2016-11-29(Tue)
朴槿恵はなぜ突然失脚したのか
お隣の韓国の騒動は、日本のマスメディアもこぞって報道しているから、チェスンシルとかいうオバサンの名前を日本中の誰もが知っている。
報道が過熱するにしたがって、私はどうもおかしいなあ とは思ってきた。
だいたい日本のマスコミが一色に染まる時は、なにかがある。
トランプのことさえそっちのけで、スンシル、パククネ を連呼するテレビには異常を感じた。
たぶんよからぬことはあったのだろうが、ヒラリーのメールの内容に比べれば大したことなさそうだし、縁故でがっぽり稼ぐなんて、韓国に限らずそこら中に転がっている話だ。
だいたい、よく知られた話だったみたいなのに、なぜ今になってこんなに大騒ぎになるのか?
朴槿恵の父親である朴正煕は、軍事クーデターで政権を握って人権と人命を蹂躙し尽くした独裁者であり、同時に漢江の奇跡と言われた超経済成長を成し遂げた大統領であった。
従米の国是に従いつつも独自路線を追求し、最後はKCIAの部長に暗殺された。KCIAの部長にやられたということは、ほぼCIAに抹殺されたということだ。
北朝鮮に対峙し、中国とも渡り合えるような国力をつけるまでは大鉈を振るい続けたが、ある程度それが達成されると用済みになったということだろう。
その娘である朴槿恵が米国に良い感情を持っていたとは思いにくい。
もちろん露骨に反米を出しはしないけれども、あきらかに中国に寄っていく政治姿勢は見せていた。それを、オバマがなだめすかして引き戻そうとしてきたのが、ここ数年の流れではないか。
朴槿恵が、中国寄りの姿勢を変化させたのは、2015年末のいわゆる「慰安婦問題の合意」からではないかと、巷では言われている。
オバマになかば強引に説得されて、日本との「合意」に踏み切った。
さらに大きな出来事は、今年7月の「THAAD(高高度防衛ミサイルシステム)の韓国配備決定」だ。これまで中国への配慮と配備予定の地元の反対もあって拒否してきた朴槿恵が、配備を決定。習近平は激怒した。
韓中間の国防対話 THAAD配備問題で全面ストップ
2016/11/05 聯合ニュース
この流れで見ると、、あれれ、スンシルゲート事件の裏に中国なのかな と思わせるのだが、THAADミサイル配備問題で中国と韓国が外交戦の火花を散らしていた同時期、こんな動きもあったのだ。
中国 米国に米朝平和協定を打診か=韓国当局は「事実無根」
2016/05/09 聯合ニュース
トランプ氏「正恩氏と話してもいい」 米朝会談に意欲
2016/5/18 日経
米朝直接対話を…中国、トランプ氏発言支持
2016年5月18日 日テレニュース
つまり、オバマ(≒ヒラリー)が韓国にTHAADミサイルを配備させようと躍起になっているそのときに、中国は米国に米朝対話を呼びかけ、トランプは「話してもいいぜ」と言っていたのである。
オバマ・ヒラリー路線と、トランプ路線の確執が、こんなところで炸裂し、朴槿恵の頭を悩ませていたのだ。
朴槿恵は、結局ミサイル配備を決定するものの、かなり苦渋の決断であり、状況が変われば翻意する可能性もある。
あるいは、中国に本気で北朝鮮を押さえさせるためのブラフだった可能性もなきにしもあらず。
オバマ・ヒラリーにしてみれば、このようなトランプ路線に同調しやすい大統領を韓国においておくのは、望ましくないだろう。
もちろん、逆の可能性もあるが、いずれにしても、THAAD配備問題は東アジアの関係を激変させる問題であり、米中関係を規定するほどの問題だということ。どうやら、それをめぐっての確執が、スンシルゲート事件となって朴槿恵を襲ったのではないか、と思われる。
また、韓国の国民があれほど朴槿恵に怒っているのには、日本では三文芝居しか報道されないが、実は勝手にTHAAD配備を決めてしまったこともあるのではないか。
とするならば、この事件は、日本にも深い関わりがあることになる。
オバマヒラリー路線で米中対立が深まると、下請けとして前線に立たされるのは、韓国人と日本人だ。
THAAD配備は実は日本でも行われている。京丹後に配備されたXバンドレーダーは、THAADミサイルの目なのである。
韓国配備のTHAADレーダーと日本配備のXバンドレーダーの関係
JSF | 軍事ブロガー 2016年9月8日
このように、直接的にシステムに組み込まれている。
韓国では大きな反対運動があるが、日本ではほとんどニュースにもならず、Xバンドレーダーに反対しているのはわずかな人たちだけだ。
さらに、東アジアをどうするのか、朴大統領の首をも飛ばすせめぎ合いが繰り広げられているまっただ中で、その張本人のひとつである日本は、のほほんと何も知らずに「これまでどおり」だろうと信じている。
朴槿恵が、THAADを渋ったから切られたのか、配備を決定したから飛ばされたのかはまだ分からないけれども、この激震を他人事のワイドショーネタだと思っていると、まもなく大波はやってくるに違いない。


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報道が過熱するにしたがって、私はどうもおかしいなあ とは思ってきた。
だいたい日本のマスコミが一色に染まる時は、なにかがある。
トランプのことさえそっちのけで、スンシル、パククネ を連呼するテレビには異常を感じた。
たぶんよからぬことはあったのだろうが、ヒラリーのメールの内容に比べれば大したことなさそうだし、縁故でがっぽり稼ぐなんて、韓国に限らずそこら中に転がっている話だ。
だいたい、よく知られた話だったみたいなのに、なぜ今になってこんなに大騒ぎになるのか?
