2012-05-01(Tue)
アメリカで「改憲」を宣言した野田佳彦 <追記あり>
大変なことがおきている
しかも、日本ではほとんど報道されずに。
日米首脳会談と共同声明のニュースは、もっぱらポイントガードがどうしたとか柔道の黒帯がどうしたと言った、どうでもいいジョークの部分ばかり報道されている。
いかにも、野田がオバマの太鼓持ちに成功したことを印象づけたいようだが、ただのバカに喜ぶほどオバマはバカじゃない。
ちゃんと理由があって、ご満悦なのである。
その背景を、見る限りではウォール・ストリート・ジャーナルだけが取材している
日米首脳会談、安全保障問題が焦点に
2012年 4月 30日 WSJ
野田佳彦首相は30日、ホワイトハウスで行われる予定のオバマ米大統領との首脳会談でアジア太平洋地域の安全保障における日本の役割強化を誓うとみられる。これは過去60年余りにわたり、自国の平和憲法のもと、諸外国での軍事活動を制限してきた日本にとって重大な方針転換となる。
(後略 全文はmore以下に転記した)
要するに、憲法9条の破棄を宣言したと言うことだ
アジア太平洋地域での米軍の肩代わりを、オバマに約束したのである
こんな大転換を、国会議論はおろか、党内議論もなにもなしに、いきなりアメリカで大統領閣下に宣誓してしまったのである。野田佳彦は。
何回も繰り返すが、オバマが上機嫌なのは、野田が「9条を実質破棄して、アジア太平洋の軍事負担を肩代わりします」とお誓い申し上げたからだ。
武器輸出、海外派兵を一足飛び、集団的自衛権すらすっ飛ばして、9条や専守防衛なんて話は「はあ? そんな話あったっけ??」 てな調子で無視黙殺、一気にアジア太平洋地域の軍事覇権の一翼を担うと言うのである。
もちろん、表向きの会談に直接言質を残すことはしていないだろうが、他の記事からも垣間見える
北朝鮮核実験、阻止へ連携=野田首相「同盟、新たな高みに」-日米首脳会談
2012/05/01 時事通信
首相はまた、「(首脳会談で)大局的な日米同盟の意義や在り方を確認することができた。日米同盟は新たな高みに達した」と強調。オバマ大統領は「共同声明は今後数十年間にわたり、アジア太平洋(の枠組み)を形作っていく」と表明した。
同盟深化、共同声明に盛らず
2012/05/01 時事通信
ワシントンで30日行われた日米首脳会談後に発表された共同声明には、最近の日米関係を表す際のキーワードとなってきた「同盟深化」の文言が盛り込まれなかった。
(引用以上)
これまでとは違う ということが強調されている。
しかし、そのことの意味を日本のマスメディアはまったく報じないが、WSJだけは野田の言質を取ろうとして取材したようだ。
今回の首脳会談と共同声明は、悪い意味で歴史を画するものになった。
どう受け止めるべきなのか、どう考えるべきなのか、いろいろ議論はあるだろう。
しかし、ひとつだけ絶対的にはっきりしていることは、憲法を変えてしまうくらいの話を、外国の大統領に、かってに誓いをたててしまうようなヤツが、首相という立場に立っていることは許されない ということだ。
野田は、この一点を持って、罷免・不信任されるべきだ。
今の民主党にも自民党にも、その気もなければ、意味を理解する能力すら無いだろう。
ならば、そういう無能大食の輩を一掃してでも、歴史のゴミ箱に放り込まなくてはならい。
そのくらい激しい言葉でおとしめても足りないくらいのことを、野田はアメリカでやらかしている。
日本人、日本に住んでいる人は、もっともっと注視しよう。
いま、トンデモナイ分岐点に、私たちは立っている
<追記>
孫崎亮さんが、的確なツイートをされているので、引用させていただく
憲法記念日:日本国憲法が米国の指示で作成された事は明白な事実。従って米国指示のものでなく、独自憲法を作りたいというのは正当な議論。
問題は如何なる 憲法を作るか。呼びかけは「独自の憲法」だが、狙いは安全保障面での対米隷属体制を憲法的に担保すること。現在の憲法では自衛隊の海外戦闘従事なかなか難しい。
