2014-10-30(Thu)

株価崩壊とドミノ辞任 (後編)

1年半にわたって、何も出てこなかったスキャンダルが、ものすごい勢いで噴き出している

辞任した二人以外にも

塩崎厚労相 厚労省関連の業界団体などから献金、地元老人ホームへの秘書による口利き
西川農水相 実刑判決の安愚楽牧場から献金、親族企業からの物品購入
望月環境相 賀詞交歓会での支出が別の会合への支出と判明
江渡防衛相 資金管理団体から江渡本人へ寄付、政党支部からも本人に寄付
宮沢経産相 SMバーへの交際費支出、外国人企業からの献金、東電株所有
有村女性活躍担当相 脱税で罰金判決を受けた企業から脱税発覚前に寄付
BLOGOS 安倍政権を窮地に追い込むことになった右傾化と金権化 より)

そして麻生財務相と安倍晋三本人にも

“SM大臣”が霞む…安倍首相&麻生大臣「政治資金」放蕩三昧
日刊ゲンダイ 2014.10.26


安倍首相と麻生副首相、政権2トップの政治資金の使い道はそろってデタラメ。目に余る放蕩三昧で、一方はキャバクラ、一方は「元愛人」の店に入り浸っていた。
 安倍首相の資金管理団体「晋和会」の10~12年分の収支報告書をみると、「行事費」という名目で多額の飲食代を計上。その規模は3年間で3000万円近い。
(略)
麻生大臣のデタラメ支出だ。資金管理団体「素淮会」の10~12年分の収支報告書によると、「交際費」名目で消えた飲食代は12年分だけで3000万円を突破。3年間の総額はナント、1億円近くに上る。

(引用以上)

改造前の面々が清廉潔白だったとは信じられないので、ここにきてこうした不正情報がダダ漏れになっているのは、あきらかに何かの意図がある。
メディアに対して、「流してよし」という指令が流れたのである。
安倍晋三に、「もう降りろ」という勧告であるし、「アベノミクスはもうお終い」という意味でもある。
日本のメディアに対してこんな指令を流せるところと言えば、米国方面しかない。

米国の指示で云々という話をすると陰謀論者というレッテルを貼る人がいるが、形だけの独立国である日本には、総理大臣をトップとする表の系列と、米本国からの指令を受ける裏の系列があることなど、もはや周知の事実だろう。幻の小沢政権を葬り去った裏の系統は、厳然として、ある意味普通に存在する。陰謀などと言うオドロオドロシイものではなく、普通の顔をした官僚や検察やマスメディアである。
この裏の系列の許可なしに、メディアはこのような不祥事オンパレードを報道できない。だから、改造前は全く何も出てこなかったのだ。

ではなぜ、安倍政権は「おしまい」と言われているのだろうか。
もちろん前編で書いたようなネオナチに対する拒絶・抑制もある。が、何よりも大きいのはアベノミクスの賞味期限が切れたということだ。

アベノミクスの3本の矢とは、金融緩和(お金ジャブジャブ)、大型予算(公共工事バラマキ)、規制緩和(公共の売り渡し) である。 1本目は、ジャブジャブとお金を刷って、投機資金を提供した。おかげで、国内企業への貸し出しはまったく増えずに、株価だけが上昇した。 2本目は、なんの脈絡もなく公共工事をばらまいて、一部だけ好況感演出した。 そして3本目は つまづいた。

米国、というか、米国を窓口とする多国籍金融資本が一番望んだのは、3本目の矢である。国民の財産、頭脳、公共財、公共サービス、そうした日本の「金目」一切合切を自由にする権利を手に入れたかった。
その手口は、TPPと特区とコンセッションだ。

TPPと特区はよく知られているので説明を省く。
要するに、外資の好きなように商売できるフリーハンドである。

問題はコンセッション。
これは、かの竹中平蔵氏がしつこく要求しているので、読んで見るとその欲望の深さが分かる

突破口は「特区」と「コンセッション」―“成長戦略”の要件④


空港・道路・上下水道などキャッシュフローを生むインフラの簿価は約100兆の規模(ネット)に達する。例えばこの半分の運営を10年で民間に開放すると、50兆円規模のコンセッションが可能であるということになる。
(引用以上)

