国家の本質は暴力装置であると考えると、暴力国家はイスラエルだけにとどまらないのかもしれないが、それにしてもこれほどにあからさまに、他民族を暴力的に差別し抑圧し殺戮する国家が、この21世紀に存在していいのだろうか。
220万人の住人が完全に封鎖された状態で、町をひとブロックごとに塗りつぶすような爆撃を受けている。
国境なき医師団(MSF)のスタッフ300人も閉じ込められ、家を破壊され、家族を失いながら医療活動を続けている。
以下、少し長いけれども、MSFの記事を引用する。
2023年10月13日
国境なき医師団(MSF)は、ハマスによる市民の残虐な大量殺戮と、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃に慄然し、これを非難する。MSFは、紛争当事者による無差別攻撃の即時停止、および民間人に安全な空間と移動通路を確保するよう緊急に求める。また、民間人の食料、水など、必要不可欠な物資や医療施設への安全なアクセス、および医薬品、医療機器、食料、燃料、水などの人道物資のガザ地区への搬入を許可するよう求める。そのためには、エジプトとのラファ国境を開放し、同地点への爆撃を中止する必要があると訴える。
市民220万人に対する「集団的懲罰」
ガザ地区ではこれまで続いていた慢性的な人道的危機が今回の無差別爆撃によって大惨事と化している。地区内には、現在220万人もの人びとが閉じ込められ、MSFもスタッフ300人以上を地区内に擁し、中には家や家族を失った者もいる。移動も著しく困難になっている。
「戦闘機は通りを一区画ずつ破壊しています。隠れる場所も気を休める暇もありません。毎晩爆撃されている場所もあります。ガザでは2014年と2021年にも何千人もの死者が出ました。MSFの医療スタッフは毎日、家に戻ってくることができるか、家族に再会できるか、不安を抱きながら仕事に行きます。しかし、今回はまるで違うと言います。今回の紛争が始まり5日後にはすでに1200人が命を落としました。人びとが生き抜くためにできることや、安全な場所はありません」と、ガザでMSF現地活動責任者を務めるマティアス・ケネスは憤る。
ガザでは何百万人もの市民が、イスラエル軍による「完全封鎖」、無差別爆撃、そして地上戦の脅威という形で、「集団的懲罰」に直面している。封鎖は、食料、水、燃料、電力の供給停止を含む容赦のないもので、命を救うための物資を意図的に断ち切り、戦闘に巻き込まれた患者や医療スタッフにも救命の選択肢を与えないものだ。
いま早急に必要とされているのは、市民の安全な場所の確保と、人道物資と医療スタッフのガザ入りを可能にすることだ。負傷者や病人の医療へのアクセスは確保されなければならないし、病院や救急車は標的にしてはならない。
過去最悪レベルの破壊にひっ迫する医療
「ガザ保健省の病院では、麻酔薬や鎮痛剤が不足しているとスタッフから報告を受けています。MSF側では、2カ月分の緊急備蓄品からガザ北部のアル・アウダ病院に医薬品を移しましたが、3週間分の在庫を3日で使い果たしました」と、MSFガザ医療コーディネーターのダーウィン・ディアスは報告する。
MSFのスタッフは、10月7日以来、移動が極度に制限されている。安全な移動経路の特定は難しく、負傷者の治療に奔走するパレスチナの医療関係者の支援も困難となっている。MSFのチームは、すでに過去最悪レベルの破壊を目の当たりにしている。MSFが支援する2つの病院、アル・アウダとインドネシア病院はいずれも空爆で被害を受け、MSFの診療所も9日の爆発で被害を受けた。
現在、MSFは独自の診療所を運営し、ガザ北部のアル・アウダ病院、インドネシア病院、南部のナセル病院を支援している。10月10日には、火傷と外傷の患者を受け入れるため、ガザ最大のアル・シファ病院の手術室を再開した。MSFはまた、同病院に医薬品を寄付し、今後も現地医療機関への支援を継続する。ヨルダン川西岸地区については、ジェニン、ヘブロン、ナブルスにいるチームが、激化する暴力に伴う医療ニーズを調査している。同地区では入植者による攻撃やイスラエル軍との衝突で、少なくとも27人のパレスチナ人が死亡している。
