしても、戦隊ヒーロー並の勧善懲悪、単純すぎる居酒屋談義である。
トランプが「良いやつ」のワケは無いし、かといって、悪いやつなら誰に対しても何もかも悪いことをするってものではない。

第一の問題は、トランプの個人的な善し悪しではなくて、政治家としてのインセンティブと方向性が、どっちを向いているのかだ。
たしかに差別的な人格の問題はあるのかもしれないが、他国の次期大統領の人格を心配する前に、凄まじいレイシストが首相を始めとして何人も閣僚に並んでいる、自分の国のことをまず心配するべきだ。

トランプの移民政策が極端な差別だといわれているが、その内容は、現在1100万人ほどいる不法移民の中で、犯罪歴などのある2~300万人を強制送還する、という話だ。
マスコミの報道だけを聞いていると、移民を全て追放するかのように思ってしまうが、そうではない。合法的な移民はもちろん、オーバーステイなどの不法移民の多くも、追放するとは言っていない。

ひるがえって、わが国のことを考えてみよう。
そもそも日本では、日系3世など特別な場合を除いて移民を認めていない。かつて日本軍が中国に置き去りにした中国残留孤児が帰国したケースですら定住者とかいう中途半端な地位になっている。
まして「不法」移民については、トランプのようにとりあえず見逃す、なんてことはしてくれない。運良く在留特別許可にならない限りは、追放(強制送還)される。他の犯罪歴などなくても だ。

このような、トランプも真っ青、あるいはトランプがよだれを垂らして羨ましがるような、超「差別的」な移民の取りあつかいをしている日本にたいして、「トランプはレイシストだぁ!」と叫ぶ人たちは、なんで猛抗議しないのだろう。
自分の国のことは棚に上げて、他国の国民が選んだ次期大統領を罵倒するのは、いかがなものだろうか。

このように、トランプはレイシスト という定説は、多分にマスメディアによって誇張されている。

しかも、移民の受け入れは、ほとんどの場合、安価で3Kな仕事をこなす労働力を増やそうという意図で行われる。
これこそが 差別じゃないのか と私は不思議になる。
移民受け入れの前提は、同一労働同一賃金の徹底だろう。

話をTPPに戻す。

このように実体以上に怪獣化されて報道されるトランプだが、さりとて、トランプさんのおかげでTPPがなくなったぜ、万歳!と喜ぶのは、かなりアホに見える。
少なくとも、トランプは豪腕の実業家であり、アメリカ第一主義を標榜しているのだから、何が何でもアメリカの権益を押し通すための交渉を始めるのは、当然のことだ。日米FTAが、TPPに代わるハードネゴシエーションの場になることは間違いない。

ただ、トランプが守ろうとしているアメリカの権益とは何か、ということだ。
トランプは、アメリカの斜陽産業の復活を託されて当選した。
穀物とマネーの国になってしまったアメリカで、自動車や鉄鋼などの産業とその労働者にもう一度希望をあたえる、というのがトランプの使命である。

当然ながら、TPPとは違う交渉になる。
TPPは、アメリカ国内でも斜陽産業は犠牲にしてマネーと穀物などのアメリカが強い分野の権益を確保する内容だった。
だから、ぱっと見には「自由」にすれば、弱肉強食で勝ち進むことができた。

しかし、トランプは国際競争力の落ちた斜陽産業で勝負しなければならない。
ぱっと見の「自由」を装っている余裕はない。両国の障壁をある程度認めてバーターするか、さもなければ、誰の目にも明らかな露骨な不平等条約にするしかない。

これは日本にとっても同じことが言える。
TPPは、日本企業とは名ばかりの、税金すらろくに納めないごく一部の国際企業だけが勝ち抜ける仕組みだったのに、そううまくはいかなくなる可能性が高い。
同時に、斜陽産業を守るという「弱み」を抱えたトランプに対して、日本側は交渉する余地が大きくなる。
「自由」の御旗を掲げられると交渉はしにくが、バーターであればまだしも話はできるはずだ。

もちろんこれは、日本政府に交渉する気がある場合だし、その最低限の能力がある場合に限られる。
一国の総理大臣がまだ民間人のトランプに50万円のゴルフクラブをぶらさげて、ニューヨークまで飛んでいった今の日本の政府には、TPPだろうがFTAだろうが、相手がだれであっても交渉などできるわけはない。

そうなると結果は、政治に興味なんて無くても目をむくほどの、極端な不平等条約 ということになる。
「自由」の御旗を投げ捨てて、ジャイアンとのび太の関係さながら、いくらなんでもそれはないだろ、ということが誰の目にも明らかになってしまう。
オバマも安倍も、TPPにこだわってきたのは、そうした赤裸々事態を避けたかったからではないのか。