一件公設民営で良いことのように見えるけれど、実態は、国民が何十年もかけて税金で作ってきた公共財を、格安に払い下げて外資の運用先にしなさい ということだ。

ところが、このTPPや特区やコンセッションについては、自民党も一枚岩では動かなかった。そうこうしているうちに、アメリカ国内でもTPPには慎重論が強くなり、合意が難しくなってしまった。 国際金融資本、いわゆる新自由主義の人々は、激怒したに違いない。

特区やコンセッションも、自民党の支持基盤である土着の利権者との利害が対立し、そう簡単には進まない。
何の利権も持たない私たちから見ると、土着利権屋というのは身近な悪の権化のように見えるけれども、外資との関係においては、むしろ国民利益を守る方向に寄与している面もあるのだ。

この土着利権を頭から「ぶち壊す」と言って登場したのが小泉純一郎であるし、橋下徹である。
しかし、なんやかんや言って、生活に根ざした土着利権は強いのである。小泉も橋下も、結局は風穴を開けるには至らなかった。

その点、安倍晋三は名門のお坊ちゃまとして土着利権とも関係しながら、米国にも忠誠を誓いつつ、心情的にはネオナチ、という三方美人をやらかしているのである。だから、なかなかにしぶとい。
これだかスキャンダルをぶちかまされたら、グラグラになるかと思いきや、無視していれば何とかなると思っている節がある。

■■

しかし、早晩アベノミクス、というか安倍政権には引導が渡されるだろう。
それはたぶん、株価の暴落というかたちでやってくる。

前提として知っておいていただきたいのは、日本の株式市場の、ストックで3割、フローで7割が外資だということだ。
東証で扱っている株の時価総額は約500兆円弱。そのうち3割は外資が所有している。およそ150兆円前後だ。

また毎日の株の売買の7割は外資によるものだ。日本人のマネーは3割に過ぎない。
だから、取引前に発表される外資系の注文動向を見ると、その日は上がるか下がるかがほぼ分かるようになっている。

参考→
外資系証券売買動向 日経平均比較チャート


安い円を買って日本の株をより格安に買える外資は、今年の夏まではどんどん買い増ししてきた。おかげで見かけの株高が演出され、外資の所有比率はうなぎ登りになった。
異次元緩和のマネーは、日本企業の投資へのではなく、こうやって外資を経由して日本の株を押し上げたのである。

しかし、見せかけのアベノミクスももう限界が見えてきた今、海外投資家は「売り逃げ」のタイミングを計っているだろう。日本人が買い支えている間に、少しでも売り抜けておきたい。
ただ、あまりにも所有比率が高くなってしまったので、一気に売り抜けることはできず、先月末から売り越し基調が続いている。10月だけで3兆円の売り越しであるから、1ヶ月で所有割合の2%を売ってしまったことになる。

10月第4週、海外投資家が日本株を374億円売り越し=現物先物合計
ロイター 2014.10.30


ちなみに、このマネーはおそらく日本の短期国債に回っている模様。短期に限って言うと、8月時点ですでに63%くらいが海外投資家が所有している。おかげで日銀が買い取ってマネーを市場に流そうとしても、売り物がないという事態が起きている。なんと、人気沸騰で金利がマイナスになっている。

短期国債の札割れで高まった「量」の壁
日経 2014/10/30


20141030-2.jpg

マイナス金利でも、株が暴落したら日銀が必死の金融緩和策でどっと買い取ってくれるから、絶好のヘッジになるということなのだろう。

■■

谷垣が年内解散を匂わせたのも、こうした動きを察知してのことだろうが、おそらく解散総選挙はやらせてもらえないだろう。株売り抜けはもう動き始めているし、ユダヤ系の影響も大きい国際金融資本が、自らの植民地でネオナチが主流になるのを許すはずがない。 安倍の辞任は時間の問題ではないかと思う。

ただ問題は、その後任は石破になる可能性が高く、私たちにとって事態はなにも好転しないということだ。
新自由主義にとって「良い政権」にするだけのことで、日本国民にとってはよりいっそう貧困の道を進むだけである。

