2021-01-10(Sun)

トランプ支持者は射殺されてもいいの?

10日の米議会議事堂で、女性がひとり警察に射殺された。
他にも3人が「救急措置が必要な状態」で死亡したという。なんだか「爆発的事象」を思い出す、変な言い回しだ。
その後の報道では、心臓発作や脳卒中だったというのだが、議会敷地内に侵入したのは数千人程度で、その中で「偶然」にも3人もの人が急病で同時に死ぬだろうか?

警官も「デモ隊との身体的な接触で負傷」し、部隊に戻った後で倒れて病院に搬送され、翌日7日夜に死亡したという。
7日の昼には「警察に死者という報道は誤り」と発表があったから、急変したのかも知れない。

私がこの事件に対して、ものすごく違和感をもっているのは、その主張の如何を問わず、デモ隊が警察に射殺されたのに、リベラルな人々からは抗議の言葉が一言も聞かれないことだ。
私は、もし日本会議や幸福の科学が国会に乱入したとしても、丸腰である限りは射殺してはいけないと思う。
思想や主張がいくら間違っていても、警察が射殺することは許してはいけない。

今回の事態について、トランプ憎しのあまり、市民を警察が射殺するという異常事態に対して、声を上げないリベラルなど、自由を語る資格は無いと思うのだが。。。

暴動が武装していたのなら、話は別だけれども、かなり多くの動画を見てみたが、それはデモ側が撮ったものも、議会にいた記者が撮ったものを見ても、デモ隊は丸腰だし、それどころか多くの人がスマホで動画を撮りながらご機嫌で歩き回っている。
そういう状態で撮られた動画がたくさんSNSでも流れているし、一部はマスコミにも取り上げられている。


これらの動画を見る限りでは、問答無用で射殺しなければならないような「暴動」には見えない。
まして、バイデンたちが言う「反乱」だの「クーデター未遂」だのとはほど遠い。
アメリカが本気で反乱を準備すると、少なくともこういうことになる

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ネオナチに米国が資金提供して作られた現在のウクライナ政権と大の仲良しのバイデンは、よく知っているはずだ。

「次男は月収500万円」バイデン父子がウクライナから破格報酬を引き出せたワケ
2020/11/27 プレジデントオンライン


謀略を仕掛けて政権を転覆し、傀儡のネオナチ政権から息子が巨額の資金を受け取る。
こういう立派な政治家であるバイデンの勝利を、民主主義の勝利だ とかいって喜んでる時点でリベラルの底が知れるけれども、トランプ支持者は射殺されても当然という態度は、もはやリベラルという名称を返上してもらいたい。



トランプのツイッターが抹消されたことについても、「トランプは権力者だから言論弾圧じゃない」としたり顔に言う人がいる。

選挙で選ばれた権力者に、本当に権力が集中しているわけではないことは、当たり前のことでしょう。
民主党政権が官僚や財界などの頑強な抵抗に遭って瓦解していったことを、小沢一郎が集中砲火の弾圧を受けて座敷牢に閉じ込められたことを、知らないとは言わせない。

というか、小沢弾圧の時も、日本のリベラル諸氏は弾圧側に回っていた。
その反省を聞いたこともないから、今でも「なんとなく悪そうな顔をしたヤツは弾圧されても当然」という感性のままなのだろう。

GAFAがすべての情報を統制するこの社会の恐ろしさを、トランプに対する言論弾圧で、まざまざと見せつけられた。
インターネット空間は、いざとなったらまったく自由なんて無い。

とまあ、こんな記事を書くと、おまえはトランプ狂信者かとか、Qanonかとか、訳のわからない罵詈雑言が飛んできそうだが、そういうレッテル張りも、日本のリベラルの得意技だ。もちろんネトウヨも同じだけど。

ほんと、どうして二元論、勧善懲悪、正義の味方と悪の軍団、式の思考しかできないのだろう。

この人の引用をすると、それだけでまたあれこれレッテルを貼られそうだが、大きな分析としては、これが正しいように思える。

「米国の政治は、従来の共和党vs民主党から、軍産エスタブリッシュメントvs草の根の左派と右派という構図に転換しつつある。」
田中宇の国際ニュース解説 1月3日の記事より

不正選挙については、郵便投票自体が秘密投票を侵す不正選挙だと思うが、トランプが主張しているような大規模な票の操作があったという証拠を私は目にしていないので、その通り!と言う気は無い。
まして、トランプが正義の味方だ!と叫ぶつもりもさらさら無い。

しかし、バイデンがトランプよりマシだとか、トランプ支持者は殺されても仕方ない、なんていう恐ろしいことを言うのは、私は拒否する。
自由とか民主主義とかを口にする方々は、安直な勧善懲悪ではない、原理原則をよくよく思い起こしていただきたい。



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2019-08-27(Tue)

トランプにいたぶられる安倍晋三

まずは、このツイッターです

この中のトランプの発言をgoogle翻訳(一部訂正)すると

「中国は彼らが約束したことをしなかったので、私たちは農民とともに私たちの国の様々な部分に過剰なトウモロコシを持っています。そして、安倍晋三首相は、日本を代表して、そのトウモロコシをすべて購入することになります。」

普通、こんな言い方しますか?
「中国が買ってくれなくて余っちゃったから、安倍首相が全部買うことになったよ」 というのが真実だとしても、一応安倍さんの顔を立てるために、「日本のトウモロコシが虫害にあったので」とかなんとか、口裏をあわせるでしょう。

ところがトランプは、安倍晋三に対してはことさらに、マウンティングしているところを露悪的に誇示します。
余ったトウモロコシの件も、自分で舞台裏を暴露しただけじゃ気が済まなくて、安倍首相の発言が終わってから 「トウモロコシのことも言いたいんじゃないの?」ともちかけ、安倍の口からも無理やり言わせるのです。

今回のトランプの言い分を一方的に飲んだ貿易交渉についても、トランプは5月の時点でこっそり約束したことをわざと暴露してしまいました。


これもgoogle翻訳すると

「日本との貿易交渉で大きな進展があります。農業と牛肉が大きく関わっています。 7月の選挙の後、私は大きな数字を予想しています。」

これは安倍晋三はじめ、関わった日本の官僚たちは こんな状態だったに違いありません。
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そういえば、2年前のこの事件の時も、トランプは気が付かなかったと言うことになっていますが、この距離で気が付かないってことありますかねえ。安倍ちゃんだって、「うわあ」とか叫んだだろうし。

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バンカーでひっくり返っているのがわれらが安倍首相で、左下のグレーのセーターがトランプです。
転ぶのは仕方ないですけど、トランプのガン無視はわざと放置したような気がするんですよね。



ことほど左様に、安倍首相に対する強烈なマウンティングを誇示するトランプの狙いは何なのでしょうか。
やはり、アメリカ国民の目線を想像する必要がありそうです。
一般のアメリカ国民にとっての日本は

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こういうことなんじゃないでしょうか。
高校のロゴに原爆のキノコ雲。これ以上のマウンティングはありません。
アメリカ国民がみんな日本人が嫌いという意味じゃなくて、国対国の支配関係という意味で、意識する以前の前提になっているような気がします。
じゃなきゃ、大虐殺のキノコ雲をシンボルマークにしませんよね。

原爆2発も落とされて十数万人が虐殺されたのに、最高責任者だった天皇が「原爆は仕方なかった」と言っちゃうのが、日米関係の根本なんです。
その関係を、これでもかと見せつけて、アメリカ国民の溜飲を下げようというのが、トランプの狙いその1でしょう。



その2は、トランプが国内の権力をほぼ掌握したので、安倍晋三がジャマになってきた ということです。

トランプも、大統領になりたての頃は、すり寄ってくる安倍晋三は頼りになる存在だったでしょう。
世界のトップの中で、トランプ派は安倍首相だけだったのですから。

トランプが大統領に当選した瞬間に、まだ海のものとも山のものともわからない段階で、それまでのジャパンハンドラーズからトランプに乗り換えた安倍官邸の判断は、正直すごいと思いました。
本来は野党がやらなければならないことを、真っ先にやってしまったのですから、やられたなあ、と当時は思ったものです。

でも、徐々に軍産との力関係を塗り替え、最終的にロシアゲートを払拭することで、トランプはほぼ国内の権力を動かせるようになりました。
そうなったら、キャンキャン寄ってくる安倍晋三など、必要ありません。ATMとして吸い尽くす意外に使い道がない。
そこで、どんなに屈辱的で大損の取引でもNOと言えないように、徹底的に仕込んでいるわけです。

安倍晋三という人間に、徹底して主従関係をたたき込んで、わずかでも歯向かう気をおこさせないように、精神的に完全に制圧しているのです。
その成果は・・・・・でてしまってますねえ。

巻き添いを食うのは、牛肉の関税を9%に下げられちゃう畜産業者はもちろん、ただでさえ増税でエラいことになりそうなのに、国内の富をチューチュー吸い上げられてどんどん不況になっていく日本中の人たちです。
私だって、こんな乾いたブログを書いてますけど、ホンマに不安で仕方ありません。



その3は、にもかかわらず安倍が勝手に始めてしまった、韓国との対立への怒りです。
安倍晋三は、韓国がGSOMIAを破棄したら、トランプが文在寅を叱ってくれると信じていたはずです。
ところが、国務省や国防省は一応批判をするものの、肝心のトランプは「何が起こるか見てみよう」と言うだけ。

私が思うに、トランプさんはお怒りですね。
でも商売人だから、取るモノを取るまでは、それをチラチラ見せながら、「言うこと聞かないとわかってるだろうな」と交渉する。
で、ガッチリ儲けたら、おもむろに怒りを解き放つでしょう。

GSOMIAの破棄については、たぶん文在寅とトランプは合意済みでしょう。
米政権の中の既存勢力(反トランプ)は文在寅を責めますが、トランプは朝鮮戦争を終結させて在韓米軍を撤収するのが最終目標ですから、GSOMIAなんて要らないわけです。

