2013-01-17(Thu)
安倍・被曝強制内閣とたたかうために(中編)
年末に空元気を出して乗り切ったせいで、年明けからぜんぜん馬力が出ない。ちょい鬱状態が続いている。
それに、あれこれと細切れの仕事が山のようにたまってしまい、とにかく一日休みが欲しい~~と切実に思うのだが、なかなか一日まるまるオフになる日がとれない。
先週末はようやくのことで六甲菜園に出かけることができたが、夕方から打ち合わせがあり実質2時間半しかいられなかった。
しかも、持って行った炭が湿気ていて、セブンイレブンのインスタントうどんすきを炊くのに2時間取られてしまった。あ~あ。
そんな話はともかくも、世の中は悪い方へ悪い方へと、すごい勢いで押し寄せている。
2年前の津波は天災だが、この安倍津波は人災だ。いや、災害ではなく犯罪だ。
それにしても、往生際が悪いようだが、寝ても覚めても思い起こされるのは、なんであんなに自民党が圧勝したのか だ。
自民党の得票は減っているとはいえ、ファシスト維新と合わせれば、やはりかなりの圧勝だ。
不正選挙の可能性もあるにしても、それを差し引いてもやはり、日本人には学習能力がないのか? とついつい思ってしまいそうになる。
だが、やっぱりそれでも、この結果をちゃんと受け止めることからしか、前に進むことはできないのだろう。
1ヶ月間、ずーと考えてきて、以下のごとく思い至った。
■■
何やかんや言っても、日本はまだ豊かだし平和だ。
こんなこと書くと、困っている人には怒られるかもしれないが、相対的に言えばそういうことだ。
本当に貧困で平和のない社会は、こんなものじゃない。
デモをすれば叩き殺されるとか、逮捕されたら二度と帰ってこないとか、歴史上で独立を勝ち取ってきた国というのは、そういう状況を乗り越えてきている。これが「普通」の姿だ。
今の日本が平和だと言うことを、むしろきちんと認識すべきだ。
ことさらにこう言うのは、この平和こそが、日本に押しつけられた最高度の支配ツールだからだ。
日本を占領して支配者になった米国は、残虐な侵略と自爆テロを繰り返すファナティックな軍事国家である日本を支配するにあたって、もっとも強力なツールとして「平和」を用いた。
たしかに、中国侵略と太平洋戦争は、大きくは欧米による誘導に日本がまんまと引っかかったという側面もある。
しかし、行ったことはそれで帳消しになるわけではない。戦争責任は、厳然として日本にあるし天皇にもある。
だから、本来は敗戦と同時に、日本は日本人自身によって総括し、反省し、謝罪すべきだった。
それが人の道であることは言うまでもないし、さらに、そうすれば、米国の空襲や原爆という大虐殺を、正面から非難することができた。
経済的にははるかに苦しい道のりになっただろうが、朝鮮、韓国、中国とも、普通の隣人として対等に対話も交渉もできたはずだ。
ではなぜ、敗戦時に日本は戦争の総括ができなかったのか。極東裁判でお茶を濁し、それ以上は不問に付すという中途半端なことになってしまったのか。
長らく私は、これは日本人の情けなさだと思ってきた。
ところが、どうもそうばかりではないようだ。
米国は日本を支配するにあたって、操縦するためのツールを仕込んだのだ。
■■
それは下記のようなものだったと考えられる。
①戦争責任を中途半端に不問にする
すなわち、憲法1条と9条のセット販売だ。これは片方では絶対に存在し得ない。1条〔天皇の地位と主権在民〕は戦争責任を問わない宣言であり、9条〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕は戦争責任の代替である。
これにより、日本は戦争責任というアキレス腱を未来永劫もち続けることになった。
②経済的に豊かにする
江戸時代以来の日本人の教育(読み書き算盤)のレベルは高く、苛烈な収奪の支配をすると、むしろ革命の可能性が高いとみて、徹底した愚民化政策をとった。
食うに困らないということと、論理的な思考をさせないということを、これもセット販売で推し進めた。結果、何も考えなくてもメシは食えると思っている人間が1億人ほど誕生した。
③領土問題の火種を残す
