2012-03-21(Wed)

あえて「ふくしま宣言」を疑う

佐藤雄平知事が高らかに発表した 3.11ふくしま復興の誓い2012「ふくしま宣言」 がえらい評判だ。
脱原発を訴えてきた人びとが、こぞって賛同署名をしようと呼びかけたりしている。

◇◇
でも、ちょっと待ってほしい。いくら物忘れが得意な日本人といえども、佐藤雄平という人が何をやって来たのかくらいは憶えているだろう。

確かに、宣言の文章は格調高いし、脱原発して再生可能エネルギーで生きていこうという提案は良い。
が、これを佐藤雄平の口から言うのであれば、大事な前提が抜けているだろう。

まず、土下座して大地に頭をこすりつけて県民に謝罪すること。
それを抜きにして、いかにエラそうなクリーンな話をしても、まったく信用ならん というのが私の最初の印象だ。

立地自治体である双葉町の井戸川町長は、涙ながらに町民に謝罪した。
そして、中間という名の最終処分場にされることに対し、ほぼ孤軍奮闘で抵抗を続けている。
少なくとも、これが人としての姿勢なのではないか。

プルサーマルに反対する佐藤栄佐久・前知事を冤罪で辞めさせ、後を襲った佐藤雄平がプルサーマルを強行したことは、周知のこと。

さらに、3.11事故直後に、SPEEDIのデータを得ていたにもかかわらず、公表せずに県民に深刻な被曝を強要したのも、他ならぬ佐藤雄平知事である。
その他、挙げればきりがないほど、の悪事を重ねてきた佐藤雄平が、ちょっとキレイゴトを口にしたからと言って、まんまと真に受けてしまうとは、物忘れで済む話ではない。

◇◇
佐藤雄平の責任はあるけれども、宣言の内容自体はいい話じゃないか、と言われるかもしれない。
なるほど、一見そう見える

全文は こちら → 県庁のHPにリンク

しかし、注意して読んで見ると、これは「復興するから福島に帰ってこい」「福島から避難することは、この高邁な復興宣言に砂をかけることだ」という論につながることが分かる。
要するに、今現在の福島が、それだけ危険であるか、それをどうやって回避するか、という視点が完全に欠落しているのである。

この宣言のネタ元は、昨年7月の段階で福島県復興ビジョン検討委員会(座長 鈴木浩福島大教授)が作った、「福島県復興ビジョンについての提言」であろうと思われる。

福島県復興ビジョンについての提言

この中の 原子力災害の克服 という章にはこう書いてある

(以下引用)

―中心となる施策―
〇モニタリングの強化と早期の除染対策
・環境放射線についてのモニタリングの強化及び放射性物質による汚染の実態とその除染対策について正確な情報開示と住民参加
・高濃度放射線量を示すホットスポットの早期発見及びその優先的な除染作業などの環境浄化
・汚染土壌等の除染に関する手法の早期確立及び着実な実施
〇原子力発電所事故に関連する情報開示
・確かな信頼関係にもとづく行政システムの回復と円滑で迅速な支援策の実施に向けた、国による即時的で透明性の高い原子力発電所事故関連情報の開示
〇県民の健康確保
・県民の健康調査、健康被害の早期診断、治療体制の整備による県民の健康の確保
・放射線の影響に関する長期的健康管理や最先端の研究・医療を行う施設等の福島県での整備
〇原子力災害に負けない産業づくり
・風評被害の払拭(生産物に対するモニタリングの強化・分析、分析結果の迅速な開示、放射性物質の除去、安全宣言
・農林水産物や工業製品等のきめ細かな放射線量の測定に基づく認証制度等の導入と安全宣言の発信による原子力災害に負けない産業づくり
〇原子力災害に対応する研究拠点形成
原子力に係る国際的機関の福島県への誘致・移転
・汚染土壌等の除染に関する研究拠点の形成
〇損害賠償
・十分な原子力損害賠償の確保の支援

(引用以上 赤字はブログ筆者による)