民間人、民間インフラ、医療施設は常に保護されなければならない。MSFはイスラエル政府に対し、ガザ全域に対する攻撃、市民に対する「集団的懲罰」を中止するよう求める。また、イスラエルとパレスチナの当局および諸勢力に対し、市民の安全な空間の確立、ガザ地区への人道支援、食料、水、燃料、医薬品、医療機器の搬入を緊急に実現するよう求める。
(引用以上 写真はMSFの他の記事から)
MSFだけでなく、赤新月社のスタッフも何人も殺されている。
日本赤十字社のホームページから引用する
2023年10月13日
10月7日よりイスラエルとガザでの武力衝突は激化しており、被害は拡大の一途をたどっています。これまでに双方で2,700人以上が死亡し、9,800人を越える人が負傷し治療を必要としています(10月13日0:00現在)。その多くが民間人です。パレスチナ赤新月社及びイスラエル・ダビデの赤盾社(イスラエルの赤十字社)は救急車による負傷者の搬送を中心に救援活動を続けていますが、対応中に銃撃に巻き込まれ負傷したり命を落とすスタッフの報告も増えています。このような状況を憂慮し、赤十字は国際人道法の遵守の重要性を訴えています。
(中略)
今回の人道危機ではパレスチナ赤新月社のスタッフ・ボランティア4人、イスラエル・ダビデの赤盾社のスタッフ3人が負傷者の救急搬送中に戦闘に巻き込まれ殉職したことが報告されています。
すべての紛争当事者は、戦時のルールである国際人道法の法的義務を尊重しなければなりません。民間人や医療従事者は、どんな時でも常に守られなければなりません。民間人が攻撃されることがあってはならず、人質を取ることも禁じられています。そして医療従事者と人道支援団体は、命の危険に晒されている人びとのために安全に救命活動を行わなくてはなりません。赤十字は、国際人道法の順守を訴え続けます。
(引用以上)
あまりの暴虐さに、さすがの日本のメディアも、イスラエルべったり一辺倒ではない報道をしている。現地にいる人の生の声を聞いてほしい。
■ ハマスのテロにイスラエルは報復??
欧米や日本などは、そのように言ってハマスを非難している。
たしかに、10月7日だけを見ればそう見えるかもしれない。
ハマスが襲撃したのはイスラエル軍でも入植者でもなく、むしろ和平派の拠点だったという話もある。これ自体はたしかに非難されるべきだろう。
しかし、これは75年間にわたるイスラエルとその後ろにいる米英および日本を含むその仲間たちによる、残虐非道なパレスティナに対する仕打ちの帰結だということを忘れてはいけない。
1948年、突然住んでいる村を武装襲撃されたパレスティナ人はあわてて逃げ出した。無人になった村々をブルトーザーで潰して占拠し、作ったのがイスラエルという国だ。少なくとも、住民の目線ではそのように感じただろう。
パレスティナ人はなぜユダヤ人に襲われ、国を奪われたのか。
ことはイスラエル「建国」の20年前に遡る。イギリスは第1次大戦で、オスマン帝国と戦わせるためにアラブ人には「独立させてやる」とウソをつき、戦争資金目当てにユダヤ人には「国を作らせてやる」とウソを言い、裏ではフランスと「分割統治しようぜ」と決めていた。イギリスの「三枚舌外交」と言われている。
イギリスのウソのせいで、パレスティナをアラブとユダヤが奪い合う関係にされてしまったのだ。
第2次大戦が勃発すると、あのナチスドイツによるユダヤ人迫害が始まる。ユダヤ人の独立運動(シオニズム)は激しくなり、イギリスも白を切りとおせなくなる。
そこで1947年に国連はイギリスのウソを正当化するために、パレスティナを分割し、過半をユダヤ人国家にすると無茶な決議をした。
これに怒ったパレスティナとアラブ側が、イスラエルと戦争したのが第一次中東戦争。
戦争に勝利したイスラエルは、完全に国家として居座ってしまったのだ。
ちなみに、第2次大戦中、パレスティナの指導者は、自分たちを騙して支配者になったイギリスから独立し、ユダヤに国を奪われないために、ナチスドイツに近づいたのは事実だ。
その辺りの事情は、ソ連の支配から逃れようと親ナチスになったウクライナと似ている。