一方で、北方4島、竹島(独島)、尖閣(釣魚島)など、講和条約においてわざとアイマイに規定して国境線を明確化しないことにより、周辺国と紛争を起こすようになっている。弱みをさらしたまま領土問題で周辺国から責められるように、はじめから仕組まれている。
そして、日本で反米や独立の動きがでてくると、右翼が台頭し混乱させるようにセッティングされている。
石原慎太郎なんていう生き物がまさにその典型だ。
④汚職政治をことさらに演出する
政治に汚職があるのは事実だが、ことさらにそれを演出することで、「政治は汚い」という観念を植え付け、日本人に政治を嫌悪させる。これが自民党長期独裁の原動力であり、今回の自民党圧勝の大きな要因である。
戦後の大きな疑獄事件は、すべて米国の影があることは論を待たない。これは、その政治家潰しであるのみならず、国民の政治意識を殺し、問題意識のある人びとを政治の力から遠ざけるという明確な意図がある。
基本的に、今の今でも日本はこの仕組みの中にある。
これらのツールで自由自在に操られている。
その極致に至っていると言ってもいい。
ただし、経済的な豊かさについては、総本家の米国そのものがかなり危うくなっているので、わざわざ豊かにしてやるということはもはや絶対にない。
逆に、今まで太らせてきた家畜を屠殺して食うように、日本から吸い上げようという動きに、1990年代の後半からはハッキリを変わっている。
だけれども、世界基準で見れば日本はまだまだ遙かに経済大国であり、とんでもなく豊かな国だ。
平均的に見れば、モノとカネはものすごく豊かな国だ。
これからそれが吸い取られていく運命にあるとしても だ。
だいたい、ストライキもせずに食っていけると信じているという、度し難い平和ボケが当たり前になっている。
経営者の立場で考えたら、会社が儲かったら会社の利益にすることはあっても、要求もされないのに社員の給料に回すわけがない。そんな慈善活動をするわけがない。あたりまえだ。
景気が良くなれば、借金を返し、会社の利益を上げ、株主に配当し、役員のボーナスを増やし、せいぜいパソコンを買い換えたり労働環境の効率化を図るくらいで、何の得にもならない社員の給料を上げるという動機など存在しない。
ところが、景気が良くなれば自動的に給料が上がる と単純に信じている人がたくさんいるのだからビックリする。
闘わなくては食っていけない というのが世界の常識だ。
その常識がわからないほど、今の日本は平和で豊かなのだ。
■■
この三種の神器ならぬ四種の神器を米国とその配下である日本の支配層が手にしている限り、なかなか簡単には事態は打開できそうにない。
本当は、日本がまだ今くらいの経済力を残しているうちに、改めて戦争の賠償をふくめてきっちりと謝罪するべきなのだ。
経済的には苦しくなるが、後ろめたい思いをせずに、誰に遠慮することなく自分の権利を主張できるようになる。
混乱マシーンの右翼に騙されずに、自分たちがどうやって生きていくべきか、生きていきたいか、喧々がくがく議論することができる。
そうなったとき初めて、自分たちで憲法も作ることができる。
しかし、その道の前には壮大な愚民化政策が立ちはだかっている。
誤解のないように断っておくが、愚民化政策というのは、国民が愚か者になる政策ではない。自分でモノを考える必要のない状態、あたかも愚か者かのようになってしまう政策のことだ。
端的に言って、メシが食えていればモノを考えないのは仕方がないのだ。
被災したり、被曝したり、失業したり、家族が過労死したり、頭の上に戦闘機の爆音が鳴り響いたり、そんな状態になって初めて、それもどうにも自分を誤魔化しきれなくなって初めて、モノを考え始める。
これは、人間の本性であると思う。これを責めても仕方のないことだ。
その意味では、日本は津波で何もかも流されたり、家族を抱えて失業したり、愛する人が過労死したり、オスプレイが今にも落っこちそうに自分の頭上を旋回している人は、まだまだ相対的に少数派なのだ。極少数派なのである。
だから放っておいて良いという話ではない。もちろんそうだ。
それぞれ問題について、抗議の声を絶やすわけにはいかないし、自分で自分の身を守ることも欠かせない。