要らないのですが、よりによって日韓対立のまっただ中で破棄というのは、最悪のシチュエーションです。
金正恩に対する交渉ネタにして、恩着せがましく破棄したかったのに、なんでこんなもったいない!といのがトランプの本音だと思います。
そして、こんなことになってしまった張本人は、訳のわからない理由でホワイト国外しなどやらかした安倍晋三なわけです。

取るモノを取ってワシントンに帰ったトランプは、さてどうしてくれようかと思案中でしょう。

貿易条件を再度つり上げてくるか、別口の巨額投資を要求してくるか。
あるいは、北朝鮮との交渉が一気に進む場合には、安倍ちゃんは詰め腹切らされるという可能性もあるやもしれません。
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いずれにしても、GSOMIA破棄は、なにか大きな動きにつながっていくような気がします。



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2019-01-12(Sat)

朝鮮半島と沖縄と日本

なんとも壮大な見出しを書いてしまいましたが、私の知見で書くことなので、あまり期待せずに読んでください。

朝鮮半島の38度線をめぐる動きは、驚くほど進展しているようです。

南北の雪解け急ピッチ、非核化は置き去り
2018年12月13日  NEWSWEEK


狡猾(利口とも言う)なトランプは、文在寅に先行させておいて、自分は後から適当に文句を言いながら後追いするという戦略をとっています。
文在寅も、そういうトランプの戦略を分かった上で乗っかっています。文在寅は文在寅なりに自分の戦略に利用しているのです。実に巧妙でクレバーだと感心します。
なんで彼らはそんなやり方をするかと言うと、朝鮮戦争の終結に反対の人が、韓国にも米国にも、おそらくは北朝鮮にもたくさんいるからです。そんな中で、できるだけリスクを減らして、暗殺されずにことをすすめるようとしているのです。

韓国はもともと「反共」の国として作られました。
反共が国是であり、反共独裁国家を樹立したのが李承晩(イスンマン)と朴槿恵(パククネ)のお父さんである朴正煕(パクチョンヒ)です。
反共は政治だけではなく、漢江の奇跡と言われるように国家ぐるみで経済発展を作り出しましたから、経済界もふくめてゴリゴリの反共で成立していた歴史があります。

光州蜂起に血の弾圧をした全斗煥(チョンドファン)の時代までは、そういう国だったのです。ですから、今でも「反共」で喰っている人は少なくないだろうと想像します。
文在寅は、そういう人たちを抑えながら、ある程度は妥協しながら、政権運営をやっているわけです。

米国にはもちろん、軍産複合体という政治経済を大きく動かす勢力があります。秘密組織でも何でも無く、巨大な軍需産業と米軍、その意向を受けた政治家や官僚の集団です。
米国では、「リベラル」とか「良識派」と言われる人ほど、実は軍産の息がかかっているという逆転現象が顕著です。

人権派のオバマが戦争ばかりやって、人格者とは対極にあるようなトランプが次々と戦争を縮小させています。
トランプも金正恩も、はやいこと2回目の米朝会談をやりたくても、それをさせまいとする米国内の軍産の力は相当なものだと思われます。トランプがディールしている相手は、金正恩よりはむしろ自国内の軍産の人たちなのでしょう。


日本はもちろん、国を挙げての従米です。それも、トランプ以前の軍産の思い通りになっていた米国への追従です。
アジアから手を引きたいトランプに、なんとか「出ていかないで」と縋りついていますが、本質的には朝鮮戦争を終わらせようとしているトランプを苦々しく思っています。従米で人権なんて屁とも思っていない日本のマスメディアが、トランプに対しては「人権」を振りかざして酷評するのは、そんなワケがあるからです。

日本の戦後復興は朝鮮戦争の特需だったということは、教科書にもかいてあることです。平和国家日本の礎は、隣国の国民の血でできているというわけです。
米国ほど巨大ではないとしても、日本にも立派な軍需産業はあり、今、もっとも注目されているのが辺野古新基地の建設です。

そもそも、日本にいる米軍は、朝鮮戦争に派遣された国連軍(もちろん実態は米軍)がそのまま居残っているのです。
形式的には、1945年に日本に進駐してきた米軍が、そのまま残っているというのではありません。
一応1952年に形だけは独立していますから、何か理由を作らなくては他国に軍隊を常駐させるわけにはいきません。しかも、費用まで他国(日本)もちで。

その理由が、「朝鮮戦争が終わっていない」ということなのです。
ですから、米朝会談が進展して、いよいよ朝鮮戦争終結ということになれば、在日米軍が日本に居つづける理由がなくなってしまうのです。

そんなわけで、日本の政治家もマスメディアも、なんとかして朝鮮戦争を終わらせないように、必死のパッチです。
徴用工裁判やレーダー照射に、異常なほど反応するのもそのためです。
南北融和をどんどん進める文在寅を叩く材料ができたと思って、内心はホクホク喜びながら、「韓国はけしからん!」と叫んでいるのです。
おそらく文在寅としては、「なにもこんな時期に判決ださなくてもいいのに」と思っているでしょうし、レーダー照射は反文在寅の軍がわざとやったのではないかとも疑えます。

日本マスコミが一所懸命に言うのは、最近は「トランプが文在寅を見捨てた」論です。
しかし、なんとかして朝鮮戦争を終わらせて、アジアにかかる金を引き上げたいトランプにとっては、文在寅という尖兵が絶対に必要です。
もちろん、文在寅を先行させておいて、自分は「慎重」なフリをするために、さまざまな駆け引きはやっていますが、狡猾なトランプの真意を見なければ、完全に情勢から置いて行かれることになります。

日本の軍産派や従米マスコミは、ほとんど置いてきぼり組になりつつあります。
ただし、安倍官邸(安倍個人じゃなくて)はかなり優秀ですから(悪い意味で)、情勢分析はできているでしょう。だからトランプに媚びているのです。
文在寅ばかり重用されて、安倍晋三のプレゼンスががた落ちな状況を逆転しようとして噛みついてみたものの、いよいよ自分の立場を悪くしていることに気が付いているはずです。
日本国内では、野党の実質的な後押し(分裂)もあって盤石の独裁体制を築く安倍晋三ですが、国際的には金をばらまいて支持をえるくらいしかできることがなく、ほとんど無用の長物と化しているのです。


だからこその、辺野古の強行なのです。
軟弱地盤の上にドロを振りかけてどうやって空港を作るつもりなのか知りませんが、何十年もかけて、何兆円もの税金を費やしてもしできあがったとしても、その頃には米軍は日本にいない可能性が高いわけです。そんなことは、安倍官邸もわかっています。
それでも、できあがるかどうか何てお構いなしに辺野古に土砂をぶち込むのは 「こんだけやってるんだから、出ていかないで」という泣きべそかいた懇願なのです。
逆に、ここで住民の反対で「やはりできませんでした」と言ってしまえば、「ほら、やっぱ米軍はいらないだろ」という、トランプにとっては格好の口実になってしまいます。

もちろんトランプは、終戦協定をむすんでしまうまでは、辺野古のことにも沖縄の米軍のことにも、一切触れないでしょう。
そういう、何かを予見させるような余計なことを言わないのは、ディールの常識ですから。

そこにねじ込まれたのが、あのホワイトハウスの署名です。

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今(1/12 12:50)現在で、20万8千近くまで集まっています。
大統領府からのなんらかの回答が出るまでに、まだしばらく時間はかかりますが、米国政府として辺野古について公式のコメントを出さなくてはなりません。
おそらくは 「これは日本国内の問題だ」という突き放した見解になるのではないかと思います。私は、とりあえずはそれで十分だと思います。「米軍だからしかたない」ではなく、「日本の問題」なのだということがはっきりすることは大きなことです。

ただ、一つの可能性として、もし米朝会談がトントン拍子で進むことになれば、米軍撤退に向けた象徴的な意味合いで、辺野古について何らかの意味深な言葉を発するかもしれない とも考えます。可能性は非常に小さいですが。
安倍晋三の日本などは、トランプにしてみればしょせん捨て駒ですから、自分の作戦にとって有用だと思えば、そういう可能性もゼロではないということです。

この署名で埋立が止まるとは思っていませんが、このような意味で、やはり私は少しでも多く集まることを期待しています。
回答が出るまで集め続けていますので、まだの方はぜひお願いします。

2月24日には沖縄県民投票が行われます。

デニー知事、一部市町村不参加でも実施 県民投票2月24日変えず
2019年1月11日 沖縄タイムス


安倍官邸は、沖縄市町村に直接わたす交付金なるものを作り、市町村にアメとムチで圧力をかけまくりました。

沖縄市町村に直接交付金 根拠法なき恣意的配分だ
毎日新聞 2018年12月30日


官邸から各市町村議員への働きかけ(恫喝?)もそうとうなものだったでしょう。
その結果、宜野湾、宮古島、沖縄、石垣の各市が不参加、うるま市が未定ということになっています。
有権者の30%以上の投票権を違法に奪っています。投票権を奪われた市民は、賛成派の中にも不快に思う人は多いはずです。

民意など一顧だにしない安倍官邸なのですから、強制力の無い県民投票にここまで介入せずとも、どんな結果が出てもこれまでのように「問題ありません」と言いながら工事を続ければいいものを、なんでここまで波風を立てるのでしょうか。

これもまた、トランプに口実を与えたくないということなのではないでしょうか。
県民投票で、圧倒的な「反対」が明らかになれば、それをいつ使うかは別にして、トランプが撤退のために使える持ち札になります。
安倍官邸はそれを恐怖しています。

沖縄の海を埋めさせないために、日本の力ではなくトランプの力をアテにしなければならないことに、かなり残念な思いはありますが、客観的な情勢として、このようなことがあるのでは、と私は考えます。


