2008-12-28(Sun)

敗北の20年から


梅田というのは、大阪駅周辺のことで、私鉄や地下鉄の駅名は「大阪」ではなく「梅田」である。
週に何回かは私も通りかかる。その、梅田の北側で長らく工事が続いている。
道路まで付け替えて、旧国鉄の操車場に何千億もの金を投じて再開発している。

umedakita.jpg

この光景を見ていて、頭の中にフラッシュバックが。
20余年前の国鉄分割民営化。中曽根康弘によって強行された、国家的不当労働行為、国家的偽装倒産。

今年の悲惨な年末も、20年前にやられた国鉄分割民営化に端を発している。
もっと言えば、国鉄の赤字がどうとか、果ては国鉄職員のマナーがどうとかいうペテンに、日本中がコロッと騙された結果が、今日の大不況とクビキリラッシュなのだ。

中曽根自身が認めているように、分割民営化の一番の目的は、労働組合の解体だった。
70年代、80年代を通してじりじりと後退してきた、労働者のちからが、一気にそぎ落とされた。
そして、それを敗北ではなく、何かの「変革」かのように思い込まされた。

■■
この国鉄分割民営化という世紀の大ペテンの直後に、今度は経済的なウルトラペテンが仕組まれた。
言うまでもなく、バブル経済だ。

労働者の権利なんてイチイチ主張しなくても、勝手にお金が転がり込んでくるような幻想に、これまたコロッといかれてしまった。
今から思えば、そのアホさ加減は誰でも分かるけれども、その本当の狙いが「権利意識をぶちこわすこと」だっととは、今でもほとんどの人が気がついていない。

欲の皮は実に立派になったけれども、「権利意識」はボロボロだ。
だから、正当な権利と引き替えに、ちょっとおいしそうな話をぶら下げられるとコロコロッと騙されるようになる。
バブル崩壊後は、こうして転落に次ぐ転落。
徹底的に牙を抜かれ、ほとんど無権利の非正規雇用者ばかりになったところで、最後の仕上げがアメリカへの日本売却だ。

国鉄分割民営化からバブル、その崩壊という過程は、国民としても労働者としても権利を主張することのできない日本という「商品」を作り上げる工程だった。
そして、小泉劇場と言われたアメリカへの徹底した隷従政策は、その「商品」を激安でアメリカへ売却したことを意味する。
ロンヤスの中曽根が着手し、ポチ小泉が仕上げた というわけ。

■■
売却された日本からは、豊田商事や和牛商法も真っ青の、巨大詐欺に金が吸い上げられていった。
農協(農林中金)をはじめ、国民の財産を預かっている金融機関は、かつてのバブルの反省なんてどこへやら、アメリカ発金融バブルにジャブジャブと金を投じた。

和牛商法だって、いない牛を「いる」と信じている限りは、見かけの利益を生み出す。
しかし、本当にいないと言うことが明らかになった時点で、すべての投資は紙くずになる。
金融工学なんて言うものは、普通に考えたらこれと同じだ。

ないはずの利益や財産を、「ある」と信じさせて投資をさせた。投資が増えていく限りは、利益が出た。
しかしもちろん、ないものはない。それが最初に露呈したのが、サブプライムローンだった。
1年以上前に露呈したにもかかわらず、売り渡された奴隷であるだけに、まだまだ金を払い続けた。
そして、いよいよ手じまいが始まったのが、リーマンショックだ。

この10年間で、天文学的な財産をため込んだ連中は、しっかりとその財産を隠してから、次々と倒産、破綻しはじめた。
もっと破廉恥なやつらは、税金で救済しろと脅迫をしている。

それでも、日本以外の労働者は、だまって唯々諾々とされるがままにしているわけではない。
何をされても、ひたすら我慢して自殺者だけが増えていく日本。
世界でも、唯一の国。

