2006-10-12(Thu)
核実験問題の本質は,人民元の切り上げではないか
8月31日に核実験をしたのはもちろん,核兵器を世界一保有し,なにより実際に核爆弾を炸裂させたアメリカや,
「原子爆弾を保有することに何も問題はない」とか,「北朝鮮など核攻撃で焦土にしてやる」とか言っている安倍晋三が,
核実験をしたと言って北朝鮮を非難している。
さて,表題の「核実験問題の本質は,人民元の切り上げではないか」は,いささかジュゲムジュゲムめいているが,私の考えを縷々述べてみる。
この一連の流れで,何が目を引くかというと,安倍晋三の何を言っているか分からないような会見ではなく,中国と金正日の動き方だ。
明らかに中国は焦っている。自分の方のカードだったはずの金正日が,どうやら向こう側に付いたのではないか,そう感じているように,ハタ目には見える。
向こう側 とはもちろんアメリカだ。
中国から見て,今回の核実験は,一方的にアメリカに利するものでしかない。中国は,国家主席が「やめさせる」と言った次の日に2回目の実験をやられて,まるっきり発言権を無くしてしまった。
アメリカが北朝鮮と戦争をする というのは,基本的に考えられない。何も得るものがないからだ。石油もレアメタルもとれない北朝鮮を襲って,アサリと松茸を戦利品にすることは,まずあり得ない。
※エクソダス2005さんの記事から,レアメタルの国であることを知りました。タングステンの国だそうで。またしても晒してしまった無知を訂正します。
にもかかわらず,なぜ北朝鮮を敵視するのか。安倍晋三の人気をキープしてやるだけのために,イラクとアフガンで青息吐息のアメリカが北朝鮮とわざわざ対決するというのも,あまりにも非現実的だ。
やはり,アメリカのターゲットは中国だと考えざるを得ない。そして,北朝鮮や日本は,そのためのカードということだ。
日本は,コイズミ-安倍晋三という恥という概念を所有しない人物を据えることで,ほぼ完全にカードとして機能するようになった。
問題は,北朝鮮だった。金正日という人物を,カードとして使いこなせるか。
結論的には,カードになった,と言うことだろう。裏でどのような取引がされたのかは,つまびらかではない。その取引に,金正日-文鮮明(統一教会)-安倍晋三 という魔のトライアングルが重要な役割を果たしたのかどうかも,知ることはできない。
しかし,アメリカが中国に圧力を掛ける,言うことを聞かせる,そのために絶妙のタイミングで北朝鮮が暴走する,この構図ははっきりと見て取ることができるだろう。
「北朝鮮は同盟国ではない」と言ってみたり,唐家セン前外相が大慌てでホワイトハウスに飛んでいったりするところを見ても,このアメリカの仕掛けは機能しているようだ。

こうした構図から今後を考えると,恐ろしい未来が見えてくる。
つまり,日本というカードは何をさせられるのか,ということだ。国家財政が破綻の危機にあるアメリカは,自分でこれ以上戦線を拡大することはできないだろう。それは,中国も読み込み済のはずだ。
それを,補完するのが,間違いなく安倍晋三率いるジャパンである。
安倍らにすれば,「この機に乗じて独自核武装」という,いわばカードからプレーヤーになろうという,野望もあるだろう。田中宇氏の記事によれば,中曽根あたりがはっきりとそんなことを言っているようだ。
どのみち,中国に間接的に圧力を掛けるために,日本が北朝鮮に軍事的圧力を掛ける,という方向は変わらない。
金正日は,自国の何千人か何万人の国民を犠牲にすることで,アメリカと中国のあいだのジョーカーとしての「地位」を得られると思っているのだろう。
こうした構図を目の前にして,私がブッシュだったら,間違いなく日本に北朝鮮を攻めさせる。最初は小規模に,巧妙に。そして,中国に「おまえはどうするんだ」と詰め寄るのである。
中国としては,さすがに北朝鮮に兵は出せない。そこでアメリカは「だったらおとなしく言うことを聞け。人民元を10倍に切り上げろ!」とごり押しするのだ。
まあ,10倍は大げさかもしれないが,アメリカが国家破綻しないためには,それしかないのではないか。
中国はいま,そこまで追い込まれないために,大わらわである。
日本は,その役割を果たすべく,安倍レンジャーたちを中心に,NSC(国家安全保障会議)やCIAの準備に,走り回っている。