それを国際貢献の充実という名目で、自衛隊が米国戦略の一環で、自分で費用を払う傭兵的立場で戦闘参加を第一の目的としている。 こうした意図の中、改憲の動きには反対である。
同時に、日米双方は憲法9条をもっている中、明らかに憲法違反を行っていながら、日本の法律や、共同訓練で、自衛隊が自ら費用を負担しつつ、米国戦略に傭兵的に動く体制を整備しつつある。
「憲法9条を守れ」と言っているだけでは9条の趣旨は守れない。日米双方が何を目指しているか見極める必要がある。中国か大国化する中、米国自衛隊を対中戦略に使う姿勢を強めている
(引用以上)


にほんブログ村
応援お願いします
日米首脳会談、安全保障問題が焦点に
2012年 4月 30日 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_435216
野田佳彦首相は30日、ホワイトハウスで行われる予定のオバマ米大統領との首脳会談でアジア太平洋地域の安全保障における日本の役割強化を誓うとみられる。これは過去60年余りにわたり、自国の平和憲法のもと、諸外国での軍事活動を制限してきた日本にとって重大な方針転換となる。
野田首相のメッセージはアジア地域での米軍の分散を図っているオバマ大統領にとって歓迎すべきものとなろう。オバマ大統領は国防費が削減され、緊縮財政への圧力がかかる中、中国の軍事力増強に対抗し、かつ北朝鮮の核開発意欲をなだめる困難さに直面している。米政府高官らはアジア太平洋地域における米国最大の同盟国である日本が米軍勢力の強化のために一段と大きな役割を担うことを期待している。
ウォール・ストリート・ジャーナルとの書面インタビューで、野田首相は、「我が国としては(中略)米国の同地域(アジア太平洋)重視の戦略と連携して、動的防衛力の発展及び南西諸島を含む地域の防衛態勢の強化を進める」と述べ、日本が中国と反目し合う東シナ海の島々に言及した。野田首相はまた「日米間の安全保障・防衛協力を強化していく」としている。
日本の戦略の変化は――まだ控えめなものではあったが――27日に発表された在日米軍再編計画の日米共同文書に表れていた。再編計画の焦点は沖縄に駐留する米軍の県外への一部移動であったが、アジア太平洋地域における日本の自衛隊のプレゼンスを拡大する多くの具体的な方策も含まれていた。
日米両国は米国領である太平洋上のグアムを「戦略的中心」と位置づけ、共同訓練施設を本島とその周辺の島に建設することを検討中だ。実現すれば、米国領内に初めて日本の自衛隊が常駐することになる。野田首相によると、北マリアナ諸島が候補地の1つとして挙がっているという。そこは第二次世界大戦中、広島と長崎に核爆弾を落下させた戦闘機が飛び立った場所だ。
野田首相は「このような取り組みは、自衛隊と米軍による動的な日米防衛協力の拡大などによって相互運用性を一段と高めることに繋がるものである」としている。
日本の第二次世界大戦後の憲法は国際紛争での武器の使用を禁じているが、近年は米国からの催促に応じる形で自衛隊は緩やかに海外での役割を拡大してきている。自衛隊はこれまで平和維持活動のほか、イラク戦争中は連合海軍への燃料補給などを行ってきた。最近では海賊対策を支援するためアフリカのジブチ共和国に海外で初めてとなる活動拠点を設けた。
昨年9月に就任した野田首相は2009年に民主党が政権を取って以来、公式な日米首脳会談に臨む初めての首相となる。民主党は半世紀近くに及んだ自由民主党政権を打ち破った。自民党は冷戦時代、米国にとって日米同盟を維持し拡大するために重要な党とみられていた。
日米首脳会談は安全保障での日米協力に加え、環太平洋経済連携協定(TPP)および北朝鮮やアフガニスタンをめぐる戦略といった幅広い分野で話し合いが行われるもよう。オバマ政権の上級幹部は27日、記者団に対し、今回の首脳会談の第1の目的は「日米の協力態勢と21世紀を通した同盟関係の展望を共有すること」だと述べた。これは日本の首相が頻繁に交代したために、なかなか成し得なかったものだ。野田首相は30日朝にオバマ大統領と会談し、大統領主催の昼食会が続く。晩餐会はクリントン国務長官が主催する。
