2012-03-24(Sat)

糸偏に¥でキズナ でも人は一人じゃ生きられない

原発をクリーンと言ったり、いわゆる瓦礫をキズナと言ったり、中身とまったく違う包装紙で善意の人を上手いこと手先にしていく手法は、日本の伝統的な泥臭い人民支配のやりかたとは毛色が違う。

日本の支配構造は、地縁血縁、会社組織と業界団体といった、実体のある組織を介して、生活保障や利益配分という「カネ」を原動力にしつつ、それに人間関係をからめていくという方法が主力だったはずだ。
手法だけを見るならば、江戸時代となんら変わりがない。

きれい事じゃないのは皆わかりながら、それでも生きるために従ってきた。
原発も、立地自治体などでは、完全にこのやりかたで、がんじがらめにしてきたのである。

ところが、原発をはじめとする環境問題は、そうした手法では押さえきれない勢力を多く生み出した。
そこでは、従来の支配の網の目をくぐり抜けやすい女性の力が大きかった。
また、環境汚染は立地自治体にとどまらないことから、制圧地域の外からどんどん環境問題に意識を持つ人々が出てきた。

かくいう私も、1970年代の高校生の頃、環境問題に関心を持ち生態学を勉強したいなんて思っていた。
(そっちへは進まなかったけれど)

環境派は、直接的に支配層と対峙するという意識は薄く、それぞれの関心のあるシングルイシューの中にとどまっていたが、それでもいつかは原発や食品の問題などで妥協できない対立になることは明らかだった。
さすがに、日本中に原発立地自治体のようなカネをばらまくこともできず、環境派は徐々に支配層にとって面倒な存在になっていった。

そんなときに登場したのが、CO2による地球温暖化 というトンデモな話だった。
発案者は、もちろんアメリカだ。
1979年、スリーマイルのメルトダウンが起きた後、全米科学アカデミーが言い出したのが、本格的な温暖化詐欺の始まりである。

アメリカは、その後「温暖化防止」に反対するヒールを演じることで、温暖化詐欺を世界に信じさせることに成功した。私も最初は、アメリカが反対しているから「温暖化防止」は正しいのだろうと、漠然と考えていた。

その後のことは、ここでは繰り返さない。
スリーマイル事故で、完全に止まりかけた世界の原発は、温暖化詐欺のおかげで息を吹き返し、あのチェルノブイリ大事故があったにもかかわわず、なんとクリーンエネルギーと称して今日まで生き延びできたのである。

問題は、その温暖化詐欺を先頭に立って支えてきたのは、原発に反対し環境を憂える人々だったと言うことだ。グリーンピースなどに代表される環境派の人々は、原発に反対しながらその基盤をしっかりと支えてきたのである。

■■
そしていま、温暖化詐欺とまったく同じ構図のキャンペーンが大々的に繰り広げられている。
そう、キズナである。

多くの人が指摘しているように、キズナと言われるものには利権が絡み、正しい書き方は絆ではなく「糸¥」になった。
だが、利権のことだけに目を奪われていると、「キズナ」キャンペーンの本当の、恐ろしい狙いに気がつかない。気がつかないばかりか、まんまと乗せられてしまう可能性が高い。

「キズナ」キャンペーンは、瓦礫拡散、食べて応援など、いくつかの作戦で進められているが、全てに共通しているのは、「低線量被爆なんて気にするな」という新安全神話だ。
さすがに、原発自体の安全神話はもう通用しない。そこで登場するのが、「低線量被爆安全神話」だ。

原発は放射能が漏れない という安全神話は間違っていました。漏れるかも知れません。けど、少しくらいなら大丈夫です。原子炉に穴があいていても、水さえかけていれば少ししか放射能は出てこないので安心です。空間線量も年間100mSvまでは大丈夫です。食べ物も、100ベクレル以下なら何の問題もありません。