しかし、トランプはやるだろう。
赤裸々を怖がらないからだ。

その時、日本の私たちがどのように判断し、どのように批判し、行動するのか。
そこが決定的に問われてくる。

「やっぱりトランプは悪人だ。ひどいひどい。TPP離脱して喜んでいたのは誰だ!!」と、怒り心頭に発する人たちの声が聞こえてきそうだが、そのような怒りは、しょせん他人任せの無責任な怒りではないのか。

問題は
交渉できる政権をつくれないわれわれ
にあるのではないのか。

トランプは、不利な条件をゴリ押ししなくてはならなくなったのであって、本来的には日本にとっては有利な状況になっている。
にもかかわらず、「それはいくら何でもオカシイでしょ」と言える総理大臣を政権に据えることができていない、ぼくたちの問題なんじゃないのか。

そこを飛ばして、トランプは酷いよ~ とトランプのせいにしてしまうのは、何のことはない尻尾を巻いて不平等条約にサインしようとする安倍政権と、同じ穴の狢なのではないか。

誰の目にもわかる不平等条約を強要され、それに文句の一つも言えない安倍政権という構図になるのならば、その時こそ国民のプライドに火がつく時ではないのか。火を点けなくてはならないのではないか。
それを頭から国粋主義とかいって忌避する偽リベラルも、反発を利用してファシズムまで突っ走ろうとする勢力も、きっと現れてくるだろう。
そうしたまがい物に流されずに、人としてのプライドを大事に燃やす政治を主導できる勢力を、どれだけ作ることができるか。

トランプとTPPとFTAの問題は、そこにかかっている。


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2016-11-22(Tue)

「活断層で地震が起きる」という神話の上に建つ原子力発電所

今朝は、あわてて避難した人、そうでなくともテレビをつけて青くなった人、日本中がてんやわんやで始まった。

私は大阪だから揺れも感じなかったけれども、テレビのチャンネルを次々回して、1時間ほど釘付けになっていた。
普段、耐震診断やら構造計算やらをしていると、居酒屋のメニューの地鶏すら地震に見えてしまうくらいで、こういうことがあると他のことが考えられなくなる。

今朝の地震は、海底でおきたけれども、大震災のときのようなプレート型ではなく、プレートの内部でおきる直下型のタイプだったようだ。それが、たまたま陸の下ではなく海水の下だった、ということだ。
2005年の福岡県北西沖、2007年の中越沖や能登半島沖の地震もこういうタイプだ。

マグニチュード7.4ということだから、東日本大震災のマグニチュード9.0と比べると、そのエネルギーは約250分の1ということになる。
それでも、柏崎刈羽原発を危機一髪の状況に陥れた中越沖にくらべると、なんと8倍ものエネルギーだから、あと60km陸地に近かったら、日本は破滅していたかもしれない。
本当に薄氷を踏むような、ある意味では幸運だったともいえる。

■■

さて、そもとも原発は活断層の上に建ててはいけない、ということになっていた。

そのために、旧来の原子力安全委員会やらは、なんとかして「これは活断層じゃない」という判定書を作りだし、それ専用の大学教授などもいたりした。
 (参考記事 「ようやく「活断層カッター」と呼ばる「衣笠善博」が表舞台に」

しかし、3.11以降はさすがに活断層カッターであるものを無いと言いくるめるのは難しくなり、いまある原発の下に活断層がないかどうか、再検査することになった。これは破砕帯であって活断層じゃないとか、専門用語をならべてあれやこれやと議論をしている。その結果現段階では、東通(青森)、敦賀(福井)、志賀(石川)には活断層があるという判定になった。

活断層カッターのペテンがバレてしまったのだ。

ところが、実は活断層の真上でした、ということが判明したら、規制委員会はなんと「参考意見」と言い始めた。
原子力村の連中に至っては、
たかがアドバイザーが活断層の「ある」「ない」を判断することで、追加の安全対策に膨大な費用と時間を費やしたり、場合によっては廃炉に追い込まれたりしてしまうことは、法律に根拠がなく、行政権の濫用だ
とまで言い出す始末。

この後に及んで なにが何でも「活断層じゃない」と言い張る電力会社も凄まじいが、活断層であったとしても「補強すればOK」と言う規制委員会もたいした度胸だ。

<東通原発>「活断層」前提に審査
2015年11月28日 河北新報


活断層の真上にあるものを、いくら補強してもダメなんじゃないの、とは誰しも思う。
揺れというよりも、断層をはさんで右と左の地面の位置が何十センチも移動するのだから、股裂きになったり片足だけガクンと低くなったりするわけで、耐震補強でどうにかなるものではない。建物をいくら補強しても、建物ごと転けたらどうするんだ。
例え建物が無事だったとしても、延々とつながれた配管が無事で済むわけがない。

