2011-12-13(Tue)

放射能とむきあう <暫定基準値は200倍高すぎる>

10月の終わりに、「食べ物から放射能100mSv」って安全??? という記事を書いた

http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1112.html

2日前の10月27日には、年間の食事からの内部被曝を1mSvにすると、食品安全委員会という内閣府の審議会が最終答申を出したので、やっとここまで下がって来たと思っていた。
ところが、500Bq/kgというトンデモ暫定基準値は、待てど暮らせどいっこうに変わる気配がない。
食品安全委員会の答申なんて、なかったかのように無視抹殺である。

要するに、年間の内部被曝を1mSvをしてしまうと、食べるものが不足してしまうのだろう。
水や農産物ばかりではなく、粉ミルクのように空気経由での汚染も含めて、少なくとも東日本の食材物流が崩壊しかねない。
それらを全部補償しろ てな事態をさけるために、食品安全委員会の答申は、ひっそりとお蔵入りにされてしまったのだろう。

森ゆうこ氏(文科副大臣)の尽力もあり、暫定基準値の1/5=40Bq/kgまで測れる食材用の測定器に補助金が付くようになった。
その際に森氏が「40ベクレル/kgの根拠は、厚労省で新たな食品の安全基準値についての検討が暫定基準値の1/5である「年間1ミリシーベルト」という食品安全委員会の答申を受けて進んでいるが、それを先取りし、乳製品などの暫定値200ベクレル/kgの1/5としたものである。」と発言した。

すると、直後に文科大臣が慌てて、基準値の変更ではありません!! と火消しに回るという無様な姿をさらし、やはり暫定基準値は「死守」する気なのだと言うことが明らかになってしまった。
ちなみに、ふつう「死守」というと自分が死んでも守る という意味だが、永田町界隈では他人が死んでも守る という意味なのでご注意。

では、この500ベクレルとか200ベクレルとかの暫定基準値は、どうやって決まっているのか。
国の機関ではあるけれども、直接の責任部署ではないところの説明のほうが、言い訳がましくなくて分かりやすい。

基準値の根拠を追う:放射性セシウムの暫定規制値のケース
産総研 安全科学研究部門


詳しくは記事を読んでいただきたい。
要約すると、セシウムとストロンチウムをあわせて、食品からの被曝を年間5mSvにする、という考えで作られている。

ポイントの一つ目は、ストロンチウムだ。これは、計測が大変だという理由で、ほとんど計測されていない。
オフィシャルに測ったのは福島県内の数カ所くらいだ。

では、どうやってその量を知るかというと、チェルノブイリなどの経験則から、セシウムに対してストロンチウムはこれくらい存在しているはず、という想定なのである。
暫定基準値を決めるに当たっては、セシウム(134と137合計)が100あれば、ストロンチウム89が29くらい、ストロンチウム90が5くらいある、という想定になっている。


存在比で100:33ということになっているが、この産総研の解説の元になっている論文によれば、放射線の量にすると10:1ということになるらしい。

防災指針における飲食物摂取制限指標の改定について


1988年国連科学委員会報告書(付属書D)10)によれば, チェルノブイル原子力発電所事故の際, 地表空気中の90Sr/137Cs濃度比は, ソ連領内およびギリシャ等比較的近い距離で約0. 1で, 日本およびヨーロッパ等その他の地域ではそれより低かった。
(第3表の下より引用)

2000キロほど離れているギリシャが、「近い」というのだから、爆発の規模は違うにせよ、2~300キロの範囲はこの0.1で見積もるのが妥当であろう。
何せほとんど測っていないので、正確には分からない。

ストロンチウムの公式発表はこれ

文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について

ともかく暫定基準値では、例えばセシウムが400ベクレルあれば、ストロンチウムも40ベクレルくらいくっついているだろう という想定になっている。
で、基準ギリギリの食品を1日にこのくらいの量を食べると、だいたい年間に5mSvくらいの内部被曝になるよ というのである。





ところが、ここに2つほど問題がある。

ひとつは、「このくらいの放射性物質を食べたら、これくらいの被曝をするよ」 というベクレルからシーベルトへの換算係数だ。

暫定基準値は、とICRP(国際放射線防護委員会)いう原発推進のための組織の値を使っている。
ところが、原発反対の立場であるECRR(欧州放射線リスク委員会)では、何倍どころか核種によっては何百倍も多く被曝すると言っている。

こちらのサイトが、比較計算できるように非常に便利にまとめておられる
食品による年齢別の内部被曝ベクレル(Bq)シーベルト(Sv)換算ツール

ECRRの考え方では、セシウムで3倍、ストロンチウムは何と160倍くらいの被曝ということになる。
これは、暫定基準値では年間5mSvと言うけれども、ECRRの考えでは、同じものを食べると年間に100mSvくらいの被曝になるということ。

逆に言うと、ECRRの考え方で年間5mSvにおさめようと思ったら、暫定基準値の20分の1以下にしなくてはならない。
つまり、500ベクレルを25ベクレルに、200ベクレルを10ベクレルくらいにする。

これでも5mSvだから、せめて食品安全委員会が言う1mSvにするには、5ベクレルと2ベクレルということになる。

ちなみに なんで100倍も評価が違うのかと言うことについては、前の記事を見てもらいたい
矢ヶ崎教授の小論を、私なりに解説してある。


ところが! これでもまだ安心できない。
これが、問題の二つ目。

暫定基準値を決める式には F という係数がある。具体的には0.5 だ。
なんで0.5をかけるのかというと、そのうち汚染されていない食品も手に入るだろうから、ざっくり被曝量を半分にしておきましょう ということらしい。

