2013-05-07(Tue)

「胎児影響は100 ミリシーベルト以下では生じない」と間違いを書く大分県のパンフについて

1ヶ月ほど前に 「大分県の「放射線ってなんだろう」パンフについて」という記事で書いた件についての続報。

パンフレットの現物はこちら
http://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/155450.pdf

最大の問題点は、20頁に「胎児影響にはしきい値があり、約100ミリシーベルト以下では生じません。」と断言しているところだ。

これには、「胎児影響」と「胎児への健康影響」は、ぜんぜん別物だ というトリックがある。

あくまで文科省の見解だが、「胎児影響」は確定的影響のことで、100mSv/yがしきい値であることになっている。が、その文科省ですら、「胎児への健康影響」はしきい値無しの確率的影響である と認めているのである。

この点を指摘して訂正削除を求めるメールを、大分県に送ったところ、先ほど、大分県食品安全・衛生課から回答が届いた。

送付したメールの詳細は前の記事を見ていただきたい。

大分県からの回答は以下の通り

***********************************

「胎児への影響」の補足説明について

 18ページに「確定的影響と確率的影響」とのタイトルで説明していますが、放射線の生体への影響については確定的影響と確率的影響の2つに分けることができます。そして、「確定的影響について」を19、20ページに、「確率的影響について」を21、22ページに具体的に記述しています。
 確定的影響にはしきい値があり、しきい値を超えた場合に現れる影響です。確率的影響とはがんや遺伝的影響のように長い年月をかけて現れる影響です。
 まず、確定的影響についてですが、19ページにお示ししたようにある線量以上を受けると、急性潰瘍、白内障、永久不妊、脱毛等の症状が現れること、また、20ぺージには胎児影響として奇形や発育遅延などが現れることを例に説明しています。そして胎児影響は確定的影響なのでしきい値があり、100ミリシーベルト以下では影響はほとんどないと考えられていることから、本文中(20ページ)に、「約100ミリシーベルト以下(しきい値)の線量では生じない」との表記としました。
 次に、確率的影響についてですが、胎児のがん影響については確定的影響ではないことから本文中(20ページ)では触れませんでしたが、21ページにがんが増加するリスクについて説明しています。胎児被ばくも同様に将来のがんのリスクは増加することが判明しています。なお、その被ばく線量が約100ミリシーベルト以下の影響についてはいまだ科学的な結論が出ていません。しかし、放射線防護の基本的な考え方として不必要な被ばくは避けるべきだと考えられます。
 本文(20ページ)の根拠として2つの文献を引用しますのでご確認してください。

1 ICRP Publication 103 3.4.胚及び胎児における放射線影響
  (内容転記省略)
2 WHOホームページ   (内容転記省略)


*********(引用以上)**************

その上で、ホームページ上でも、若干の訂正文を記述している

***********************************

放射線と食に関するテキスト「放射線ってなんだろう」について

※20ページ「胎児への影響」の補足説明

 「放射線ってなんだろう」読本の20ページに記載しています「胎児への影響」については、18ページに記載していますとおり、確定的影響について、「胎児影響にはしきい値があり、約100ミリシーベルト以下では生じません」と記述したものです。
 しかしながら、20ページだけ読むと、発がん性等の確率的影響も生じないととらえられる可能性もありますが、確率的影響まで否定したものではありません。説明が不足しておりました。

*********(引用以上)**************

しかし、パンフレットそのものは、何も訂正せずにそのままダウンロードできる。
おそらくは、印刷物も出回っているのだろう。

パンフを見た人の、100人中100人が「100ミリシーベルト以下なら胎児は大丈夫なんだ」と読んでしまうだろう。

なおかつ、食品の安全を司る部署でありながら、食品から放射能を摂取してしまう内部被曝についてまったく理解がない。

「1日の量が基準値を超えて食べても健康上問題ありません。」
とか
「準値を少し超えた食品を継続して1年間摂取しても、自然由来の放射線から受けるレベルと同じ」
と言った文章が、じゃんじゃん書き連ねられている。

もちろん、こういう手合いがお得意の、カリウム40はこんなにある も。


ただし、大分県が特別に悪質なわけではない。
国の出している見解をなぞっているだけだからだ。

ある意味では、「どうやって被曝を誤魔化すのか」の見本とも言える。

・被曝の仕方が全然違う外部被曝と内部被曝を「同じ」だとする

・しきい値がないことでも、あたかも「100mSv以下は大丈夫」と誤解させる

・かなり異論のあるICRPの実効線量係数を絶対視する

・カリウムやラドンなどの自然放射能を「無害」かのように誤解させる

・線量係数の一桁ちがうK40をベクレル表示して「こんなに食べても大丈夫」と思わせる

そのくせ、どっかに小さく注意書きがあって、後で指摘されたら言い訳できるようになっている。
間違って理解するように作っておいて、間違った方が悪い ということになっている。

以上、取り急ぎ続報のお知らせ。




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