そんなあたりまえのことをすら、専門用語を駆使して誤魔化しきろうとするのが、原子力規制委員会だ。

そして、原子力規制委員会がそこまで無茶を言うのには、ワケがある。
活断層があろうがなかろうが、じつはあまり違いが無いことが、ハッキリしてしまったからだ。
あっても大丈夫なのではなくて、無くても大地震は起きる ということだ。

活断層というのは、過去の大地震による断層が地表面で確認できるもののこと。
つまり、地震の巣があったとしても、そこそこ土に埋もれていたら活断層かどうかは分からない。
ボーリング調査は普通は数10m程度で、頑張っても200mくらい。
バイブロサイスという人工地震装置で測定すると10数kmまでは調査できるらしいが、超固いプレートの中までは無理。
だから、今回のようなプレートの中でバキッといくタイプの地震は、仮に兆候があったとしても人間にはわからない。

こちらのサイトは、産総研の活断層データベース(図をクリックするとリンクします)

20161122-1.png

凡例の中の「主な被害地震(1923年以降) 」にチェックを入れると、大地震の震源が表示され、地図は移動させて日本中を確認することができる。四角や丸をクリックすると、震源の情報が表示される。
データは2013年まで(四角)と2週間以内(丸)なので、熊本や鳥取は表示されないが、それでもいかに「活断層以外でおきている大地震が多いか」がよくわかる。活断層に近いものの結構ズレていたり、付近にまったく見当たらないのも珍しくない。

ちなみに、海中で深さが数10kmとかあるのはプレート型と考えられるので、今問題にしている活断層とは話が別になる。

だから、もちろん明らかに活断層のうえに原発を建てるのは論外だけれども、無いところでもリスクはあまり変わらないということ。
同じくらい危ない。

それが分かってしまったから、もう規制委員会もやけくそで、活断層の上でも対策をすれば大丈夫、などと言い始めているのだ。

■■

ただし、この信じがたいモラルハザードは、原子力村だけのことではない。

「地球の破滅よりも、会社をクビになることの方が怖い」
これは、この世の真理といっても良いかもしれない。
社長でも雇われだったり株主や社員への責任があったり、重役から平社員までが責任のなすりつけあいで成り立っている会社とか役所という組織では、間接的に「地球の破滅」に手を貸すことよりも、直接的に「会社が倒産する」とか「自分がクビになる」ことのほうが恐ろしい。

このことを理解しないと、原発は止まらないし、脱原発運動は実効性をもたない。

福島第一原発の沖合60キロで直下型地震が起きたことに、ヒヤッとしない人はいない。
けれども、そのことを口にして会社で冷や飯を食うことの方が、背筋が凍る。

その両面を認識して、どうやって進めていくべきなのか、考えなくてはならないだろう。


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2016-11-21(Mon)

「空き家問題 -1000万戸の衝撃」を読んで

牧野知弘という不動産屋さんの書いた本。「空き家問題 -1000万戸の衝撃」祥伝社新書。

前半は問題指摘、後半は解決に向けた提言 という内容になっている。
最初に言ってしまうと、後半はまったく面白くない。ありきたりというか思いつきというか。

しかし、前半の問題指摘は本当に衝撃的だ。
人口予測と同じで、空き家についてもかなりの精度で予測可能な分野だ。
人口が減っても、それなりに生きていけばいいじゃないかという論に、ちょっと待ったをかける。

人口が減っても、膨大な固定資産は減らない。以前に書いた老朽化するインフラ(都市のインスペクション~怖いのは陥没だけじゃない~)も同じだが、個人の所有する家もそう。
至る所がスラム化する危険が、かなり目の前に迫ってきている。

現在でも空き家率は15%に迫っている。そのうち半分くらいは、売り家、貸家、別荘だったりするが、あとの半分は買い手がつかない、借り手がつかない、売りも貸しもしていない、などなどの手の付けようがない空き家だ。
もはや、朽ち果てるのを待つしかない。

そして、そういう家は、均等に存在するのではなく、不便な場所に偏在する。
高級住宅街も例外ではなく、駅から遠い場所は、高級なだけに買い手がつかず空き家が増える。
まして、バス便しかないような郊外のニュータウンはすでに悲惨なことになっている。
郊外楽園プロジェクト 2010.12.20