日本のアジア太平洋地域における安全保障への貢献と米国の役割強化に対する新たな熱意は、中国の軍事力増強により西太平洋諸国が神経質にっていることが背景になっている。オーストラリアは米海兵隊2500人のダーウィン米軍基地での駐留で合意したほか、シンガポールは同地域での共同訓練のため、米海軍の軍艦数隻を停泊させる計画だ。フィリピンは米軍の国内駐留を増強するため交渉中だ。
野田首相は書面インタビューの中で、日中関係は「日本にとって最も重要な二国間関係の一つ」だとしながらも、ますます強大になりつつある中国との関係に対しては慎重な姿勢を崩していない。野田首相はアジア周辺における日本の防衛力の拡大に言及し、「このような取り組みは、特定の国や地域を念頭においているものではない」と述べ、さらに「中国については(中略)地域及びグローバルな課題における責任ある建設的な役割、国際的な行動規範の遵守を促すとともに、中国の軍事上の近代化及び活動に関する透明性の向上を求めている」とした。
中国による海軍の増強や北朝鮮のミサイル発射を目の当たりにし、日本は2010年末、海上および航空の監視強化と国内の安全保障、米国を含む同盟諸国との協力態勢の強化のため、新「防衛計画の大綱」を策定した。
さらにこの協力態勢を強化するため、日本は昨年12月、40年間禁止されていた武器の輸出を解禁した。日本はまた最近、政府開発援助(ODA)をアジア太平洋地域の海洋諸国に対し海上パトロール船を供与するといった戦略目的をより重視して見直すことを約束した。これは国防費を拡大させずに、諸外国に対する軍事力の提供を可能にするものだ。日本は現在、フィリピンに対する海上パトロール船の提供を検討中だ。
ストックホルム国際平和研究所によると、2011年の日本の防衛費は約4兆7000億円で世界第6位、アジアでは中国に続く第2位である。
「お金がない中で、いかにうまくスマートにやるかというのは、アメリカ、日本をはじめほかの同盟国もみんな進めている課題だ」と民間シンクタンクの東京財団で政策研究ディレクターを務める渡部恒雄氏は指摘する。
日本のような同盟国とより緊密な協力態勢を築くことは、まさに米国が求めているものである。イラクとアフガニスタンでの長い戦闘から徐々に撤退へ向けて動く中、オバマ大統領は1月にアジア太平洋地域へ国防戦略の軸足を移すという歴史的な方針転換を打ち出し、向こう10年間に国防費を8%削減する計画を明らかにした。
「予算の削減は、同盟国や協力国の相互運用と協力国の軍事力強化に対する支援を続ける上で、革新的で創造的な解決法を必要とする」と、オバマ大統領が国防戦略の見直しを打ち出した際に米国防総省は声明の中で述べた。
日本はまた、米国との経済関係の強化を求めており、日米首脳会談では加盟諸国間の関税撤廃を主な目的とする地域の自由貿易協定、環太平洋経済連携協定(TPP)についても話し合われる予定。米国など協議に参加する国々は年内にTPP交渉を終結させたい意向で、日本の交渉参加によってTPPの重要性を増し、輸出業者にとっても恩恵をもたらす。しかし日本国内では特に農業関係者からの反対運動が起こっており、日本の交渉参加に必要な取り組みを阻んできた。米国は日本に対し、交渉参加の前に、特に農業や自動車、保険業界でのさらなる自由化を求めている。
野田首相はアジア太平洋地域での経済成長に拍車をかけ、貿易と投資に関するルール作りのために、「日米が共同で取り組む意義は大」だとしながらも、TPP交渉参加へ向けた強い決意を表すまでには至らなかった。
記者: Yuka Hayashi
(引用以上)
しかも、日本ではほとんど報道されずに。
日米首脳会談と共同声明のニュースは、もっぱらポイントガードがどうしたとか柔道の黒帯がどうしたと言った、どうでもいいジョークの部分ばかり報道されている。
いかにも、野田がオバマの太鼓持ちに成功したことを印象づけたいようだが、ただのバカに喜ぶほどオバマはバカじゃない。
ちゃんと理由があって、ご満悦なのである。
その背景を、見る限りではウォール・ストリート・ジャーナルだけが取材している