しかし、ナチスの先兵となったわけではなく、現在にいたるまでネオナチが跋扈しているわけではないので、ウクライナと同じとは言えない。
むしろ、欧州のネオナチとイスラエルの右派は反アラブで手を結んでいるという話さえある。
にもかかわらず、イスラエル右派は「ホロコーストはパレスティナ人のせいだ」と言う。
いくら迫害されたユダヤ人だからと言って、何をしてもいいという訳ではない。
ナチスに近づいたから今住んでいる土地を奪ってもいいというのなら、ユダヤ人はドイツを奪うべきだった。
国連も、パレスティナを分割するのではなく、戦後ドイツを四分割統治していたうちの一つをユダヤ人国家にすると決議して、ドイツ人を追い出せば良かったのだ。
もちろんそんなことはできはしない。不当な東西分割はされたけれども、ナチスの「本場」でさえさすがに住民を全部追い出すようなことはできなかった。
ドイツにはできないことを、パレスティナには強いてきたのが、戦後のこの世界なのである。
第2次大戦後の「現代」と言われる時代に、日本では「戦後民主主義」を謳歌し始めた時代に、こんな非道がまかり通ってしまったイスラエルの建国。
当然ながら、パレスティナとアラブ諸国の多くはイスラエルを敵視してきたが、米国がぴったりと後ろについているイスラエルは、4度にわたる中東戦争に勝利し、パレスティナの地を次々と占領してきた。
そして、元々の住民であるパレスティナ人は難民キャンプでなんとか命をつなぎ、今はヨルダン川西岸地区とガザ地区がかろうじて自治区となったが、実態はイスラエルに占領され閉じ込められている状態だ。
緑がパレスティナ、白がイスラエル(ユダヤ)である。
1947年の国連決議が左から2番目。
自治区であるはずのガザとヨルダン川西岸すら浸食している現在の状態が一番右だ。
この図は、2009年3月より2014年5月まで国連人権高等弁務官事務所パレスチナ事務所副所長を勤めていた髙橋宗瑠さんのインタビュー記事からお借りした。
その記事をほんの一部引用する。現地で本当に見て来たことを、ぜひ全部読んでみてもらいたい。
2017年11月06日 生協パルシステム
私も赴任するまでは、イスラエルは民主主義国家だし、人権の扱いに問題があったとしても何か理由があるだろうと思っていました。しかし、実際に行ってみると、一方的にパレスチナ人が迫害を受けていることが明らかでした。
日本の大学生にパレスチナ問題について話すときは、最初に「どんなイメージを持っているか」を聞くようにしています。そうすると、「戦争」とか「武力衝突」といった言葉が出てくる。それらの言葉には、お互いが対等な感じがありますが、実際はそうではない。まずパレスチナがイスラエル軍の占領下にあることを理解してほしいと伝えています。
パレスチナ人がユダヤ人を殺傷する事件もありますが、報道ではその出来事だけが切り取られてしまう。もちろん民間人を殺傷するのはあってはならないことですが、なぜそこまで追い詰められているのか、その背景が表に出てこないと誤解を生みます。
(引用以上)
■日常的な迫害
高橋さんの話にも出ていた入植者について。
イスラエル政府が黙認する入植者という一種の民兵組織によって、パレスティナ自治区は浸食され、日常的な暴力が加えられてきた。
その実態をつたえる国境なき医師団の記事の一部を引用する。
2023年06月30日
51歳のアーティストであるニスリーン・アルアゼさんはヘブロンの住民だ。ヘブロンはヨルダン川西岸地区の南端に位置する都市である。イスラエル占領下にあるため、入植者が多い地域の一つだ。
ニスリーンさんは、自宅の窓に面格子を取り付けている。自宅の真上に、イスラエル人入植地があるためだ。「窓を開けるたびに向こうの人たちが見えるんですよ」とニスリーンさんは語る。近隣の入植者たちが彼女の自宅敷地に何回も侵入して、窓ガラスを石で割ってくる。その上、入植者たちは、窓の外から棒状のものを何本も突き出してくるという。ニスリーンさん一家は家の中に閉じこもり、黙ってやり過ごすしかない。
「窓が壊されるのを見ると、思わず悲鳴をあげたくなります。でも、私たちが家の中にいることを気付かれてはならないと夫に言われ、黙っているしかないんです」と、ニスリーンさんは嘆く。彼女によれば、このような襲撃行為があっても、イスラエル兵たちは何も制止しないという。嫌がらせはエスカレートするばかりだ。
