2011-07-01(Fri)

自然エネルギーの「覚悟」

アブねえ という忌野清志郎をモチーフにしたポスターが、脱原発デモの定番である。
この「アブねえ」という直感は、正しい。
いろいろ理屈を言うよりも、アブねえと思ったら行動する。これが庶民の生きる知恵だと思う。

ところが、最近は、直感的な原発アブねえ という議論よりも、エネルギーシフトとか再生エネルギーとか全量買取とか、なんだか難しい話が幅をきかせている。
まるで、再生可能エネルギーの全量買取に賛成しないと、原発賛成派かのような空気が流れはじめている。

でも、ちょっと待って欲しい。たしかに、再生可能な自然に存在しているエネルギーで賄えれば、それは素晴らしいことだが、そんな簡単にバラ色の夢を語って大丈夫なのか?
ちゃんと、中身を検証しているのか? とっても危なっかしいように見えてならない。

■■ エネルギーと文明(生活)は、表裏一体

今の私たちの生活を支えている文明は、石油によって作られてきたことは自明。良くも悪しくも、石油が無くてはほとんどのことが成り立たない。
石炭、ガスを含めた、化石燃料なくして、今の生活の基盤はまったく存在し得ないことは、誰の目にも明らかだ。

1960年代から、それを原子力で代替しようということが言われて、今日の原発があるわけだが、あらゆる意味で原子力は化石燃料の代替にならないことも明らかになった。
もちろん、あまりに危険で全面依存なんてできないということもあるし、それ以前に技術的に代替になり得ない。

つまり、ウランの産出から使用済み燃料の処分まで含めれば、ウランを燃やす方が直接石油を燃やすよりも多くの石油が必要だということ。
詳細はここでは省くけれども、ウソだ と思う方はこちらの情報を冷静に丁寧に見てみて欲しい

「環境問題」を考える

変な例えで恐縮だが、水不足だからコーラを飲もう みたいなこと。
製造過程をふくめればコーラのほうが大量の水を消費しているのは自明のことで、水道の蛇口から水を直接飲むほうが節水になる。

いずれにしても、原子力はダメだけれども、化石燃料はいずれ枯渇するし、CO2が増えるので、自然エネルギーで代替しようというのが、エネルギーシフトを言う人たちの発想。
しかし、石油文明(今の暮らし)を変えずにエネルギーだけ代えるという発想はオカシイ。

それ(文明・生活)を支えてきたものを代える以上、文明(暮らし)のほうも代える という根本的な発想がなければ、自然エネルギーの議論は成り立たないはず。
情緒的に「ちょっとくらい不便なのはガマンする」というレベルの話ではなく、自然エネルギーの利用を技術的に検討することから必然的に導かれる産業や社会や生活のあり方を、しっかりと検討すべきだ。

これは、裏返しに言うと、太陽光や風力や小水力などの、薄く広く分布しているエネルギーでは、石油のような濃厚なエネルギーの塊の代わりにはならない、ということ。
もうちょっと丁寧に言うと、石油と同じ使い方、同じ産業形態、同じ社会構造には、対応できない ということだ。

少なくとも、本当に対応できないのか、あるいはできるのか。
そうした検討は、まったくなされていない。「代替ありき」で、夢のような未来図がスマートグリッドなどという名前をつけて描かれているだけ。

■■たらふく食べながらダイエット という夢

現在の文明(暮らし)を、単純に自然エネで支えるんだという議論はゴマカシであり、もっと厳しく言うと、原発にも化石燃料にも頼りたくないけど、今の贅沢な生活も変えたくないというワガママだと言えなくもない。
これまた変な例えで言うと、今まで通りコッテリしたものや甘いものをたらふく食べながら、ダイエットしたいというのに似ている。

エネルギーを代替することによる社会の根本的な変化は、一朝一夕ではできない。検討するだけでも、相当の時間がかかるはず。
当面は石油やガスに頼りながら、産業・社会・暮らしのあり方を考えコンセンサスを形成することが、自然エネルギーによる代替の前提だ。

もちろん、自然エネルギーへの代替ができないとか、してはいけないなどと言いたいのではない。
私が言いたいことは、自然エネルギーで賄える社会とか産業構造とは どういうものになるのか、真面目に研究するべきだ、ということ。

そして、おそらくその結果は、今と同じような高度工業社会とか、大量消費社会という答えににはらないのではないか ということだ。
根本的にダイエットするには、食生活や生活習慣から変えなくては無理だろう ということ。