日米首脳会談、安全保障問題が焦点に
2012年 4月 30日 WSJ
野田佳彦首相は30日、ホワイトハウスで行われる予定のオバマ米大統領との首脳会談でアジア太平洋地域の安全保障における日本の役割強化を誓うとみられる。これは過去60年余りにわたり、自国の平和憲法のもと、諸外国での軍事活動を制限してきた日本にとって重大な方針転換となる。
(後略 全文はmore以下に転記した)
要するに、憲法9条の破棄を宣言したと言うことだ
アジア太平洋地域での米軍の肩代わりを、オバマに約束したのである
こんな大転換を、国会議論はおろか、党内議論もなにもなしに、いきなりアメリカで大統領閣下に宣誓してしまったのである。野田佳彦は。
何回も繰り返すが、オバマが上機嫌なのは、野田が「9条を実質破棄して、アジア太平洋の軍事負担を肩代わりします」とお誓い申し上げたからだ。
武器輸出、海外派兵を一足飛び、集団的自衛権すらすっ飛ばして、9条や専守防衛なんて話は「はあ? そんな話あったっけ??」 てな調子で無視黙殺、一気にアジア太平洋地域の軍事覇権の一翼を担うと言うのである。

北朝鮮核実験、阻止へ連携=野田首相「同盟、新たな高みに」-日米首脳会談
2012/05/01 時事通信
首相はまた、「(首脳会談で)大局的な日米同盟の意義や在り方を確認することができた。日米同盟は新たな高みに達した」と強調。オバマ大統領は「共同声明は今後数十年間にわたり、アジア太平洋(の枠組み)を形作っていく」と表明した。
同盟深化、共同声明に盛らず
2012/05/01 時事通信
ワシントンで30日行われた日米首脳会談後に発表された共同声明には、最近の日米関係を表す際のキーワードとなってきた「同盟深化」の文言が盛り込まれなかった。
(引用以上)
これまでとは違う ということが強調されている。
しかし、そのことの意味を日本のマスメディアはまったく報じないが、WSJだけは野田の言質を取ろうとして取材したようだ。
今回の首脳会談と共同声明は、悪い意味で歴史を画するものになった。
どう受け止めるべきなのか、どう考えるべきなのか、いろいろ議論はあるだろう。
しかし、ひとつだけ絶対的にはっきりしていることは、憲法を変えてしまうくらいの話を、外国の大統領に、かってに誓いをたててしまうようなヤツが、首相という立場に立っていることは許されない ということだ。
野田は、この一点を持って、罷免・不信任されるべきだ。
今の民主党にも自民党にも、その気もなければ、意味を理解する能力すら無いだろう。
ならば、そういう無能大食の輩を一掃してでも、歴史のゴミ箱に放り込まなくてはならい。
そのくらい激しい言葉でおとしめても足りないくらいのことを、野田はアメリカでやらかしている。
日本人、日本に住んでいる人は、もっともっと注視しよう。
いま、トンデモナイ分岐点に、私たちは立っている
<追記>
孫崎亮さんが、的確なツイートをされているので、引用させていただく
憲法記念日:日本国憲法が米国の指示で作成された事は明白な事実。従って米国指示のものでなく、独自憲法を作りたいというのは正当な議論。
問題は如何なる 憲法を作るか。呼びかけは「独自の憲法」だが、狙いは安全保障面での対米隷属体制を憲法的に担保すること。現在の憲法では自衛隊の海外戦闘従事なかなか難しい。
それを国際貢献の充実という名目で、自衛隊が米国戦略の一環で、自分で費用を払う傭兵的立場で戦闘参加を第一の目的としている。 こうした意図の中、改憲の動きには反対である。
同時に、日米双方は憲法9条をもっている中、明らかに憲法違反を行っていながら、日本の法律や、共同訓練で、自衛隊が自ら費用を負担しつつ、米国戦略に傭兵的に動く体制を整備しつつある。
「憲法9条を守れ」と言っているだけでは9条の趣旨は守れない。日米双方が何を目指しているか見極める必要がある。中国か大国化する中、米国自衛隊を対中戦略に使う姿勢を強めている
(引用以上)


にほんブログ村

日米首脳会談、安全保障問題が焦点に
2012年 4月 30日 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_435216
