2011-06-08(Wed)

自分ならどんな家に住みたいか & 東日本大震災の震源をスマトラと比較する

たまには「家づくり」のほうの記事を書いてみようかと

思いながら、やっぱりその前に震災のことを

少し前に新聞などでも書かれていたらしいが、カリフォルニア工科大学のマーク・サイモンズ教授が、こんなことをサイエンス誌に書いた。

「茨城沖が震源、関東を大震災が襲う」
米科学誌『サイエンス』衝撃のレポートを緊急検証する!
2011年06月06日(月) フライデー

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/6836


記事の内容は読んでいただくとして、要するに3月の震源域の南側で、プレートの滑りが引っかかっているところがある。
そこ(茨城沖)が危ない ということらしい。

なるほど、見る限りでは何となく説得力がある。
60mもずれた場所の続きで、急激にズレが小さい場所があれば、危ないような気はする。

気象庁のデータで見ると、こんな感じだ

suberiryou.jpg

http://www.bousai.go.jp/chubou/27/shiryo1.pdf (中央防災会議の資料より)

赤が濃いほど滑り量が大きい。
北側は徐々に減少しているが、南側は いわき市の沖あたりで急に少なくなっているのが分かる。
フライデーの記事にある?マークの位置は、ちょうどこの茨城沖の薄黄色の部分にあたる。
ジワジワ動いていればいいのだが、動きが止まっていると心配だ。

ところで、マグニチュード9と言えば、2004年のスマトラ沖地震を思い出す。
スマトラでは、その後どういう経緯を辿ったのだろうか。

これも気象庁のデータを見てみる

sumatra.jpg

http://www.jma.go.jp/jma/press/1010/28a/kaisetsu101028.pdf

おお、これはスゴイことになっている。
6年間で、総延長3000キロほどの震源が、順番に壊れている。
それぞれ、大地震を起こし、中には1000人を超える死者を出すほどの被害のものもある。

二つの地図の縮尺が違いすぎるので、だいたい大きさを合わせるとこんな感じ。

singen-hikaku.jpg

スマトラ沖の凄まじさが分かると同時に、もし同じくらいの地殻の力を受けているのだとしたら、やはり今後の推移には不安を感じざるを得ない。

■■

さて、こんな不安な話のあとに、家の話でもないだろう と言う気もしないでもない。
けれども、それでは私も商売あがったりだ。

いやいや、私の商売だけでなく、日本で地震が不安だから○○はやめておこう と言い出したら何もできない。
なにせ、地震の来ないところなんてないのだから。

どうしてもイヤなら、世界中の地震を一手に引き受けているような この日本から脱出するしかない。

世界中のどこでも、何かしらプラスとマイナスがある。
寒いのが嫌いな私から見たら、北欧やロシアに住んでいる人の気が知れない。
しかし、そこにはそこの良さがあるのだろう。

他の国から見たら、こんな地震が集中している場所にわざわざ住んでいる日本人の気が知れないだろう。
でも、そのかわりの良いところも一杯ある。

そんなもんなのだと思う。
良いところも悪いところも 自然現象とは何とかうまくつきあっていくしかない。

ただし、そんな場所にわざわざ原発を建てるのは狂気の沙汰だ。
うまくつきあう の真逆である。

それはともかく、普通に暮らしていくためには、家も会社も学校も、地震とは何とか折り合いをつけてつきあっていくしかない。
大事なことは、100%安全なんてありえない、と心しておくこと。
できるだけ小さくしても、かならず危険があると自覚しておくこと。

ともすると、住宅の営業では、100%安全とか、絶対安心とか言いたくなる。
技術面でも、内心無理と分かっていながら、完璧を求めたくなる。

しかし、しょせん耐震設計と言っても、地震の揺れを単純なモデルにして考えている。
直下型の縦揺れも想定外 だ。

まして、津波や土砂崩れは、土木・都市計画の領域で、建築はこんなものに耐えられるようには作られていないことは、今や日本中の人が知るところとなった。

そういう環境で生きている。
そう腹をくくって、暮らしていくしかない。

■■

私が設計する家は、おそらく普通に建っている家よりも5割くらい耐震強度に余力はあると思う。

まず、構造計算をすると、建築基準法ギリギリで建てるよりも、平均で2~3割強くなる。
念のため言っておくと、普通に建っている木造2階建ては、構造計算をしていない。
計算しない代わりに、最低限守ることが決まっていて、それが法律ギリギリということになる。

このギリギリ状態を計算にかけると、だいたい0.7~0.8くらいになるので、構造計算をした時点で、ギリギリよりも2~3割強いということが分かる。

次に、耐震等級というのがある。
普通の計算では、だいたい震度5強で壊れないように ということになっている
これが、耐震等級1
その地震力を、25%増しにして計算するのが、耐震等級2
50%増しにするのが、耐震等級3