ところが、私も含めて、人は楽で楽しい方に流れる。
安全でクリーンな自然エネルギーで、今と同じ暮らしが送れるという、根拠のない夢物語がかたられると、ついつい騙されてしまう。

そうなったらいいなあ と思う分には罪はないけれども、少なくともそれは根拠のない夢だと言うことを認識しておかなくちゃならない。
いいなあと夢想することと、国の大方針として進めることは、まったくレベルの違う話だ。

今現実に進行していることは、根拠レスの夢物語を「再生エネ法」という法律にして、一国の首相が自分の政治生命をかけてやろうとしているという事態。
やはりこれは 何かオカシイ と感じざるをえない。

■■自然エネルギーに対応した社会とは

自然エネルギーに対応した社会とはどんな社会なのか。どんな転換が必要なのか。
それを検討・公開・議論することがまさに政治なのだが、残念ながら今の政治にはまったく期待できない。

仮にやろうとする政治家がいても、おそらく全産業界と、今の生活レベルを守りたい大多数の人びとが「抵抗勢力」になる。
その意味では、自然エネルギーによる代替とは、いわば「革命」に匹敵する問題かもしれない。

そんなようなことをツイッターで書いていたら、こんなRTをもらった。

RT @u52metal 原発はダメだ!は分かりますが急激な社会変化が弱者を殺します。その日を食いつなぐので精一杯な人達を踏みつけて良いのか。。小泉は教えてくれました。同じ事を今回行おうとしています。今のムーブメントは中流階級の搾取に見えます。難しい問題ですよね

ほんとうに、乱暴なエネシフは、弱者切り捨てになる可能性も高い。
政治主導での検討はまず期待できない以上、私たち自身が、少しずつでも考えていかざるを得ない。

そんなときに、ぜひ注目したいのが、小貫雅男先生の「菜園家族」だ。
「週休5日制」を提唱され、社会の構造からライフスタイルまでを、長年研究してこられた。

里山研究庵 Nomad

   欲望で凝り固まり
   怪物のように巨大化した
   この不条理のシステムに
   別れを告げ

   母なる大地に抱かれた
   人間らしい
   おおらかな暮らしをめざし
   今こそゼロから
   いのちの根源から
   出直さなければならない

  (HPの一節から引用)

小貫先生の「菜園家族」構想も、しかし、普通に会社勤めしている人間がすぐに実践できるものではない。
未来図として、大きな指針ではあるけれども、では明日からどうしよう と思うと足が止まってしまう。

そこで、私が昨年末いらい提唱しているのが、「郊外楽園プロジェクト」。

郊外楽園プロジェクト

今回の大災害の反省から「郊外楽園」を考える

とりあえず、今ある様々な条件のなかで、生活を壊さずに、少しずつシフトしていこうという試み。
理想論ではなく、また不完全なのも承知の上で、現実的な明日の一歩を提案したかった。

ちなみに、田舎暮らしとか、Iターンとか、新規就農とかの話は要注意だと思っている。
東電の社長みたいに5億円とまではいかなくても、たんまり退職金をもらって引退した人が趣味でやるならば良いけれども、子育て中の若い世代は、よほどの覚悟が無くては危なっかしい。

夢の田舎暮らしも、実際の成功率は非常に低い。
テレビや本で取り上げられるのは、その中の数少ない成功例なので、勘違いしないようにしたい。

それを分かった上で、チャレンジする人は、スゴイと思うし気持ちだけでも応援したい。
が、そのリスキーなことを、人に勧めることは私にはできない。

■■自然エネルギーは、自然に使おう

自然エネルギーを、ハイテクで使おうと思うことが、そもそもオカシイんじゃないか。

自然エネルギーは、自然に近い形、つまりローテクで使うのがいい。
無垢の国産材で作る木の家 なんていうのも、もっともローテクな太陽光エネルギーの利用方法だ。

そうした足下のエネルギー利用を忘れて、ハイテクで巨大な「自然エネルギー」に夢中になるのは、やはり本末転倒だと思う。
真面目に太陽光のこと、自然エネルギーのことを考えている方は、今一度おちついて、考えてみていただきたい。

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i>wakamiyasumi 岩上安身
>ご冥福をお祈りします。
> RT @thankappreciate 都議・樺山卓司氏が自殺か 頭にビニール袋 --- 葛飾区のためにガイガーカウンターで毎日放射線量を測って公表していた方だったそうです。
>とうてい自殺だとは考えられません。 >。
>headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?…」

上記を読むと、樺山氏は原発推進派に殺された蓋然性が高いということだ。

この問題をうやむやにしてはいけない。
徹底的に追求すべきだ。
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