朴槿恵の父親である朴正煕は、軍事クーデターで政権を握って人権と人命を蹂躙し尽くした独裁者であり、同時に漢江の奇跡と言われた超経済成長を成し遂げた大統領であった。
従米の国是に従いつつも独自路線を追求し、最後はKCIAの部長に暗殺された。KCIAの部長にやられたということは、ほぼCIAに抹殺されたということだ。
北朝鮮に対峙し、中国とも渡り合えるような国力をつけるまでは大鉈を振るい続けたが、ある程度それが達成されると用済みになったということだろう。
その娘である朴槿恵が米国に良い感情を持っていたとは思いにくい。
もちろん露骨に反米を出しはしないけれども、あきらかに中国に寄っていく政治姿勢は見せていた。それを、オバマがなだめすかして引き戻そうとしてきたのが、ここ数年の流れではないか。
朴槿恵が、中国寄りの姿勢を変化させたのは、2015年末のいわゆる「慰安婦問題の合意」からではないかと、巷では言われている。
オバマになかば強引に説得されて、日本との「合意」に踏み切った。
さらに大きな出来事は、今年7月の「THAAD(高高度防衛ミサイルシステム)の韓国配備決定」だ。これまで中国への配慮と配備予定の地元の反対もあって拒否してきた朴槿恵が、配備を決定。習近平は激怒した。
韓中間の国防対話 THAAD配備問題で全面ストップ
2016/11/05 聯合ニュース
この流れで見ると、、あれれ、スンシルゲート事件の裏に中国なのかな と思わせるのだが、THAADミサイル配備問題で中国と韓国が外交戦の火花を散らしていた同時期、こんな動きもあったのだ。
中国 米国に米朝平和協定を打診か=韓国当局は「事実無根」
2016/05/09 聯合ニュース
トランプ氏「正恩氏と話してもいい」 米朝会談に意欲
2016/5/18 日経
米朝直接対話を…中国、トランプ氏発言支持
2016年5月18日 日テレニュース
つまり、オバマ(≒ヒラリー)が韓国にTHAADミサイルを配備させようと躍起になっているそのときに、中国は米国に米朝対話を呼びかけ、トランプは「話してもいいぜ」と言っていたのである。
オバマ・ヒラリー路線と、トランプ路線の確執が、こんなところで炸裂し、朴槿恵の頭を悩ませていたのだ。
朴槿恵は、結局ミサイル配備を決定するものの、かなり苦渋の決断であり、状況が変われば翻意する可能性もある。
あるいは、中国に本気で北朝鮮を押さえさせるためのブラフだった可能性もなきにしもあらず。
オバマ・ヒラリーにしてみれば、このようなトランプ路線に同調しやすい大統領を韓国においておくのは、望ましくないだろう。
もちろん、逆の可能性もあるが、いずれにしても、THAAD配備問題は東アジアの関係を激変させる問題であり、米中関係を規定するほどの問題だということ。どうやら、それをめぐっての確執が、スンシルゲート事件となって朴槿恵を襲ったのではないか、と思われる。
また、韓国の国民があれほど朴槿恵に怒っているのには、日本では三文芝居しか報道されないが、実は勝手にTHAAD配備を決めてしまったこともあるのではないか。
とするならば、この事件は、日本にも深い関わりがあることになる。
オバマヒラリー路線で米中対立が深まると、下請けとして前線に立たされるのは、韓国人と日本人だ。
THAAD配備は実は日本でも行われている。京丹後に配備されたXバンドレーダーは、THAADミサイルの目なのである。
韓国配備のTHAADレーダーと日本配備のXバンドレーダーの関係
JSF | 軍事ブロガー 2016年9月8日
このように、直接的にシステムに組み込まれている。
韓国では大きな反対運動があるが、日本ではほとんどニュースにもならず、Xバンドレーダーに反対しているのはわずかな人たちだけだ。
さらに、東アジアをどうするのか、朴大統領の首をも飛ばすせめぎ合いが繰り広げられているまっただ中で、その張本人のひとつである日本は、のほほんと何も知らずに「これまでどおり」だろうと信じている。
朴槿恵が、THAADを渋ったから切られたのか、配備を決定したから飛ばされたのかはまだ分からないけれども、この激震を他人事のワイドショーネタだと思っていると、まもなく大波はやってくるに違いない。


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