野田佳彦首相は30日、ホワイトハウスで行われる予定のオバマ米大統領との首脳会談でアジア太平洋地域の安全保障における日本の役割強化を誓うとみられる。これは過去60年余りにわたり、自国の平和憲法のもと、諸外国での軍事活動を制限してきた日本にとって重大な方針転換となる。
野田首相のメッセージはアジア地域での米軍の分散を図っているオバマ大統領にとって歓迎すべきものとなろう。オバマ大統領は国防費が削減され、緊縮財政への圧力がかかる中、中国の軍事力増強に対抗し、かつ北朝鮮の核開発意欲をなだめる困難さに直面している。米政府高官らはアジア太平洋地域における米国最大の同盟国である日本が米軍勢力の強化のために一段と大きな役割を担うことを期待している。
ウォール・ストリート・ジャーナルとの書面インタビューで、野田首相は、「我が国としては(中略)米国の同地域(アジア太平洋)重視の戦略と連携して、動的防衛力の発展及び南西諸島を含む地域の防衛態勢の強化を進める」と述べ、日本が中国と反目し合う東シナ海の島々に言及した。野田首相はまた「日米間の安全保障・防衛協力を強化していく」としている。
日本の戦略の変化は――まだ控えめなものではあったが――27日に発表された在日米軍再編計画の日米共同文書に表れていた。再編計画の焦点は沖縄に駐留する米軍の県外への一部移動であったが、アジア太平洋地域における日本の自衛隊のプレゼンスを拡大する多くの具体的な方策も含まれていた。
日米両国は米国領である太平洋上のグアムを「戦略的中心」と位置づけ、共同訓練施設を本島とその周辺の島に建設することを検討中だ。実現すれば、米国領内に初めて日本の自衛隊が常駐することになる。野田首相によると、北マリアナ諸島が候補地の1つとして挙がっているという。そこは第二次世界大戦中、広島と長崎に核爆弾を落下させた戦闘機が飛び立った場所だ。
野田首相は「このような取り組みは、自衛隊と米軍による動的な日米防衛協力の拡大などによって相互運用性を一段と高めることに繋がるものである」としている。
日本の第二次世界大戦後の憲法は国際紛争での武器の使用を禁じているが、近年は米国からの催促に応じる形で自衛隊は緩やかに海外での役割を拡大してきている。自衛隊はこれまで平和維持活動のほか、イラク戦争中は連合海軍への燃料補給などを行ってきた。最近では海賊対策を支援するためアフリカのジブチ共和国に海外で初めてとなる活動拠点を設けた。
昨年9月に就任した野田首相は2009年に民主党が政権を取って以来、公式な日米首脳会談に臨む初めての首相となる。民主党は半世紀近くに及んだ自由民主党政権を打ち破った。自民党は冷戦時代、米国にとって日米同盟を維持し拡大するために重要な党とみられていた。
日米首脳会談は安全保障での日米協力に加え、環太平洋経済連携協定(TPP)および北朝鮮やアフガニスタンをめぐる戦略といった幅広い分野で話し合いが行われるもよう。オバマ政権の上級幹部は27日、記者団に対し、今回の首脳会談の第1の目的は「日米の協力態勢と21世紀を通した同盟関係の展望を共有すること」だと述べた。これは日本の首相が頻繁に交代したために、なかなか成し得なかったものだ。野田首相は30日朝にオバマ大統領と会談し、大統領主催の昼食会が続く。晩餐会はクリントン国務長官が主催する。
日本のアジア太平洋地域における安全保障への貢献と米国の役割強化に対する新たな熱意は、中国の軍事力増強により西太平洋諸国が神経質にっていることが背景になっている。オーストラリアは米海兵隊2500人のダーウィン米軍基地での駐留で合意したほか、シンガポールは同地域での共同訓練のため、米海軍の軍艦数隻を停泊させる計画だ。フィリピンは米軍の国内駐留を増強するため交渉中だ。
野田首相は書面インタビューの中で、日中関係は「日本にとって最も重要な二国間関係の一つ」だとしながらも、ますます強大になりつつある中国との関係に対しては慎重な姿勢を崩していない。野田首相はアジア周辺における日本の防衛力の拡大に言及し、「このような取り組みは、特定の国や地域を念頭においているものではない」と述べ、さらに「中国については(中略)地域及びグローバルな課題における責任ある建設的な役割、国際的な行動規範の遵守を促すとともに、中国の軍事上の近代化及び活動に関する透明性の向上を求めている」とした。