と、むき出しにこう書けば誰でも、何言ってるんだと腹が立つ。そこで、きれいな包装紙で包んで「キズナ」と称してプレゼントしてくれる。
福島とその周辺で、非常に多くの人びとが健康被害にみまわれる。すでにそれは生じているし、今後5年10年と経つうちに、それは広島・長崎の原爆症を遥かにしのぐ人数になることは間違いないだろう。
いま、政府・東電・その他原発鬼が恐れているのは、その補償と責任追及だ。穴のあいた原子炉よりも、そっちのほうが遥かに怖い とヤツらは思っている。

「キズナ」キャンペーンは、薄く広く犠牲を強いることで、「私たちもガマンしているんだから、福島の人もガマンしろ」という流れを作り出すのが、真の目的なのだ。
健康被害に怒り、声を上げる人びとを、「わがまま」と言って切り捨てる世論をねつ造するための、その下ごしらえが「キズナ」キャンペーンだ。

そして、多くの人がこうした「キズナ」の正体を見抜いて反対の声を上げている。
 かに見える。

ところが、この「キズナ」キャンペーンの恐ろしさは、反対も想定内である ということだ。

■■
今、日本中の反原発運動が、ガレキ拡散反対運動に集約された観がある。

たしかに、ガレキには放射性物質が含まれたものが多く、そんなものを全国にばらまいて、普通の焼却場で燃やすなんて言うのは正気の沙汰ではない。
どんなに控えめに考えても、焼却場周辺の住民に影響がないわけがないし、放射能が濃縮された灰は結局行き場をなくすし、焼却炉の除染で水系が汚染される。

だから、反対するのは当然だ。
当然なのだけれども、どうしても気になることもある。
例えば、「ガレキは被害のあった地元で処分すれば、雇用も生まれるし、地元も望んでいる」という話。

いくら雇用が生まれて金が落ちると言っても、自分たちが「危険だから持ってくるな」と言っているものを、「地元で燃やせ」は無いだろう。

さらに言うと、優先順位が違うのでは、という気もする。
ガレキどころではない高線量の、日常的な被曝環境で福島の人びと、子どもたちは暮らしている。
そのことを忘れたガレキ反対運動は、とても危ない種を宿している。

ガレキ問題にとり組むのと、少なくとも同じ情熱と時間を、福島の子どもたちに向けてほしい。
そうでなくては、反原発運動がただの保身になってしまう。
保身が悪いのではないが、保身だけが突出していく先には、敵が大きな口をあけて待っているということを知るべきだ。

ああ、もう書いていて辛くなってきた
この先は繰り返しになるので、以前の記事を見ていただきたい

ガレキ問題の本質を考えてみる

福島を想う

深い憂鬱

■■
こうして、きずな という言葉は最悪の付加価値を付けられて、生まれ変わることを強いられた。
小さな繊維の一本一本が撚りあつまって糸が紡ぎ出される、その様を現したのであろう「絆」という文字は、哀れにもその命を奪われてしまった。

でも、人は一人じゃ生きられない

そんな簡単なことに気がつくのに、私は50年かかった。
もともと、べたべたした人間関係が苦手だった。そのうえ、この1年はテレビがキズナキズナというものだから、余計にそういうものを避けてきた。
糸偏に¥だと、ことさらに言われなくても、本能的に「ニセモノ」の臭いを嗅いでいた。

でも、それでもやはり、人の絆は必要なんだと、思い至った。
必要と言うよりも、逃げられない、必ずそこにあるべきものなのだと。

キズナというかけ声の下に、絆がズタズタにされようとしている。
今こそ、それに抗するときなんじゃないか。そう思った。
大声で叫んでもどうなるものじゃないが、一人が一本の繊維になることで、原発鬼たちに奪われ、糸¥にされた絆を、もう一度紡いでいくこともできるのじゃないか。そう思った。

なにせたかが一本の繊維だし、もともと苦手なジャンルだから、大したことはできないが、自分にできることを少しずつ動いていけば、繊維は糸になり、糸は布になる。

今、何が大事なことなのだろう。

子ども福島の佐藤代表は、避難している人たちの交流が、まず差し迫って深刻な問題だと言っておられた。
自主避難している人のほとんどは母子避難であり、お母さんたちは孤立している。本音でしゃべる相手がいないという精神的な孤立は、何よりも辛い。

