2011-12-02(Fri)

迫り来るファシズムと対峙するために 1

長いことブログの更新ができていない。
あまりにも忙しく、これ以上寝る時間を削ったら倒れるという事情もあった。

が、それ以上に、「非道い話」ばかりを書くのがつらくなった。
どんなに端緒でも、「ではどうするか」を書きたい、と思っているうちに、どうして良いのか分からず時間が過ぎていった。

一難去らずにまた一難。日にち薬で良くなるどころか、事態は悪化しつつ、次々と新たな厄災がおしよせる。
自国民を、納税マシーンとしか思っていない政権のもとで、被災者はうち捨てられ、被爆者は存在していないことにされ、穴の開いたままの原子炉が「順調に収束しつつある」ということになっている。

何か一つの問題に取り組むのは、元気も出るしファイトもわく。しかし、これほどに何もかも、ありとあらゆる攻撃にさらされると、弾を避けるのも突撃するのもままならない。ごまめの歯ぎしりをギリギリと続けるしかないのである。

こんな時は、いや、こんな時だからこそ、どう生きるのか ということを考えたい。

何をまだるっこしいことを言っているんだ とお叱りを受けるだろう。
反戦な家づくりの明月が、この非常時に新興宗教みたいに「どう生きるか」なんて説教始めてどうする。
反対するべきもの、解明するべきことが、てんこ盛りにあるのに。

それは、本当にそう思う。
そう思うことが多すぎて、これまで批判的な論評を続けてきた人々も、対応しきれなくなっているのが実情ではないだろうか。
朝から晩まで、資料にかじりついて、パソコンを叩きまくらなくては、今表面化している大問題だけに限っても、その情報に対応しきれない。

敵はオール官僚をその手足と頭脳にして、警察や自衛隊という表の暴力装置を従え、ジャパンハンドラーズという最高顧問を擁して、国家総掛かりで体系的に悪政を進めている。
それは、逆からの革命といっても良いかもしれない。

現段階では、手足であるべき官僚組織が、むしろ手枷足枷になって、その逆革命は進み切れていない部分はある。高級官僚は完全に尖兵になっているが、末端にまでいたる官僚組織自体は、そう簡単に旧弊を逃れることはできない。
良くも悪しくも、その組織的な鈍重さが、日本を一気に北朝鮮並みの独裁国家にしてしまうことのできない原因になっている。

もし、大多数の公務員が、今と同じ程度の自己保身能力と、今と桁違いの実行力を持っていたならば、日本は全く別の国になる。強烈な国家による統制のもと、国民は税金を生み出すバクテリアのような存在となり果てるだろう。

今のところ、日本の庶民がまがいなりにも、楽しく暮らしているのは、ほとんどがこの敵失によるものだと、私は思っている。

そこで登場するのが、ファシズムだ。
愚鈍な官僚組織に任していられない。もっと一気に、「改革」を推し進めるのだ! と叫んで登場するあれだ。
もちろん、「改革」とは、税金を強制的に取り立てることであり、それを社会的な弱者には極力配分しないことだ。一切の虚飾をはぎ取れば、そういうこと。

言うまでもなく、橋下徹の大阪維新の会は、まごうかたなきファシズムである。
それ以外に、定義の仕方が存在しない、典型的なファシズムだ。
古典的すぎて笑っちゃうほど、陳腐なファシズムなのである。

ファシズムが怖いのは、これほど古典的で陳腐で内実がなくても、それでも時節をとらえると、爆発的な支持を得るということ。
その意味でも、やはり橋下徹は日本が生んだ、初めての本物のファシストだ。

2.26事件の青年将校なんかよりも遙かに有能な、実際に国家権力を手中に収める可能性の非常に大きい、真性ファシストとして、私は橋下徹を「高く」評価している。
決して、侮るべからず。

繰り返しになるが、ファシズムの本性は、単なる独裁ではない。
国民の自由を抑圧し、強固な国家統制によって、国の運営をすることなのは間違いない。
ただ、それは官僚組織の肥大化と強権化によっても、なし得る。