中国による海軍の増強や北朝鮮のミサイル発射を目の当たりにし、日本は2010年末、海上および航空の監視強化と国内の安全保障、米国を含む同盟諸国との協力態勢の強化のため、新「防衛計画の大綱」を策定した。
さらにこの協力態勢を強化するため、日本は昨年12月、40年間禁止されていた武器の輸出を解禁した。日本はまた最近、政府開発援助(ODA)をアジア太平洋地域の海洋諸国に対し海上パトロール船を供与するといった戦略目的をより重視して見直すことを約束した。これは国防費を拡大させずに、諸外国に対する軍事力の提供を可能にするものだ。日本は現在、フィリピンに対する海上パトロール船の提供を検討中だ。
ストックホルム国際平和研究所によると、2011年の日本の防衛費は約4兆7000億円で世界第6位、アジアでは中国に続く第2位である。
「お金がない中で、いかにうまくスマートにやるかというのは、アメリカ、日本をはじめほかの同盟国もみんな進めている課題だ」と民間シンクタンクの東京財団で政策研究ディレクターを務める渡部恒雄氏は指摘する。
日本のような同盟国とより緊密な協力態勢を築くことは、まさに米国が求めているものである。イラクとアフガニスタンでの長い戦闘から徐々に撤退へ向けて動く中、オバマ大統領は1月にアジア太平洋地域へ国防戦略の軸足を移すという歴史的な方針転換を打ち出し、向こう10年間に国防費を8%削減する計画を明らかにした。
「予算の削減は、同盟国や協力国の相互運用と協力国の軍事力強化に対する支援を続ける上で、革新的で創造的な解決法を必要とする」と、オバマ大統領が国防戦略の見直しを打ち出した際に米国防総省は声明の中で述べた。
日本はまた、米国との経済関係の強化を求めており、日米首脳会談では加盟諸国間の関税撤廃を主な目的とする地域の自由貿易協定、環太平洋経済連携協定(TPP)についても話し合われる予定。米国など協議に参加する国々は年内にTPP交渉を終結させたい意向で、日本の交渉参加によってTPPの重要性を増し、輸出業者にとっても恩恵をもたらす。しかし日本国内では特に農業関係者からの反対運動が起こっており、日本の交渉参加に必要な取り組みを阻んできた。米国は日本に対し、交渉参加の前に、特に農業や自動車、保険業界でのさらなる自由化を求めている。
野田首相はアジア太平洋地域での経済成長に拍車をかけ、貿易と投資に関するルール作りのために、「日米が共同で取り組む意義は大」だとしながらも、TPP交渉参加へ向けた強い決意を表すまでには至らなかった。
記者: Yuka Hayashi
(引用以上)
- 関連記事
-
- 近日中に尖閣戦争勃発の予感(冗談抜きで) (2012/07/11)
- これからのことを考える (2012/06/30)
- 陸山会事件の本質 政治と生活を考える会・政経フォーラムの感想 (2012/06/07)
- 真理は少数にあり 革命権ということ (2012/05/28)
- 野田の極悪は財務省レベルではない (2012/05/24)
- 指定弁護士らに控訴する権限はない (2012/05/10)
- 【警報】憲法9条を捨てたも同然の日米共同声明 (2012/05/07)
- アメリカで「改憲」を宣言した野田佳彦 <追記あり> (2012/05/01)
- 第一の敵 (2012/04/05)
- 消費税というトンデモない目くらまし & 玉城デニー議員と泡瀬干潟のこと (2012/04/02)
- 琉球に思いを馳せつつ 政経フォーラムのお知らせ (2012/03/29)
- あえて「ふくしま宣言」を疑う (2012/03/21)
- 小沢一郎氏の最終意見陳述 (2012/03/19)
- ロイターによる小沢一郎インタビュー (2012/03/16)
- 関西・日本一新の会がリニューアル 「政治と生活を考える会」に (2012/03/05)