2011-08-02(Tue)

海上保安庁は放射能から海を守る組織 のハズなのに・・・

海上保安庁というと、尖閣沖での例の事件がすぐに頭にうかぶ。
だから、海保は海の警察とばかり思っていた。

ところが海保は、外国船の侵入だけではなく、ありとあらゆる海の安全を守るのが仕事だったということを、つい先日知った。

その業務内容をコピーしてみると

海洋調査の充実・強化
薬物・銃器犯罪の水際摘発の強化
不法入国事犯の取締り強化
領海警備等の強化
航路標識の整備
情報収集・情報通信体制等の充実・強化
マリンレジャーに係る安全対策の推進
海上交通の安全確保


と、ここまではいかにも海の警察って感じだ。
でもさらに

海洋環境の保全
全国海の再生プロジェクト
海上防災対策の充実・強化
排出油防除計画


と続いていく。
海の環境を守るのも、海保の仕事だったのである。

ちなみにトップにある「海洋調査の充実・強化」は、環境調査ではなく、海域を確定させるための調査なので、これは警備のほうの領域になる。

それはともかく、海洋環境の保全をその使命とするのは、海保の中の「海洋情報部」という部局である。

海上保安庁 海洋情報部

このホームページは、海保のホームページからは何故かリンクしていないようだ。
役所も、海保の本庁は霞ヶ関だけれども、海洋情報部は青海にある。

と、そんなことはどうでもよくて、問題は、この海洋情報部の業務内容を追っていくと、

海洋汚染の調査


という項目があり、その中に、はっきりと

≪放射能調査≫ と書いてあるのである。

放射能調査報告書




海水は1959年から、海底土は1973年から、日本の周りの30カ所くらいと、日本海を中心に深海域15カ所くらいを、毎年調査している。
ただ、レポートが発表されるのが次の年の12月なので、現在は2009年分しか発表されていない。

日本海の深海域を調査しているのは、主にソ連やロシアが、核廃棄物をドラム缶に詰めて海洋投棄したことの影響を調べているらしい。

■■

さて、この放射能による海洋汚染調査のプロが、海上保安庁にいる以上は、すぐにでも福島沖に飛んでいって調査をしている とばかり思ったのだが、どうも様子がおかしい。

「海上保安庁の「東日本大震災」への対応 」というページを見ると、沖合での行方不明者の捜索や、漂流物の回収など、確かに海の警察としては走り回って働いている。
5月には放射能防護服を着て原発の7キロ沖合で行方不明者を捜索したりしていて、これはこれでご苦労様である。
けれども、海の環境保全のほうは、さっぱり動いている形跡がない。

津波後の海底地形測量 なんていう大がかりなことはやっているのだが、そのついでに海底の土をサンプリングして放射能を測定したという記事は見当たらない。

現在、海の汚染については、原発から30キロ以内については東電が、それ以遠については文科省の委託を受けて財団法人海洋生物環境研究所が測定している。

東京電力による福島第1原子力発電所周辺の海水中の放射能濃度分布

財団法人海洋生物環境研究所による海域モニタリング

東電も、文科省も、これまで原発推進の親玉だった組織だ。
文科省というか、旧科学技術庁は、ほとんど原発とロケットのためにあるような組織であり、こんなところが第三者のような顔をして測定結果を発表されても、信用ならない。

財団法人海洋生物環境研究所も、原発が海域環境や生物に及ぼす影響の調査研究機関として、昭和50年に設立された、典型的な天下り機関だ

お写真は、元水産庁次長の弓削志郎理事長。推定年収1500万。

財団法人海洋生物環境研究所 役員名簿

元水産庁、元経産省、原子力産業協会、電力中央研究所、てな連中がずらずらっと並んでいる。
原発予算で、天下りが甘い汁を吸っているこんな「研究所」の発表を、ハイそうですかと聞けるものか。

まして、東電は下手人だ。
犯人に被害状況のモニタリングを任せきりにしているというところに、国の対応がいかに無責任かということが如実にあらわれている。

調査結果の内容を見ても、調査のレベルが低く、財団法人ナンチャラカンチャラでも検出限界が10Bq/Lなので、それ以下は「不検出」になってしまう。
東電などは、検出限界が25Bq/Lである。それ以下は、不検出。

しかし、日本近海の海は、3.11以前からある程度は放射能汚染されており、0.002Bq/L程度のセシウム137は常時検出されているのである。
それは、かの海上保安庁・海洋情報部の調査でわかっている。

ここからはっきりするのは、文科省や東電の調査能力と、海保の調査能力では、その精度において何万倍もの差があるということ。

精度だけではない。
深さでも、3000mを超える深海からもサンプルを取っている。
さらに、海保の調査は、海流の影響も測定している。

どう見ても、財団法人ナンチャラカンチャラとか東電のやっている調査と、海保の調査では、その能力に雲泥の差があるようだ。

もちろん、海保も原発を取り締まるような立場ではない。
上関では反対する住民を弾圧する先兵になってきた。

ただ、文科省や東電のような原発の当事者ではないし、桁違いの調査能力を持っているのだから、やはりこれを使わないのはオカシイ。

■■

一つには、役所間の縄張りという、実にくだらないことが、常に国民の命よりも優先されるという、この国の宿痾がある。
文科省の縄張りを、国交省が荒らせないという、馬鹿みたいなことも、海保の調査が入らない理由の一つだろう。

だが、もっと大きな理由は、おそらく、悪い結果を見たくないから調査しない と言うことではないだろうか。
その傍証となるのが、東海村の沖合の調査だ。

海保の海洋調査は、東海村の使用済み核燃料の再処理工場の沖合を、1974年から調査していた。
ところが、2003年の調査でいきなり終了してしまう。

東海村の再処理工場は、2003年で閉鎖されたわけではない。
では、なんで? と思って調べてみると、なんと、2004年から プルトニウムを用いた「乾式再処理プロセス試験」 てなものが始まっているのである。

プルトニウムは、ほんの微量でも毒性のウルトラ強烈な物質だ。
だから、ちょっとでも検出されたらヤバイ。
そんな状況下で、東海村沖での海保の高精度な調査は、いきなり打ち切られるのである。

福島第一原発では、今やどれだけ高濃度の汚染水が海に流れているか、誰もわからない状況だ。
建屋の地下にたまっているとは言うものの、地下室なんて水をためるようにはできていない。
しかも、地震で亀裂が入っているかもしれない。

もう漏れてしまったものは、どうやったって元に戻すことはできない。
だからせめて、どこがどのくらい汚染されていて、海流の関係からどの方向に広がりつつあるのか、できるだけ正確な情報を、漁師さんだって知りたいはずだ。

原発で食ってきた連中の、できるだけ誤魔化そうというバイアスのかかった調査よりは、政治主導で海保を動かして調査する方が、まだだいぶマシなことができるはずだ。

まともな政治をしようと努力されている数少ない政治家の皆さんには、ぜひとも、これを実施していただきたい。




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悪い結果がでるのが怖いから調査しないんですね。しかし、いずれ調査せざるをえなくなるでしょうね。
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