2012-04-05(Thu)

第一の敵

私が大学に入ったばかりの頃、どこかのサークルが「第一の敵」という映画の上映会をやっていた。
その時は見ていないはずなのに、なぜかネーミングがずっと心に残って、30年以上経ったいまごろになって思い出した。

ボリビアのホルヘ・サンヒネスという監督が、軍事クーデターを逃れて亡命中に作った映画だそうだ。
詳しくは、こちらのサイトに色々と書いてある。

映画制作集団ウカマウ

で、何でこの題名がずっと記憶に残っていたかというと、この上映会をやっていた先輩から、粗筋を聞いていたからだと思う。
粗筋も、上記のサイトの中にある。(第一の敵

横暴な農場主に抗議した農民が首をはねられる。
それに怒った農民たちが農場主をとらえて判事に突き出す。
ところが、判事は農場主をかばって、逆に農民たちを逮捕してしまう。
そこへゲリラが現れて、農場主をとらえ人民裁判にかけて処刑する。
ゲリラは去っていくが、農民たちには軍隊の弾圧が襲いかかる。
軍隊を指導しているのはアメリカの軍事顧問団である。

いきなり生首をおとされはしないにしても、構図は今の日本と同じだ。
第一の敵が誰なのか、分かっているかいないかで、同じ腹を立てるにしても意味がぜんぜん違ってしまうのである。

現在の日本で、ボリビアの軍事政権におけるアメリカ顧問団に相当する連中を、「日米安保マフィア」と呼ぶようだ。
ジャパンハンドラーズと言われるアメリカ人の軍事・政治の要人と、それに従うことが使命だと信じている日本の官僚。
その基軸に、さらに政商、政治家などが加わった、名前のない組織体である。

米国側の要人については、最近はだいぶ明らかになってきている。
一番有名なのが、リチャード・アーミテージ元国務副長官。最近よく名前をきくのが、マイケル・グリーン元大統領特別補佐官やらジョセフ・ナイ元国務次官補などなど。挙げればいくらでも出てくる。
代替共通しているのが「元」ということ。要職を歴任した後、シンクタンクなどに籍を置きながら、日本の官僚に絶大な影響を及ぼしながらハンドリングしているらしい。

シンクタンクとしては、 米戦略国際問題研究所(CSIS)がなんと言っても有名どころで、この名前をウォッチしておけば、日本でのジャパンハンドラーズの動きを(表沙汰の部分は)追いかけることができるようだ。
最近では、カタカナの「トモダチ」という名前を使うことも多いので注意。

日本側は、外務省、防衛省を中心に、官僚組織の奥深くに根を張っているようで、なかなか目立った個人名として表に出てこない。
ただ、役所の動き方を見れば、外務省と防衛省は、もうほとんど米国務省と米国防省の下部組織になっていることは明らかだ。

しかし、官僚組織のトップである財務省との関係は、いま一つハッキリしない。
還ってくる見込みの無い米国債をとことん買い支えるという意味では、120%対米従属ではあるけれども、いわゆるジャパンハンドラーズとの接点が見えにくいのと、竹中平蔵のような外様を投入したり、その弟子である高橋洋一が排除されたりと、ちょっと分かりにくい。

ジャパンハンドラーズについては、研究の第一人者である
中田安彦さんの著書などで詳しいことは勉強していただきたいのだが、私がここで言いたいことは、今日本で(政治が原因で)苦しんでいる人たちの、第一の敵は、やっぱりジャパンハンドラーズの連中ではないのか ということ。
少なくとも、悪の権化と言われ国民の財をむしばむシロアリと言われる官僚組織の、その上位にたって操っているものがいるということは、押さえておかなくてはならない。

最近では、米国側も決して一枚岩ではなく、たとえば普天間問題に見られるように、議会側は早期撤退を強硬に主張するのに対し、国防相が頑強に抵抗して沖縄にへばりついているという事態もある。
日米安保マフィアも、旧来の利権にしがみつく連中と、震災利権も含めて、もっと根こそぎ日本を食い尽くそうという動きに分化・対立の様相がある。
それが、端的に表れているのが、原発の分野だ。

ガレキ問題の本質を考えてみる
 
操り人形の人選も、それにつれて変化がある。
かつては、前原誠司が自他共に認める(?)アメポチ政治家であったけれども、あまりの無能ぶりにどうやら愛想を尽かされたようである。

 代わって「契約」を結んだのがマイケル・グリーンも絶賛する橋下徹だ。
20120405-2.jpg
維新の会のブレーンを調べていけば、橋下のバックがアメリカであることは明らか。
自ら飼い慣らしてきた官僚組織の腐敗があまりにも進行してしまい、みずからコントロール不能になり、一度独裁政権によってリセットする必要がある、とアメリカは判断したのだろう。


ちなみに、原発村の構図は、まったくこの縮図になっている。
自ら洗脳されてしまったマッドサイエンティストを、一度粛正しなくては原子力産業は成り立たない、というところまで、日本の原子力村は腐りきっている。
橋下徹が「脱原発」なんて言ってみせるのは、よりグローバルな原子力産業の要請によるものだ。