要は、除染して、安全宣言して、「健康管理」をして、産業を復興しよう ということだ。

ごく限られた範囲と時間における緊急措置であればともかく、復興という広汎な地域において、除染という手法があまり有効でないこと、特に広大な森林に関しては無力であることは、言うまでもない。
今や、除染というやむにやまれぬ行為までが、巨大利権と化していることは、除染のリーダーとも言うべき児玉教授が指摘しているのだから間違いない。

安全宣言は、放射能の人体への影響をどう評価するのか に関わる。
食品安全委員会の出した、きわめて杜撰な安全基準にもとずいてなされる「安全宣言」であるならば、少なくとも私は受け入れることはできない。
だが、「安全宣言」を受け入れない者は、福島を見捨てる冷血漢として指弾されるようになるのだろう。
それが、ここに言う「安全宣言」の意味だ。

長期的な健康管理を県が主導して行うという。
これも、一見すると当然なように見える。が、これは「基準」を県が一元管理するということだ。
つまり、「これは放射能の影響ではない」と言われたら、泣き寝入りするしかないということ。
まだしも、様々な基準があって定まらない方がマシなのである。

この部分については、後でもう一度取り上げる

そして、最後に、復興策のひとつとして書かれているこれについてだ

原子力に係る国際的機関の福島県への誘致

これはいったい 何を指しているのだろうか。
IAEAのことか?
しかし、IAEAを誘致しても、福島の復興には何の得もない。
だいたい、脱原発すると言っているのだから、なんで「
原子力に係る国際的機関」なんぞが必要なのか?

そこで
原子力に係る国際的機関なるものに、どんなものがあるのか探してみると、IAEA以外にこんなのがあった。

経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)

その活動内容にはこう書いてある

原子力施設の安全、人体に対する放射線防護と環境の保全、放射性廃棄物管理、原子力損害賠償責任と保険等に関連した各国の規制方針・運用

これならば、確かに福島に必要とされている内容も含まれている。
そして、同時に、いま政府が必死に作ろうとしている「放射性廃棄物処分場」についても。

これこそが、「復興ビジョン」と「ふくしま宣言」の、隠れた本性なのだと、私は考えている。

◇◇
実は、さらにバックがある

アメリカのジャパン・ハンドラーズの代表格であるCSISと、経団連が手を組んで作った 「復興と未来のための日米パートナーシップ」である。
震災直後に、結成され、その動きはなかなか表には出てこない。
だが、時々もれ聞こえる主張と、宮城や福島の県知事の政策がぴったり符合しているのは、偶然とは思えない。

以下、昨日の私のツイッターから

復興と未来のための日米パートナーシップ=日米利権屋集団のその後を検索すると、昨年11月に福島で健康・医療分野の発表会をしていた。出席者はCSISマイケルグリーン、福島県副知事、平野復興大臣、前原政調会長、柳澤経産政務官、桜井政審会長、菅野典雄飯舘村長など
http://www.pref.fukushima.jp/imu/cms/20111111forum.pdf

日米パートナーシップでCSISの日本サイドのパートナーとして福島の報告会を主催したNPO日本医療政策機構という組織。
寄付してるのは ビルゲイツ、ファイザー、ロックフェラー、メドトロニック、その他ほぼ外資ばかり
https://www.hgpi.org/mail.html#supportive

CSISと外資の出先機関である日本医療政策機構の最大の関心事は 長期低線量被爆問題
「長期低線量被爆が健康に与える影響は、地球規模の保健問題として大きく注目されている。日本のみならず、他の国々にとっても貴重な情報になるだろう」
人体実験のつもりだ

さらにCSISと日本医療政策機構は言う
「避難の基準が確定しない中、多くの福島県民が強制的・自発的に県を後にした。今後同様の事態が起きないよう、安全基準問題を解決に導き、長期低線量被爆の健康への影響を調査」
新たな安全神話の創出だ

以上、ツイッターから自己引用
CSISのレポート全文はこちら
   ↓
復興と未来のためのパートナーシップ CSISタスクフォース報告書
健康・医療と復興


人体実験をしつつ、「基準」値を作り上げて、ちょっとやそっとでは「原発のせい」とは認めない。
これが、復興ビジョンに言うところと 「長期的健康管理」であることは、明らかだ。