その意味では、前編に書いたように、まずは内部被曝を知り、いかにして避けるのか、自らの命の基礎を築くことも重大事だ。
土曜に迫っているこの学習会にもぜひ参加していただきたい。
「放射線から命を守る医師の話を聞く集い」
1月19日(土)13:30~ ドーンセンター(大阪)
主催:避難者と未来をつくる会
被曝労働者の診療を続けてこられた村田三郎先生の講演は、非常に貴重な機会だ。世界的に見ても被曝医療の第一人者の村田先生は、実務を優先されてあまり講演や著作の活動をされていない。今回は、正月の間に最新の情報を含めた資料を作成していただいた。これを逃すのは本当にもったいない。
■■
ただ、たとえば投票という行為であれ、極少数のために過半数が行動するということは、たぶんない。
悲しい現実だけれども、善し悪しは別にして、そういうものだということは踏まえておかなくてはならない。
万人は一人のために なんていうキレイゴトは、童話の中にしか存在しない。
そういう現実の中で、ではどうするか を考えなくてはならない。
もちろん、よくよく考えてみれば、大多数の日本人の頭上にオスプレイは飛ぶだろうし、過労死は時間の問題かもしれないし、いつ何時失業して食うに困るかもしれない。
10数年に一度は大震災の起きるこの国で、被災者にも被曝者にもならないと考える方が難しい。
しかし、そこがガッツリと60年間ぬるま湯につけてふやかしてきた甲斐あって、物事を深刻な方には決して考えない「ポジティブ」な人が全国民の半分ほどいらっしゃる。
まったくニュートラルというか、問題とか何とか、そういう概念すら持たない人が、たぶん2割。
正反対に、完全にあきらめきっている人が2割。
そして、何とかしなくちゃと焦っている人が1割。
それが、60年間にわたって愚民化政策で甘い生活を送ってきた日本人の現実なのだ。
嘆いても仕方がない。
と言うか、それが人間として正直な姿なのだろう。
この現実から前に進むためにはどうしたらいいのか。
結論を言ってしまえば、粘着質に闘うしかない。
7月の参議院選挙でも、次の総選挙でも、たぶん風は吹かない。
風はマスメディアが握っているのだから、どう転んでも風は吹かない。吹くわけがない。
先の選挙と同様に、逆風だけが吹きすさぶ。
そこで情報を伝え、少しだけ未来のことを伝えて行くには、1万人の伝道師が手と足と口を動かすことだ。
1億人の1万分の1の人びとが、動き始めれば空気を変えることができる。
今はまだ行動し発信する人びとは千人とか2千人くらいのものだろう。
これが、5倍から10倍になれば、世の中の大勢を変化させることができる。
これは、官邸前に参加するとか署名を書くとかブログで気炎を上げるとかのレベルからもう一歩進んで、チラシをまいたり、集会を企画したり、情報拡散のためにリアルで行動する人のことだ。
ちなみに、よほど発信力の大きなサイト以外は、ネットだけでは限界がある。
逆に言うと、限界があるから今のところネットはある程度自由なのだ。
もしこれが、圧倒的な世論に影響が出るようであれば、日本でもあっという間にネットは規制される。
だから、ネットの世界を飛び出して、リアルの世界で情報を広げることをする必要がある。
ネットは、その人材捜しのために活用すべきだ。
(これの文章も、そのために書いている)
■■
そして、その行動市民が政治を活用することだ。
政治市民になることだ。
先にも書いたように、「政治は汚い」という洗脳も、日本を支配した米国による刷り込みだ。
そしてそれは、良識派とか市民派と言われる人に、非常に深く浸透している。それが洗脳だということに、なかなか気がつかない、ものすごく強烈な洗脳だ。
その典型が、「オザワ」という単語を耳にしただけで、論理的な理由もなく顔をしかめる市民派の人びとだ。
その挙げ句に、投票するところがない、とか嘆いたりするのである。
市民運動に関わる人たちは、問題の所在には気がついているし、行動的でもある。
しかし、政治を嫌悪するあまり、結局は何の力にもならずに、こう言っては申し訳ないけれども自己満足に終わってしまっているケースが少なくない。