いや、私が言っているのではなくて、さっきの産総研の解説に書いてあるのだ。

放射性セシウムの暫定規制値の特徴は、半減期が長いことから、「希釈効果」が考慮されていることである。希釈効果とは、(年平均濃度)/(ピーク濃度)の値とされ、0.5が使われている。事故直後は、周辺住民は地産の飲食物ばかり食べるが、時間が経てば遠方からの飲食物も入ってくるという想定だと思われる。希釈効果を含めなければ暫定規制値は現在の半分の値となる。
(引用以上)

ところが、現状では意識して手に入れないと、遠方からの飲食物は入ってこない、というか、食べて応援とか言いながら、実は安く買いたたいて産地を伏せて使用されているのが現状。
それにそもそも、「基準値」を決めるのに、こっそり0.5をかけているというのは、どう見ても反則だ。
だって、誰だって基準値というのは、「500ベクレルを1年間食べ続けたときにどうなるか」という数字だと思っている。
ところが、実は「500ベクレルを半分、まったく汚染されていないのを半分」という想定になっている というゴマカシ。

ということで、さきほどの5と2を半分にすると、食品の基準値は2.5Bq/kg、水と乳製品は1Bq/kg ということになる。
暫定基準値の なんと200分の1である。


さて、これが実現できるのかどうか。
まず第一に、この数字はほとんどの場合、検出限界以下だ。
例の測定器に補助金の話でも、検出限界を40Bq/kg以下にしなさいよ ということだった。

明治ステップの測定データでも、検出限界は10Bq/kgになっていた。
今まで見た中で、一番良い場合でも5Bq/kgくらい。

食品の放射能測定器のスペック一覧
真宗大谷派常福寺(TAEM二本松)


だから、普通にスーパーとかで買い物したり外食したりしているかぎり、関西に住む我々ですら、おそらくこの数字はクリアーできない。
まして、福島やその周辺は言うに及ばず、東京でもまず不可能だ。

それに、相当量の放射性物質が降り積もった地域では、食品ばかりではなく呼吸で入ってくるものもある。

それにしても、地面に1㎡あたり何万ベクレルもの放射性物質が敷き詰められている場所に人が住み続けているということに、改めて愕然とする。

数万ベクレルの地域は、ホットスポット以外でも福島の約半分、さらに栃木、群馬、茨城、千葉などに広がっている。
ホットスポットも入れれば、東京などにも多く存在するだろう。
この地域では、両足が乗っているくらいの、ほんの数10センチ四方に積もった放射性物質が口に入っただけで、年間の1mSv以上の内部被曝になってしまう。

青酸カリが1m四方につき1gくらいまき散らされた場所で、生きていけるだろうか。
それを、手作業で洗い流したり、掘り起こしたりできるだろうか。
青酸カリは170mgくらいで死ぬ人もいるらしいから、面積にして40センチ四方だ。
仮にその10分の1の濃度でも、そんなところに住もうと決心する人はいないだろう。

ところが、放射能は見えない、臭わない、味がしないうえに、「ただちに影響がない」
影響が出るまでに年単位の時間がある。

もしも、リトマス試験紙のように放射性物質に色が付いたら、東日本はパニックになる。
果てしなく紫に染まる大地を見て、誰が除染でなんとかなると思うだろうか。

しかも、今この時も、原子炉には穴が開き、放射能は漏れ放題なのである。

原発の被害は、一般に思われているよりも、ひと桁もふた桁も深刻なのだと言わざるを得ない。
東京も例外ではない。
経産相や東電本社の前でも、0.2マイクロなどという値が計測されている。

実は除染は東京にこそ必要なのだと言うことは、連中が一番分かっている。
しかし、福島を差し置いて、東京の除染をするわけにもいかず、まずは福島で予行演習をやりながら、東京の放射能を捨てる場所を作っている。
このあたりの話は、前の記事に書いた

原発やめますか それとも人間やめますか

次におきてくるのは、実は東京も危ないんだというキャンペーンだろう。
隣組が結成され、やらなきゃ非国民 みたいな空気の中で、東京中で水まきと穴掘りが始まる。
意図的にパニックが醸成され、国民の思考停止は一層ひどいことになる。

何よりも、そのなかで人間性の破壊が進行する。
東京と福島は分断され、あい憎み合うように操作される。

除染さえしてしまえば、原発事故は福島の問題。もう考えたくない。報道するな、俺は関係ない。てな調子で。
被害者である原発直近の住民を、仮想敵にしたてることすらされるかもしれない。

原子力村 VS 国民 という対決だったはずなのに、いつのまにか都市住民 VS 福島県民 という対立に置き換えられてしまう。
それを、とてもとても心配している。

誰がそんなメチャクチャなことをするかって?
そりゃ あの二人しかいない。

石原慎太郎と橋下徹。
人間の嫌らしい部分をあおり立てて、その力でのし上がっていくことにかけては、並ぶもののない天才だ。

来年は、より一層いやな年になりそうで、気が重いが、そんなこんなをすべて見据えた上で、どうやって生きていくべきなのか、じっくりと考えなくちゃならん。


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