2012-03-29(Thu)

琉球に思いを馳せつつ 政経フォーラムのお知らせ

娘に勧められて、テンペストを読んでみた。全4巻は、あっという間に読み切ってしまう。

主ストーリーはやや奇天烈で、思っていた以上に文体も砕けていて、全体にリアリティーに乏しいなあという気はした。
それでも、背景にある「琉球処分」をめぐる時代背景は、小説であるが故にリアルであり、当時の琉球のお偉方の心情はよく伝わってきた。

琉球王国は、今で言えば非武装中立を実践し、清国と薩摩藩の狭間で生き延びていた。
しかも、そんな状況の中で王国の矜持をたもち、従属すると見せて実は大国を手玉に取る。そんな天才役人の活躍が、小気味よく描かれる。
明らかに日本政府への皮肉を込めているように思えてくる。

しかし、清国が列強に侵され、日本が侵略主義の帝国になり、ついに琉球王朝の非武装抵抗は力尽きる。
美と文化で大国を圧倒した琉球王朝は、日本政府の威嚇と詭弁に屈してしまう。

テンペストはこのあたりの時代で、終わってしまう。
それに、琉球の庶民の視点は、まったく描かれていない。登場するのは王宮の人びとやエリート官僚だけだ。

それならば と、同じ小説でも、より史実に基づいて書かれているという「小説 琉球処分」を読んで見ることにした。こちらは、まだ読みはじめたばかり。

あらためて、琉球処分について少しばかり調べてみると、大きく2つの論調があるようだ。
一つは、テンペストの作者のように、琉球処分を「大日本帝国による琉球王国の侵略・併合という」というくくりでとらえる考え方。
もうひとつは、「明治維新という近代革命に対して琉球王朝という封建反動が抵抗した」という考え方。

学問的にどちらがどうなのか、私は知らない。
また、そのことが現代に直結するのかしないのか、それも正確にはわからない。
ただ、連綿と続いている沖縄に対する差別と、無関係なわけはないということだけはわかる。

やたらと大きな話になるが、日本を考えるときに最も軸になることは、天皇、9条、沖縄 なのだと私はつねづね考えている。
その他のことは、わりと何処の国でもあるようなことだが、この3つは現代日本の特筆すべき事項だと言える。

この3つのことを語り出したらあまりにも長くなって、本が一冊書けるだろうから、ここでは指摘するにとどめておく。
ひと言だけ書くならば、日本という国は、右手に天皇、左手に9条を握りしめ、そして足の下に沖縄を踏みつけている。

それが、日本という国が今日なりたっている存立基盤なのだ。
9条を作ったから天皇は存続しえたし、天皇を残したから9条は容認された。この相矛盾する二つのものを同時に手にするために、沖縄は足下に踏み敷かれることになったのである。

そして、なぜ沖縄だったのか。
これは、地理的な条件もあっただろうけれども、琉球処分に見られるように、沖縄は日本であって日本じゃないという、天皇と日本政府の意識が根底にあったことは間違いないだろう。

琉球処分の時代に、宗主国であった清国が崩壊したように、今、日本という国のシナリオライターでありプロデューサーであったアメリカという国が揺らいである。
右手に天皇、左手に9条、足下に沖縄 という国の形が根底から変わろうとしている。

普天間という問題を起爆剤にして、沖縄が立ち上がっている。沖縄が立ち上がるということは、日本にとってはひっくり返るということだ。
また、日本自らの腹の中でも、放射能という消すに消せない猛毒を垂れ流してしまった。
もう、今まで通りではどうにもならないところに、日本という国と、そこに住むものは立ち至っているのである。

ところが、日本に住む多くの人びとは、あまりに長かった安逸の時代に慣れきってしまった。
普天間のことも、原発のことも、オカシイとは感じているが、当事者以外はそこまで自分たちの存在が揺らいでいるとは思っていない。

だからこそ、直接の当事者の声を、生の声をしっかりと聞くことが、大切だ。
福島で、日々放射能におびえる人たちの声。
沖縄で、基地と差別に押しつぶされそうになりながら生きる人たちの声。

もう大海原に漕ぎ出てしまったのに、いまだ地面に立っていると思い込んでいる私たちは、目をこすって現実を見ることからはじめなくてはならない。
このままでは、みんなそろって溺れてしまう。