政治とは、予算と法律を執行する権力であり、物事を実現する力だ。
営利事業以外で、一定規模のことを実現しようとすれば、どうしても政治を動かさざるを得ない。
その政治を嫌って、「特定の政党とは関係ありません」なんてことを得意げに掲げているようでは、支配者の皆さん大喜びだ。
■■
とは言え、60年越しで作られてきた支配体制を、そう簡単に崩せるものではない。
政治の側にももちろん問題はオオアリである。(これは後編に)
それでも、とにかくこの方向で動き始めるしかない と思う。
1万人の行動市民を。
そして、その行動市民が政治を活用すること。
そのためには、歴史的に交わってこなかった市民運動家と政治家が、直接話し合い、お互いを知り、その違いも含めて理解することから始めることだ。
そして、その過程そのものを、行動市民を増やしていく機会にしていくことだ。
そんな思いで、この企画をやりたいと思う。
2月1日(金)の夜に、大阪まで出てこられる人は、ぜひご参加いただきたい。
***************************************************
2月1日<ライブミーティング>行動する市民x再起する政治家
テーマ あきらめていいの?脱原発の未来
日 時 2013年2月1日(金) 17:30~20:15
会 場 大阪市立社会福祉センター 第1会議室 (定員100人)
大阪市天王寺区東高津町12番10号(近鉄上本町・地下鉄谷町9丁目)
主 催 避難者と未来をつくる会
協 催 政治を市民の手に!プロジェクト
パネリスト
西山祐子さん 避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク「みんなの手」代表(福島から避難)
高橋もとこさん 福島の子どもたちを放射能から守ろう・関西/吹夢キャンプ実行委員会
服部良一さん 前衆議院議員
中村てつじさん 元衆議院議員
コーディネーター 山岸飛鳥 避難者と未来をつくる会世話人/ブログ「反戦な家づくり」
会 費 500円
申 込 メール garekikarahito@yahoo.co.jp
電 話 070-5669-3545(くろこうち)
F A X 03-6779-4538
総選挙の結果は、残念ながら脱原発の願いとは正反対になってしまいました。しかし、これで諦めるわけにはいきません。そこで、原発ゼロを掲げて選挙をたたかった政治家の方々と、放射能から命と未来を守るために行動する市民との、公開ミーティングを行います。 目的は二つです。
①行動する市民と再起をめざす政治家との相互理解、交流をはかり、今度こそは脱原発の民意を国会に送るためのパワーとしていく。
②被曝と避難の問題、わけても食品や呼吸からとり込む内部被曝の危険性についての知識を共有し、真の被災者支援につなげていく。
12.16の選挙は政策実現のための市民ボランティアが数多く参加した画期的な選挙でもありました。長らく分断されてきた市民と政治家が、ようやく共に動き始めたこの流れを止めることなく、両者の関係をより緊密に築いていくためのきっかけにしたいと思います。
撒き散らされた放射能は、政府が発表する避難区域どころか、福島にとどまらず広範囲に広がっています。また、毎日10ベクレルのセシウムを摂取すると1年後には1000ベクレルを越えて体内に蓄積されると、ICRPの資料ですら指摘しています。
被曝と避難の問題は、脱原発を願う人の中でもまだ充分に認識されていません。一般の認識をはるかに超えた、汚染の現実と内部被曝の危険性を知ることが緊急に必要です。そして、放射性物質のこれ以上の拡散を防ぎ、汚染地に住む少なくとも数百万人の避難を実現させなくてはなりません。また、様々な困難をかかえながら、現在避難されている方々への支援も急務です。
パネルディスカッションの形式をとりながら、オーディエンス参加型のライブミーティングにできればと考えています。限られた時間ではありますが、ぜひご参加ください。
なお、会場準備の都合上、できるだけ下記の連絡先までご予約いただけましたら幸いです。(もちろん当日参加も可です)