日本の韓国に対する過剰反応は、軍産の抵抗に対するガス抜きになりますから、当面は放置されるでしょう。
しかし、米朝の合意が進展すれば、ある時点で遮断されるはずです。そのタイミングが、鉄壁に見える安倍官邸を追い落とす絶好のタイミングです。

私たちにできることは、そのタイミングを見逃さずに、何ができるのか、何を準備するのか です。
本来的には、そこで選挙に勝てる体制=野党の結集ということなのですが、これは前の記事でも書いたように、どうも攪乱する確信犯、獅子身中の虫がいるような気がしてなりません。

身中の虫を内包したまま、あくまでオリーブを求めていくべきなのか、むしろここで身中の虫をあぶり出すリスクを冒すべきなのか、悩ましいところです。結論は出せません。
いろんな方々と相談しながら、もう少し考えたいと思います。


■■ お知らせ ■■

自由党・小沢一郎代表を囲む会
2019年2月16日(土)
大阪キャッスルホテル(天満橋)

第1部 講演会 12:30~ ホテル7階
 参加費無料
 ただし、党員・サポータ、生活フォーラム関西会員、第2部参加者のみ。当日の入会も可能です。
 共催:生活フォーラム関西 自由党大阪府連

第2部 懇親会 14:00~ ホテル3階
 参加費 1万円 (政治資金パーティー)
 主催:自由党大阪府連

いずれも申込が必要です。 申込用紙などお送りしますので、info@mei-getsu.com山岸までご連絡ください。


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2017-04-14(Fri)

トランプは血も涙もないイスラム国壊滅作戦をやっている

「血も涙もない」&「イスラム国壊滅戦」 である

前半だけ非難したり 後半だけ持ち上げたりするのはご都合主義だ。

人道的にはメチャクチャな血も涙もないやりかたで、しかし、自ら(つまりアメリカ)が作り出してしまったイスラム国を壊滅させようとしている。

米、最強爆弾「全爆弾の母」を初使用 アフガンでイスラム国に
2017.4.14 産経


アフガニスタン駐留米軍は13日、同国東部ナンガルハル州で大規模爆風爆弾(MOAB)の「GBU43」を投下し、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が防御用に使っているとみられるトンネル施設を攻撃したと発表した。MOABは核兵器を除く通常兵器としては最大の破壊力を持ち、実戦で使われるのは初めて。
(引用以上)

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「民間人の被害を防ぐため最大限の注意を払った」とも言っているが、核兵器に次ぐ破壊力なのだから、犠牲が出ていないわけがない。だからこそ、これまでは使われなかったのだろう。まさに、血も涙もない激しい攻撃だ。
格納庫の屋根に穴を開けただけの、形ばかりのシリアへのトマホーク攻撃とは大違いだ。

イラク・シリアに展開するイスラム国の主力はロシアに任せておいて、補給路を断つことにトランプは注力しているようだ。

米、中東政策を軌道修正 対テロでエジプトと連携
2017/4/4 日経


 ホワイトハウスの発表によると、両首脳はIS掃討などテロとの戦いで連携を確認。トランプ氏はエジプトが取り組む経済改革への支持や軍事支援を約束した。中東和平問題では、両首脳がイスラエルとパレスチナ双方を支持することに共通の利益を持つと表明した。
(引用以上)

エジプトのシシ政権は、流血のクーデターで政権を簒奪した非合法政権だ。しかし、トランプはそんなことはお構いなしである。なぜなら、エジプトのシナイ半島にイスラム国は拠点を持ち、シシ軍事政権はそれと戦っているからだ。
昨年12月、そして上記記事の直後にも 大規模な爆発で多くのエジプト人が亡くなっている。

イスラム国の最大の補給路はトルコであることは誰もが認めるところであろう。そして、そのトルコから独立をめざし、トルコ政府が不倶戴天の敵としているクルド人の軍が、イスラム国を壊滅寸前に追い込んでいる。
トルコ政府がこれにたいして、どのような態度をとるかで、イスラム国の運命は大きく左右される。
クルド憎しでイスラム国に肩入れするのか、それとも大勢に従ってイスラム国を封じるのか。

米国務長官、トルコ大統領と会談 関係改善は進まず
2017/3/30 日経


さすがに目に見えた成果はでていないようだが、明らかにトルコに協力させようと努力はしている。

イスラム国のスポンサーという意味ではサウジアラビアである。

サウジ副皇太子、トランプ大統領と会談-「歴史的転換点」と表明
2017.3.16 ブルームバーグ


トランプはイランとの核合意をカードにして、サウジを押さえ込む作戦のようだ。
シーア派のイランは少なくともイスラム国との関係においては、心配ない。裏でスポンサーをやっているサウジのほうを押さえようということだ。

もちろん、これまでボロカスに言ってきたNATOにたいしてもトランプは豹変した。

トランプ米大統領、NATOは「もはや時代遅れではない」
2017年04月13日 BBC


ストルテンベルグ事務総長をホワイトハウスで迎えたトランプ氏は、テロの脅威がNATOの同盟関係の重要性を強化したと述べ、イラクやアフガニスタンといった「パートナー」に今まで以上に協力するようNATOに呼びかけた。
(引用以上)

このように、イスラム国が生き延びられそうな途を片っ端から潰している。

こうやって書いていると短気な読者から あいつはトランプの戦争を支持している!! とお叱りのコメントをいただきそうなので断っておくが、支持とか支持しないとか以前に、正義とか不正義という価値判断以前に、トランプが何をしようとしているのか理解することが必要だと思うから書いている。
そこは理解していただきたい。

そして、見えてくるのは、やり方は血も涙もない。爆弾でもミサイルでもぶち込む。民主主義とか自由主義などのイデオロギーも二の次。独裁だろうが軍事政権だろうがお構いなし。その意味では 実に酷いやりかたである。

一方で、これまでマッチポンプの戦争を継続するために温存されてきたイスラム国を、本気で潰そうとしている。軍事はもっぱらロシアやクルドにやらせながら、外交を駆使して補給を断ち切ろうとしている。 これは冷戦後のアメリカの戦争、すなわち巨大な軍産共同体を否定する流れである。

これをどう評価するのかは、また別の話。ここでは、あえて良いとか悪いとかは書かない。
「こいつはこういうヤツだ」と決めつけてから物事を見るのではなく、よく観察してから「何をしようとしているのか」を判断すること。
トランプという人物は、そのための格好の教材になると思うのである。
そして、その動きは、私たちの明日に直結している。




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なんでボクは家を設計るんだろう  明月社のいえづくり 10

9 からつづく

 艶を出さないというのは木の塗装に限った話ではなく、家の内外で万事に通じる原則ともいえる。水道の蛇口と便器以外、というか水回りでやむを得ないところ以外は、基本的に艶無しにしたい。家の中のテカテカの代表はビニールクロスだ。塩ビという材料もよろしくないけれども、明月社の家でビニールクロスをほぼ使わない理由はその艶感にある。ビニールクロスを貼ると一気に壁や天井が迫ってきて部屋が狭く感じる。では何を主に使うのかというと和紙を使っている。洗面所や収納などはビニールクロスを使うこともあるので比べてみるとその違いがよく分かる。今ボクが座っている事務所の壁も、左側は和紙で右側の本棚の後ろはビニールクロスなので、首を左右に回すと実感できる。(壁の材料の話はまた後の項で)
 と、先ほどから目の仇にしている艶というのはそんなに悪いものなのだろうか。艶の名誉のために少し考えておきたい。辞書をひくと「物の表面から出るしっとりとした光」(デジタル大辞泉)などと書いてある。艶っぽいといえば女性に対するかなりの褒め言葉だし、読み方は違うけれど艶(えん)については「日本文学における美意識の一つ」(ブリタニカ国際大百科事典)とまで書いてあるし、本当に艶を敵にまわしても大丈夫なんだろうか。

 艶のある日本の美といえば代表格は漆器だろうか。幾重にも塗り重ねた漆は黒であれ朱であれツヤッツヤである。黒は酸化鉄で朱は顔料だそうだ。いずれにしても顔が映るくらい艶がある。この艶と、ビニールクロスやペンキの艶とは何が違うのだろうか。おそらくは厚さと粒そろいだろうと思われる。漆は半透明な樹脂を何層にも塗り込むので、膜厚の表面から記事に近い層までがすべて反射することによって、重合した反射光になるだろう。また反射する樹脂の細胞も、天然故に大きさが不揃いになり反射角は微妙に乱反射している。そこが合成樹脂とは違う艶になる所以ではないかと想像している。対するにビニールクロスやペンキの反射は画一的で表面だけの反射光になり、艶っぽいどころかテッカテカになってしまうのだろう。(文献を見つけられなかったので、ここは推測と想像)
 ただいかに漆の艶であっても、艶は一種の緊張感を生み出す。磨いた大理石もそうだしガラス張りのビルもそうだ。ビニールやペンキのような安っぽさはないけれども、やはり空間に緊張感を作り出す。休息と再生を第一に考えている明月社の家には、やはり艶は似合わないと思っている。

■木に出会う

 店舗デザインの数年間はなかなか充実していた。
 京都の会社に行った最初の年は、待ちに待った一級建築士の試験の受験資格の得られる年だった。毎日夜8時には仕事を終わらせてもらって近くの喫茶店に飛び込み、カレーとコーヒーを頼みウォークマンで雑音を塞いでみっちり2時間勉強。こんな生活をつづけたお陰でなんとか試験に合格できた。この半年の間、日曜以外は毎日毎日カレーを食い続けた。参考書から目を離さずに食えるので都合が良いのだ。これから資格試験にチャレンジする方はご参考にどうぞ。