ストライキ続出のアメリカとストライキが姿を消した日本

こんな記事を見ると、いかに日本が飼い慣らされた奴隷かということが分かる。

■■
かくして、この悲惨な年末はやってきた。
失業者はうなぎのぼり、中小企業は毎月1200社以上が倒産し、そんな国民をほったらかしにして、麻生はのんびり、まったりと冬休みだ。

首相、ホテルで会食、本7冊購入 「冬休み」初日
2008/12/27 共同通信

まあ、のんびりするだけならまだ良い。
ちょっとでも反抗して、生きる権利を主張するものには、こんな仕打ちが。

「8歳名指し 前代未聞」東村ヘリパッド

この件は、昨日のきっこの日記ですでにご存じの方も多いかもしれない。
8歳ですよ。小学校2年生くらい。。。。 こんな国で、普通にしていて普通に生きていけると思いますか?

■■
このトンデモない地点から、なんとかして向きを変えるためには、まずはこの20年が敗北の歴史だったことを、しっかり頭にたたき込まなくては。
目先のアホらしいニンジンにつられて、大事な権利をぜんぶ投げ捨ててきた、私たち自身の敗北の歴史。

もちろん、それに易々としたがってきた「革新」勢力の情けなさは目に余るけれども、今更それを言っても何も生み出さない。
まずは、自分のこととして、負けてきたこと、騙されてきたことを自覚したい。

そして、それをひっくり返すためには、理想論を蕩々とならべるのではなく、できることをやる、という積み重ね、実績作りが大事。
その意味で、民主党中心で政権交代することは、やはり大きい。

民主党がなんぼのもんや、という意見も多いけれども、そんなことは問題じゃない。
いい加減にしろ という気持ちが、政権交代 という結果につながるという実績を積み上げること大切なんだ。

一歩でも,半歩でも、足を動かしていこう。
今は、とりあえずそう思う。


2008-12-24(Wed)

社会のダイエット(あるいは拒食症)

アメリカの金融バブルが崩壊しただけで、ここまで急速にすべてが落ち込むとは誰も思っていなかっただろう。
倒産とかクビキリとかいう言葉が、おはようやこんにちはと同じくらい普通に飛び交うようになってしまった。

ある意味では、これは社会のダイエットとも言えるかもしれない。
金融バブルなんていう詐欺行為は、たまり貯まった脂肪のようなもので、なくなってちょうど良い。
これを機に、本来の生産活動に軸足が戻れば、今回の金融危機も悪いことばかりではないということになる。

しかし、事態はあまり芳しくない。
ダイエットならぬ拒食症になっているようだ。
年に何千万、何億という金を懐に吸い取ってきた吸血鬼のような連中が生き残り、生産の実態を担ってきた労働力が片っ端から切られている。
まるで、脂肪を残して筋肉を減らしているようなものだ。

このまま行けば、終いには心臓を動かす筋肉まで衰弱し、心肺停止になること間違いなし。
どうあがいても、日本経済の復活はアリエナイ。

これは、脳みそまで脂肪に支配されてしまったことが最大の原因だろう。
働いて稼ぐことがバカらしいことのように言われて久しい。
ここらへんで、大逆転といきたいところだけれど、実際は働くものが一番馬鹿を見るという構図は何も変わっていない。

まるで、ダイエットしているつもりで拒食症になってしまったようなもの。
何兆円も金を貯め込んでいながら、働くものをバサバサと切り捨てる大企業。
何兆円もの税金を,、景気対策という名目で、農協や銀行の救済のために吐き捨てる政府。
本当にこれはヤバイ。

なんとかして、体力が少しでも残っている内に方向転換しなくては。
まずは、政治を変える必要もある。
そして、同時に一人一人の生き方を考え直す必要もあるだろう。

来年は、そんな転換の年になる。
心して、行く末を考えていきたい。




2008-12-18(Thu)

麻生クビキリ内閣

キャノン、トヨタ、日産・・・・・・ 日本の名だたる大企業が、軒並みカイコカイコの大合唱だ。

いったい何十万人、何百万人の失業者があふれ出すことだろう。
史上最高の利益をたたき出していたときには、ワーキングプアを大量に生み出し、ちょっと景気が悪くなったら恥も外聞もなく一気に解雇の嵐。
何の迷いもないこの暴挙を見て、御手洗の言うような「苦渋の選択」だと感じる人がいるだろうか?