耐震等級2で、だいたい震度6弱で壊れない
耐震等級3で、だいたい震度6強で壊れない
という感じ

いずれも、震度7でも大崩壊して中の人間が潰れてはいけない という考え方になっているが、そこに至るまでの壊れ方の程度が違う というわけ。
(ちなみに、震度というのは体感的な単位なので、およその話として読んでいただきたい。)

私の設計では、ほとんど耐震等級2 で設計している。
だから、計算しない場合と比べると、1.2x1.25=1.5 となる

なんで耐震等級3にしないのか というと、これもワケがある
耐震力だけは突出するかわりに、使用する材料でシックハウスの心配が出てきたり、そうでなければやたらとコストアップしたり、はたまた間取りの自由が大幅に制限されたり、とディメリットも大きいからだ。

家は耐震シェルターではない。
そこでの暮らしと、耐震性のバランスを考えることは、けっして手抜きではない。
だから、私は耐震等級2 を標準にしている。

■■

耐震性と生活のバランスは、間取りにも影響していくる。
耐震性だけを考えれば、1階は小部屋が並んでいた方が良い。
でも、これは私の理想の家じゃない。

都心の住居では、2階にリビングをもってきて、1階は個室にすることはめずらしくないが、今日書きたかったのは、「私ならどんな家に住みたいか」

白状すると、木の家プロデュースとか言って、人に散々木造住宅を勧めているくせに、私の住まいはマンションだ。
一応、激安の中古マンションを購入して、木やら和紙やらを貼るリフォームはしてある。

でも、これは私の理想型ではぜんぜん無い。
その時の仕事の都合にあわせた地域では、それしか手が届かなかったに過ぎない。
たんまりオカネがあれば、土地を買って木の家を建てていたことは言うまでもないが、言うだけ空しい。

けれども、言うだけならばタダなので、「私がどんな家に住みたいか」をもう少し書いてみる。

まず何よりも、庭には10坪くらいの菜園が欲しい。
あまり広いと維持できないし、それ以上狭くては、作れる種類が限られる。

この菜園で、食材の20%自給を目指す。
経済的には野菜を買った方が安かもしれないけど、できる という自信をつけておきたい。
それに、どうしたって子どもたちの体に入ってくる農薬や化学肥料や放射能のリスクを、少しでも減らしたい。

それと、木が一本。
落葉樹がほしい。樹種は何でもいい。その辺の山に生えているのでいい。
ただし、ケヤキは大きくなりすぎるので遠慮しておく。

畑と樹木の奥に、ひっそりと家が建っている。
真四角な平面で、中はガランドウがいい。

天井の高さは2倍。要するに、倉庫か小さい体育館のようなもの。
一部は土間で、残りはリビングというか居間というか、とにかく家族がいる場所。

風呂とトイレだけは区切っておく。
と言っても、フィリップ・ジョンソンの自宅みたいなのはイヤ。
格好は良いけれど、見世物じゃない。

philip-johnson.jpg

こんなのじゃなくて、ちゃんと外壁は作る。

で、寝るところは、自分の好きなところにロフトを作って寝室にする。
ちゃんと区切っておいてもOKだけど、部屋と言うよりは、屋根裏に近いものでいい。
ただし、屋根の断熱と遮熱は、思いっきりやっておかないと 暑くて寝らんない。

これが、私の中にある家のイメージ

材料はもちろん、木と紙と土。
屋根と外壁は、これだけでは耐久性に難ありなので、若干の工業製品を使用。
基礎は、法律で決められているので、鉄筋コンクリート。

実は、この鉄筋コンクリートが、家の構造材料の中で、一番寿命が短い。
普通の家に使われているもので、60年の想定だ。
これではちょっと寂しいので、私の設計では、ワンランク上のコンクリートを使う。

それでも、想定は80年。適宜メンテをして100年と言うことになっている。
ちなみに、よく100年住宅なんて言うのを聞くが、コンクリートが60年の想定なのに、100年住宅と謳うのは詐欺じゃないかと思うんだけど、如何。

エネルギーは、太陽熱温水と雨水利用はぜひやりたい。
いま設計させてもらっている家で、これを両方ともやることになっているので、とても楽しみ。

なにせ、確実に元が取れる。
元というのは、オカネだけじゃなくて、エネルギー的に。
ローテクで、利用形態がシンプルなものが、いちばん「使い尽くす」ことになる。

反面、太陽光電池は迷いがある。
原発の電気を使わないために、パネルを屋根に載せるという選択肢もあるが、太陽光電池が元を取れるかどうかは疑問。

オカネの面では、補助金と強制的な売電価格で無理やりペイさせているが、本来は今のところ全然合わない。
エネルギー的には、原料のシリコンを抽出する過程がグレーゾーン。意図的に隠されている。