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それに、あれこれと細切れの仕事が山のようにたまってしまい、とにかく一日休みが欲しい~~と切実に思うのだが、なかなか一日まるまるオフになる日がとれない。
先週末はようやくのことで六甲菜園に出かけることができたが、夕方から打ち合わせがあり実質2時間半しかいられなかった。
しかも、持って行った炭が湿気ていて、セブンイレブンのインスタントうどんすきを炊くのに2時間取られてしまった。あ~あ。
そんな話はともかくも、世の中は悪い方へ悪い方へと、すごい勢いで押し寄せている。
2年前の津波は天災だが、この安倍津波は人災だ。いや、災害ではなく犯罪だ。
それにしても、往生際が悪いようだが、寝ても覚めても思い起こされるのは、なんであんなに自民党が圧勝したのか だ。
自民党の得票は減っているとはいえ、ファシスト維新と合わせれば、やはりかなりの圧勝だ。
不正選挙の可能性もあるにしても、それを差し引いてもやはり、日本人には学習能力がないのか? とついつい思ってしまいそうになる。
だが、やっぱりそれでも、この結果をちゃんと受け止めることからしか、前に進むことはできないのだろう。
1ヶ月間、ずーと考えてきて、以下のごとく思い至った。
■■
何やかんや言っても、日本はまだ豊かだし平和だ。
こんなこと書くと、困っている人には怒られるかもしれないが、相対的に言えばそういうことだ。
本当に貧困で平和のない社会は、こんなものじゃない。
デモをすれば叩き殺されるとか、逮捕されたら二度と帰ってこないとか、歴史上で独立を勝ち取ってきた国というのは、そういう状況を乗り越えてきている。これが「普通」の姿だ。
今の日本が平和だと言うことを、むしろきちんと認識すべきだ。
ことさらにこう言うのは、この平和こそが、日本に押しつけられた最高度の支配ツールだからだ。
日本を占領して支配者になった米国は、残虐な侵略と自爆テロを繰り返すファナティックな軍事国家である日本を支配するにあたって、もっとも強力なツールとして「平和」を用いた。
たしかに、中国侵略と太平洋戦争は、大きくは欧米による誘導に日本がまんまと引っかかったという側面もある。
しかし、行ったことはそれで帳消しになるわけではない。戦争責任は、厳然として日本にあるし天皇にもある。
だから、本来は敗戦と同時に、日本は日本人自身によって総括し、反省し、謝罪すべきだった。
それが人の道であることは言うまでもないし、さらに、そうすれば、米国の空襲や原爆という大虐殺を、正面から非難することができた。
経済的にははるかに苦しい道のりになっただろうが、朝鮮、韓国、中国とも、普通の隣人として対等に対話も交渉もできたはずだ。
ではなぜ、敗戦時に日本は戦争の総括ができなかったのか。極東裁判でお茶を濁し、それ以上は不問に付すという中途半端なことになってしまったのか。
長らく私は、これは日本人の情けなさだと思ってきた。
ところが、どうもそうばかりではないようだ。
米国は日本を支配するにあたって、操縦するためのツールを仕込んだのだ。
■■
それは下記のようなものだったと考えられる。
①戦争責任を中途半端に不問にする
すなわち、憲法1条と9条のセット販売だ。これは片方では絶対に存在し得ない。1条〔天皇の地位と主権在民〕は戦争責任を問わない宣言であり、9条〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕は戦争責任の代替である。
これにより、日本は戦争責任というアキレス腱を未来永劫もち続けることになった。
②経済的に豊かにする
江戸時代以来の日本人の教育(読み書き算盤)のレベルは高く、苛烈な収奪の支配をすると、むしろ革命の可能性が高いとみて、徹底した愚民化政策をとった。
食うに困らないということと、論理的な思考をさせないということを、これもセット販売で推し進めた。結果、何も考えなくてもメシは食えると思っている人間が1億人ほど誕生した。
③領土問題の火種を残す