 資格をとってからは徹夜になることも少なくなかったが、なにせ会社が木屋町や先斗町にほど近いため駅まで直行で帰るのは困難を極め、こんどは同僚と居酒屋に毎日毎日通うことになる。またこの時期にはボク的なパートナーにも出会い、所帯をかまえることもできた。そんな日々を送っていた頃、珍しく住宅の仕事が入ってきた。わざわざ店舗デザインの会社に依頼するだけあって、そのお客さんの第一声は「変わった家つくってや!」だった。
 その頃にはいきなりデザインから入るやり方にも慣れていたので、最初に正面から家を見たスケッチを2案用意して持って行った。これは家か?というような奇抜なものと、真ん中に外階段が貫く少しおとなしいものと。ボクは外階段プランが気に入っていたのだが、お客さんに見せたところ案の定、これは家か?に即決。ホントにこれを建てるのか、とボクも驚きつつ、書いてしまったスケッチを現実の物にするために脂汗を流した。

 ちょうどその作業をかかってるころ、朝のニュースで奈良県を襲った台風7号(1998年)の話をしていた。室生寺の五重塔に巨木が倒れかかりボロボロになったのを覚えている方も多いかと思う。日本の林業発祥の地とも言われる奈良県吉野地方でも大量の木が風で倒れ、林業が大打撃を受けた。風で倒れた木は製材してみると中で繊維が切れていることがあり、丸太の状態では問題なくても出荷することができない。
 そこで、吉野地方のとある森林組合が自分たちで製材をして一本一本チェックした木を売りに出した。それが、朝のNHKニュースで流れていたのだ。ボクは「変わった家はこういう変わった木で建てたらおもろいんちゃうか」というまったくの興味本位でそのニュースに食いつきお客さんに提案してみたところ、これまた即決。数日後にはお客さんとともに吉野に向かって出発した。
 その森林組合では、製材の様子を見せてもらうだけでなく、倒れた山を案内してもらい斜面一面がなぎ倒された光景に言葉を失った。(ついでに柿の葉寿司の工場まで見せてもらった) やや興奮気味に森林組合の事務所に戻り、さて実務的な打合せをというときに奥の部屋からかなりお年を召した組合長が出てこられた。そしていきなり言われたのが「なんでおまえらに売らなアカンねん」だった。吉野林業の過去の栄光を垣間見た瞬間だった。

11 につづく

2017-04-08(Sat)

【シリア空爆】59発のトマホークは消極的アサド承認か

米中首脳会談の 晩餐会の真っ最中。打ち上げられたのは、盛大な花火ではなく、59発のトマホークだった。

事前にロシアにも通告し、目の前の習近平にも耳打ちしてから、シリア西部のシャイラット空軍基地にむけてトマホークは発射された。

もちろん、あらゆる軍事行動に正義はない。
アサドの化学兵器(注)にも、トランプのトマホークにも、正義などない。
そのうえで、冷静に事態を考えてみようと思い、この記事を書き始めた。

 ※注 化学兵器はアサドが使ったのでないという見解があり、たしかに否定はできないので、「アサドの化学兵器」という決めつけについては保留し、文末に追記を書きます。

米国側の発表では、耳打ちされた習近平は「仕方がない」と答えたというのだが、にわかには信じがたい話ではある。
中国はロシアともに 明らかにアサドよりであり、「仕方ない」などと言うはずがないと思われるからだ。
ロシアのように非難するほうが中国の立場としては当然ではないのか

トランプ政権、シリアにミサイル攻撃 ロシアは侵略行為と非難
2017.4.7 ロイター


しかし、その後の中国の発表をみても、どうも「仕方がない」は本当だったのではないかと思わせる内容だ。

中国、トランプ米政権への直接的批判避ける 政治解決を呼び掛け
2017.4.7 産経


また、アサドの後見人であるロシアも、非難声明は出したものの、さほどの激しい動きは見せていない。
それどころか、プーチン本人は雲隠れしてしまって、意図的に姿を隠している。

ロシア、米シリア攻撃で会議? 公式写真をよく見ると…
2017.4.8 朝日


ロシアへの事前通告が何分前なのかはわからないが、ロシアからアサド軍へ速攻連絡が行ったのは間違いなく、基地側もトマホークが飛んでくるのはわかっていたはずだ。

これらの一連を見て感じるのは、今回の空爆はトランプからアサドへの
「君の後ろ盾のロシアや中国も了承済みだぜ」 という メッセージであるということだ。



では、なぜロシアや中国が、消極的とは言え空爆を了承したのか。
それは、アサド政権を和平交渉の主体として国際的に了承させるためだと考えられる。

シリアの情勢については、立命館大学の末近浩太教授が書いた以下の記事が詳しい

これでわかる!「シリア内戦」の全貌〜そして「イスラーム国」が台頭した
絶望が世界を覆い尽くす前に
2016.3.25 現代ジャーナル


アサド政権
複雑きわまる反体制派(半分はアルカイダ系)
イスラム国

ざっっくり言うとこの三つ巴で、最近はロシアが後ろ盾のアサドがかなり優位になっている。
しかし、今のように樽爆弾や化学兵器で一般人を殺しまくっていては、アサドを国際的に承認させることができない。
どうするか

アサドをいい子ちゃんにするしかない。
「認めてやる代わりに いい子ちゃんにしとけ」 ということだ。

レッドラインを超えなければ、ロシアや中国主導でアサド体制に集約していくことを、米国も消極的に認める。
そのためには、米国の面子も立つように いい子ちゃんにしておけ。

アサドがどのような態度になろうと、アサド政権を認めることが正義だとは思わない。
これまで弾圧されて虐殺された人たちが納得するとも思わない。
しかし、では半分アルカイダの反体制勢力や、イスラム国が政権をとればいいのか?
あるいは、三つとも殲滅して 国連統治にでもすればいいのか?

地球の反対側の私たちは、いくらでも理想や理念を語ることができる。
アサドもトランプもよろしくない と評論することは まったく正しいことだろう。
しかし、その評論はシリアの人民に何かをもたらすだろうか。
現実のシリアは評論ではなく何らかの「解決」が必要だ。

こういう見方は、何も楽しくないし、デモのテーマにもならないけれども、良いとか悪いとかをこえて、現実を分析することもときには必要だと思う。



そのうえで、われらが日本国総理大臣はどうなのか

安倍首相「米政府の決意を支持」…シリア攻撃
読売新聞 2017年4月7日


 安倍首相は7日、米軍によるシリアのアサド政権への攻撃について、「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持する」と述べた。
(略)
 これに先立ち、政府は首相官邸で国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開き、情報の集約と分析を進めた。菅官房長官は記者会見で、米国から日本政府に事前に攻撃の連絡があったかどうかについて、「日米間では日頃から緊密に連携をとっている」と述べるにとどめた。
(引用以上)

ここからわかることは、日本は事前通告をされていなかったらしいということ。
ロシア、中国だけでなく、報道されているだけでも、フランス、イスラエル、オーストラリアは事前通告されていたことを発表している。
そんななかで、寝耳に水だった安倍晋三の焦りはものすごいはずだ。

せっかくゴルフクラブやら50兆円投資やらをかかえて、いの一番にすり寄ったのに、いざとなったら相手にもされない。
交渉相手ではなく、ただの駒として見られているということを、改めて思い知らされた格好だ。

しかも、ドイツとフランスは先に電話で打合せをしたうえで、「理解はするけど解決は国連の枠組みで」とうまく逃げをうった。
不用意に「支持する」と言ってしまった日本は、今後この空爆の尻拭きをやらされる可能性もでてきた。

ロシアと中国が主導して進められていくシリア情勢に、米国側が一定の面子を保つために「同盟国」を派遣するということはないか。
具体的に何がおきるかはわからないが、一番の貧乏くじを、安倍晋三が喜んで引くのは間違いなさそうだ。


<追記 2017.4.10>
「化学兵器を使ったのはアサドではない。2013年にアサドは化学兵器を破棄させられている。反政府勢力が保管していたものが、アサドの爆撃で破壊され散布された。」などの情報屋見解が出回っている。たしかに否定できない。
私自身これまでホワイトヘルメットの活動などに疑義を呈する記事も書いてきた。
一方で、現地周辺で取材している複数のフリージャーナリストが「アサドは使わないと言いながら使っている」というレポートもしており、100%アサドではないという断定する材料も私は持っていない。この点については、どちらとも断定できないので判断を保留する、としか私には言えない。

ただ、化学兵器の出所がどこであろうと、今回のトマホークの意味はほとんど変わらない。つまり、「米国の面子をたてながら 消極的にアサドを承認する」「ロシア、中国に主導権を任せるための儀式だった」ということだ。
北朝鮮との関連ばかり日本では報道されるが、その意味ももちろんあると思うが、アメリカにとってまず第一義的にはアサドに対する強烈なメッセージである。それは「おまえらを殲滅する」というメッセージではなく、「ロシアと中国の了承のうえでぶち込んでるんだぞ」という意味だ。

ティラーソン国務長官もさっそく「アサドよりISを倒すのだ」と発表しており、「アサド政権の消極的承認」によって、内戦終結の道をつけるというトランプの方針は明らかになってきたといえる。




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なんでボクは家を設計るんだろう  明月社のいえづくり 6