ただその中でいくつかのことはあり得るかもしれない。

増税の延期。原発村の衰弱。辺野古の取消。

なぜならば、米国や国債金融資本にとって、どれも無駄な政策だからだ。

より金を吸い上げるには今は増税よりも減税だということは理論的に明らかだ。
日米原子力協定は日本に核武装させないためのものであり、特に原発推進のためにあるのではない。原子力にしがみついているのは、日本の土着利権なのである。
辺野古基地も同様。米軍にとっては必要ない。ただ、思いやり予算が欲しいから日本の側の「作らせてください」という要求を認めている。

こうした日本の土着利権が原因で米国や国際金融資本の真の利益に関係ないものは方針変更されていく可能性は、情勢次第ではあるかもしれない。

その一方で、金、資産、頭脳、公共財、公共サービス、すべてが容赦なく奪われていく。
もちろん、その中には自衛隊も入っている。集団的自衛権というのは、安倍がポーズつけているような右翼的な話ではなく、自衛隊という軍事財産を人間ごと米軍に差し上げます、ということなのである。TPPの軍事部門と言ってもいいかもしれない。

短期国債や株は外資の所有が増えているが、その一方で郵貯&かんぽマネーはドドドッと米国に流出している。

20141030-1.jpg
ゆうちょ資産研レポート 2014.9 より)

真ん中へんにある「外国債」が、近年急増しているのが分かる。
この資料は郵貯分だけなので、かんぽも合わせるとおそらく30兆円くらいが、すでに絶対に返ってこない米国債に消えている。
こうやって、350兆円の日本人の虎の子は、あれあれと思う間に消えていくのだろう。

国民の年金積立金であるGPIFも、早晩同じ運命になる。
今話題になっているのは、株式投資の枠を12%から25%に拡大するとかいう話だが、たぶんそれは無いと私は踏んでいる。これは、海外投資家が株を売り抜けるまでのつなぎであり、「GPIFが買うからまだ株は上がる」という風説の流布ではないか。

GPIFは日本株24%に倍増・国内債40%か-新資産構成市場予想
10月30日(ブルームバーグ)


日本株は「ひとまずは『うわさで買って事実で売れ』といった反応になるかもしれない」と予想。
(略)
18日付の日経新聞はGPIFが国内株の目標値を20%台半ばへ大幅に引き上げる方向で調整に入ったと報じた。
(略)
外債と外株も合計23%から30%程度まで高める一方、国内債は60%から40%台に下げる方向

(引用以上)

本当の狙いは、最後の行、「外債を23%から30%」というところにある。
絶対に返ってこない米国債に、我々の年金の資金もつぎ込んでしまおうというのが、GPIF改革の本当の狙いだ。
たぶん、段階的にもっと多くが持って行かれることだろう。 

まさに、前門の新自由主義、後門のネオナチ である。
仮にネオナチが沈んだとしても、それで楽しい事態になるわけではないのだ。

■■

しかしそれでも、安倍政権が沈没すれば、やはり国民の意識はすこし動き出す。民主党裏切りの後遺症で、安倍政権やむなしの空気が貼りついていたものが、少しは風が吹き出す。

特に、沖縄県知事選挙でオナガ氏が勝ち、その勢いもふくめて辺野古をストップさせることができれば、たとえその背景に米軍の事情があったとしてもやはり、国民の意識は動く。
保革連合で闘うオナガ氏は、まさに「国民の生活が第一」と相似形である。沖縄の闘いを、本土の私たちもしっかりと学ばせてもらわなくてはならない。

そのために、選挙の直後、11月29日に下記の講演会を企画している。
沖縄の闘いを、保革連合のオナガ陣営のそれぞれの努力と思いを、玉城デニー議員から聞いてみたい。

昨年は糸数慶子さんをお呼びして革新の側からの沖縄をお聞きした。
今年は、一貫して保守の立場から基地問題にとりくむ玉城デニーさんに、デニーさんだからこそ見えること、話せることをお話しいただきたい。

質疑の時間もしっかり取るので、ぜひとも多くの方に参加いただきたい。

玉城デニー氏講演会

講演会は解散総選挙がほぼ確実のため、中止となりました。
詳細は、追ってお知らせいたします。


11月29日(土)18時開場 18時半開演 20時半終了予定

※玉城デニー衆議院議員のホームページはこちら http://d21tamaki.com/




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2014-10-25(Sat)

ドミノ辞任と株価崩壊の関係 (前編)

