2013-05-13(Mon)

安倍政権の弱みを探る

 おカミに逆らうことを死ぬほど怖がる日本人は、信じてもいないアベノミクスの効能書きに騙されたふりをして、あと半年我慢すれば自分ところの暮らしも少しは良くなる と呪文を唱えている。

しかし、実際はそう甘くないことを、心の底では感じてもいる。恐がりは必ずしもバカではない。本当は分かっていても、目をそらせばしばらくは無いことにできる、とギリギリまで逃げているだけだ。

半年後に待っている現実は、給料が上がってアベノミクスのおこぼれに預かる楽しい生活ではなく、参院選に圧勝した自民党が傍若無人に暴走する世界だ。
自民党の基盤である、財界を始めとした既存利権勢力も、ごく一部を除いて決して極楽気分名わけではない。
1990年代からこっちは、かつてのような貪り放題なことは難しくなり、そのおこぼれで下々を黙らせる余裕もなくしている。

その代わり、おこぼれを広くばらまくのではなく、マスメディアに集中することで情報管理を徹底し、アメとムチの支配から、無知と鞭の支配に切り替えて、ここまで乗り切ってきた。
しかし、そのような支配システムは限界がある。支配されている側が我慢の限界に来たときには、鞭をより強化して独裁体制に移行するか、革命で倒されるかの岐路に立つことになる。

安倍政権とそのバックボーンである利権勢力は、そうした将来を見据えて、好き放題をつづけるための独裁政治へと移行する準備を進めている。

ただ、そうした観点で安倍政権を分析すると、様々な矛盾が見えてくるのも確かなのだ。

■■

安倍政権を苦しめているのは、実はその支持基盤である利権勢力そのものだ。

民主党から政権を奪還し、まさに自分たちの手に「日本を取りもどす」ことを実現した利権勢力は、高度成長から1980年代までのように、好き放題できるようになったと勘違いしている。いや、したがっている。

目の前の現実は、あっと言う間に中国に追い抜かれ、お家芸だった電気製品も韓国にお株を奪われ、今や二流国の扱いを受ける日本だ。
その積もった鬱憤を、排外主義や差別意識の爆発で晴らそうとする。

安倍晋三がやたらと、韓国を挑発するのは、そうした利権勢力の遠吠えに共感しておかなければならないという宿命がある。
もちろん、個人的には安倍晋三自身がそうしたメンタリティの持ち主であることも大きい。

ところが、既存利権勢力とそれに引きずられる安倍晋三の言動は、宗主国であるアメリカを激怒させてしまった。
以下はゲンダイネットより

「そもそも、安倍さんは1月に訪米したかったのに2月に先送りされ、昭恵夫人を同行したかったのに、ミシェル夫人の都合が悪いと断られた。共同記者会見も開かれなかった。驚いたのは、記者懇談のあと、安倍さんと握手もせずに退席しようとしたことです。日本人記者から“握手を!”とせっつかれて慌てて握手していた。さすがに安倍さんもガッカリしたようです」(政界関係者)
(引用以上)

これにとどまらず、今やこんな状態だ

首相歴史認識 米が懸念 「東アジア混乱」「米国益害する」
東京新聞 2013年5月9日


米議会調査局が日米関係の報告書をまとめ、旧日本軍慰安婦問題などをめぐる安倍晋三首相の歴史認識について「(東アジア)地域の国際関係を混乱させ、米国の国益を害する恐れがあるとの懸念を生じさせた」と指摘した。
米有力紙にも首相の歴史認識を批判する社説が相次ぐなど、東アジアの不安定化要因として危惧する声が高まっている。

(以下略)

本人はご主人様に忠実なつもりなのに、ご主人様からはボロカスの扱いを受ける安倍晋三。
おそらく、戦後の日本の政治の中で、こんな事態はなかった。田中角栄のようにアメリカに仕掛けていって手討ちになった者はいたけれども、忠臣が足蹴にされた経験はない。
官僚も自民党の首脳も、おそらく判断停止して、オロオロしているはずだ。