5 からつづく

 平面プランを作りはじめる時、ボクは(たぶん多くの建築家が)四角い部屋は書かない。方眼紙を使っている時でも、いきなり四角い部屋を書くことはない。敷地はしっかり書いたうえに、乱雑な○をいくつも並べ始める。例えば玄関とか、水回りとか、家の要素をザックリと丸く書いて敷地の上に並べていく。小さい玄関なら小さい○、広いリビングなら大きな○。実際はそういう部屋名ではなく「~~をするところ」というイメージで書いていく。「入るところ」「火をたくところ」などなど。専門用語ではゾーニングというやりかたで、ほしい要素を敷地の中にどう置いていくかをまず考える。もちろん、例えば南側に高いビルが建っているとか、東側の道路は車でうるさいとか、西側には公園があるとか、実際の敷地条件をすべて頭に入れてゾーニングをすすめていく。
 それがだいたい見当ついてきたら、徐々に四角の部屋に変換していく。図面の中の人になったつもりで歩き回り、動線や目線をチェックしながら、平面図に近づけていく。そのために玄関または道路を画面の下におくようにする。図面のルールは「北が上」なのだが、この段階では入口が下で、下から上に進んでいくようにすると「中の人」になりやすい。「中」にはキッチンに立っている人もいるし、テレビの前に寝転がっている人もいる。そうした人たちが違和感を感じないような平面や高さの位置関係を、少しずつ調整しながら詰めていく。紙上ではうまくおさまっているようでも、実際に歩いてみると落ち着かない間取りというのはよくあるもので、こんなことにならないようにするのがボクたちの仕事である。
 平面プランを作っているときに、同時にやっていることは構造を含めた立体計画だ。どこにどう柱を立て梁でつなぎ壁を配置するか。無理なく2階を乗せることができるか。屋根(つまり雨水)はどう流すか。それらによって外観はどんな感じになっていくか。これはまだ紙上には現れていないけれども、頭の中ではほぼ同時並行で進んでいる。さらにこの段階で法規のチェックも必要になる。とくに都市部では高さや床面積が法律の規定ギリギリになることが多いので、平面プランの段階である程度チェックしながら進める必要がある。
 いわゆる右脳と左脳で言うと、感覚的な右脳部分と、理屈や計算の左脳部分を同時に酷使しなくてはならないので、集中し始めると一心不乱になり時間を忘れる。音楽かけていてもいつの間にか終わっているし、プライベートな用事はしばしば霞んで消えてしまいあとで怒られる。それぐらいこの作業は設計のクライマックスであり、どれだけやっても飽きると言うことがない。

 「良い間取り」とは何か、これは愚問である。その家の条件によって千差万別、どこにでも通用する良い間取りなんてない。「面白い間取り」ならあるかもしれないし、ちょっとした小技で参考になることも多い。だから、間取り集のような本も見ることはあっても読み飛ばして終わってしまうことが多い。そんな中でも興味深いのは、古民家などの伝統的な家の間取りだ。日本の家に限らず、世界の民家の間取りは見ていて楽しい。
 気候、風土、手に入る材料、そうした条件に人の知恵が一ひねり加えられ、それが積み重なってできてきた民家。住み手自ら作り上げたり、無名の職人の相伝であったり、そこには「作品」のようなケレン味も、建売住宅のような投げやりな空気もまとっていない。それ以上でも以下でもない「家」として完結した民家はほど勉強になるものはない。ただ、今の社会に通用するかと言えばそれは別の話だ。社会のありかたが激変してしまった以上、ノスタルジーや異国情緒だけで毎日を暮らすことはできない。現代を生きる住み手にとっての民家、それが理想なのだろうと思う。
 明月社の家は、とくに民家を標榜はしていない。おこがましいからだ。見せかけだけを古民家に似せて「民家」を名乗る似せ(偽)民家で商売はしたくないし、得手勝手な解釈で「これが現代民家だ」と名乗るほど図々しくもない。
 さらに深刻な理由もある。地域社会の中で作られ維持され再生されてきた時代の民家は、商品ではなかった。木材も竹も壁土も茅葺きも、すべて地域にあるものを使い、地域の住民の協働で建築された。これを現代の商品流通と労働力市場で賄おうとする、びっくりするほど高額になる。否が応でも、ほとんどのものが商品になってしまった今日、昔日と同じことを目指してもしょせん無理があるのだ。少なくとも、圧倒的多数の住み手が暮らしている都市部では通用しない。都市部に住み、毎日会社に通っているほとんどのこの国の人々にとっての民家。まだハッキリした姿は見つけられていないが、それが現代の民家であり、明月社の家が目指しているところだ。

 と、かなり理想論に走ってしまった。ひとり一人の住み手にとっては、そんな話よりも「どんな家にするの?」という話のほうが切実なのはまちがいない。ただそれでもボクは住み手に「どんな家がほしいですか」とは訊かない。はじめにも書いたけれども、形からは入らずに、「何をするのか」から入っていく。生活パターン、大事にしている習慣、家ができたらやってみたいこと、子どもが自立したり老後になったらやってみたいこと。もちろん住み手の中には、いくら尋ねてもなかなか答えが返ってこない人もいる。「4LDKで子ども部屋は6畳で・・・」という話から一歩も進まない時もある。
 そんな時は、ある程度プランを進めながら、でもいつでも一から変更するつもりで図面をはさんでしつこく尋ねる。すると、ポロポロと毎朝の忙しい用意のこととか、趣味の話とか、話の端々に少しずつ挟まってでてくるようになる。そうやって、中に人を入れた状態でなければ、ボクはプランができない。いくら、適当にやってくれと言われても、ボクには作れないのである。もし明月社の家を建てよう、と奇特なことを思って下さる場合は、こういうマダルッコシイ話から始めなくてはならないと覚悟しておいていただきたい。

 そんなインタビューの段階の次は、いよいよプランを作っていく。先ほど書いたように、ゾーニングから始め、平面と構造と断面と法規チェックを同時に組み立てていく。この中身は、それこそ実在の住み手がいないと具体的なことは書けないのだが、それでも特徴的なことはいくつか書き留めておきたい。
 まず、住み手の家族の目線だ。部屋の形を捕らえているのは、五感のなかの視覚がほとんど。足や手で触ることよりも、まずは目線で壁や天井や窓を捕らえている。なので、例えば図面に12畳のリビングがあるとき、大事にことは12畳であることではなく「どう見えるか」である。もし10畳であっても「広いな」「いいな」と感じればそれでいいし、14畳あっても「狭いな」「いやだな」と感じるならばNGだ。それは平面図を平面図のまま見ていても分からない。簡単なのは、スケール(巻き尺)を持って、座る場所から窓まで、とか、窓の大きさ とかを目の前で実寸で見てみることだ。

7 へつづく

2017-02-15(Wed)

金正男の暗殺は、隣の国の話ではすまない予感

金正男が殺された方法には興味がないが、その結果には注目せざるを得ない。

どこまで事実かはわからないが、これまでも記事が流れていた

史上最悪の「兄弟ゲンカ」金正恩は、兄・金正男も「処刑」する気だ
2014.1.16 週刊現代


張成沢と金正男が意気投合していたのは、二人とも北朝鮮の経済改革の必要性を痛感していたからだという。

「張成沢は党行政部長で、首都・平壌のリフォームの責任者だった。妻の金敬姫は党軽工業部長で、生産増加の責任者だった。この夫妻は金正男を頼り、金正男は中国を頼った。
この3人は、北朝鮮で一刻も早く中国式の改革開放政策を実施しないと、国が崩壊すると危惧していた。張成沢は直接的に金正恩政権を批判したことはないが、金正男は露骨に批判していた」(同・中国の外交関係者)

(引用以上)

金正恩が見限られた? 中国が企む北朝鮮「金正男体制」の全貌
日刊大衆 2016年2月3日


暴走する“三胖”(正恩)に対し、同じ体型でも、中国に対して従順といわれる正男氏を4代目に据えたいのが、大国の考えだという。「中国は社会主義体制下での世襲は、好ましくないと一貫して主張してきましたが、正男氏も、世襲には慎重な姿勢なのです」 こう解説するのは、外交評論家の井野誠一氏。
(引用以上)

張成沢にしても金正男にしても、処刑や暗殺までされるのは、それなりの背景があったと考えるべきで、それは中国だろう。
中国は、これまで米国との交渉の道具として、北朝鮮の突出を利用してきたが、経済大国になった今となってはそのような北朝鮮の無茶ブリがジャマになっている。
おとなしく、中国の属国になってくれる方向を目指していたのは間違いないと思う。

クーデターまで画策していたのかどうかはわかりようがないが、中国にとって利用価値があるから金正男を保護していたわけで、今回の暗殺は中国の逆鱗に触れたはずだ。



金正男を保護していたのが中国ならば、金正恩は国際的にはまったく孤立無援なのだろうか。

いや、この関係は強固に続いていたようだ

20170215-1.png

上の写真はこちらのサイトからお借りした

北朝鮮・統一教会・自民党の奇妙な「三角関係」…金正恩氏が教祖に弔電
2015.8.30 高英起  | デイリーNKジャパン


北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信は30日、金正恩第一書記が、韓国発祥の宗教団体・世界基督教統一心霊協会(統一教会)の教祖である文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の3周忌に際し、遺族らに弔電を送ったことを伝えた。
(引用以上)

そして、統一協会と言えばこの男だ

20170215-2.jpg20170215-3.jpeg

祖父の岸信介の代から脈々と築かれたコネクション、祝電を打ったり講演をしたり機関誌に登場したり、安倍晋三と統一協会(家庭連合)の関係の深さは隠すべくもない。
金正恩と、安倍晋三は、統一協会という強い絆でしっかりとつながっているのである。

北朝鮮がミサイルと言われるロケットを飛ばしてきた歴史を振り返ってほしい。安倍晋三が「「ここで飛ばして欲しい」という絶妙のタイミングで発射している。
12日の、日米会談にピッタリと合わせた発射などはその典型だ。

アジアから足を抜きたがっているトランプに、嫌々ながらもコメントをせざるを得なかった。

<a href="http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/11/trump-northkorea_n_14696628.html">トランプ大統領は一言だけ。北朝鮮ミサイル発射への声明、安倍首相と温度差
The Huffington Post 2017.2.12</a>

動画で見ると、安倍の得意そうな表情と、苦虫をかみつぶしたようなトランプの表情がわかる。しかもトランプのコメントはわずか10秒だ。

<iframe width="300" height="169" src="https://www.youtube.com/embed/3UyV2bpDJJ4?rel=0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

ここまで状況が整っていて、金正恩を支えているのが、統一協会を介した安倍晋三であるということを「陰謀論」でかたづけるのは、現実から目を背けることになる。

北朝鮮を中国の属国として温和しくさせる可能性があった金正男は、北朝鮮の脅威を最大限利用したい安倍晋三にとっても、自らの権力を維持したい金正恩にとっても、共通の敵だった。
もちろん、トランプによって冷や飯を食わされている、米国のジャパンハンドラーズたちにとっても。



いずれにしても、この暗殺で、中国はカードを失ったともいえるし、本気で北朝鮮に介入していくキッカケになるとも言える。

かなり激しい動きが予想され、安倍晋三はそれに乗じて「危機」をあおり立てて、共謀罪をふくめて強硬な国会運営を正当化していくだろう。

簡単に予測はできないが、中国とアメリカの対応を緊張感をもって注視していかなければならない。





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2017-02-09(Thu)

トランプはゴールドマンサックスの傀儡か?

