2012-12-03(Mon)

今回の選挙は、戦後の負の遺産を精算するための戦い

公示前は選挙運動をやってはいけないし、公示後は政治運動をやってはいけない というとんでもない公職選挙法のおかげで、政治を市民の手に!プロジェクトも、かなりの制約を受けた。

まったく、有権者を単なる一票以上には絶対にさせないぞ という意図がむき出しの法律だ。
しかも、ザル法と言われるけれど、そのザルの網の目は取り締まる側の都合で、自由自在に大きくなったり小さくなったりする。

わが脱原発陣営は、当然ながら付け狙われているわけで、注意の上にも注意が必要だ。

それでも、政治と生活を考える会の政経フォーラムに参加された方や、政治市民の2回の学習会に参加された方などを中心に、60余名の方々がメーリングリストに登録し、毎日何人もの方が予定候補の事務所に押しかけてボランティアを行っている。

もちろん、手弁当は徹底しているし、お茶も持参してもらうようにしている。
政治家から頼まれてお手伝いをするのではなく、自立した市民が自分で政治家を送り出す。
送り出した政治家には、自分たちの考え、必要なことをどんどん伝えていく。
そういう双方向の関係を作るための第一歩は、確実にできつつある。

今度の総選挙の争点は、間違いなく脱原発であり、反増税であり、反TPPであり、脱中央集権であることは間違いない。
だが、そうしたことを大きく見ると、戦後の全部がかかっているのだということが見えてくる。


脱原発は、戦後の負の遺産の精算ということだ。

原発は文句なしに最大の負の遺産であるが、それ以外にも自民党政治が作り出したコンクリートの塊が恐ろしいボリュームで存在する。
それらは、寿命と更新を考慮せずに、公共事業として湯水のように税金をつぎ込んで作られてきた。

もちろん、原発と違って、公共事業の中には必要なものもたくさんある。
だが、それらが何十年も経ったとき、更新のために巨額の費用を必要とすることを、今までの社会は勘定に入れずに来てしまった。

そのことを、あまりにも悲惨な形で突きつけられたのが、笹子トンネルでの崩落事故だ。
1970年代に作られたコンクリート構造物は、かなりの確率で欠陥である可能性がある。
2010年代には、崩落事故が起きると、予言した書がある。

コンクリートが危ない 小林一輔著 岩波新書

アルカリ骨材反応という、言わばコンクリートが解ける現象が起きている。
それも、手抜き工事や海砂を使ったという問題ではなく、ごく普通に作られていたセメントの性質が問題になっている。手抜きならば対象は限定されるが、普通のセメントが欠陥であったということは、この問題の深刻さは、震撼するべきものである。

そして、これも原発の問題で誰もが知ることになったのだが、この国では問題が深刻であればあるほど、隠蔽(いんぺい)され誤魔化され、こっそりと先送りされる。
そのツケが、ついに笹子トンネル崩落という形であらわれたのだ。


原発や、使用済み核燃料や、膨大な欠陥コンクリート構造物や、そうしたハードな負の遺産も目のくらむような話だが、もう一つ、ソフト面の負の遺産をやっつけなくてはならない。

それが、官僚制であり、その後ろ盾としての米国の圧力であり、中央集権体制である。
官僚制を別の言い方をするならば、親方日の丸であり、オカミ意識である。

つまり、シロアリ官僚を責めるばかりではなく、丸投げにしてきた私たち自身の意識を変えていかなくては、解決の糸口は見えてこない。

私が、つくづく反省するのは、鳩山政権が「普天間の県外移設」を言ったときに、本土の我々が沖縄とともに立ち上がらなかったことだ。
反原発で官邸前に集まったように、鳩山負けるな、官僚は働け、邪魔するな と押し寄せていれば、結果は幾分変わったはずだ。
少なくとも、鳩山由紀夫の側近までがことごとく背信行為に徹するということはなかったのではないか。