「私たちを住みづらい状況に追い込んで、この地から追い出そうとしているんです。イスラエルで新しい政権ができましたよね。あの政権を後ろ盾にして、この地を奪いたがっているのです」ニスリーン・アルアゼさん
2022年11月、イスラエルでは、パレスチナに対してさらなる強硬姿勢を取る政権が誕生した。この政権は、イスラエル人入植者の武器使用も認めている。
ニスリーンさんは、2016年にMSFに助けを求めてきた人である。当時も、激しい暴力が急増して、彼女の住む地域の人びとが何人も入植者や兵士たちに殺害されている。
(引用以上)
こちらの写真も同記事より引用。自宅をイスラエル軍に破壊されたという。
こちらもぜひ全文を読んでいただきたい。
■それでもハマスはテロリストなのか
ハマスは、2006年にガザ地区において選挙で選ばれた自治政府である。任期はとっくに終わっているので現在は民主的に選ばれたとは言えないが、政府機能を担っているのは間違いない。
私がもし為政者で、住民がこのような暴虐を受けたならば、だまって見ていられる自信は無い。
もちろん、勝てないのになぜ攻撃するのか、人質をとるのは人道違反だ、民間人を殺したらイスラエルと同じだ、そもそも武装闘争が是か などなど、批判はできる。
しかし、少なくともハマスが一方的に卑劣なテロリストで、イスラエルは防衛のために闘っている、などとは言えないことは、歴史と実態を見ればわかるはずだ。
先ほどのTBSのニュースもそうだが、さすがの欧米や日本のメディアも、そのような一方的な言い方はできなくなっている。
2023年10月12日 BBC
(一部引用)
誰かをテロリストと呼ぶことは、どちらかの味方をすることであり、状況を公平中立に扱うことをやめることだ
BBCの仕事は事実を視聴者に提示し、視聴者に素直に、怒鳴り散らさずに考えを決めてもらうことだ
(引用以上)
2023年10月12日 NHK
(一部引用)
ガザ地区にいま、メディアなどは入ることができない。
イスラエルが人の出入りを管理していた検問所が、ハマスに制圧されたためだ。
そのガザ地区で取材しているのがNHKガザ事務所のパレスチナ人プロデューサー、ムハンマド・シェハダとカメラマンのサラーム・アブタホンの2人。
10年以上にわたってガザからの報道を支えてきたムハンマドとサラーム。
イスラエルによる空爆が続くいまも、現地の状況を伝えようと、亡くなった人やけがをした人が次々と運ばれてくる病院などで取材にあたっている。
(略)
ムハンマド
「『シェルターに避難しろ』というメッセージを受け取っても、ガザ地区に安全なシェルターはない。シェルターとされる学校も空爆を受けているからだ。
ここに安全な場所などない。どこに行けばいいのか、どこに身を隠せばいいのかわからない。いつ頭の上に爆弾が落ちてくるかわからない。
そんな状況では、いまいる場所が安全かどうか判断することなどできるわけがない。ここではみな『安全』という感覚を失っている。
ガザの人々がどのような気持ちでいるのか、ことばや映像で説明することはできない」
(略)
「70年続くパレスチナ人への攻撃、虐殺に対して世界はずっと関心を払ってこなかった。パレスチナ人が犠牲になっても誰も関心を持たなかった。
それが、イスラエル人が犠牲になった瞬間、すべての人が関心を持った」
「イスラエルはハマスの軍事施設だけを攻撃していると主張しているが、私たちが病院やその周辺で目にしたのは、市民が犠牲になり、民間の建物が破壊されている光景だ。多くの子ども、女性、お年寄りが殺されている。
日本の人たち、国際社会はガザで何が起きているかを正確に知り、一刻も早く、ガザで起きている戦争を止めるための方策を見つけてほしい」
(引用以上)
今、イスラエルの虐殺行為を止められるのは、世界中の声しかない。
膨大な #SavePalestine の声があがれば、イスラエルの操り人形であるバイデンでも無視はできなくなる。
とくに、ロシアの攻撃をなじり倒してきた手前、イスラエルはぜんぜんOKだぜ とは言いにくい。
