2013-03-04(Mon)

津波被害はなぜおきたのか

いま、TBS(MBS)で南三陸町の取材番組をやっている。

2年経った状態を生々しく伝えている。
南三陸町の象徴のようになり、今ではバスガイドが付いて観光客が訪れる防災対策庁舎の鉄骨。高さ12mのこの建物の屋上に逃げた人々が流された。
ここでは津波の高さは16mにおよんだと言われる。

でも、この映像を見て不思議に思わないだろうか?
日本中の人が見ているこの建物の映像。
なぜ、誰一人違和感を感じないのか?

100年あまり前の明治三陸津波は、最大38.2mを記録している。
三陸沖はプレート地震が起きることもわかっていた。
であるならば、最低でも40mの津波に備えるのが当たり前ではないか。

にもかかわらず、なぜ防災対策庁舎がわずか12mしかないのか。
わたしは、最初にこの映像を見たときからずっとおかしいと感じてきた。

建物の高さだけでなく、町職員が避難せずにここの留まったと言うことは、その程度の津波しか来ないと判断していたからだ。
どうしてそんなことになってしまったのだろうか。

しかも、番組の続きでは、スーパー防潮堤の工事予定現場の映像がながれ、その高さは8.2mなのだという。
16mの津波で流された町の防潮堤が8.2mというのは、一体全体何なのだ?
そんなものを作ることの是非ももちろんあるが、仮に作ったとしても同じ規模の津波には役にたたない。

海辺の自治体が、最大40mの津波を想定し、避難する計画を作り、日頃訓練をしていれば、少なくとも人命の被害は桁違いに少なかったはずだ。

私は小学生だった1970年前後、仙台に住んでいた。
ちょうど福島第一原発が動き始めたころだ。
三陸海岸は大津波が来るところだと、小学校で教えられた。リアス式海岸の危険性も教えてもらった。

しかしその後、チリ地震津波の被害もあったのに、そうした地域の常識が薄れていったようだ。
それはまさに、全国に原発が続々と増殖していく時間軸と軌を一にしていた。

ここまで書けば、原発の実態を知った人たちは、続きが想像つくだろう。

原発の罪悪は数々あるが、その中の一つに 「津波の想定を低くさせた」 というものがある。

40mの津波を想定したら、原発を海辺に作ることができない。
福島第一原発では、わずかに5.7mしか想定していなかった。

いや、実は震災の前年に、15mになるという試算をしたのだが、「原発の都合に合わせて、想定高さを低くした」 のである。

東電、15m超の津波も予測…想定外主張崩れる
2011年8月25日読売

同じことが、全国の原発で行われたはずだ。
さて、福島でも青森でも、5m程度の想定をしているのに、宮城や岩手が40mの想定ができるだろうか?

原発のあるところだけ想定が低い、なんてことはできない。
他の自治体が想定する津波の高さも、当然ながら 「原発で想定する津波より高くできない」。

そして、原発は今や日本中の海岸に立ち並んでいる。
日本の津波の高さ想定は 「この程度だったら原発に被害が出ない」 という高さにおさえられているのである。

結論

津波が起きるのは自然現象。
しかし、津波で被害を引き起こしているのは、実は原発だ。
放射能被害ばかりでなく、津波被害も、元凶は原発だったのだ。

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共犯者?

原発のために津波の想定を甘くして、周りも低めの想定に合わせてしまった・・

もしそうなら、原発は、二重にも三重にも罪作り、間接的に津波による大量殺人を助長したことになりますね。

その「麻薬」である原発に手を出してしまう、この国の支配層の一向に治らない「薬物依存体質」こそが、更なる元凶だ!
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