トランプの選挙中のウリは、ウォールストリートの1%から政治を取り戻すということだった。

ところが、財務長官にスティーブン・ムニューチン、国家経済会議議長にゲーリー・コーンと、経済の要にゴールドマンサックス出身者を据えた。首席戦略官・上級顧問のスティーブン・バノンもGSにいたことがあり、他にも出身者がゴロゴロしているという。

しかも、2月3日には「ドッド・フランク法」を廃止するという大統領令に署名した。このドッド・フランク法というのは、リーマンショックの経験から2010年にオバマ政権がつくった「金融機関を規制する」法律と言われている。

「な~んだ、やっぱりトランプは1%の金持ちの味方だったんだ。選挙中は中間層を欺していたんだ。」という声が、リベラル層を中心にわっと上がったのも無理はない。



では、ドッド・フランク法でリーマンショックを引き起こした金融機関は規制されたのだろうか。
この法律はなにやら2200ページもあるらしく、たぶん全部を理解している人はいなんじゃないかと思うのだが、ともかく、それを研究している人の論考を探してみた。

この法律のいちばんの特徴は、ベイルイン つまり、破綻した金融機関を税金で救済することを禁じた点だ。
「大きすぎて潰せない」 というリーマンショックの時の膨大な財政支出を、もうやらないよ というのである。

「どうせ救済される」と思うから、金融機関はメチャクチャなハイリスクな商品を作って、刹那的に莫大な利益を稼ぎ、破綻しそうになったら巨額の儲けを持って逃げ出したり、税金で救済してもらいながら何百万ドルもボーナスをもらいつづける なんてことがまかり通った。
だから、ベイルインを禁止すれば、たしかに無茶はできなくなりそうだ。

そう思いながら、検索を続けると、こんな論文を見つけた。

連邦準備銀行の金融機関救済権限問題  -ドッド・フランク法の修正を巡る論争について-
桃山学院大学 松村昌廣教授

(クリックするとPDFがダウンロードされます)

全部で22ページあり、後半1/3くらいがドッド・フランク法についての考察。
ポイントを一つだけ絞ると、

「破綻した」金融機関への公金救済はダメだけど 「破綻直前」ならOK ということ。

はあ? てな話だが、破産の手続きに入る前であれば、もう絶望的で実質破綻でも、税金やFRBの超絶好条件融資で救済することができるのが、ドッド・フランク法なのだという。
要するに、骨抜きにされてザルになっている ということ。

いや、骨抜きと言うよりも、はじめから「規制法」のふりをして、じつは「ベイルインという手段を残す」 のがこの法律の目的だったのではないか。
普通にベイルインを続けると暴動が起こりかねないから、規制法の顔を作っておいて、実は腹の中は税金救済。
いかにも、オバマらしいやり方だ。



でも、だからといって、吸血イカと称されるゴールドマンサックス漬けになっているトランプが、ウォール街を規制するだろうか。

トランプの大統領令を、対訳してくれているブログがあった。要点だけ引用する。

トランプ氏、金融規制緩和の大統領令に署名 ドッド・フランク法はどうなる?(ゼロからやりなおす「政治と経済」)

私の政権において、アメリカの金融制度への規制は、以下の中核となる原理に従うべきだ。

(a)アメリカ人の金融における意思決定の独立を助ける。各人が退職後に資産を形成するために、市場における選択に必要な情報が知らされるべきだ。

(b)納税者の資金での金融機関の救済を阻止する

(c)システミックリスクと「市場の失敗」(モラルハザードと情報の非対称性等によってもたらされる)を分析する、より厳格な規制を通して活発な金融市場での経済成長を促す。

(d) アメリカ企業が米国内と海外の市場で外国企業との競争を可能にする

(e)金融規制における国際的な交渉や国際的な会合でアメリカの国益を促進する。

(f)連邦の金融規制に関わる省庁の公的な説明責任を再確立する。連邦の金融規制の仕組みを理に適ったものにする。

(引用以上)

これを見る限りでは、世間で言われているような、金融機関への規制緩和 とは言えない。
どっちに転ぶかは、全く判断できない というのが正直なところだ。
120日間で政策を作成せよ ってことになっているから、6月初めには具体的な姿が見えてくる。
それまでは、判断を保留しておく。

少なくとも、ドッド・フランク法は正義の法律ではなさそうだし、大統領令には「金融機関の規制緩和」とは書いていない。



大統領令に一瞬は大喜びしてダウが2万ドルを突破したウォール街も、「「あれ おかしいぞ」ということに気が付いている

ゴールドマンもトランプ政権を不安視-リスクバランスが悪化
2017.2.6 ブルームバーグ


グローバル金融資本は、正義を振りかざして正面から斬りかかっても勝てる相手ではない。
戦って負けることに生きがいを感じる人はともかくとして、実利をあげるためには、敵を熟知する人材を登用するということは、当然のことではある。
トランプ政権がゴールドマンサックス漬けなのは、そういう意味なのか、あるいは単に傀儡なのか、早計に決めつけるべきではない。

決めつけで目を曇らせずに、しっかりとウォッチしていかなければならない。


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2017-02-07(Tue)

マッドドッグ=マティス国防長官の発言を詳しく見てみる

先日来日して、安倍や稲田がキャンキャン喜んでいたマッドドックことマティス国防長官。
このときの彼の発言として、新聞やテレビは軒並み 「辺野古が唯一」 「尖閣は安保適用」 と書き立てた。

ところが、「辺野古が唯一」とは言っていなかったことが、暴かれた。もうネットでは多くの人が知っている。
その他にも 注目すべき点がいろいろあるので、長くなるがマティスの発言を引用する。
あとで、アカ文字の部分についてコメントする。

(以下 朝日新聞 2017年2月4日マティス氏「同盟関係は不朽」 日米防衛相の共同会見全文 より引用)

(略) 本日、稲田大臣と安全保障の情勢について話し合い、私は尖閣諸島における長年の政策が継続されることを明確にしました。米国は引き続き、尖閣諸島に対する日本の施政権を認め、日米安全保障条約第5条が適用されるということを認めます。

 日本の方々がよくご存じのように、私たちはこの地域で多くの安全保障上の課題に直面しています。北朝鮮による核・ミサイル挑発の脅威から、東シナ海と南シナ海において中国が挑戦的行為をより高めていることまで、私たちは安全保障環境の変化を認識しています。会談で、稲田大臣と私はこれらを含む安全保障上の問題について、緊密な連携を図り続けることを確認しました。

 また、日本が東南アジアのパートナーとともに、この地域の平和や繁栄、自由に貢献する努力を重ねていることに、米国が感謝していると申し上げました。

 日米同盟は、この地域が今も、これからも、安全で安定するために極めて重要です。2015年の防衛ガイドラインと日本の安全保障法制は、私たちがより多くのことを共にし、兵力の相互運用を増やし、必要であれば、平時から有事まで日本の軍事能力を高める基礎となっています。

 今後、日本の強力な防衛と安定した地域の環境という相互の目標を実現させるために、双方に大きな歩みがみられることを確信します。そうした環境では、広く受け入れられた国際的ルールのもとで全ての国が行動し、恐怖から解放され、繁栄できるのです。

 米国は、最先端の兵力を日本に配置し、強力な軍備態勢を維持することにより、同盟に投資してきました。私は稲田大臣に、米国は日米が互いに同意した再編計画に責任を持つと申し上げました。これらには、米海兵隊のグアム移転や沖縄の駐留米軍の縮小を含みますが、日本や地域の安全を守るための能力は維持していきます。

 私たちは、普天間飛行場の移転施設を整備するお互いの努力を続けることで合意しました。米海兵隊の基地として使われている普天間飛行場を、米国が日本に返還できるようにする唯一の解決策です。

 日本は地域の安全や同盟に対し、特筆すべき貢献をしてきました。米国は日本の貢献に深く感謝しています。しかし、誤解しないでください。日本のリーダーたちとの会談では、私たちは双方とも、新たに起きている課題に向き合うとき、自己満足してはいけないということを認識しました。同盟が深化するにつれて、防衛に関する人材や戦闘能力に、投資を続けることは双方にとって重要になるでしょう。それを通じて、私たちは今日も、これからも真のパートナーであることを確かにするでしょう。(略)


(質疑応答)

稲田大臣がおっしゃった通り、我々は共にいることで強力であり、韓国とも共にいることで強くなるのです。一方で、同盟関係について現状に満足してはいけません。安全保障環境の変化に合わせ、対応していかなければなりません。協力しながら、慎重に歩みを進めていきます。現在、中国と共にあるアジア太平洋地域において安定を維持することができないと考える要素は見当たりません。しかし同時に、法の支配に基づいて国際秩序を維持するという必要性は、考えなければなりません。