むしろ、「この時を待ってました」とばかりの大量解雇ではないのか、という気がしてくる。
この日のために セッセと非正規化を進めてきたのさ ふふふん♪
ご機嫌な御手洗たちの歌声が聞こえてきそうだ。

さらに、これだけ一挙かつ大量の解雇は、非正規社員だけにとどまらないだろう。
組合すらない中小企業では、正社員と非正規社員は紙一重だ。
と言うか、多くの場合、経営者ですら紙一重だ。

大企業の社員は、さすがにすぐには解雇しにくいだろうが、現在の非正規社員の大量解雇がまかり通った暁には、正社員解雇のための条件に手を伸ばしてくるのは間違いない。

■■
だいたい、こんな急激な国を挙げての大量解雇は、不景気をますます加速するのは誰の目にも明らかだ。にもかかわらず、体力のありそうな企業から真っ先に解雇を強行しているのは、なんらかの目的があると見るべきだろう。

それはおそらく、新たな財閥の形成、資本の大再編ということでないか。
戦後の財閥解体は、不徹底なものではあったけれども、国の方針をまるごと牛耳ってしまう巨大財閥の力を削いだ。
それが、トヨタなどの新興勢力の勃興や、アメリカ資本の介入を経て、新たな形で再編復活されようとしている。
いくつかの資本グループの談合で、国の方針がすべて決まってしまうような状態を作り出そうとしている。

そのためには、資金を貯め込んでいる会社ほど、早いことクビキリをして資金を温存し、財閥の地位を固めようとする。
出遅れた会社は、支配されないように、やはり資金を残そうとしてクビを切る。
もう、生産や景気など二の次である。

■■
今年の7月以降、日本の株式市場の半分をしめる外国人投資家は、売りまくりになっている。
一方で、国内の個人や法人は、実はせっせと株を買っている。アメリカ資本による買収から、国内財閥による再編へと転換していることが垣間見える。

「外国人」8年ぶり売り越し 今年の国内株取引
2008年12月15日 読売新聞

当分は、アメリカ資本が売り浴びせで株を下落させ、国内資本が資本支配のために株を買い支える、という暗闘が続くだろう。
底を抜いてから買い戻せばアメリカ資本の勝ち、ほどほどに値を下げたのを良いことにうまく買い占めをできれば国内財閥の勝ちだ。

だから、とりあえずは株の下落は日米同盟で進行していく。
そして、その株下落をも景気悪化のアジテーションにして、どんどんクビを切り続ける。

■■
こうした流れが進行しているのでは、という目で麻生内閣の迷走を見てみると、やはりこれは確信犯だろうと思われる。
誕生と同時に「不景気だ、リセッションだ」と叫んだのは、ただアホだからではない。
不景気を回避したいのならば、まず景気対策を考え実行してから、リセッション入りしたと宣言すればいい。
しかし、麻生のやったことは正反対だ。まだ実質的な被害が広がる前に、大声で「不況だ不況だ」と騒ぎまくって不安感をかき立て、その挙げ句に景気対策はどんどん先送りして、不安感を絶望感にまで育て上げた。

これはどう見ても、意図的だ。
「この際、ばっさりと人員整理するから、不況だ不景気だと大騒ぎしろ」 「それで浮かした資金でどんどん企業買収するから、当分は株が下落するようにしておけ」 という国内財閥組の意向と、「二束三文になるまで株を下落させたら、一気に買い戻すから、とことん暴落させろ」 「その後は日本の会社の利益はアメリカのもんだ」 という寄生虫アメリカ資本の意向の、両方が一致して麻生の「不況だ~」の絶叫になった。