鳩山由紀夫の評価はともかくとして、あのとき、政権交代に浮かれて、シロアリ官僚の前に数少ない政治家をほったらかしにしたことは、日本の「民主主義」のレベルをあからさまにしてしまった。

今度政権交代を実現できたときには、そのときこそ、官邸前に押し寄せて 「負けるな!」と叫ばなくてはならない。それが、民主主義というものだ。

そのためにも、とにもかくにも、選挙で勝たなくては何も始まらない。
選挙戦を、大きな意味での民主主義の復活(もしかしたら誕生)のきっかけとすること。
単なるお手伝いではなく、自分の意志として政治に参加すること。

選挙は「汚いもの、怖いもの」という洗脳から脱出し、正面から選挙に取り組んでみること。
そうしたこと自体が、今回の選挙の目的でもある と思う。

もちろん、最大の目標はシロアリ退治であり、シロアリを飼っている米国の圧力をはね返すことだ。
しかし、それは誰かにお任せでできることではない。そんな簡単な敵ではない。
圧倒的な国民の行動と、固い意志を持った政治家の決断の共闘しか、道は開けない。

そのことによって、官僚支配、米国支配というソフト面の負の遺産を精算するのである。
その第一歩に、今度の選挙はしなくてはならない。


そして今回、特殊に求められるのが、放射能汚染と被曝、避難と移住の問題だ。

これまで何回も書いてきたから繰り返さないが、これを放置して、他の何もあったものではない。
小沢さんの言うとおり、何十兆円かかろうと、ナントしても放射能を封じ込めなくてはならないし、すでに大拡散してしまった放射能は、除染などと言うゴマカシではなく、正確に計測・把握して避難・移住の権利を確立しなくてはならない。

これをできる政党はどこか。
これが、私が支援する基準である。

現状では、残念ながらハッキリと避難と移住を明記している党はない。
しかし、だからダメだと横を向くことは、問題から逃げることだ。
反原発運動をしている人の中にも、理想的な政党がないからと、選挙に対しては斜に構えているひとが多くいる。
それは、ハッキリ言って、敵前逃亡ではないのか。

一番可能性のある党、聞く耳を持っている党を支援し、一人でも多く当選させること。
そして、選挙戦のなかで培った信頼関係をもとにして、こちらの言い分をぶつけ、理解してもらう粘り強い働きかけをしていくこと。

こうした、市民運動からのロビー活動が必要だ。
これは、従来の政権与党に申し入れをするものとも違うし、少数野党を頼って議員立法を促すこととも違う。
これらは、世の中が平和な時代には、ある程度の譲歩を引き出す効果があったかもしれないが、今はそんな時代じゃない。

ロシアですら避難させたような放射能汚染地域に、平然と何百万人の自国民を住まわせ、確信犯的に殺すという決断をしている政権に対して、いくら申し入れをしても、議員立法をしても、ほとんんど何の効力も持たない。
申し入れは馬の耳に念仏、議員立法は骨抜きにされて何の強制力もないお題目になってしまう。

今回は、未来の党、社民党、さらに共産党まであわせても、どうあがいても過半数には届かない。
だからこそ、次につながる戦いをしなくてはならない。

自立した市民、政治を自分の命を守る戦いと自覚した市民、政治市民がどれだけ多く立ち上がるか。
そこに、今回の選挙戦の意義は収斂されているとおもう。

あと20分ほどで12月4日になる。
このブログでも、念のため選挙に関わる話題は更新しないようにするので、この記事が総選挙についての最後の記事になる。

一人でも多くの方が、あきらめず、横を向かず、正面から選挙に向き合っていただきたい。
そして、国民の命のために闘う覚悟を持った議員を、一人でも多く国会に送り出そう。

うん、そうだ と思って下さったあなたは、近くの信頼できる候補者を探し、事務所に電話しよう。
「何か手伝うことありますか」 そう聞けばきっと 大歓迎してくれるだろう。
はじめの一歩を踏み出そう


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他人をシロアリ呼ばわりできる感性で、物事をまともな方向へやれるつもりなんですかねぇ。
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