一方で、北方4島、竹島(独島)、尖閣(釣魚島)など、講和条約においてわざとアイマイに規定して国境線を明確化しないことにより、周辺国と紛争を起こすようになっている。弱みをさらしたまま領土問題で周辺国から責められるように、はじめから仕組まれている。
そして、日本で反米や独立の動きがでてくると、右翼が台頭し混乱させるようにセッティングされている。
石原慎太郎なんていう生き物がまさにその典型だ。
④汚職政治をことさらに演出する
政治に汚職があるのは事実だが、ことさらにそれを演出することで、「政治は汚い」という観念を植え付け、日本人に政治を嫌悪させる。これが自民党長期独裁の原動力であり、今回の自民党圧勝の大きな要因である。
戦後の大きな疑獄事件は、すべて米国の影があることは論を待たない。これは、その政治家潰しであるのみならず、国民の政治意識を殺し、問題意識のある人びとを政治の力から遠ざけるという明確な意図がある。
基本的に、今の今でも日本はこの仕組みの中にある。
これらのツールで自由自在に操られている。
その極致に至っていると言ってもいい。
ただし、経済的な豊かさについては、総本家の米国そのものがかなり危うくなっているので、わざわざ豊かにしてやるということはもはや絶対にない。
逆に、今まで太らせてきた家畜を屠殺して食うように、日本から吸い上げようという動きに、1990年代の後半からはハッキリを変わっている。
だけれども、世界基準で見れば日本はまだまだ遙かに経済大国であり、とんでもなく豊かな国だ。
平均的に見れば、モノとカネはものすごく豊かな国だ。
これからそれが吸い取られていく運命にあるとしても だ。
だいたい、ストライキもせずに食っていけると信じているという、度し難い平和ボケが当たり前になっている。
経営者の立場で考えたら、会社が儲かったら会社の利益にすることはあっても、要求もされないのに社員の給料に回すわけがない。そんな慈善活動をするわけがない。あたりまえだ。
景気が良くなれば、借金を返し、会社の利益を上げ、株主に配当し、役員のボーナスを増やし、せいぜいパソコンを買い換えたり労働環境の効率化を図るくらいで、何の得にもならない社員の給料を上げるという動機など存在しない。
ところが、景気が良くなれば自動的に給料が上がる と単純に信じている人がたくさんいるのだからビックリする。
闘わなくては食っていけない というのが世界の常識だ。
その常識がわからないほど、今の日本は平和で豊かなのだ。
■■
この三種の神器ならぬ四種の神器を米国とその配下である日本の支配層が手にしている限り、なかなか簡単には事態は打開できそうにない。
本当は、日本がまだ今くらいの経済力を残しているうちに、改めて戦争の賠償をふくめてきっちりと謝罪するべきなのだ。
経済的には苦しくなるが、後ろめたい思いをせずに、誰に遠慮することなく自分の権利を主張できるようになる。
混乱マシーンの右翼に騙されずに、自分たちがどうやって生きていくべきか、生きていきたいか、喧々がくがく議論することができる。
そうなったとき初めて、自分たちで憲法も作ることができる。
しかし、その道の前には壮大な愚民化政策が立ちはだかっている。
誤解のないように断っておくが、愚民化政策というのは、国民が愚か者になる政策ではない。自分でモノを考える必要のない状態、あたかも愚か者かのようになってしまう政策のことだ。
端的に言って、メシが食えていればモノを考えないのは仕方がないのだ。
被災したり、被曝したり、失業したり、家族が過労死したり、頭の上に戦闘機の爆音が鳴り響いたり、そんな状態になって初めて、それもどうにも自分を誤魔化しきれなくなって初めて、モノを考え始める。
これは、人間の本性であると思う。これを責めても仕方のないことだ。
その意味では、日本は津波で何もかも流されたり、家族を抱えて失業したり、愛する人が過労死したり、オスプレイが今にも落っこちそうに自分の頭上を旋回している人は、まだまだ相対的に少数派なのだ。極少数派なのである。
だから放っておいて良いという話ではない。もちろんそうだ。
それぞれ問題について、抗議の声を絶やすわけにはいかないし、自分で自分の身を守ることも欠かせない。