というわけで、麻生は景気を悪くして、企業のクビキリを応援するために誕生した総理大臣だ。
支持率が下がるのなんて、最初から分かっていたはずだ。
最後には使い捨てられるのは分かっていながら、「悪いようにはしない」なんて言われてその気になってしまう、下っ端悪役のようなものだ。

だから、いくら支持率が下がっても、麻生は自分で解散はしない。
さいしょからそのつもりだ。
来年9月までメチャクチャをやり通して、その後は財閥の一員として悠々自適の余生を暮らすのだろう。

■■
政権交代をしないことには、地獄が目の前に迫っている。
自分では解散する気のない麻生を、いかに解散に追い込むか。

続々と増え続けるクビキリ被害者の怒り、予備軍の不安を、どう力に変えるか、にかかっている。
その点では、民主党が「政局」を作ろうと努力していることは評価したい。
むしろ、社民や共産のほうが、形式主義にこだわって本気でケンカをする迫力がない。


民主など3野党、雇用法案の参院強行採決へ 政府与党に「踏み絵」戦術

2008.12.17 産経

雇用法案:18日採決強行 民主独走に自公反発

2008.12.17 毎日

何百万に上るであろう解雇の恨みを真剣に受け止めない野党は、存在意義を失うだろう。
恨みと怒りと不安を、解雇した社長や上司だけでなく、麻生に対してぶつけよう。
とにもかくにも流れを変えなくては、生きていく道筋が立たない。


2008-12-15(Mon)

日本のアイデンティティーを破壊したのは誰だ

迷走する麻生政権に,今さら何を言っても始まらないが,こうした混乱と絶望が日増しに高まる時期は,ファシズムを醸成する。

今のところ,それを担えるだけのタマが出て来ていないけれども,これからの数年は非常に危険であると思う。

見えている範囲で一番危険なのは,やはり我らが知事殿だ。
橋下徹というキャラは,ファシストとしての条件をしっかりと備えている。

麻生太郎や安倍晋三のような御曹司では,真性ファシストは務まらない。もっと「庶民的」な出自をもち,ある種の共感を呼ぶ資質が必要だ。
また,権力そのものではなく,一見権力に逆らっているような姿勢も必要だ。
そして,民衆の味方のような顔をして,人間のもつ一番いやらしい部分をくすぐって糾合する。

もう一つ,必須のものは,親衛隊のような暴力装置だ。
これについては,橋下がどれだけの裏部隊を抱えているのかは確証がない。
ただ,一部では許永中との関係も取りざたされるように,何が出てくるかは分かったものではない。

■■
さらに,日本の場合これに天皇教が加わる。
明治時代に創設された天皇教は,日本人の心を操る道具として,未だに健在だからだ。
「この次のオリンピックのほうは目指しません」と,天皇を前にしてもしゃあしゃあと言ってのける若者もいるけれども,ほとんどの大人は固まってしまってマインドコントロールそのものだ。

先代の戦争責任の問題や,税金で食わせてることなどを差し引いても,道であったら「こんにちは。いつもテレビで拝見しています。」とか言うくらいの普通のおじさんだ。そのおじさんを見て,「ありがたい」なんて感じるのは,もうすでにオウム状態なのだけれども,あまりにも多くの人がマインドコントロールにハマっているから,問題にもならない。

だから,ファシズムが台頭してくるとしたら,天皇教を目一杯使ってくる。
もちろん,使う人間は天皇個人を尊敬しているわけでもなければ,崇拝しているわけでもない。
鈴木邦夫のような本気で天皇が好きな右翼は,むしろ希であり,本流にはなれない。
麻薬の売人は,自分では決して使わないのと同じなのだろう。

それにしても,なんで天皇教信者がこんなにも多いのか,私は子どもの頃から不思議だった。
今の皇太子が,私とほぼ同世代だから,ニュースで「ひろのみやサマ」という言葉を聞く度に,なんで同じ年格好のこどもが「サマ」なのか,変だなあと子ども心に思っていた。