この世の春を謳歌していた安倍晋三に吹いていた風向きが、なにやら変わってきた。

小渕優子のどはずれた政治資金問題は、大臣辞任どころか逮捕されるべき犯罪だ。松島のウチワは、たしかに問題ではあるが、おそらく底をさらえば何十人という単位で出てきそうな同罪のものは出てきそうな気はする。

20141025-1.jpgそして棚ぼたで大臣になった宮沢洋一のSMバーだ。小粒ネタではあるが、今後10年くらい日本人は宮沢の顔を見る度にロープやろうそくやムチを思い浮かべるだろう。NHKのアナウンサーが真面目な顔で「SMバー」などと放送したのは初めてではないか。

そして今日は、在特会界隈の5人が逮捕された。それも70日も前の障害事件でだ。逮捕したのは、警視庁の所轄でも刑事部でもなく、公安部だ。
暴行したから逮捕されたのではなく、「逮捕しろという判断」が下されたから逮捕されたのである。

在特会の仲良しと言えば、山谷えり子国家公安委員長だ。在特界隈の連中は、山谷先生が公安委員長だから何をやっても大丈夫、と思っていたのだろうが、ここに来て風が変わった。山谷の思い通りには動かない。

山谷は、拉致担当大臣でもある。拉致問題は、安倍政権は北朝鮮に手玉に取られている。平壌まで来れば話をしてやる、と言われて伊原局長が出かけて行くらしいが、ほぼ手ぶらで帰ってくるのは間違いない。そうなれば、山谷の責任問題になる。
そのタイミングでスキャンダルをかまされたら、まず沈没は免れないだろう。

山谷えり子は心の底からの極右であり、安倍晋三の心の友なワケで、もし山谷が沈没することになったら小渕や松島とはダメージの大きさは桁違いだ。

もう一人、ネオナチとの友好関係をひけらかしている高市早苗はどうか。
高市は、山谷と変わらぬ極右ぶりを見せているが、この人物はおそらく安倍にとりいるために極右をやっている。要するに、権力者にとり入るためならなんでもやる、というタイプの無節操な人物なのではないかと、私は見ている。

こういう高市のような人物は、しぶとい。ドミノ辞任の波を振り切って生き残る可能性は高い。
それは、高市の無節操さのみならず、バックにパソナがついており、パソナは竹中平蔵というネオリベ(国際資本)の日本エージェントの受け皿になっているからである。

なぜ隠す…高市早苗政調会長にパソナとの不透明な金銭関係(日刊ゲンダイ)

■■

話を分かりやすくするために、少し図式的に自民党を3分類しておく。

1.土着自民
 ワインや観劇や利権で地元の支持者の人気を取る、典型的な古いタイプの自民党。小渕はまさにこれ。松島も宮沢も同様。

2.極右自民
 日本民族至上主義のカルトチックな極右。山谷えり子や稲田朋美、西田昌司などを思い浮かべると分かりやすい。この連中は、たまに従米という自民党のレゾンデートルを忘れることがある。

3.ネオリベ自民
 ネオリベ、新自由主義、国際金融資本の手下。迷いのない従米。小泉純一郎&竹中平蔵が典型。野田や前原のように民主党のほうがむしろこの勢力は大きい。

前のときもそうだったが、安倍晋三というのは、この3つを融和させ、最終的に3のコースにもっていくのが至上命題だ。そのために、総理にさせてもらっている。
ところが、個人的な嗜好と人脈に引っ張られて、いつのまにか2のコースに深入りし引き返せなくなる。そして、腹が痛くなり辞任する。

ネオリベが望んでいるのは、日本の資産をソックリ差し出すことだ。金融資本はもちろん、これまで税金で作ってきた高速道路や鉄道やありとあらゆる公共資産も、自衛隊も軍需産業も、あらゆる知的財産も人材も脳みそも、全部 だ。

そのためのアベノミクスであり TPPであり 集団的自衛権だった。
しかし、安倍政権はもぞもぞと抵抗を試みた。TPPは時間稼ぎをおこない、その間に米国内の反対も高まってそう簡単に締結できなくなった。アベノミクスの金融面は思い通りに出させているが、土着利権に直結する公共資産についてはなかなか進まない。