そういう、第一の敵がまた分裂・対立している、という複雑な事態も見つめながら、しかし、全体像を睨むという姿勢だけは失わないようにしたい。
一つ一つの、単一テーマですべてのことを判断しない、ということでもある。

例えば、先の記事で私は、玉城デニー議員と泡瀬干潟埋め立てのことを書いた。
これ自体は、どうしたって賛成しかねる。埋め立て反対運動を続けてきた人たちが、玉城議員を信用できないのも当然だ。

けれども、私は4月22日の政経フォーラムで、玉城議員を追及しようとか責め立てようとはサラサラ思わない。
玉城デニーさんが、基地と米軍の問題について、本気の本気であるならば、その問題では共に歩むべきだと思うからだ。
(泡瀬についての玉城さんの考えは是非聞いておきたいが)

曖昧だとかいい加減だとか批判されるかもしれないが、わたしはこれが正しいと信じている。
それは、小沢一郎を支持するということにもつながる。

関西・日本一新の会がリニューアル 「政治と生活を考える会」に

あえて言うならば、仮に国内の様々な利権に結びついていたとしても、第一の敵と対峙する覚悟のある人とはケンカするべきじゃない。と、私は思うのだ。
少なくとも、今は。

逆に、脱原発とか脱官僚とか耳障りの良いことを口にしても、
じつは第一の敵の手先になっているものとは、ぜったに妥協したくない。
そう思うのである。





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「ウカマウ映画の現在・ベアトリス・パラシオス追悼~グローバリゼーションに抵抗するボリビア」(2004)より

記事タイトルから標記小冊子を思い出した。その中に中野憲志という人の次の文章(抜粋)がある。

-軍事化を招くネオリベラリズムと開発戦略-ボリビアの「ガス戦争」と先住民族-

...アンデス山脈中部、そして広大なアマゾン流域地帯西部に位置する、実に豊かなこの<くに>は、なぜ「貧しい」のか。
問題の根源にあるのは開発である...私たちが「資源」と呼び慣れている総てのもの-先住民族と土地に生きる人びとのコモンズ-は、それが発見されると同時に開発され、五世紀以上にわたって収奪されてきた。金、銀、銅、錫などの「鉱物資源」、石油、天然ガスなどの「化石燃料資源」、熱帯雨林、原生林などの「森林資源」の開発と収奪の歴史...

先住民族とボリビア民衆は石油・天然ガス田の開発を、外部勢力がこの国から奪い尽くす最後の「天然資源」だという意識を強く持っている...さらに開発プロジェクトに伴う利益は、先住民族にも国民生活にも何ら還元されることなく、暴利をむさぼるのは米国と石油メジャー、多国籍企業、そしてそれらと癒着構造にある政治家・官僚と財界人だけ、だという。調べてみると、その通りであることが分かる...

...これまでその経済的側面が中心に論じられてきた「グローバリゼーション」は、今日ますますその軍事的側面を露にして、先住民族共同体や「辺境」と定義付けられてきた地域に生きる民衆の平和に対する脅威となっていると数多くの先住民族や民衆運動団体が主張している...

無限に続く戦争と軍事化は、競争と市場経済のもう一つの顔である。その最も顕著な表れは、軍隊、およびIMFと世界銀行などの国際金融機関である。

コロンビア計画、プエブラ=パナマ計画、尊厳計画(麻薬撲滅五ヵ年計画。ボリビア)、北米自由貿易協定、米州自由貿易地域、アンデス・イニシアティブなどの経済的・軍事的支配と介入は、反乱を屈服させ、大企業による天然資源の独占を維持し、域内の未来を統制しようとするものである。

ネオリベラリズムの開発戦略が、アメリカ大陸はもとより世界の軍事化を招き、それが国民=国家の主権のみならず先住民族の自決権や諸権利を蹂躙し、民衆の平和を破壊している...

 *

中野氏の著書「日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構」(2010)は、天木直人氏がメルマガで4回に亘ってその魅力を伝えていた。

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もにおじさんへ

お話しの趣旨はわかります。ただ私はあなたの連絡先もわかりません。一方的におききするだけです。メールで連絡ください。

Re:第一の敵

もちろん第一の敵が「日米安保マフィア」であることはよく解っているし、私も小沢一郎議員支持者なので、今回のフォーラムの趣旨には大賛成です。講師が玉城議員であることが残念ですが…。おそらく趣旨に沿った講演をするはずなので、その場に泡瀬のことを持ち込んで波風を立てることは場違いなんだろうと思います。
しかし、私たちから見れば、彼は風を読んでいるにすぎないということです。今や仲井真知事でさえ辺野古移転反対を唱えざるを得ない状況ですが、だからと言って知事を本当に信用できるかと言えば、そうではないと思います。伊波さんの「日米安保マフィア論」なら信用できても、仲井真知事では????という感じ。
玉城議員が本当に本気なら、同じように泡瀬埋立も止めてくださいとお願いしたいですね。地元議員に味方になってもらえれば百人力です。
玉城議員の講演は沖縄県民の世論が背中を押している結果であり、そのことを頭に入れながら講演を聞いてほしいなと思います。
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