その秘密が,最近になって少し分かるようになってきた。
それは,お寺や神社によく足を運ぶようになったせいだ。

ウチの事務所の近くに,素戔嗚尊を祀った神社がある。小さいけれどもなかなかいい場所で,わりとよく行って参拝する。もちろん,現存する神社は好むと好まざるとにかかわらず,天皇教に組み入れられていることは知っている。
けれども,もともとの神様というのは,そこら中にいたのであって,本来は天皇教とは関係ないものだと思っているから,あまり拘らずに気に入った神社では参拝する。

さらに,最近は吉野林業との関係で,世界遺産にもなった大峯修験のことをちょこっと勉強してみる機会も出てきた。
内田康夫の小説で有名になった天河大辨財天社には何回も足を運んだし,先日は金峯山寺の蔵王堂や吉野水分神社などの世界遺産にも行くことができた。

そんななかで,明治政府の廃仏毀釈という暴挙を改めて思い起こし,今でも修験に息づいている草の根の精神や,平和への明確な方向性を見ることができた。
蔵王堂で購入した「はじめての修験道」という本では,世界遺産に指定されたことに関して,ユネスコ憲章の前文を紹介していた。

戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。(後略)

恥ずかしながら,この本をキッカケにして始めてユネスコ憲章を読んだ。
あえて言えば,心の問題だけで戦争は始まるのではないが,逆に,政治経済の問題だけで平和は獲得されない。そのことも,前文では書いてある。

政府の政治的及び経済的取極のみに基づく平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。

日本にある世界遺産のうち,どれだけがこの精神を自覚しているだろうか。原爆ドームを除いては,ほとんど無いのではないか。だいたい,文部科学省の中に置かれている日本ユネスコ協会のホームページからこのユネスコ憲章を探すのも,結構大変だ。トップページどころか,4層目までたどって行かなくては出てこない。
世界遺産活動はトップページに大きなタグがあるけれども,いくら見ても憲章の精神については説明がない。

このようにまるで観光産業と化したユネスコ世界遺産を維持していくために,あえて憲章の平和思想を持ち出す吉野大峯修験の懐の大きさは,すごく好ましく思える。
そして,神仏混淆の修験の世界こそ,平和をめざす世界遺産に相応しいと,この本は言う。

日本は全国土の7割が山といわれている。有史以前から日本列島に住み着いて,精神文化を築き続けてきた私たちの先祖たちは,山や大自然からもたらされる豊かな恵みのなかで,多神教的な風土にもとづく歴史を積み上げてきた。
それゆえに,日本人一般の信仰は,その原点をたどれば,自然のなかで,日本古来の神々をも,外国から来た諸仏諸菩薩も,まったく分けへだてなく,敬い拝むという多神教的な風土の大らかさに根ざしていたはずなのである。


まさに,こうした精神の大らかさを育むためにこそ世界遺産というのがあるのではないか,と言うのである。
続けて,さらに,

ところが,このような日本固有の精神文化は,明治の欧米化や近代化政策によって,次第に捨てられかえりみられなくなってしまった。昨今の殺伐とした社会のなかで,人々の心が荒廃し,かつては想像もできなかった事件が頻発する原因もまた,日本人がこうした民族のアイデンティティを喪失していったがゆえと思われてならない。

ここで,民族のアイデンティティという,用語としては右翼が好む用語が出てくる。これを読んで,私はハタと思い至った。
日本人のアイデンティティとは,天皇教なんて関係無い多神教,分け隔てのない神仏混淆なのだと。
天皇を頂点にいただき,それの下に連なるような天皇教の八百の神なんて,多神教とは言えまい。あくまで,絶対神の天皇を想定するのだから,限りなく一神教に近い。