郊外からさらに田舎にいくと、もう本当に朽ち果てて屋根が崩れ落ちているような家は、そこら中で目にする。
まさに、田舎で進行した過疎化が郊外が後追いし、これから都心が追いかけている、と言う状態だ。

郊外のニュータウンに話を戻す。大阪駅から通勤時間1時間くらいでも、50坪の土地に一応住める家がついて500万くらいで売っている。
逆に言うと、500万円でも売れる家は新しい住み手が入るけれども、諸事情でそういうわけにはいかない家は、朽ち果てるまで空き家のまま。

諸事情とは、ほぼ「担保」だ。
その家のローンの担保のこともあれば、バブル期に他の借金の担保にしていたなんていうのもある。
担保がついているから、それ以下の金額では売れない。
でも、そんな金額では買い手がいない。
で、朽ち果てるのを待つ。
これが、郊外ニュータウンの惨状だ。

郊外ニュータウンの次に惨状をさらすのは、たぶん都心(の周辺)の分譲マンションだ。
都心から1時間以内。そこそこ便利は便利。でもイマイチさえない。
そんな場所にある、かつて2000万円くらいで分譲されていたマンション。

これは都心の新しいマンションとの競争もあるけれども、そもそも建て替えが(ほぼ)できないという致命傷がある。
公団や公社などの土地に余裕のあるマンションは別として、民間のマンションの建て替えは100%自己資金であり、お年寄りはほとんど賛成しないので、まず建て替えは成立しない。

賃貸に回しても雀の涙ほどの賃料しか取れず、管理組合は機能している間は、それでもなんとかなるが、やがてスラム化していくことは免れない。

そこに、インフラの老朽化が追い打ちをかける。
手入れのされないボロボロのマンションの周辺で、道路が陥没したり水道管が破裂して水が噴き上がるという図は、悪夢ではなく現実に起きそうなはなしだ。



一方で、住む場所がない、という問題もある。

大学卒業時点で借金6百万…過酷な奨学金返済で貧困転落続出 貧困で路上生活の若者も
2016年5月2日 ビジネスジャーナル


実家に住める人はともかく、それがない人は、一度住む場所を無くすと、住処を確保するためのまとまった資金に事欠いて路上生活になることが少なからずある。
路上まで行かなくても、こんな家に住みたいとは誰も思わない。

脱法ハウスって何? 違法なシェアハウスの問題とは
2013年05月23日 ハフィントンポスト


2畳もない空間に人間を押し込む貧困ビジネス。
のほほんとしたシェアハウスのイメージとはかけ離れた脱法ハウスは、なかなか発見することも難しく、かなり横行しているようだ。

シェアではないが、ワンルームマンションに家族で暮らしているなんていうのもよく耳にする。

一方でこんな劣悪な住宅事情がありながら、他方では家が余りまくって空き家が朽ちていく。
ここをマッチングするのは、政治の役割だ。

例えば新婚や子育て世帯への家賃補助。高い家賃に補助を出すのではなく、空き家活用に回すべきだ。
公営住宅を建てるよりは、空き家をリノベして活用した方が安上がり。
そういう発想を駆使して、家のない人と、人のない家をマッチングすることだ。

朽ち果てるのを待つ家は、全国でおよそ500万戸ある。
そのうち100万戸でも活用できれば、住む場所に困る人たちはかなり解消するだろう。
1戸あたり平均200万円かけても2兆円でできる。

空き家問題。あまり政治の世界では問題にされていないけれど、結構深刻な問題だ。


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2016-11-18(Fri)

政治と経済と芸術の三権分立

先日 岡本太郎記念館に行った時に見つけた 「自分の中に毒を持て

あかん、こんなん読んだら仕事できんようになる あかん。と思いつつ、抗いがたく購入してしまった。
その中に、こんなことが書いてあった。

(以下引用)
 ぼくはここで一つ提言したい。
 酷くユニークで、突飛だと思われるかもしれないが。いま、この世界で必要なことは、芸術・政治・経済の三権分立である。モンテスキューの唱えた古典的な司法・立法・行政の相互不可侵というような技術的なシステムではなく、まったく新しい三つの原理のオートノミーを確立すべきだ。
 政治・経済は人間にとって勿論欠くことのできないシステムである。というより生活時代なのだ。しかしおかしなことは、日常、ぼくらにとって、「政治」「経済」と聞くと、何かひどくよそよそしい。多分これらの機構がいわゆる政治家、経済人によって勝手にコントロールされ、「芸術」つまり「人間」が抜け落ちてしまっているからだろう。

(引用以上)