今後の情勢を見るときに,そんな観点をもって,ニュースを見てみたい。
※ちなみに,ネット上で出回っている安倍晋三の発言に関しては,「サンデー毎日」 2002年6月2日号 がネタもとのようだ。
飛語宇理日記さんが,あちこち検索して書いている。
※冒頭にリンクした長崎市長からブッシュへの抗議文を転載しておく
アメリカ合衆国臨界前核実験への抗議
抗 議 文
2006年8月31日
アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ閣下
長崎市長 伊藤一長
本日、貴国がネバダ核実験場において、23回目の臨界前核実験を実施したとの情報に接しました。被爆都市長崎からの、再三にわたる中止要請と抗議を無視し、貴国が臨界前核実験を強行したことに対し、ここに厳重に抗議します。
長崎市は、去る8月9日に61回目の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を行い、原爆犠牲者を慰霊するとともに、今年度を核兵器廃絶の再出発の年として、世界の国々に核兵器の全廃と核不拡散に向けて取り組んでいくことを強く訴えたところであります。
しかし、核不拡散体制の崩壊が危ぶまれ、北朝鮮とイランを巡る核兵器開発問題が緊迫しつつある現在、核兵器の保有を誇示するかのように、臨界前核実験を実施した貴国の姿勢は、かえって、こうした国々に核兵器開発の口実を与え、核不拡散体制をますます危機的状況に陥れることにもなりかねません。
また、これまでの中止要請と抗議にもかかわらず、今回、再び実験を強行したことは、被爆者をはじめ長崎市民や、世界の多くの人々の核兵器廃絶の願いを踏みにじる暴挙であり、強い憤りを覚えます。
10年前の国際司法裁判所における、「核兵器の威嚇と使用は一般的に国際法に違反する」との勧告的意見を真摯に受け止めるとともに、6年前の核不拡散条約(NPT)再検討会議での「核兵器廃絶へ向けた明確な約束」を誠実に履行することを貴国に対し強く求めます。
※「切り下げ」と書きましたが,コメントにあるとおり,切り上げの間違いでした。記事は訂正しました。
「原子爆弾を保有することに何も問題はない」とか,「北朝鮮など核攻撃で焦土にしてやる」とか言っている安倍晋三が,
核実験をしたと言って北朝鮮を非難している。
さて,表題の「核実験問題の本質は,人民元の切り上げではないか」は,いささかジュゲムジュゲムめいているが,私の考えを縷々述べてみる。
この一連の流れで,何が目を引くかというと,安倍晋三の何を言っているか分からないような会見ではなく,中国と金正日の動き方だ。
明らかに中国は焦っている。自分の方のカードだったはずの金正日が,どうやら向こう側に付いたのではないか,そう感じているように,ハタ目には見える。
向こう側 とはもちろんアメリカだ。
中国から見て,今回の核実験は,一方的にアメリカに利するものでしかない。中国は,国家主席が「やめさせる」と言った次の日に2回目の実験をやられて,まるっきり発言権を無くしてしまった。
アメリカが北朝鮮と戦争をする というのは,基本的に考えられない。何も得るものがないからだ。石油もレアメタルもとれない北朝鮮を襲って,アサリと松茸を戦利品にすることは,まずあり得ない。
※エクソダス2005さんの記事から,レアメタルの国であることを知りました。タングステンの国だそうで。またしても晒してしまった無知を訂正します。
にもかかわらず,なぜ北朝鮮を敵視するのか。安倍晋三の人気をキープしてやるだけのために,イラクとアフガンで青息吐息のアメリカが北朝鮮とわざわざ対決するというのも,あまりにも非現実的だ。
やはり,アメリカのターゲットは中国だと考えざるを得ない。そして,北朝鮮や日本は,そのためのカードということだ。
日本は,コイズミ-安倍晋三という恥という概念を所有しない人物を据えることで,ほぼ完全にカードとして機能するようになった。
問題は,北朝鮮だった。金正日という人物を,カードとして使いこなせるか。
結論的には,カードになった,と言うことだろう。裏でどのような取引がされたのかは,つまびらかではない。その取引に,金正日-文鮮明(統一教会)-安倍晋三 という魔のトライアングルが重要な役割を果たしたのかどうかも,知ることはできない。