しかししかし,明治政府が実に巧妙だったのは,天皇教を日本人のアイデンティティである多神教の上に載っけてしまった,もっと言えば乗っ取ったということだ。
老木や巨石や山を拝んでいた日本人に,その親分は天皇だと強制したのである。
分かりやすく言えば,トトロに飼い主がいて,なんとそれは天皇だった,というストーリーを用意したのだ。

明治の初期には,キリスト教を国教にすべきだという議論もあったらしい。なにせ,新しい国家を正当化するための宗教が欲しかっただけだから,使えるものなら,キリストでも天皇でも何でもよかった。
この時,もし明治政府の国教を一神教のキリスト教にしていたら,これほど深く長く日本人を洗脳することはできなかったかもしれない。

ところが,明治政府は国家神道という巧妙な作戦をとった。
これによって,アイデンティティとしての多神教的な心情を国家に簒奪され,操られてしまった。

■■
さて,戦争は終わった。とにもかくにも戦後というモノが始まった。
ここでも,天皇教は生き残った。

生き残るために犠牲にしたモノはあまりにも多い。
沖縄を身代わりに差し出したという話は有名だが,これまで述べてきた日本人のアイデンティティも,自らの生き残りのために生ゴミのように投げ捨てた。

毒を喰らわば皿まで と言うが,天皇教のとった戦術は,皿を捨てて見せて毒を隠し持つという手法だった。
天皇教を図らずも載せてきた多神教的な日本人の心情,アイデンティティをファシズムのバックボーンのように見せかけて,本当の毒である天皇教の方を温存した。

戦後の日本をめぐる混乱は,ある意味全部ここに端を発する。
本当の毒である天皇教,それを利用して戦争を起こした責任,それらをはっきりと断罪できていれば,本来はあるがままの皿であるアイデンティティまで投げ捨てることはなかった。
それを,天皇教の身代わりで捨てさせられた日本人は,経済復興しか共通の価値観をもてなくなってしまった。

だから,高度経済成長までは,かろうじて共通基盤を設定できた。
それが行きづまり,心の時代とかなんとか言われるようになってからが大変。
片や無批判に天皇教を載せたままの皿を復活させようとするし,片やその間違いを自覚する勢力はあるがままのアイデンティティをも罪悪視する。

この不毛な二元論をうち破る力が,本来の多神教的な心情にはある。

考えるまでもないが,「いただきま~す」と言って手を合わせるとき,だれも天皇のことなんて考えていない。
神社で柏手を打つ人の99.9%は,その神様がどこのどなたかも知らないし,どのように天皇につながっているかなんて思ってもいない。
それでも,手を合わせたり柏手を打ったりすると安心するのが,天皇教やそれ以前の儒教にも壊されなかった日本人のアイデンティティなのではないか。

巨木やご飯粒にも神性を感じることのできる能力は,先の本を書いた田中利典さんや正木晃さんの言うとおり,心の中に平和の砦を築くことにもつなげていける。
もちろん,天皇教に乗っ取られて戦争の精神を体現した実績も忘れてはいけない。

■■
私がずっとこだわってきた「反戦な家づくり」ということと「木の家」ということが,ここでハッキリと結びついたような気がする。

「木の家」というのは,様々な科学的・工学的な説明もあるけれども,つまるところ信仰心だと思う。
家になってくれる木に,手を合わせて住んでほしいということ。

しかし,それだけではその信仰心は,命を本当に大切にする保証はない。
天皇教というウイルスに対する抵抗力は極めて弱い。
だから,もう一つ「反戦な家づくり」というキーワードが必要になる。
そんな思いで,これからも木の家づくりをしていきたいと思う。

そして,自覚的無自覚的に日本のアイデンティティで悩むすべての人は,天皇教によってうち捨てられた心情を取り戻さなくては救われない。
そのためには,まず天皇教をきちんと批判できるところまで,洗脳を解除しなくてはならない。


早晩,麻生政権はみじめな終末を迎えるだろう。
その時が,チャンスでもありピンチでもある。
万が一,天皇教を守護としたファシズムがしゃしゃり出てきたとき,自信をもって否定できるようにすること。
それが,木を崇拝する木の家づくりの実践なのだろう。