これは深い話だと思った。
ここで岡本太郎さんがいう「芸術」は、歌ったり絵を描いたりという現象を言っているのではない。

(以下引用)
 芸術といっても、なにも絵を描いたり、楽器を奏でたり、文章をひねくったりすることではない。そんなことは全くしなくても、素っ裸で、豊かに、無条件に生きること。
 失った人間の原点をとりもどし、強烈に、ふくらんで生きている人間が芸術家なのだ。

(引用以上)

平たく言えば、心のそこからの言葉。いや、言葉にならない 「ふしゅーーー」という息づかいかもしれないし、痙攣のような筋肉の収縮かもしれない。
それらを何とかして他人に伝わるかもしれない表現にすること。
たぶん、そういうことなんじゃないだろうか。

今の政治が伝わらないのは、そういうものが欠けているからではないか。
それは、政治を語る側だけではなく、語られる側もともに、心のそこからのやりとりというものがない。
テレビドラマで「感動」するよりも深い経験をもたない。
そういうことではないのか。

当然ながら、これは政治を歌えとか絵にしろと言う話ではない。
そうではなくて、政治を語る時に、どこかにウソはないか、ポジショントークをしていないか。
心の奥底の想いを、なんとかして言葉に、行動にしようという、必死の努力をしているか。
それが問われている。

もちろん、その「純粋」さだけで政治や経済が動かないことも、重々分かっている。
泣きたくなるくらい分かっているからこそ、せめて三権分立なのではないか。

シリアスで良心に訴える話題であればあるほど、どこかでちょっと手抜きをすると、それは「しらじらしさ」としてあっという間に伝わってしまう。なぜなら、その方向の話は聞き手にも重大な緊張を強いるからだ。
聞き手にも緊張を強いる以上、絶対に手抜きは許されない。
それが、政治と生活が分離し、いつのまにか遠くに離ればなれになってしまった原因ではなかったか。

逆に、露悪や嗜虐(しぎゃく≒いじめ)は、雑な表現でも「ホンネ」として受け取られる。
聞き手に真剣も緊張も必要ないからだ。
その典型が橋下徹であり、維新の会である。

「良い政治」を志す人間は、自分の中の毒を隠していないか。
誰だってかなりの毒を持っている。それを無いふりをしたり、未熟さにして誤魔化したりすることが、「しらじらしさ」の源泉ではないのか。
毒を解放して、よくよく撹拌し、何度も自分で飲んでみて、それを表現にまで昇華させることができるか。
モラルを外形的な、外から縛られるものとして自らに強制するだけでなく、それに反する自分ともしっかり向き合うことができるか。

その意味では、機動隊が沖縄の人を「土人」と罵倒したことについて、「差別かどうか分からない」と鶴保某が疑問をもったことは悪くない話かもしれない。
ただ、あの映像を見て、言い放った大阪府警の機動隊員の表情を見て、なにも感じないとしたら、そこにあるのは鶴保というかたちをした心の無い土人形ではないか。
まして、政府決定で「土人は差別じゃない」と決めてしまうとは、これは露悪と嗜虐のかぎりである。

これは想像だが、あの機動隊員は自分たちの威圧や権威が通用しない相手を、同じ人間とは思えなかったのだろう。
それがあの「土人」という発言につながったのだろう。まさに「差」「別」そのものである。

だが、これと同質なことをいわゆるリベラルの人もやっていないか。
この後に及んで自民党に投票する人を「民度低い」とか「B層」とかいう言説は、しばしば耳目にする。
自分の理解を超えている人をこのように罵倒するのは、機動隊の「土人」と同じではないか。
上から目線の説教は、毒を吐いて罵倒する嗜虐と、本質的に変わらない。

このように、自分の全く異質の理解を超えたものと遭遇した時、たぶん毒が噴出される。
そして、相手が弱いとみると 毒を吐いて嗜虐に走り、強いと見ると毒は自分に回って媚びへつらう。
結局のところ、これまでの政治は、上から目線の説教か、上目遣いの媚態ではなかったか。

人が皆異質であるのは仕方が無い。というかあたりまえだ。
そういうものと遭遇した時に、毒が出るのもこれは仕方が無い。
その毒と向き合って、自分が言いたいこと、心から表現したいことと、その毒を自分の中でぶつけ合う。
毒だけ吐く維新のようなイジメ政党ではなく、毒を隠して「イイコト」をならべるリベラルでもなく、第三の存在がなければ、政治と生活が時空を超えて隔離されてしまった今を、変えることはできないだろう。

こうやって書いていて非常に我が身が痛いけれども、これが、岡本太郎が言う 「芸術・政治・経済」の三権分立の、現代の意味なのだろうと思った。


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