その意味では、前編に書いたように、まずは内部被曝を知り、いかにして避けるのか、自らの命の基礎を築くことも重大事だ。
土曜に迫っているこの学習会にもぜひ参加していただきたい。
「放射線から命を守る医師の話を聞く集い」
1月19日(土)13:30~ ドーンセンター(大阪)
主催:避難者と未来をつくる会
被曝労働者の診療を続けてこられた村田三郎先生の講演は、非常に貴重な機会だ。世界的に見ても被曝医療の第一人者の村田先生は、実務を優先されてあまり講演や著作の活動をされていない。今回は、正月の間に最新の情報を含めた資料を作成していただいた。これを逃すのは本当にもったいない。
■■
ただ、たとえば投票という行為であれ、極少数のために過半数が行動するということは、たぶんない。
悲しい現実だけれども、善し悪しは別にして、そういうものだということは踏まえておかなくてはならない。
万人は一人のために なんていうキレイゴトは、童話の中にしか存在しない。
そういう現実の中で、ではどうするか を考えなくてはならない。
もちろん、よくよく考えてみれば、大多数の日本人の頭上にオスプレイは飛ぶだろうし、過労死は時間の問題かもしれないし、いつ何時失業して食うに困るかもしれない。
10数年に一度は大震災の起きるこの国で、被災者にも被曝者にもならないと考える方が難しい。
しかし、そこがガッツリと60年間ぬるま湯につけてふやかしてきた甲斐あって、物事を深刻な方には決して考えない「ポジティブ」な人が全国民の半分ほどいらっしゃる。
まったくニュートラルというか、問題とか何とか、そういう概念すら持たない人が、たぶん2割。
正反対に、完全にあきらめきっている人が2割。
そして、何とかしなくちゃと焦っている人が1割。
それが、60年間にわたって愚民化政策で甘い生活を送ってきた日本人の現実なのだ。
嘆いても仕方がない。
と言うか、それが人間として正直な姿なのだろう。
この現実から前に進むためにはどうしたらいいのか。
結論を言ってしまえば、粘着質に闘うしかない。
7月の参議院選挙でも、次の総選挙でも、たぶん風は吹かない。
風はマスメディアが握っているのだから、どう転んでも風は吹かない。吹くわけがない。
先の選挙と同様に、逆風だけが吹きすさぶ。
そこで情報を伝え、少しだけ未来のことを伝えて行くには、1万人の伝道師が手と足と口を動かすことだ。
1億人の1万分の1の人びとが、動き始めれば空気を変えることができる。
今はまだ行動し発信する人びとは千人とか2千人くらいのものだろう。
これが、5倍から10倍になれば、世の中の大勢を変化させることができる。
これは、官邸前に参加するとか署名を書くとかブログで気炎を上げるとかのレベルからもう一歩進んで、チラシをまいたり、集会を企画したり、情報拡散のためにリアルで行動する人のことだ。
ちなみに、よほど発信力の大きなサイト以外は、ネットだけでは限界がある。
逆に言うと、限界があるから今のところネットはある程度自由なのだ。
もしこれが、圧倒的な世論に影響が出るようであれば、日本でもあっという間にネットは規制される。
だから、ネットの世界を飛び出して、リアルの世界で情報を広げることをする必要がある。
ネットは、その人材捜しのために活用すべきだ。
(これの文章も、そのために書いている)
■■
そして、その行動市民が政治を活用することだ。
政治市民になることだ。
先にも書いたように、「政治は汚い」という洗脳も、日本を支配した米国による刷り込みだ。
そしてそれは、良識派とか市民派と言われる人に、非常に深く浸透している。それが洗脳だということに、なかなか気がつかない、ものすごく強烈な洗脳だ。
その典型が、「オザワ」という単語を耳にしただけで、論理的な理由もなく顔をしかめる市民派の人びとだ。
その挙げ句に、投票するところがない、とか嘆いたりするのである。
市民運動に関わる人たちは、問題の所在には気がついているし、行動的でもある。
しかし、政治を嫌悪するあまり、結局は何の力にもならずに、こう言っては申し訳ないけれども自己満足に終わってしまっているケースが少なくない。
政治とは、予算と法律を執行する権力であり、物事を実現する力だ。