それに対して、何をどうしたらいいのかは分からないが、肩肘張らずに話をしたり、気分転換したりする場があったらいい。
例えば、六甲菜園での畑仕事なんかはどうだろう。

関西に避難中で、土いじりの好きな方がおられたら、ぜひ一緒にやりませんか。
大阪から車で1時間足らずの高原で、晴れた日はそれはそれは気持ちの良い場所です。
車の無い方は、乗り合いで行くことも可能です。
一緒にやっている郊外楽園研究会の仲間は、何かできればと思っていますが、決して押しつけがましいことを考えている訳じゃありません。
一日、土をさわり、野菜の生育を眺めているだけでも、かなりストレス解消になります。

郊外楽園プロジェクト・六甲菜園ブログ

■■
母子避難している人たちが、次にぶつかる問題が二重生活だ。経済的にも精神的にもきつい。
私たちが ああしろこうしろ とは言えないが、できれば一家で避難できればそれにこしたことはないだろう。
でも、仕事をやめて避難してしまったら、途端に生活が成り立たない。20年前ならばいくらでも仕事はあったけれども、今、避難先で仕事を探すのは並大抵ではない。

そう思って、試しにハローワークの求人欄を見ると、意外や意外、被災者枠というのがあって、結構たくさん求人が出ている。ほんまかいな・・・
そう思って佐藤代表に聞いてみると、やはり案の定、意を決して行ってみたら、休みがほとんど無いようなブラック企業だったりすることがあるようだ。
もちろん善意で求人している会社もあるのだろうが、顔と顔でつながらない話は、危なっかしいのは確かだ。

また、これが一番の問題でもあるのだが、なにせ政府・東電の対応がこの体たらくなので、避難する人自身がいつまで避難するのか分からないという問題がある。
これは、求人という意味ではとても大きなネックになる。だから、事情を分かってくれる社長さんでないと、どうしても難しいのだ。

だから、望ましいのは人から人への芋づるで、心ある社長さんに出会えること。
効率は悪いけれども、直接会ってみて、人となりを感じることが大事なのだろうと思う。

今のところ、中小企業に顔が広そうな人に、ちょっとずつ話をしているくらいだけれども、もう少し分かりやすく話を広げてもらえるように、仕組みを考えていこうと思う。

■■
それでも、やはり避難したくてもできないという人が圧倒的に多い。
ならば、せめて子どもたちには、少しでも安全なものを食べてもらいたい。

六甲菜園の放置農法でとれた、味はともかく安全だけは折り紙付きの野菜も、少しばかり送ったりはした。子ども福島が運営する、はもる という野菜カフェにだ。

http://kodomofukushima.net/index.php?page_id=101


もちろん六甲菜園の野菜は差し入れだけれども、こんなものではなくて、本格的に仕入れをできる先が必要だ。
そして、ただでさえ高い健康リスクをかかえてしまった子どもたちには、それ以上の危険をできるだけ減らすために、有機農法の野菜に限定している。

有機をやっている農家を探すだけなら何とかなるのだが、商流の管理やなんやかんやと、野菜を作る以外のことが結構な比重を占めるので、そう簡単にはいかないのが実情だ。
かといって、システムのできあがった有機野菜は、ビックリするほど高価だ。
(ウチの近くにクレヨンハウス店があるけれども、値段を見ると卒倒しそうになる)

そうした、なんやかんやの前処理をしながら、効率よく福島に安全な野菜や食品を送り込める農家や、農事組合法人や農業公社が求められている。
私の関係では、熊本県産の木材を扱っている建材会社のバックアップで、熊本の野菜を送ってもらえそうな話になりつつある。

どなたか、手を挙げていただけるかた、あるいはご存じの方がおられたら、ぜひご連絡いただきたい。

■■
仕事の合間にできるのは、このくらいが精一杯だ。
ほんとに、ささやかすぎて気が滅入っていたのだけれども、しょせん一本の繊維なのだと思い直すことにした。

そう思ったときに、郊外楽園プロジェクトについても、ひらめくものがあった。
が、もういい加減長くなったので、今日はおしまい。
また、日を改めて書いてみたい。





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