 おそらく、主には北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威が目下の課題ではありますが、法に基づいた国際秩序の維持に向けても、我々は協力しなければならないのです。そして、紛争を解決するために、法に基づく(秩序の)維持という確固たるアプローチを無視したり、信頼を引き裂いたりする国があってはなりません。


(質疑応答)

イランに関して言えば、イランは世界最大のテロ支援国家です。自身の行為を多くの人々が注視しているんだとイランが認識している、ということを確かめることは賢明なことです。秩序の維持を望む国々と連帯しつつ、我々はこの点をはっきりとイランに知らしめる責任があるのです。この問題を無視してはなりませんし、目を背けるのも好ましくありません。しかし、現時点では米国が中東において軍事力を強化する必要はないと考えます。今のところ、(その選択肢は)ありえません。そうすることはいつでも可能ですが、現時点では不要です。

 しかし、言い添えておきたいのですが、イランは法に基づく国際秩序を尊重しておりません。レバノンやシリア、バーレーン、イエメンなどに関しても、見過ごせない不正行為があると認識しています。これについては対処することになるでしょう。


(質疑応答)

経費と負担の分担について、日本は「お手本」になってきたと考えています。我々はこれについて、常に対話を持っています。日本と米国の経費分担は、ほかの国々が習うべきお手本だと言えます。安全保障環境が厳しさを増す中、安倍首相、稲田大臣のもとで(日本の)防衛費が増額されてきました。我々は互いの軍事的な立場を、今日、そして今後直面し得る安全保障の環境に対応させる必要があります。日本は正しい道を進んでいると思います。

(質疑応答)

中国は南シナ海で、この地域の国々の信頼を引き裂き、隣国の外交や安全保障、経済において、明らかに拒否権を持とうとしています。法に基づく国際秩序においても、我々はすべてルールに従わなければなりません。我々は、軍事的手段や土地の占領によって解決することはしません。仲裁裁判所へ持ち込んで議論すれば、控えめにいっても、実際は誰が所有しているのか、あるいは国際水域なのかという疑問にさらされるでしょう。我々は、この問題を適切に解決すべく、対話の窓を開き続け、外交的な努力を尽くさなければなりません。この意味で、我々の軍事的な姿勢は、外交官を増強するというものであるべきです。現在、軍事的な対応を考えているわけではありません。外交官による解決がベストです。商船や米海軍の艦船などが自由に航行できるよう、「航行の自由作戦」は適切と考えており、公海で行っていきます。しかし、今のところは劇的な軍事行動を取る予定はありません。

(引用以上)

ここから先は私のコメント。


尖閣諸島に対する日本の施政権


これも、日本のマスコミは意図的に誤訳をおこない、マティス長官が「尖閣を日本の領土として認めてくれた」と報じていたが、それはまったくのデマだ。
原文では under the administration であり、管理下、施政権下 と言う意味でしかなく、領有権(dominion)は日中で決めてくれという米国の姿勢は何も変わっていない。にもかかわらず、万歳三唱でもやりかねないマスコミのバカ騒ぎはなんなのか。
植民地根性の極みと言えよう。

2015年の防衛ガイドライン

戦争法(安保法制)が強行採決されたのは2015年7月だったが、その3ヶ月前にすでに日本政府は米国とガイドラインを作成して中身を決めていたのである。法律は、ガイドラインを実行するための後付けでしかなかった。
米国の目から見た時に、まずこのガイドラインが「自衛隊の使い方マニュアル」なのだということが、マティスの言い方を聞くとわかる。
日米防衛指針18年ぶりに改定 ハフィントンポスト2015.4.28

同意した再編計画に責任を持つ

これは1996年に在日米軍を再編縮小するとしたSACO合意のことだと思われる。
これも意味深である。なぜなら、現在の辺野古基地建設計画は、SACO合意をすら逸脱しているからだ。SACO合意の中では、高級施設を建設するのではなく、フロートを浮かすような工法が書いてある。
まして、1999年に沖縄県と名護市がSACO合意にある代替施設を辺野古で合意した際には、「15年の使用期限」と「軍民共用」という条件がついていたのだ。
あえて辺野古という単語を避けたマティスが、どこまでの意味でこれを言ったのか、今の段階では判断できないが、押さえておくべきポイントではある。

普天間飛行場の移転施設を整備する

ここが、実は「辺野古」とは言っていなかった という箇所だ。原文では the Futenma replacement facility。
稲田が直前に「マティス長官とは辺野古への移設が唯一の解決策であり、引き続き、協力することで一致をいたしました。」と発言しているのに、わざわざ固有名詞を避けたことは何か意味がある と思っても無理のある解釈ではないだろう。
安保利権にズブズブでない現実的な軍人の目から見れば、地元でもめてなかなか進まない工事よりも、早く使える代替施設が必要だと考えるだろう。

防衛に関する人材や戦闘能力に、投資を続ける


これはシンプルだ。もっとカネを出せ ということだ。
アジアの米軍の機能を、おおはばに韓国と日本に負わせようという まさにアメリカファーストの軍事戦略である。

韓国とも共にいることで強くなる

上記の戦略にたつ米軍から 嫌韓右翼の稲田への一撃である。

法に基づいた国際秩序の維持


北朝鮮に対する対処として語られている。
悪の枢軸とか先制攻撃とか、これまで対北朝鮮で語られてきたトーンからすると、あきらかに温和しい。後ろに出てくる対イランや対中国でも、軍事的な威嚇などは一切していない。

現時点では米国が中東において軍事力を強化する必要はない

ここまでハッキリ言うとは、ちょっとビックリした。イスラエルやサウジアラビアは、これを聞いてひっくり返ったのではないだろうか。

日本と米国の経費分担は、ほかの国々が習うべきお手本

これも日本のマスコミが、キャイ~ンと泣きながら涙を流して喜んだひと言だ。
条約ですら決めていない「おもいやり予算」を献上する植民地ぶりを、新しいご主人様にお褒めいただいて喜ぶとは・・・・
プライドを捨てた国民は、骨の髄まで吸い取られる運命なのか。

我々の軍事的な姿勢は、外交官を増強するというものであるべき

対中国でも、マティスの姿勢は一貫している。あくまで外交と国際関係の中で紛争を解決したいとする。

こうしてみてみると、やはりマティスはトランプの路線を忠実に踏んでいる。
できるだけ戦争は避け、そのうえで負担は植民地国に押しつける。 これに尽きるようだ。
一切の合理性を投げ捨てて利権だけに群がっていたこれまでのジャパンハンドラーズとは違い、アメリカファーストの合理性がある。

これを理解した上で、辺野古新基地を諦めさせるための 現実的な方法を考えなくてはならないだろう。
辺野古現地での不屈の闘いと、翁長知事が進める現実的な方策の、両輪で進めることだ。見た目には、体を張った抵抗闘争と、米国も妥協の余地のある現実策は、異質で矛盾するように見えるかもしれない。しかし、双方が理解して進めることができれば、いくら安倍政権が法をも踏みにじった強行をしていても、必ず隙は見えてくるはずだ。

ひいては、日本の植民地根性に風穴を、針の一穴をあけることにならないか。

なにも楽観はできないけれども、わずかなわずかな揺らぎを、マティスの会見から私は感じた。

(参考)
こちらのブログで原文と対訳を書いてくれている
 → 稲田防衛相と米・マティス国防長官が共同記者会見(全録)1




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2017-01-31(Tue)

大統領令の効力はいつから有効か?

またまたトランプの大統領令で、世界中が大騒ぎになっている。

米大統領令に提訴相次ぐ 司法省の長官代行解任も
2017年1月31日 NHK


今回の提訴で、アメリカで暮らすイスラム教徒は、トランプ大統領による大統領令はイスラム教徒の多く住む国を対象にしており、イスラム教徒を狙い撃ちにしたものだとして、信教の自由を保障したアメリカの憲法の修正第1条などに違反すると主張しています。

そのうえで、大統領令が憲法に違反するという判断を示すことや、トランプ大統領らに対して、入国や旅行などを禁じる措置の停止を命じるよう求めています。

これに対して、トランプ大統領は29日の声明で、「イスラム教徒を標的にした禁止ではない。宗教の問題ではなく、テロと国家の安全の問題だ」として、イスラム教徒を排除しようとするものではないと強調しています。

アメリカのメディアは、大統領令が宗教に基づいてイスラム教徒を標的にしたものかどうかが焦点になると指摘しています。

(引用以上)

宗教差別かどうかは司法の判断を待つとしても、とりあえずいきなり入国審査の基準が変わってしまったら、現場が大混乱するのは当然ではある。
極端な話、入国禁止の7カ国の人は、飛行機に乗っている間にNGになってしまった人だっていたはずだ。
入管の職員だって、何をどうして良いのか 頭を抱えただろう。

大統領令は、議会の審議もなく、サイン一つで出てくるから、誰も知らないうちに法律が変わっていた ということになる。
こんなんで、昨日まで合法だったものが、今朝からは違法になって捕まっちゃう、みたいなことが アメリカではおきるのか。
トランプの命令の内容もさることながら、制度としてもちょっと酷すぎじゃないの。