しかし,アメリカが中国に圧力を掛ける,言うことを聞かせる,そのために絶妙のタイミングで北朝鮮が暴走する,この構図ははっきりと見て取ることができるだろう。
「北朝鮮は同盟国ではない」と言ってみたり,唐家セン前外相が大慌てでホワイトハウスに飛んでいったりするところを見ても,このアメリカの仕掛けは機能しているようだ。

こうした構図から今後を考えると,恐ろしい未来が見えてくる。
つまり,日本というカードは何をさせられるのか,ということだ。国家財政が破綻の危機にあるアメリカは,自分でこれ以上戦線を拡大することはできないだろう。それは,中国も読み込み済のはずだ。
それを,補完するのが,間違いなく安倍晋三率いるジャパンである。
安倍らにすれば,「この機に乗じて独自核武装」という,いわばカードからプレーヤーになろうという,野望もあるだろう。田中宇氏の記事によれば,中曽根あたりがはっきりとそんなことを言っているようだ。
どのみち,中国に間接的に圧力を掛けるために,日本が北朝鮮に軍事的圧力を掛ける,という方向は変わらない。
金正日は,自国の何千人か何万人の国民を犠牲にすることで,アメリカと中国のあいだのジョーカーとしての「地位」を得られると思っているのだろう。
こうした構図を目の前にして,私がブッシュだったら,間違いなく日本に北朝鮮を攻めさせる。最初は小規模に,巧妙に。そして,中国に「おまえはどうするんだ」と詰め寄るのである。
中国としては,さすがに北朝鮮に兵は出せない。そこでアメリカは「だったらおとなしく言うことを聞け。人民元を10倍に切り上げろ!」とごり押しするのだ。
まあ,10倍は大げさかもしれないが,アメリカが国家破綻しないためには,それしかないのではないか。
中国はいま,そこまで追い込まれないために,大わらわである。
日本は,その役割を果たすべく,安倍レンジャーたちを中心に,NSC(国家安全保障会議)やCIAの準備に,走り回っている。
今後の情勢を見るときに,そんな観点をもって,ニュースを見てみたい。
※ちなみに,ネット上で出回っている安倍晋三の発言に関しては,「サンデー毎日」 2002年6月2日号 がネタもとのようだ。
飛語宇理日記さんが,あちこち検索して書いている。
※冒頭にリンクした長崎市長からブッシュへの抗議文を転載しておく
アメリカ合衆国臨界前核実験への抗議
抗 議 文
2006年8月31日
アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ閣下
長崎市長 伊藤一長
本日、貴国がネバダ核実験場において、23回目の臨界前核実験を実施したとの情報に接しました。被爆都市長崎からの、再三にわたる中止要請と抗議を無視し、貴国が臨界前核実験を強行したことに対し、ここに厳重に抗議します。
長崎市は、去る8月9日に61回目の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を行い、原爆犠牲者を慰霊するとともに、今年度を核兵器廃絶の再出発の年として、世界の国々に核兵器の全廃と核不拡散に向けて取り組んでいくことを強く訴えたところであります。
しかし、核不拡散体制の崩壊が危ぶまれ、北朝鮮とイランを巡る核兵器開発問題が緊迫しつつある現在、核兵器の保有を誇示するかのように、臨界前核実験を実施した貴国の姿勢は、かえって、こうした国々に核兵器開発の口実を与え、核不拡散体制をますます危機的状況に陥れることにもなりかねません。
また、これまでの中止要請と抗議にもかかわらず、今回、再び実験を強行したことは、被爆者をはじめ長崎市民や、世界の多くの人々の核兵器廃絶の願いを踏みにじる暴挙であり、強い憤りを覚えます。
10年前の国際司法裁判所における、「核兵器の威嚇と使用は一般的に国際法に違反する」との勧告的意見を真摯に受け止めるとともに、6年前の核不拡散条約(NPT)再検討会議での「核兵器廃絶へ向けた明確な約束」を誠実に履行することを貴国に対し強く求めます。
※「切り下げ」と書きましたが,コメントにあるとおり,切り上げの間違いでした。記事は訂正しました。
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