そのかわり、官僚組織による強権国家は、小回りがきかず、腐敗が横行し、トップもころころ交代する。
要するに、すこぶる効率が悪い。

そんなやり方じゃ生ぬるい といって、官僚組織をも押さえつけて、暴力装置をも動員しつつ、大衆の圧倒的な支持を背景にして、一気に強権国家を作り上げるのが、ファシズムだ。

だから、橋下徹がシロアリと呼ぶことと、一部の本当にシロアリのような官僚とは、実は向かう方向は同じなのである。ただ、その方法やスピード感が違うだけ。

ちなみに、「国民の生活が第一」に込められた脱官僚依存は、強権国家で国民を搾り取るという方向とは真逆であり、本質的に橋下徹の官僚タタキとは別物だ。

それはともかく、橋下という真性ファシストが、いよいよ勢力を拡大し、国政への参戦を明言したいま、もう敵失による猶予期間も長くないと知るべきだ。
官僚が主導している限り、悪政はつづくが、(悪い方向への)革命も起きない。そんな状況も、あと数年のことと、私は考えている。

橋下が国政に出てくれば、自民党と民主党のいい加減な連中は、どっと足下にすり寄るのは間違いない。みんなの党は最初から似たもの同士。過半数までは行かずとも、選挙前から最大勢力になる可能性が大きい。
そのうえで、総選挙で大躍進すれば、過半数は堅い。

ファシズムの仕掛けは、国民の憎悪のエネルギーを自らの支持にするということ。
橋下の場合は、ユダヤ人迫害のかわりに何をやり始めるのか。
今はまだ分からないが、そういうカテゴリーを作りだし、国民上げてのイジメの対象にすることは、まず間違いない。
官僚タタキだけでは、国民の憎悪のエネルギーはもたないし、あまり本気で官僚を叩いては自分の国家運営ができないと言うことを、橋下はよく分かっているからだ。

ユダヤ人迫害のように、国民の不満を故なき憎悪に振りかえ、その憎悪のエネルギーを熱狂的な支持にする。
実は、憎悪にかき立てられ熱狂的にファシストを支持している大衆自身が、搾取され迫害されているのだけれども、気がつかない。万が一気がついても、もう決して口にできない。
そんな日本の姿が、数年後に迫っている。

では どうするか

いま大事なことは、自分の立ち位置をしっかりと体に覚えさせることだろうと思う。

ピッチャーが投球フォームを体に叩き込んで、どんなに疲れても、緊張しても、自分のフォームを崩さないようにしているような、そんな生き方の訓練が必要なのではないか。
今でさえ、そうとう生きにくい世の中が、いちいち頭で判断していては間に合わないくらいの激動の波に飲み込まれる。

個別の判断だけでは、道を間違うことも多くなるだろう。
ファシズムは、個別課題では良い成果を残すこともあるからだ。
たとえば、橋下がもし首相になれば、放射能対策は今よりもずっと進むだろうと思う。
それは良いことではあるが、だからといって橋下ファシズム政権を待望するのは愚かなことだ。

自分がどういう生き方をするのか。
それに照らして、こいつはどうなのか。
それを、反射的に本能的に判断できるような訓練をしておくべきだ。

私の提唱している「郊外楽園」という暮らし方も、菜園とか地産地消とか言うだけでは、ファシズムに取り込まれる余地はいくらでもある。
もともと、農本主義とファシズムは仲が良いのだ。

では、核心は何なのだろう。
ファシズムが振りまく憎悪の快感から、ふと我に返るきっかけになるものは何なのか。

漠然とは感じるものがあるのだが、まだそれを言葉で表現できない。
もうしばらく考えてみる。
(だから今回の記事は 1  と言い訳)

いずれにしても、自分の標準点、基準点を体が覚えておくこと。
そのための訓練は、やはり今現在おきている問題を向き合う中でこそ、できる。
むしろ、自分に降りかかった問題、たとえば震災であり、増税であり、保育や子育てであり、いろんな問題に取り組むときに、ちょと鳥の目になって見てみようということだ。

