2011-08-01(Mon)

大峯山に登拝 (復路編)

7月30日に大峯山に登拝してきたレポート
山頂までの艱難辛苦は、往路編をどうぞ

霧雨の降りしきる大峯山の山頂で、まずは汗だくのシャツを着替える。
とっとと着替えないと、もれなく風邪引きがついてくる。

その後、軒を借りて弁当をかけ込む。
じっとしていると寒いので、あまりゆっくり休憩していられない。
付近の散策に出かける。



徒歩30秒で頂上の立て札。ちなみに、大峯山は、その一帯を指す言葉でもあるので、厳密には山上ヶ岳という。
さて、立て札にはお花畑と書いてあるけれど・・・・




一面のクマ笹畑。
しかも、ミスト付き。



これは、本堂の裏。
岩がめり込んでいる。

ということで、山頂散策もあっという間に終わり、下山することに。
せっかく登ったのに、降りるのはもったいないような気もしつつ、そんなことを言っていると日が暮れてしまうので、とっとと歩き始める。

山頂付近には、大峯山を護る五ヶ寺が宿坊を開いている。
朝立ち寄って、その宿坊でお茶をご馳走になった龍泉寺。
ここだけが、天川側。

あとは吉野側で、桜本坊、東西院、竹林院、喜蔵院。
大峯山寺も宿坊も、5月から9月までが戸開と言ってオープン、それ以外は戸閉でクローズである。

大峯山寺とか龍泉寺とか、寺と書いているが、修験道というのはもともと寺でも神社でもない。
修験は修験なのだが、明治の神仏分離・廃仏毀釈によって、むりやりドッチかに分類されてしまった。
五つの護持院はお寺になったが、後で出てくる天河弁才天社などは神社になった。

だから、お寺とか神社という分類に、修験の場合はあまり意味が無い。
自然崇拝と考えると、一番分かりやすいだろう。

私も修験者ではないので、詳しくは分からないが、そいういうところが、何となく馴染みやすく好感のもてるところだ。
少し詳しく知りたい方は、この本をおすすめする

「初めての修験道」 田中利典・正木晃著 春秋社

吉野大峯が世界遺産に登録されたのは、田中師ら修験者(山伏)の努力があった。

田中師の後書きから抜粋する

神仏分離政策は、修験道に致命的な打撃をあたえただけではない。有史以来、日本列島に絶えることなくはぐくまれてきた多神教的な世界観を、そしてそれを中核とする日本固有の精神文化の崩壊をも招いたのだ。
(略)
吉野大峯・高野・熊野の三霊場こそは (略) 異なる宗教の共生、自然と人間との共生という二重の意味において、世界遺産の精神ともみごとに重なりあう。
(略)
敵対者は有無をいわせず抹殺する宗教戦争の様相すら見せている世界に対し、共存共生の一つのモデルケースを提示することにさえなりうる。


(引用以上)

修験道は、明治に勃興した一神教・天皇制に弾圧され、衰滅の危機を乗り越えてきた。
天皇制に染め上げられる以前の、日本人のプリミティブな精神性を伝える、貴重な宗教なのである。

そんなわけで、修験の山である大峯山には、ちょっと思い入れがあり、その山の麓の木で家を建てさせてもらっているということは、実は、スゴイことだと、自分では思っている。

などと、理屈を言いながら下山を開始。



これ、道です。
滑ると マジヤバイ







さすがに下りは早く、50分ほどで洞辻茶屋へ。
左が下山コースで洞川へ。
右は吉野山へ行く奥駆けのルート。

ここまでの途中で、霧雨から本降りに。
カッパを着込む。



雨水が岩を穿つ てヤツ
岩の中央がへこんで、樋になっている。

もう土砂降り。
道が小川



体はカッパを着ているから平気だけど、ザックがざくざく。
気温はまだ低く、Tシャツの上にカッパを着ているくらいでちょうど良い。



一本松茶屋でザックの中身を、ビニールで包み直し。
少々濡れてしまった。

最後の杉林にさしかかると、雨も止み、標高が下がって暑くなってきた。
前回は、下りで膝が痛くて難儀したので、実はサポーターをしてきた。

バンテリンの膝サポーターはなかなかのすぐれもの。
ちょっと違和感がある程度ならば、軽くサポートしてくれる。
ちょっと高いけど、買ってきて良かった。

そうこうしているうちに、ゴールが見えてきた。



あれが、女人結界門。



ついにゴール。
清浄大橋から、降りてきた道を振り返る。

足は痛いけど、フラフラになるほどの疲労感はない。
さすがに、すぐに車に乗るのは危ないかと、着替えながら20分くらい休憩。

で、次に向かったのは、天川村でも、少し離れた壺の内にある、天河大辨財天社。
通称、天河弁天。



一般には、内田康夫の「天河伝説殺人事件」で有名になってしまった。
角川映画になったり、テレビの浅見光彦シリーズでも何度も放送された。

そう言えば、何年か前のテレビ用の収録の時に、通りかかったこともある。
浅見光彦の姿は見えなかったけど。

一般にはこうしたメディアで有名なこの弁天さんだが、ちょっとマニアな人の中では、芸能の神様として世界的に有名だったりする。
なんで角川映画になったのかというと、そもそも角川春樹がこの弁天さんの常連だったという事情がある。

その他、結構有名な芸能人や、世界的な音楽家などが、音楽を奉納したりしている。
だから、よく演奏会のようなことをやっている。
もっとも、演奏会ではなく、奉納しているのを、ついでに人間か聞かせてもらっている と言うわけだが。

なんで芸能の神様かというと、弁天さんのホームページから

辨財天を別名「妙音天」と申し上げます。

これは辨財天が芸能の神様として早くから尊崇されたためです。ずっと昔、悪霊を鎮めたり、祖霊を祀ったりするのに田楽が行われていました。特に天河社には辨財天八楽又は弥山八面とも申しまして利生あらたかな楽舞が伝っておりました。

夙に平和の神、芸道の神として知られていた天河社に後南朝初期、観世三代の嫡男十郎元雅が心中に期することを願って能「唐船」を奉納し尉の面を寄進しました。


(引用以上)

ということで、ものすごく立派な能舞台がある。
毎年何回か、観世流から人間国宝級の人が訪れて、能を奉納している。
もちろん、人間はお相伴にあずかって、自由に見ることができる。

私も見させてもらったことがあるが、正直、能は良く分からない。
未熟者である・・・

そんなわけで、私も芸をこととする者の端くれとして、天川に来る度に、ここ天河大辨財天社に参っている次第。

最後に、天川村を流れる天の川(てんのかわ)をご紹介。



これ、役場の前。
ちょっと小さいけど、奥の方で鮎、アマゴと一緒に泳いでいる人たちが見える。
(ここでは、アマゴのことをアメノウヲという。)



結構高い橋の上から、川の底がよく見える。
本当にきれいな川だ。

上流の洞川のほうから、もっと下流のほうまで、たくさんのキャンプ場があり、川を満喫できるようになっている。
これが、天川村の林業と並ぶ主要産業でもある。
8月下旬には、今度は子どもたちをつれて、キャンプのほうも行く予定。

あとは、ひたすら家路を急ぐ。
3時間足らずで、帰宅。
風呂に入ってビール(偽)をぐいっとやったら、途端に力が抜けてフラフラに。

泥のように眠りこけたのは言うまでもない。

















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