土着利権を手なずけて、さっさと吐き出させるための安倍政権が、むしろ土着利権に絡め取られ始めた。それどころか、極右の本性を露わにして、大日本帝国ごっこを始めている。大日本帝国は、米国の敵国だということを忘れて。

今回、小渕と松島の後任に、明確なネオリベ系を用いなかったことは、おそらくネオリベ(国際資本)にとって許容できないことだったろう。安倍の抵抗と映っているはずだ。

それがどうやら、安倍政権に対する風向きの変化につながっているようだ。安倍晋三がせっせと天ぷらを食って手なづけたマスメディアが、安倍に同情的ではなくなってきた。

そして、この流れと、9月の終わりから始まった株価の下落は無関係ではない と私は見ている。

これについては、今日は時間がないので後刻つづきを書きたい。

■■ お知らせ

講演会は解散総選挙がほぼ確実のため、中止となりました。
詳細は、追ってお知らせいたします。


玉城デニー氏講演会
11月29日(土)18時開場 18時半開演 20時半終了予定

※玉城デニー衆議院議員のホームページはこちら http://d21tamaki.com/




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2014-10-03(Fri)

生活フォーラム関西・運営会議へのおさそい

明日 10月4日(土)18:00から 生活フォーラム関西の運営会議を行います。

先月、小沢一郎氏の講演会を行い、450人が集まりました。
次の一歩をどうするのか、これからの方向性を話し合います。

会員・会友の方はもちろん、フォーラムの運営に興味のある方は、ぜひのぞいてみて下さい。

場所は 討論バーシチズン (地下鉄堺筋線 恵美須町すぐ)
http://bar-citizen.jimdo.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/

費用は 会場協力費としてワンドリンク付500円です

興が乗れば、会議終了後、懇親会になだれ込むかもしれません。

2014-10-01(Wed)

沖縄県知事選  「承認撤回」を公約するのは是か非か

辺野古推進の仲井真現職と、辺野古反対で保革連合を実現した翁長雄志氏の一騎打ちかと思われた沖縄県知事選挙だが、喜納昌吉氏の出馬宣言で、急に外野席が五月蠅くなった。(もちろん私も外野席に過ぎない)

まず、問題を二つに分ける必要がある。
①喜納氏の出馬をどう評価するか
②翁長氏の公約で「承認撤回」を断言するべきか

①については、前記事でほぼ書き尽くしたので繰り返さない。
喜納氏の出馬は間違いである。
ついでに、こんな話も報道されている

喜納氏要請に連合対応変えず 沖縄知事選
2014年9月30日 沖縄タイムス


 沖縄県知事選に出馬を表明した喜納昌吉氏は29日、連合沖縄の大城紀夫会長と会談した。すでに翁長雄志氏を推薦した連合沖縄に対し、喜納氏は支援団体として自らと協力するべきだと指摘。一方で、大城氏は対応は変更できず喜納氏が出馬しないよう求め、この日の議論は平行線に終わった。

 喜納氏は(略) 現時点で2年後の選挙について県連と連合の協力の話し合いができれば、出馬しない可能性を示唆した。

(以上 引用抜粋。原文はリンクを確認してください)

これを読む限りでは、喜納氏の出馬は巷間言われているような<翁長氏に承認撤回を明言させるため>ではなく、<2年後の国政選挙での連合の支援とのバーター>だったようだ。口さがなく言うならば、<2年後に支援しないと知事選に出てやるぞ>という脅迫とも言えなくもない。
しかし該当部分は記事中の文言であり、喜納氏のナマの言葉ではないので、これ以上決めつけることは控えたいと思う。

いずれにしても、現時点で喜納氏の出馬を応援する人は、かなりピントがずれているか、辺野古反対派を負けさせたいか、のどちらかだと断じざるを得ない。

■■

さて、問題は 「公約で承認撤回を断言するべきか」

これも、二つの問題があると思う。
A) 承認撤回という手続きはできるのか
B) 手続きをとったときに何が起きるのか


■ A) 承認撤回という手続きについて

最初に9月13日の翁長氏出馬会見の言葉を確認しておきたい
翁長氏は朝日の記者の質問に対して、このように答えている

「まずは知事選に勝って、承認そのものを私たち県民の力で取り消して、そしてご相談をする中から 取消・撤回のあり方をみんなで力を合わせてやれるように頑張っていきたいと思います。」
(動画→ http://youtu.be/-VUlrQ_jj70 の5分から)

素直に読めば、「取消」はする。「取消・撤回」は力をあわせて頑張る。 と言っているように理解できる。
埋め立て承認の取り消しは、県民の力で知事選に勝利すれば、やる。逆に言えば、県民の力で勝たなければできない。と言っているとしか聞きようがない。

では何故、「撤回」については 力を合わせてがんばる という抽象的な言い方になっているのか。
「取消」 と 「撤回」 は同じではないのか?