(ちなみに、ゼレンスキーはイスラエル断固支持だが)
地上戦が本格的に始まると、ガザはホロコーストになってしまう。
2023年10月14日 朝日新聞
実際に24時間以内に100万人以上も退避させることは難しい。民間人が巻き込まれたとしても、事前に退避勧告という形で警告はしたというアリバイ作りだとみられる
(引用以上)
関西人以外はわかりにくい例えで恐縮だが、ガザの人口は220万人ほどで、大阪市(270万人)に近い。
広さは大阪市と堺市を合わせたくらいだ。
想像してみてほしい。
大阪市の難波よりも北に住んでいる約100万人は、24時間以内に南へ避難しろ と言われたら。
しかも、その避難路も爆撃が続いており、電気も水もない、道路は寸断され交通手段もない、そんな状態でだ。
※分かりやすい地図を作成したツイートを見つけたので紹介
少なくとも何十万人が残っている市街地に、イスラエル軍が襲撃してくる。
病院も赤新月社ですら殺すイスラエル軍が、デモ隊にも平気で発砲して殺すイスラエル軍が、殺気だって襲ってくる。
どんな惨劇が起きてしまうのか。
10/14 中央日報
イスラエル軍が13日、ヨルダン川西岸地区でイスラエルのガザ地区空襲に抗議するパレスチナのデモ隊に発砲し、9人が死亡した。
7日から現在までデモ隊とイスラエル軍の衝突で発生した死者は計44人と集計した。
(引用以上)
私には、こうして書いて声を上げることしかできないが そうした声の広がりは、孤立したイスラエルを支持し続けることにいらだつアメリカを動かし、イスラエルを思いとどまらせることになると信じたい。
■実は焦っているイスラエル
イスラエルが、かつてない規模の攻撃をしている背景には、イスラエルの孤立化がある。
2023年3月11日 BBC
中東で長年、ライバル関係にあるイランとサウジアラビアが10日、外交関係の正常化で合意したと発表した。両国は2016年以来断交していた。両政府代表が中国で4日間にわたり協議した結果、合意に達したという。
(引用以上)
サウジアラビアとUAEは、元々はイスラエルを敵視してきたアラブ諸国の中ではアメリカ寄りの国としてイスラエルに接近してきた。
2020年にUAEはイスラエルと国交を結び、サウジも昨年来イスラエルとの国交正常化を模索してきた。もちろん仲介はアメリカである。
バイデンからすると、もはや産油国となったアメリカは中東からは手を引きたい。ましてウクライナで戦力もカネも大消費しているなかで、イスラエルに暴走されるのは困る。ユダヤの票とカネはほしくても、なんとかイスラエルには温和しくしていてほしいので、サウジとの国交正常化というエサを与えて、パレスティナとの妥協を引き出そうとしていた。
ところが、その最中にサウジが中国の仲介でイランと手を結んでしまったのだ。
イランとイスラエルは不倶戴天の敵であり、イスラエルから見たらサウジとアメリカの裏切りと映ったはずだ。
いよいよアメリカの中東における力の低下が明らかになった。
この状況に対してイスラエル右派政権は、中国が出るに出れない状況を作り、バイデンが嫌でもイスラエル強硬策を支持せざるを得ない状態を作りたかった。
それには、戦争しかない。
直接のきっかけはハマスの反攻だったかもしれないが、それがこれだけ大規模な戦争になっているのは、イスラエルのそうした思惑があるからだ。
抱きつかれたバイデンは、ウクライナでニッチもサッチもいかなくなっているので、ほとほと困り果てているはずだ。
メディアの報道が必ずしもイスラエル支持ではないのも、一因はここにあるのだろう。
だからこそ、戦争を止めるチャンスはある。
2003年のアフガン戦争や今のウクライナのように、アメリカが断固継続の意思を持っているときは、それを止めるのは非常に困難だが(だからといって容認はできないのはもちろんだが)、アメリカも本音ではやめてくれと思っている戦争は、止められる可能性は現実的にある。
ただし、バイデンもユダヤの票とカネを横目に、簡単には止めることができない。
だからこそ、宗教も党も立場も超えて、「殺すな」という声を上げる必要がある。
#SavePalestine
#FreePalestine
殺すな!