2021-04-06(Tue)

「感動・勇気・感謝」の押し売り

スポーツ選手や歌唄いが、誰も彼も口をそろえて「勇気を届けたい」と言い出したのは、おそらく2011年からだろう。

大震災の深い傷を横目に、エンタメを再開する言い訳に、たぶん電通あたりが考え出したフレーズなのだろう。
もはや、「勇気を届ける」ことがスポーツや芸術の目的かのようになり、「勇気を届けない」エンタメは外道のように見られている。

10年間聞き続けてきて、ずっと違和感を感じてきた。
よくもまあ、そんなおこがましいことが言えるよなあ と。

たしかに、鍛えられた選手のプレーや、いい音楽を聴くのは、とても面白い。
わたしも見るのは大好きだし、彼ら彼女らに文句を言うつもりはない。

真似できることではないし、本当にすごいと思う。
なんなら、時と場合によっては、それを見て勇気がわいてくるときだってある。

でも、プロフェッショナルがめざすのは、「勇気を与えること」ではなくて、その技を芸を、突き詰めて完成させて、届けることなんじゃないだろうか。
それが、結果として感動したり、笑ったり、すかっとしたり、勇気がわいてきたりするものでしょう。

志村けんのコントだって、亡くなってからなんだか「すごい人」感満載の特集がたくさんできたけど、志村さんはきっと、「勇気を届ける」とか大層なことじゃなくて、「笑わせたい」「笑ってもらいたい」と、トコトン思ってたんじゃないだろうか。

もう、選手やコメディアンやミュージシャンを、自由にしてあげませんか。
「勇気を届ける」なんていう免罪符を振り回さなくても、自由に芸を追求して、披露するでいいじゃないか。



なんでこんなことに拘るかというと、芸事にいちいち「勇気を届ける」を義務化する現在の姿は、まるで戦時中の戦意高揚をうたう国策漫才のようだからだ。

池江璃花子さんの奇跡の復活だって、どんなに努力しただろうかと想像すらできないけど、そのすさまじい努力を安易な感動物語にして「勇気を届ける」具材にしてしまうのは、どうなんだろうか。
本人が仮にイヤじゃなくむしろ取り上げられることを喜んでいたとしても、過剰な期待のプレッシャーが病の元になっている可能性を考えると、なんかもっと、普通に「すごいスイマー」として取り上げるべきなんじゃないかと思うのだ。

なんでもかんでも 感動と勇気の物語にしてしまう気色悪い世の中は、表裏一体で「感謝の強制」がくっついている。
なんでもかんでも、「ありがとう」「感謝します」と言わないと、生意気だ、不遜なヤツ と言ってぶったたく風潮だ。

これはハッキリ言って、人権に反する。
人権とは 「何に忖度することなく生きていていい権利」だ。
いちいち何かに感謝しなくても、恐れ入らなくても、普通に生きていていい。それが人権だ。

にもかかわらず、生きていることに感謝 を強制するのは、まったくもって人権蹂躙である。

もちろん、感謝したい人は感謝すればいいし、特別のことをしてもらったときは当然感謝はあるだろう。
でも、昨今のなんでもかんんでも感謝の強制は、そういうものじゃない。
生きるために最低限のことに、いちいち感謝しろという。

生活保護しかり、障害者の介助しかり、それがあって初めて生きていけるものに、いちいち感謝を強制するのは、人権蹂躙だ。
限りなく殺人に近い。

伊是名夏子さんというコラムニストのツイートがバズっている。

ざっと見たところ、「ほぼ殺人犯」のリプが半数以上。

伊是名さんのように、ばりばりっと対応できる人は、たぶん多くはない。
この社会に合わせるためには何らかの障害を生じるほとんどの人たちは、感謝を強制され、恐れ入らされている。
その強制をはねのけて、自らの人権を主張する人に対して、どのようなリンチが襲いかかるのか、上記のツイートについているクソリプを見れば分かる。

なんでもかんでも感謝することを強制するということは、こういう人権蹂躙に他ならない。

「感動・勇気・感謝」を押しつけるこの国のありようを、ぶっ壊したい。
私が思う「自立と共生」は、そういうことだ。

「感動・勇気・感謝」で覆い隠そうとしている、巨額の利権や、情けない植民地の実態を白日の下にさらし、一人一人が自分のことを自分で決める権利を持つ自立と、あたりまえに全員が普通に生きていける共生を、実現したい。

だから、勇気や感謝の押し売りは、熨斗をつけてお返しする
たとえコロナがおさまっても、押し売りの祭典=オリンピックもいらない。

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