北陸先端科学技術大学院大学で発明された液体シリコンの利用が実用化すれば、新しい可能性が出てくるかもしれない。

太陽電池、液体シリコンで製造成功 大量生産に期待
2011年2月8日 朝日


もっとも、本当に革新的な技術は、文科省にも経産省にも無視抹殺される危険があるから、予断は許さない。

雨水利用は、これまでは庭に播いたり洗車をしたりという用途に限られていたが、水栓メーカーが画期的な蛇口を開発したので、家の中でも利用が可能になった。
主に、便所の流し水は雨水で賄うことができる。

これまでは、雨水と普通の水道を、同じ蛇口に切り替えで使うことができなかった。
水道に雨水が逆流する危険があるからだ。
だから、雨水タンクがからになると便所が流せないという大問題があった。

しかし、メーカーが開発した蛇口は、雨水と水道が混じらないようになっていて、水道局もOK。
雨水タンクが空になったら、便器に座ったままコックを切り替え。
無事水が流れる と言う次第。

それと、ぜひやりたいのが、屋根と壁に水を流すこと。
雨水を小さいポンプで屋根まで上げて、夏の最中はちょろちょろ出しておく。
西日の当たる壁にも、できれば流す。
これだけで、家の中の体感温度は激変する。

冬には、やっぱり薪ストーブ。
隣近所に迷惑にならない限りは、薪ストーブがほしい。
ただし、薪ストーブは工事費入れると100万円コース。
たぶん、経済的な元は取れないが、炎を眺める魅力は捨てがたい。

これまでも、何軒か入れさせてもらったけれども、なんというかシビレルものがある。

同じ炎で言うと、ランタンもいい。
割り切るところは、LEDで節約して、「あかり」が欲しいところにはランタン
lamp.jpg

家の中の床は、杉の木。
戦後の一時期、戦災復興で木が足りなくなり、山持ちは大もうけした。
国策も後押しして、われもわれもと裏山に杉の木を植えた。

やがて国策は米国さまの言うとおり 輸入材へ。
植えられた杉の木は放置され、恨みを晴らすかのように毎年花粉を噴き出している。

人間の歴史に翻弄された可哀想な杉の木を、使い尽くす。
構造材から、床板まで、使える限り杉の木を使う。

桧のほうが上等だと思っている人が多いが、私は杉が好き。
香が優しく、目にも優しく、足の裏にも優しい。

少々傷つくのを気にしなければ、理想の床材だ。
最高

そんなこんなで 夜が更けていく。

埒もないことを延々と書いていたら、なんだか元気になってきた。
地震もある、津波もある、おまけに放射線まである。

深刻な被災地の救済と復旧をねがいつつ、でも、できるだけ楽しく生きようと思う。
震災から2ヶ月たったころ、腹式呼吸をしていないことに気がついた。
腹筋が硬直して、しようとしても腹式呼吸ができなかった。

それから1ヶ月して、いまやっと呼吸が普通に戻りつつある。
今日は、ずっと下を向いて歩いていたことに気がついた。
斜め上方15度を向いて歩くようにした。

あと少しで50の大台に乗る。
この年になると、放射線の影響もかなり小さい。
小出先生の言うとおり、原発を止められないで今日の事態を迎えた責任がある世代として、私たち以上のオッチャンは、子どもたちの口に入れないためにも、福島の野菜を率先して食べるべきなのかもしれない。

それもまた良し である。

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あまい夢をうたっていますが、
すべて もんじゅ次第ですがね。

もんじゅが失敗するとき、日本は終わる。
その場合、復活はありえない。

それもこれも、こんな地震国に原発を建てるという
狂気の沙汰を行った政府・自民党、官僚・御用学者の責任である。
そしてそんな連中に票を入れた国民の責任である。

それが違うというなら、同じ地震国であるイタリアには、
原発は1つも無いという事実をどう説明するのか。

No title

明月社デザインした家、私ごのみです。が、予算の関係で、34年落ちで2回大規模リフォームした中古注文住宅を購入し、地元産の檜、杉と漆喰で居間の天井壁床だけ、昨年リフォームしました。山岸さんの設計する家と根本的に違うのは、耐震設計だと思います。お金と時間があれば、新築で耐震構造のしっかりした家に住みたかったです。しかし、近所に明治時代の洋館の家があって、最近NPO法人が、そこを改装して、町おこし的な和風カフェにしたのですが、基礎は全て切り出した石です。場所は、日本一の温泉地で、シロアリが多く、湯煙の影響で、家が痛みすいはずなのですが、いまだにしっかり建っています... 本当は、古民家を探して、改装したかったのですが、中々築100年以上の家が無い、有っても、敷地が広すぎで、予算を完全にオーバー。10坪程度の庭って良いですよね。管理しやすそうです。我が家は、10坪程度弱?の日本庭園があり、広葉樹、紅葉、松、梅、かぼす等が植えてあり管理が大変です。晴天の間に梅を収穫しないと、とんでも無い事になります。個人的には、畑とハーブ園の方が実用的だと考えます。

良いですね!
自由党 近畿ブロック
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