◇◇
原発事故の下手人の一人でもある佐藤雄平知事の「ふくしま宣言」は、さらなる毒をまき散らす。

3月11日には、佐藤雄平福島県知事は復興の誓いシンポジウムというものを行った。そこで、あの復興ビジョンをまとめた鈴木浩教授や、政府の復興構想会議に参加した作家で僧侶の
玄侑宗久氏などがパネラーとして参加している。
http://www.pref.fukushima.jp/311ffc/311chikai.html

玄侑宗久氏は、この数日後にこんな記事を書いている

玄侑宗久さんが考える「理屈じゃない」力と危うさ
2012年3月17日 中日新聞
より抜粋

 原発事故後の説明は、政府も東電も、あまりにも筋が通っていなかった。その裏には、組織を守ろうとする意図が見えていました。それに対して「理屈じゃない」と立ち上がったのが女性たちです。女性の方が空論を見抜くのが早いんじゃないでしょうか。

(略)

 十三回開かれた会議は、二月に発足した「復興庁」とともに廃止に。今後の見通しが示されないまま、“お役御免”の封書が届きました。新たにできた復興推進委員会は、議長、副議長は横滑りをしましたが、私を含め多くの委員が省かれた。「こんなやりにくい連中とはやっていられない」ということでしょう。私は残りの半生を復興構想会議にささげる覚悟でしたが。

(略)


 いまだに福島が危険だと思う人たちがいて、県内外で分断が生まれています。再建するコミュニティーに戻るか戻らないか。「福島産」を食べるか食べないか-。特に反原発運動の中心になった母親たちが過敏に反応しています。放射性物質は不検出でも「福島産はイヤだ」と。この思い込みは信仰状態に近く、承服できません。

 女性は命に敏感で、「理屈じゃない」と目覚めると強い。ただ、「情」は力になる一方、危うさも伴います。反原発運動は子どもへの「情」がいい方向に動きましたが、放射能の問題は理屈で考えるべきです。「理屈じゃない」と突っぱねると、典拠がはっきりせず、実証されていない推定の話が常識化してしまう怖さがある。

 では、何を信じればいいのか。放射線測定器の数値に従って暮らさなければいけないのは、たまらない。結局、数値がいくつであっても安心できないのです。自分の価値観を信じ込むのではなく、ぶれた方がいい。同じ考えの人で集まらずに、別の知識を持つ人や反対意見にも耳を傾ける。見えない、臭いがしない、ある意味「バーチャル」な放射能と向き合うには、冷静さと理屈が必要です。

(以上抜粋引用)

たぶん、このひとはいい人なんだろうと思う
だから、最後の方は論理が破綻してしまっている。
でも、このような「いい人」が、迷いながらもあらたな「放射能安全神話」を支える柱になろうとしている。

こうして、人の善意や郷土愛を人質にして、新「放射能安全神話」を作りだし、核の墓場を実現しようというのが、実は「ふくしま宣言」の裏側なのだ。

福島の人びととのつながりを持ちながら、しかし、この「ふくしま宣言」は疑ってかかる。

そのことの難しさと大事さを、得意満面な佐藤雄平の顔を見ながら実感するのである


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AVAAZからメールで以下の「福島宣言賛同」の署名要請が来たが、そうすることをためらったのは、貴君がおっしゃるのとまったく同じ理由からだ。

――記――

日本における市民の力は日に日に力強さを増しています。私たちの訴えに応じるすべての知事やリーダーたちと共に、この国の新たな道を切り開いていくのです。希望を捨てず断固たる態度で、私たちと子孫のため、安全なエネルギー社会への転換、そして新たな民主主義の推進に勇気を持って臨みましょう。

希望と決意を新たに!

ジェイミ、キア、アレックス、モーガン、ダリア、Avaazチーム一同

中國新聞「ふくしま宣言、全世界へ 知事「再生エネ推進」」:
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201203120062.html

信濃毎日新聞 「ふくしま宣言 誓いを全力で支えよう」:
http://www.shinmai.co.jp/news/20120313/KT120312ETI090004000.html

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