2008-12-08(Mon)

木の家の敵=農林中金の実態

私のような木の家が大好きな連中が、なんとか日本の林業に頑張ってもらいたいなんて思っているのを尻目に、日本林業のメインバンク・農林中金は、マネーゲームに現(うつつ)を抜かして大損した挙げ句、理事は何千万もの高給をむさぼっている。

証券化地獄、まだ序の口
幻想だった「邦銀優位」、農林中金の巨額損失で明るみに

2008年12月8日 日経ビジネスオンライン

農林中金の総資産は9月末で58兆円。このうち貸出金はわずか9兆円弱で、40兆円余りが有価証券などの投資に回っている。金庫自体がいわば巨大な「投資ファンド」なのだ。有価証券のうち外国債券で9728億円の評価損、証券化商品などで9769億円の評価損が出ている。

なんと言うことだろう。
マネーゲームというべきか、アメリカの言いなりに証券を買いまくったと言うべきか、ドブに捨てた40兆円のウチ、1兆円でも全国の森林に投じていれば、息を吹き返した林業地も数多くあっただろう。
もちろん、林業自身の問題も多々あるので、資金を投じても無駄に浪費してしまうケースもあるだろうが、わずかに1千万円の運転資金が無いために事業を回せない、という歯がゆい思いをしていることも多い。

農業にしてもしかりだ。
食糧自給率を,一番心配しなくてはならないはずの農林中金が、農家から吸い上げた金をセッセとアメリカ資本に貢いでいるというのだから、まったくお話にもならない。

そして、その張本人の理事長・上野某は、年間4100万円の報酬をボッタくっている。

JA農林中金理事長の報酬は4100万円 歴代全員が農水省事務次官
2008.10.29 国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行

なぜ、宮崎氏のブログを引用したかというと、新聞サイトは全部、記事を削除されているからだ。
「農林中金 報酬」でニュース検索しても、まったく出てこない。

こんなに意図的なことをする理由は明らかだ。
麻生内閣が、国民生活も中小企業もほったらかしで、景気対策なんてどこ吹く風で進めている「金融機能強化法案」を成立させるためだ。

今分かっているだけでも、アメリカの詐欺にマンマと(自ら進んで)引っかかった損失が2兆円。まだまだふくらむ可能性が大きい。これを損失確定で投げ売りさせることなく、農林中金を存続させるための法律が「金融機能強化法案」だ。

茶番とはいえフォードなどビッグスリーはトップの報酬を1ドルにするというのに、上野理事長は4100万からびた一文まける気はないらしい。もちろん、引責辞任なんておくびにも出さない。

副島隆彦氏によれば、理事長・上野の側近である専務理事・高谷正伸が、ロックフェラーの子飼いとのこと。
この高谷とやらは、今年の8月に至っても、こんなことを言っている。
takatani.jpg

農林中金:証券化商品への投資、1-2年で6兆円以上拡大へ

2008.8.25 ブルームバーグ

高谷氏はクレジットカードや自動車ローンからのキャッシュフローを裏付けとした証券や債務担保証券(CDO)、融資担保証券(CLO)への投資を計画している
農林中金が44兆円規模の投資ポートフォリオでの証券化商品の割合を、37%から50%に引き上げる方針




もう、あきれてものが言えない。
この底抜けの大馬鹿どもの責任を問わずして、税金で救済など、まったくもってトンでもないことだ。

と同時に、本業である農業と林業の振興を、完全にほっぽらかしにした責任も問わなくてはならな
い。
上野や高谷などといった連中が、日本の農業と林業をどん底へと引きずり込もうとする現行犯だ。

木の家が好きな人は、こういう連中の罪悪を決して忘れてはいけない。
そして、こいつらに税金をくれてやるための「金融機能強化法案」に夢中になっている麻生のような政治家は、早いこと消えてしまってほしい。




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