会見のこの後の発言を見ていても、翁長氏は「取消」と「撤回」を分けて考えているようだ。
私も不思議に思って調べてみると、行政法によって「取消」と「撤回」は明確にべつのものだったのだ。

こちらのページの一番下のほうにその違いが完結にまとめておられる

行政行為の瑕疵 (行政法)

抜粋させてもらうと

<職権取消>
成立に瑕疵ある行政行為について行政庁が、自ら、自発的に、当該行政行為の効力を消滅させること。 (法律上の根拠は不要)
取消しにより不利益を被る者が出る場合は
・当該行為の成立に相手方の不正行為がかかわっていた場合
・相手方の既得の利益を犠牲にしても、取消す公益上の利益がある場合
に限り、例外的に職権取消しが認められる。


ということで、公有水面埋立法には取消の規定はないけれども、行政法によって行政行為(承認など)を取り消すことはできる。翁長氏が「承認そのものを取消」と言っているのは、この最後の項にあたるのだろう。
承認の過程での瑕疵(まちがい)と、取消す公益上の利益を明示して 取消処分を県として行えばいい。

では、撤回とはなにか

<撤回>
成立に瑕疵がない行政行為について、「新たな事情」を理由として、「将来に向かって」行政行為の効力を消滅させること。 (法律の根拠は不要)
取消と同様、「授益的行政行為」を撤回するには、制約があり(原則できない)
撤回した場合は、補償の要否が問題となる。

つまり承認までの手続きに瑕疵が見つけられなかったときに使うのが「撤回」である。
ただ、原則できない とカッコ書きがあるように、かなり困難な道になる。

以上から分かることは
・承認の過程での瑕疵
・取消す公益上の利益
を明示して行政法に基づいて「取消」をすることが可能

・承認過程での瑕疵が見つからなかった場合
「撤回」をするのはかなり困難

ということだ。


■ B) 手続きをとったときに何が起きるのか

たしかに「取消」手続きは可能だ。だが、見たようにかなり制約は多い。そして、それは承認に関する「受益者」である国との間で真っ向から見解がぶつかる点でもある。

「取消」をした瞬間に、国は県を訴えるだろう。その間は工事は止まる可能性は大きいが、昨今の司法の体たらくを見ていると、「取消処分を差し止める仮処分」なるものもあり得るのかとも想像する。(法的にありうるのかは知りません)
もしそうなったら、裁判の決着が着くまでは「国の権利」が保全されて工事が継続される。

もう一つの可能性は、国が「取消」を無視する ということだ。
一方的に「取消は無効だ」と主張して、知らん顔で工事を続ける。そうなると、県の側が国を訴えなくてはならない。
いずれにしても、裁判で勝つまでは工事は止まらない可能性があるということだ。

さて、最高裁まで闘って、絶対に県は勝てるのだろうか。もちろん、勝つべきだと思うし勝ってほしいと思う。しかし、判決を出すのは、あの最高裁だ。ほぼ、ろくな判決を出さない最高裁だ。
「取消」手続きを、唯一の武器として闘うと言うことは、最高裁に下駄を預けると言うことでもあるのだ。

そして、行政法の制約を考えたとき、最高裁がマトモな判決を出す可能性は、かなり低いと言わざるを得ない。
「承認の過程での瑕疵」 と 「取消す公益上の利益」 を最高裁に認めさせる努力はするべきだが、それで「絶対に勝てる」と言うのは精神主義、特攻主義の誹りを免れまい。

まして、瑕疵を認められなかったから「撤回」をする、というコースは限りなく困難を伴う。
知事の権限と裁判のみでは、ほぼ勝てる見込みがない。その針の穴を通す闘いは、まさに「みなの力で」、運動の力、沖縄だけでなく日本の政権をかえる力をもってしなくては、勝利は覚束ない。