自分の生き方を、鳥になった自分の目に焼き付けておこう。
それはきっと、おしよせるファシズムと対峙するとき、自分を支えてくれる。


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一般市民という立ち位置

そんなズルイ立ち位置ってあり?
不都合はリーダーに責任とらす。
でも、ピラミッド型を認めるならありカモ。

偽善はいらない

日本に徳があるなら、
まず福島県の放射能汚染地域の人たちを
放射能汚染の低い地域へ
まずは東電の資産を使って移住させるはずですが。

徳などない国が世界に徳を説いても失笑を買うだけでしょう

明月さんだって家庭菜園の野菜を送っているのだから、
きっとこの 通りがけ さんは福島の人々に相当の寄付をされているんでしょうね。
ろくに届きもしない赤十字や中央募金など通さずに福島の人々へ寄付されているんでしょうね。

見物

>民主がすり寄るのも時間の問題です

小沢が民主から出た後で、民主が大阪維新とくっつくなら、
これは話は簡単。
まとめてドボンするまで。

そこまで大阪維新はバカかねえ

ファシスト

 ドイツのファシズムを「清潔な国家」という視点からとらえた本があります。ユダヤ人を排除し、身体・精神障碍者を排除し、ロマを排除し、同性愛者を排除し、政権に反対する者たちを排除して、「清潔な国家」を作り上げる。
 それを熱狂的に支える大衆たち。彼らは自分たちのことも橋下のこともファシストであるとは思っていないでしょう。ファシストは「改革者」の仮面をかぶりますから。
 すでに自民党はすり寄り、民主がすり寄るのも時間の問題です。
 東京と大阪でファシストが権力の座についている日本という国。
 ずるがしこさにおいては橋下の方が石原を上回っていますが、このバブル、ワタクシは、思わぬところから破裂しそうな気もしています。
 そうなった時に、「以前から俺は橋下が嫌いだった」という人たちが街にあふれそうな気もします。
 これって良くも悪くも日本人の属性でしょうか?

ようやくあげたか

基本的にはあんたとはだいたい似たような方向向いてるはずだが、
まあ左派の習性でつい分派をつくりたがるというわけで
大目に見てやってくれ。

明月の危惧するところの小沢と大阪維新の共闘だが、
わてはどっちでもいい。

そら明月にしてみれば、あんなのと組めるか!
いままで自分の言ってきたことが全て灰になる!
というだろう。

しかし、政治の世界はなんもせんといたらとって食われる世界。われわれのような脳内お花畑とは違う。
小沢と大阪維新の共闘については、短期ならばやむをえない、とわては思ってる。

アメリカの多くの国民とは敵対したくない。むしろ協力したい。
しかし、それが集団になって国になると、寄生虫のおかげで狂ったことを平気で始める。
イラクを壊し、リビアを壊し、今、イランに難癖つけてる。
完全にわざとやってる。やり放題モードになってる。
で、腰抜け官僚どもは、それにもみ手すり手で接待状態

なんとかならんもんかと、中国を見ると、これも今はどうか知らんが今までは好景気で完全に殿様になってしまって、日本が取引しようとするとばかにして、法外な条件を付ける始末。
これが経団連をいたく刺激して、アメリカというコワイお兄さんに出てきてもらうアバズレ女が日本と

どこを向いてもまともなやつがいない。困ったもんだ。

日本は放射能で汚染され、アメリカや中国のハゲタカどもが日本の土地を買いあさっていたのが手仕舞い始めただろう。
もし放射能がなかったら、いずれ日本の土地は中国やアメリカが買い漁っているかもしれない。
放射能がいいとは言わんが、言ってみれば自虐的な武器として作用したかもしれない。
ほんと、神様っておらんなあ

そういえば、オーランチキチキはどうなった?
あとは、インチキの塊の二酸化炭素削減の枠組みから日本は抜け出した方がいい。放射能食らうくらいなら、石炭のアクのほうがいい。
一番は食料とエネルギーの確保だ。
そこから考えを組み立ててくれ。
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