と思いながら少し検索していたら、この記事を見つけた。

トランプの研究(3):トランプ大統領がTPP離脱を指示した「大統領令」とは何か―その法的根拠と効力
2017.1.26 中岡望 Yahoo!news


 TPP離脱に関する文書は、「大統領令」ではなく、「大統領覚書(Presidential Memoranda)」の項目に掲載されていた。TPP離脱は「大統領令」によって行われるのではない。他の新聞の記述は確かめていないが、おそらく「大統領令」という言葉を使っているのではないかと思う。大統領が取ることができる政策(presidential actions)は3つある。「大統領令」、「大統領覚書」、「大統領声明(Proclamations)」である。2009年1月に司法省は、「大統領令」と「大統領声明」は同じ法的な効果を持つという見解を発表している。
(略)
 議会調査局(CRS)によれば、「大統領令、大統領覚書、大統領声明は、政策目標を達成したり、行政府の運用基準を設定したり、あるいは民間人の行動に影響を与える狙いで政策に関する政府の見解を示すために、大統領が出すことができるものである。合衆国憲法は大統領の政策手段に関して規定しておらず、大統領に命令、覚書、声明を出す権限を明確には与えていない。にもかかわらず、そうした命令は大統領に固有の権限として受け入れられている。さらに、そうした命令が適切な権限に基づいているなら、法律と同じ力と効力を持つことになる」と説明されている。
(略)
 「大統領令」は政府の内部通達であるが、官報である「連邦公報」(日本の官報)に掲載することが義務付けられている。これに対して「大統領覚書」と「大統領声明」にはそうした義務は課されていない。今回のTPP離脱は「大統領覚書」として出されており、連邦公報に掲載する必要はないが、トランプ大統領は通商代表部代表に連邦公報に掲載するように指示しているのは、そのためである。「大統領令」は連邦公報に掲載されてから30日後に効力を発する。したがって、通商代表部代表がTPP関係国に書面で離脱を通告するのは、連邦公報掲載後、30日を経過してからになる。

(引用以上)

赤文字に注目である。
やっぱり、いくらなんでも ある朝起きたらいきなり法律変わってた ということはないらしい。公報に掲載してから30日の周知期間があるという。運用規定なども、この間に決めるのだろう。

なるほどなあ と思いながら ふと最初のニュースを思い出す。
あれ? 空港での入国拒否とか 大統領令が出た直後から始まってるよなあ。。。

効力は30日後なら、直後から始まるのはおかしいんじゃないの?
2月27日から ということになるはず。

もっとも、猶予期間があったら、その間に怪しい人も含めて ドッと入国してくるだろうから、この大統領令にどれだけ意味があるのか と言う気もする。
それに、30日後に効力という話は、この記事以外では見つけることができなかった。
う~ん 真相はどうなのだろう。

記事を書いている中岡望氏のプロフィールを見ると、こんな事務的な話で間違いを書くようには見えない。記事の中の説明もかなり詳しい。

もし、中岡氏の書いている通り、大統領令は公報に掲載してから30日後に効力 だとすると、一体今おきている現場の大混乱は何なのだろう。
入管職員の先走りか? 大統領の意向を忖度して、まだ効力がないのに入国拒否しちゃってるのか?
それとも、30日後ということを知らずにパニクってるのか?

末端の職員は それもあるかもしれない。
しかし、法務省の長官代理はどうだ。あるいは、全国の州の裁判所や司法長官はどうだ?
そもそも 入管を管轄する国務省の上役は?
大統領令の効力がいつから発するのか、いくらなんでも知っているだろう。
せめて「変更は2月27日からだ」と言ってやればいいのに、なぜ知らんぷりして現場の混乱を放置するのか。

30日ルールについての確実な資料を見つけられないので断言は避けるが、なんだか違和感を感じるのである。
(「トランプ叩き」叩きじゃなくって、ホントのことが知りたいだけ。だれか、30日ルールについて知っていたら教えてほしい。)

PS.30日では無くて、連邦公報(FEDERAL REGISTER)に公布されたら有効 という見解も発見。
  しかし、現時点ではまだ公布されていない → 2017 Donald Trump Executive Orders
  あと2日くらいで出るかもしれないけど、しかし少なくとも、今は出ていない。


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2017-01-29(Sun)

今年は原子力協定の運命が決まる年

2018年7月に現在の日米原子力協定は期限を迎える。
半年前に通告しないと自動延長なので、運命を決められるのは今年いっぱいということになる。
2017年は日米原子力協定の運命が決まる年なのである。

日本の原子力村の連中は、福島原発の爆発にもかかわらず、何事もなかったかのように今のまま延長するものと思っているだろう。
1988年に現在の協定を結ぶまでには何年もかけて16回の交渉を行ったらしいが、来年の期限切れに向けて何か交渉をしているという話はとんと聞かない。

しかし、そんな厚顔無恥な原子力村の思惑どおりにいかない事態が生じ始めている。
まず大きな事件は、もんじゅの廃炉である。
「かわりの高速炉を作る」とか言っているが、言ってる本人も内心はできるわけ無いと思っているだろう。

もんじゅの廃炉というのは、個別もんじゅの問題だけでなく、日本の核燃料サイクルの破綻を公式に認めた という意味がある。
いくら代わりの高速炉を作るとか言っても、誰の目にも破綻は明らかになった。
もともと 六ヶ所村の再処理工場もまったく稼働の見込みが立たないなかで、国が掲げる二つの核燃料サイクルの輪は全く回らなくなった。

20170129-1.png
(資源エネルギー庁HPより)

それにしても、六カ所にしてももんじゅにしても、これまで一度たりとも光明すら見えたことがないのに、国はなんで核燃料サイクルにこだわったのだろうか。その理由ははっきりしていて、二つある。

ひとつは、使用済燃料の処分場だ。
処分場のめどが全く立たない中で原発を動かし続けるためには、このようなリサイクルをするから心配ないよ、という建前が必要だった。最終処分になるのはごく少量なので、まだまだ大丈夫 という話を、誰もが嘘と知りながらも言い続ける必要があった。

最終処分場の候補地はこれまでも何カ所も浮かんでは消えてきた。
原発ならOKでもなぜか最終処分場はNGという強烈な住民の反対で、いつできるのか全く見当もつかない。
各原発のプールは満杯になりつつある。それでも原発を動かし続けるには、リサイクルするよという嘘をはき続けるしかなかった。

もうひとつは、日米原子力協定だ。
原子力協定というのは、核拡散防止条約と対になっているもので、現在の核保有国以外に核兵器を作らせないというのが、第一の目的だ。その範囲で、原発などに核を使うための協定である。

よって、原発に使わないプルトニウムを所有することは、即原子力協定に抵触し、米国にお叱りを受けることになる。
そして日本は、核兵器保有国以外では、ダントツにプルトニウムを所有している。

20170129-2.png
(東洋経済 2015/11/17より)

上の図は少し古いけれど、いかに日本が異常な状態にあるかがわかる。
この状態で、核燃料サイクルがお手上げです~ ということになれば、プルトニウムはただちに渡せ ということになる。
しかし、密かに独自核武装のできる状態をキープしておきたい原子力村の中の一部の連中は、絶対にプルトニウムを持っておきたい。
だから、嘘でも何でもリサイクルしますと言い続けてきたのだ。



しかししかし、ついにこの嘘を もう吐き続けることが困難になった。
そして、そのタイミングでもう一つの大事件が起きた。
トランプ大統領の出現だ。

トランプが日本の隠れた独自核武装の可能性をどう評価して、どう対応するか。
まだ誰にも分からない。
日本や韓国の核武装を認めるようなことも言ったけれども、あれは一種のトラップだったのだろう。あの言葉に誰が釣られるか、じっと観察していたのかもしれない。
調子に乗って独自核武装を口にしたものは、かつての中川昭一のように抹殺される可能性だってある。

その逆に、日本が経済的にも徹底した従米を貫いて忠誠を示せば、トランプは日本に核武装させてアメリカはアジアから手を引くという方針をとるかもしれない。
まだどちらに転ぶかは分からないが、いずれにしても中途半端には終わらないだろうという予感は多くの人が抱いている。
オバマの時のように、とりあえず現状維持で、というわけにはいかないだろう。

日本の原子力村は、現状維持でいけるものと思っているかもしれないが、米国側から今年は原子力協定の見直しを迫られることになるだろう。
そして、その眼目はやはり、「最終処分場」だと思う。

最近、産経にこんな記事が多く出るようになった。

核のごみの地層処分「安全神話」よりもリスクを語れ!
iRONNA 藤村陽 神奈川工科大学教授


この記事は、原発村の機関誌のような産経iRONNAにあって、異色の記事だ。
最終処分、地層処分の問題点について、率直にリスクを解説し、「「本音」でなければ信頼は得られない」と説く。
勉強にもなるし、ぜひ読んでおくことをおすすめする。

その上で、よくよく注意してみると、大きな方向性は、「本音でリスクも語って信頼関係を築いて消極的な選択として  地層処分場を決めよう」という話なのだ。
もちろん、現にある使用済燃料は、どうにかしなければならないので、処分の議論はいやでもしなければならない。だからこうした議論には頭から反対ではない。

しかしそれでも、産経に出ているということがひっかかる。
「使用済核燃料 処分場」でニュース検索すると、iRONNAの記事がずらっとかかってくる。
つまり、ドメスティックな(国内の)原子力村の関心が、処分場に向いているということだ。
もんじゅ廃炉ショックで、一気に処分場の確保に血眼になっている。
その流れの中で上記の記事を掲載したということは、ある意味で、処分場を確保したいという連中の本気度の現れとも言える。
(筆者の先生はそういうつもりではないだろうが)

さらに、最終処分場が決まるまでの間、乾式キャスクで保管しておくことも本気で検討され始めた。

使用済み核燃料の「乾式貯蔵」後押し 規制委が基準緩和へ
2017/1/25 日経


こうした日本の原子力利権村のうごめきを、トランプ陣営は冷静に観察しているはずだ。
そして、何を考えるだろうか。
100基の原子炉が現役で、しかも国内の処分場の見通しが立たない、アメリカファーストの国が、何を考えるだろうか。
「ちょうど良い同盟国がいたぞ」と思わないほうが不自然ではないか?

今年いっぱい続くであろう 日米原子力協定の交渉で、アメリカの使用済燃料を、安倍晋三が謹んで受け取ってこないことを祈りたいが、その危険はかなりある。
逆に言えば、そんなことが起きたときこそが、左右を超えて手を結び 安倍晋三を引きずり下ろすときだ。



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