こうして具体的に見て見れば、翁長氏の言う 取消はするが、取消・撤回はみんなの力で ということの意味が分かる。

■ 何が起きるのか その2

さらに、県が承認取り消しをして、国と全面対決になった時に何が起きるか。

自民党政権は、まず間違いなく兵糧攻めをしてくる。
安倍が仲井真に約束した3000億円を7年間、という沖縄振興予算は、現実に基地負担を押しつけられている沖縄にとって受け取って当然の金であり、大田知事時代よりもずっと少ない。
それでも、県の予算は6~7千億円規模であり、振興予算は県民生活にとって大きなものであることは間違いない。どんな汚いことでもやる安倍政権のことだから、これを大幅にカット、ストップしてくるだろう。

通常予算以上の金を積まれて寝返ると言う話ではなく、通常予算の何割もの金をストップされることを心配するのは、保守とか革新とかに関係なくあたりまえのことだ。まして、県政をになう知事を目指す以上は、深刻にとらえるのが当然であり、安易に全面対決を煽るほうがおかしい。

安倍は、振興予算をバッサリ切り捨てておいて 「これは翁長氏のせいだ」「基地反対派のせいだ」「革新が翁長氏をそそのかしたせいだ」とキャンペーンするだろう。その時に、いかにオール沖縄をくずさずに反撃するのか、たぶん翁長陣営はそれを考えているだろう。
公約の表現が、「埋め立て承認を撤回します」から「承認撤回を求める県民の声を尊重」に変わったことの背景には、先に述べた法律上の問題とともに、この兵糧攻めといかに闘うかという問題があるはずだ。

承認取り消しの闘いは、「知事さんがんばって」ではすまない、県民ぐるみの長い苦しい闘いになるだろう。それが分かっているから、「知事がやる」ではなく「みなでやる」ということにこだわるのではないか。

たしかに公約には「承認の取り消しをする」と明記するほうがいい。それに越したことはない。当然だ。
しかし、それを見て「えっ 全面対決になったら振興予算が削られる」と怖じ気づく人もたくさんいるのが偽らざる事実だろう。だからこそ沖縄といえども知事選では自民党が勝ってきた。

そのことを観念的に否定して、多くの中間層をバサッと切り捨ててしまうことが良いことなのだろうか。
外野の私が是とも非とも言い難いが、少なくとも現在の翁長陣営は、保革共闘を優先し、「切り捨てない」という選択をしているのだろう。

重要なのは公約に断言することよりも、断言できる県民のコンセンサスが作れるかどうか、ではないのだろうか。
いわゆる革新系は、一も二もなく賛成するが、保守系というか辺野古は反対だけど国との全面対決もちょっと・・ という中間層にどう納得してもらうのか。ことは市民運動ではなく、勝ちか負けしかない選挙だ。慎重を期すのは当然だと、私は感じる。

外野から「撤回断言しろ-」と叫ぶ人たちは、こうした法律上の困難さ、県民生活の不安を分かって言っているのだろうか。無責任に過ぎはしないだろうか。

■■

以上のような予期されることは、沖縄では充分に意識されているのだろう。
むしろ、あまり声高に言うことで、悲観論になることは避けなければならない。困難だけれども、まず知事選に勝つことで、最初の扉をこじ開けよう という翁長陣営の意気込みや良し である。

わざわざ「困難なところを切り出してみせるこの記事のようなものは、不要なのかもしれない。
が、私を含めた県外、本土の人間はやはり、沖縄がどんなに困難な闘いに挑んでいるのかと言うことを知っておく必要があると思い、あえて書いている。

そして、本土の私たちが、本気で取り組まなくてはならないのは、政権交代だ。
承認撤回を巡る裁判は何年もかかるだろう。その間に政権交代が実現できれば、それが一番の沖縄への支援でもある。

私自身は、辺野古へも選挙応援にも出かけることはできないけれども、政権交代に向けての市民レベルでの足掻きを続けていこうと思う。




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明月 こと 山岸飛鳥

Author:明月 こと 山岸飛鳥
木の家プロデュース 明月社 主宰
一級建築士
趣味 キコリ 畑
取り柄 貧乏
Email : info@mei-getsu.com

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