営利事業以外で、一定規模のことを実現しようとすれば、どうしても政治を動かさざるを得ない。
その政治を嫌って、「特定の政党とは関係ありません」なんてことを得意げに掲げているようでは、支配者の皆さん大喜びだ。
■■
とは言え、60年越しで作られてきた支配体制を、そう簡単に崩せるものではない。
政治の側にももちろん問題はオオアリである。(これは後編に)
それでも、とにかくこの方向で動き始めるしかない と思う。
1万人の行動市民を。
そして、その行動市民が政治を活用すること。
そのためには、歴史的に交わってこなかった市民運動家と政治家が、直接話し合い、お互いを知り、その違いも含めて理解することから始めることだ。
そして、その過程そのものを、行動市民を増やしていく機会にしていくことだ。
そんな思いで、この企画をやりたいと思う。
2月1日(金)の夜に、大阪まで出てこられる人は、ぜひご参加いただきたい。
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2月1日<ライブミーティング>行動する市民x再起する政治家
テーマ あきらめていいの?脱原発の未来
日 時 2013年2月1日(金) 17:30~20:15
会 場 大阪市立社会福祉センター 第1会議室 (定員100人)
大阪市天王寺区東高津町12番10号(近鉄上本町・地下鉄谷町9丁目)
主 催 避難者と未来をつくる会
協 催 政治を市民の手に!プロジェクト
パネリスト
西山祐子さん 避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク「みんなの手」代表(福島から避難)
高橋もとこさん 福島の子どもたちを放射能から守ろう・関西/吹夢キャンプ実行委員会
服部良一さん 前衆議院議員
中村てつじさん 元衆議院議員
コーディネーター 山岸飛鳥 避難者と未来をつくる会世話人/ブログ「反戦な家づくり」
会 費 500円
申 込 メール garekikarahito@yahoo.co.jp
電 話 070-5669-3545(くろこうち)
F A X 03-6779-4538
総選挙の結果は、残念ながら脱原発の願いとは正反対になってしまいました。しかし、これで諦めるわけにはいきません。そこで、原発ゼロを掲げて選挙をたたかった政治家の方々と、放射能から命と未来を守るために行動する市民との、公開ミーティングを行います。 目的は二つです。
①行動する市民と再起をめざす政治家との相互理解、交流をはかり、今度こそは脱原発の民意を国会に送るためのパワーとしていく。
②被曝と避難の問題、わけても食品や呼吸からとり込む内部被曝の危険性についての知識を共有し、真の被災者支援につなげていく。
12.16の選挙は政策実現のための市民ボランティアが数多く参加した画期的な選挙でもありました。長らく分断されてきた市民と政治家が、ようやく共に動き始めたこの流れを止めることなく、両者の関係をより緊密に築いていくためのきっかけにしたいと思います。
撒き散らされた放射能は、政府が発表する避難区域どころか、福島にとどまらず広範囲に広がっています。また、毎日10ベクレルのセシウムを摂取すると1年後には1000ベクレルを越えて体内に蓄積されると、ICRPの資料ですら指摘しています。
被曝と避難の問題は、脱原発を願う人の中でもまだ充分に認識されていません。一般の認識をはるかに超えた、汚染の現実と内部被曝の危険性を知ることが緊急に必要です。そして、放射性物質のこれ以上の拡散を防ぎ、汚染地に住む少なくとも数百万人の避難を実現させなくてはなりません。また、様々な困難をかかえながら、現在避難されている方々への支援も急務です。
パネルディスカッションの形式をとりながら、オーディエンス参加型のライブミーティングにできればと考えています。限られた時間ではありますが、ぜひご参加ください。
なお、会場準備の都合上、できるだけ下記の連絡先までご予約いただけましたら幸いです。(もちろん当日参加も可です)
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