■■

アメリカの世界戦略の中で、アジアのキーストーンは日本だった。まさに不沈空母としてアジアの東の沿岸に浮かんできた。本国のカネをつかわなくても、自前の資金で不沈空母を維持する超優良な植民地であり続けた。

ところが、冷戦の終結と、中国の台頭は状況を一変させた。
周知のように、米国債を世界一持っているのは中国だ。中国が戦争も辞さない覚悟で米国債を一気に売りに出せば、米国政府はデフォルトだ。戦争しようにも、軍隊の給料すら払えないかもしれない。

もちろん、それは中国にとっても大きな痛手があるから、滅多なことではそんなことはしないけれども、アメリカは必要以上に中国とぶつかるわけにはいかないのだ。
衝突ではなく、有利な交渉によって、アメリカにとって少しでも都合の良い米中関係を確立し、アジアは中国に任せる状態を作ろうとしている。

そんな戦略を描いてきたオバマは、日本との関係をどのようにするのか、どうやって日本を使うのか、考えてきた。
これまでのような、不沈空母としての機能は、基本的にいらない。
日本のマスメディアは例によってわざと無視しているが、米韓軍事演習に参加した原子力空母は米本国サンディエゴから出張ってきた第3艦隊のニミッツだ。日本で燃料補給だけして釜山へ向かったらしい。横須賀にいるジョージ・ワシントンはわざと動かさなかった。

米原子力空母「ニミッツ」、在日米軍ではなく米本土から釜山に来た理由は?
朝鮮日報 2013年5月13日


国防部周辺では、「北朝鮮が中・長距離ミサイルで日本やグアムに駐留する米軍基地を攻撃しても米国本土の戦力を韓半島に投じることができるというメッセージを伝える次元」という見方がでている。
(以下略)

20130513-3.jpg
北朝鮮が自らも滅亡する絶望的な戦争を始めるとは私は考えていないが、いずれにせよ、ミニッツの投入が「米国本土の戦力を投じることができるというメッセージ」であることは間違いない。
ただし、ここでも象徴的だったのは、補給だけは日本でしているらしいということだ。やはり、カネだけは日本から取る という方針なのだろう。

ところが、時代の変化にまったくついて行けない日本の利権集団どもは、千年一日の如く在日米軍に基地を提供し、そのおこぼれに預かることが自分も儲かり、ご主人様も喜ぶことだと思っている。
橋下徹と下地幹郎が結託して、辺野古基地を作れと叫んでいるのは象徴的だ。

選挙でカネを使いすぎて、いまや既成利権勢力の飼い犬になった橋下維新と、沖縄の政治家で唯一「県内移設」を主張する典型的な土建屋政治家の下地幹郎。
古い利権集団の典型的な姿だ。

そして、このような連中は、オバマから見れば目の上のたんこぶ。日本をうまく利用するには、邪魔な存在に過ぎない。

(追記2013.5.14)橋下は自分を持ち上げて落としたアメリカに苛立ち、ダダをこねてヨシヨシと頭をなでてもらうことをねだっている。もちろん、このまま第2自民党では消滅する危機感から、数%の強固な右翼や差別主義者の票を固めるという計算もちゃっかりしている。
「慰安婦必要」とか「米兵は風俗行け」という発言は、橋下にとっては失言ではなく計算づくだ。(追記以上)

■■

オバマは、米中基軸のいわゆるG2体制を作るにあたって、日本をどのように利用するか、試験をした。
それが、まさに尖閣問題だった。

野田佳彦は、安倍晋三よりも素直な奴隷頭だったから、オバマにすれば使いやすかった。しかし、どこまでやれるのか未知数でもあった。
そこで、昨年5月の首脳会談で、野田に「動的防衛力」というキーワードでアジア太平洋地域の軍事負担を宣言させ、本当にそれができるかどうかの実地テストをやらせた。