そんな思いをこめて、4月22日(日)におこなわれる、「政治と生活を考える会」の政経フォーラムを紹介させてもらう。

(以下、政治と生活を考える会 ブログより引用)


『 沖縄 ・ 基地と隣り合わせの生活を考える 』


主催 :政治と生活を考える会
        ー責任ある自立と共生の社会をめざしてー

日時 :4月22日(日) 14時~16時 (受付開始13時半)

会場 :エル大阪 6階大会議室

      大阪市中央区北浜東3-14

      TEL 06-6942-0001

     京阪、地下鉄谷町線「天満橋駅」より西へ300m

司会 :三橋まき氏

第一部 講演 「沖縄・基地と隣り合わせの生活」 

      講師  玉城デニー衆議院議員

第二部 質疑応答  

      玉城デニー衆議院議員、 渡辺義彦衆議院議員

定員 :200名

参加費:お一人様  1,000円(当日受付にて徴収)

申込方法:① お名前
       (複数で参加される場合は全員の方のお名前)

       ② ご住所

       ③ 連絡可能な電話番号

    を明記の上、 メールかFAXでお申し込み下さい。

    受付完了の方には折り返し、こちらからご連絡させていた
    だきます。

◆ メール  nipponissin.kansai@gmail.com
◆ FAX   0744-32-5327 

※ お問い合わせは、メールの場合は、
              nipponissin.kansai@gmail.com

     お電話の場合は
     TEL 090-4270-3660(代表 森田)までお願いします。

(引用以上)




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追伸

何度もすみませんでした。
ある議員名が禁止ワードのようです。
亀井代表を説得すると言っていた人です。

ミスキャスト5

泡瀬干潟埋立について、表ではモゴモゴとカムフラージュした言い方をしていますが、実態は埋立推進。
泡瀬干潟埋め立て再開は、辺野古移転を仲井真知事に認めてもらうためのエサとも言われています。
そして、そこには本土マリコンや役人天下りの政官業癒着の構図があります。
原発と同様に、公共事業依存が麻薬のように地域社会の自立を阻んできた沖縄において、
一度はストップした工事を再開するように、東門市長と連携して動いたのが玉城デニー議員。

そんな玉城議員に「責任ある自立と共生の社会」を語る資格があるでしょうか?
足下で生き物の命との共生を踏みにじり、利権の甘い汁に浸っていながら、
どんなもっともらしいことを語っても、それは偽善にしか聞こえません。
講師役が完全にミスキャスト。
大阪まで遠征する気はありませんが、もし東京でのイベントだったら、会場で思い切り突っ込んでいるところです。

明月さんのお話にはいつも勉強させられていますが、今度ばかりは最後の落ちにがっかりです。

ミスキャスト4

ある議員とともに埋め立て再開で動いていました。

ミスキャスト3

再開の背後で動いていたのが、他ならぬ玉城デニー議員。

ミスキャスト2

泡瀬干潟埋め立てを推進する利権議員。
泡瀬干潟埋立事業は、必要性・妥当性・正当性のない無駄な公共事業です。
裁判でも「経済的合理性がない」との判決が確定し、2009総選挙でも「泡瀬干潟の埋立は止める」と民主党は約束したのに、国民との約束を破り、 司法判断もないがしろにして、生物多様性に富んだ世界的に大切な干潟を、無駄な公共事業で埋め立てる工事を、民主党政権は再開したのです。

ミスキャスト1

明月さま
ご返事ありがとうございます。
何が禁止キーワードかを探りつつ、何回かに分けてコメントすることをお許しください。

ではまず一発目。
========
ふむふむ納得、激しく同意と読み進めて、最後にとんでもない落ちが。。。

講師 玉城デニー衆議院議員

モニオジさんへ

禁止ワードは長年の間にたくさんたまってしまい、私も把握しきれません。また、fc2の不具合で投稿できないこともあるようです。

投稿不能なぜ?

コメントをしたら、「禁止キーワードが含まれています」と表示されました。
何が禁止キーワードなのか分からず、コメントできずにいます。
なぜコメント拒否されるのでしょうか?

代表のツィートを見つけました。

政治と生活を考える会の代表のツィートがまとめられてます。これと今回のフォーラム、重要なメッセージなんだろうなと思いました。

http://togetter.com/li/278872
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
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