石原慎太郎に尖閣買取をやらせて中国を刺激し、戦火を開くきっかけを作らせた。
ワシントンのヘリテージ財団でことが始まったのは、周知の通りである。

野田が、本当に戦争ができるのかどうか。
いくら動的防衛力とか言っても、70年近く実戦をしたことのない自衛隊が、米軍の代わりを務めることができるのか。日本の政府は、その決断をできるのか。
昨年の後半は、そのことを試された。

結果、野田は試験に落ちた。
もちろん、落ちた方が良かったわけだが、ギリギリでビビって開戦できなかった。
敢えていえば、ここでビビったことが野田の唯一の功績とも言える。
そうでなければ、昨年末には尖閣周辺でドンパチ始まっていたはずだ。

野田は、耐えられなくなって、政権を放り出した。
オバマ側にすれば、頭の古い(90年代以前の)利権勢力に縛られる自民党よりも、100%言うことを聞く野田や前原たちのほうがずっと便利で重宝なのだが、他に方法がないので自民党を選択した。

ちなみに、あの選挙の時に、橋下維新はもっと勝てる風が吹いていた。しかし、橋下徹とその配下のチンピラ政治家は、自民党以上に扱いにくい。だから、これまた石原慎太郎を使って「抱きつき心中」をさせた。石原に抱きつかれなければ、維新はもっと自民を食って、完全にキャスティングボートを握っていただろう。

もとより、アメリカも尖閣で本気でことを構える気はない。
日本が実弾を撃てるかどうかのテストをやったらすぐに、仲介役として飛び出していき、恩着せがましく和平交渉を主導する算段だったはずだ。

■■

結果は、自民党の圧勝であり、しかも一番頭の古い勢力に支持される安倍晋三だ。
オバマにすれば、イヤイヤつきあわざるを得ない。
その嫌さ加減が、あの日米首脳会談に現れていた。

安倍とその周辺は、あの首脳会談の顛末に、焦りに焦ったに違いない。
アジアでは自分が一の子分でいたはずなのに、いつの間にか他の組の親分と親しくし始めて、自分のことを蔑ろにする。オカシイじゃないか!! そんな泣き言が官邸周辺に響き渡った。

「尖閣」揺れるオバマ政権
2013年5月11日 産経(古森義久)


オバマ政権の対応でさらに気がかりなのは有事の尖閣防衛を明言しないことである。米側高官たちは「尖閣は日米安保条約の適用範囲内にある」と繰り返す。普通の解釈では、外部からの武力攻撃には米国も日本と共同で対処の行動をとるという同条約第5条の適用を意味するが、オバマ政権ではだれも「尖閣への武力攻撃には米軍もその防衛にあたる」という具体的な誓約までは言明しない。
(以下略)

20130513-4.jpg   そして、ある意味トドメを刺したのが、この写真だ。
ホワイトハウスの「ローズガーデン」を韓国の朴槿恵大統領とオバマ米大統領が並んで歩く写真だ。
これは、5月7日にホワイトハウスの公式ホームページの「きょうの写真」コーナーに掲載された。

こうした2人きりの散歩以外にも、朴大統領は安倍晋三とは正反対に考えられるかぎりの好待遇を受けた。
オバマは、米中韓体制に完全に舵を切ったな と感じさせた。

北海道新聞は、こんな社説を載せているが、安倍晋三にとっては時すでに遅しであろう。

対北朝鮮 日韓の隙間を埋めねば
2013年5月9日 北海道新聞

北朝鮮問題で関係国の連携が進む一方で、日本だけが取り残されている感は否めない。
 中国と韓国は先月、外相会談を行い、北朝鮮の核問題を協議するホットライン開設で合意した。米中間も高官協議が相次いでいる。
 沖縄県尖閣諸島や島根県竹島をめぐって冷え込んだ中国、韓国との関係は、閣僚の靖国参拝で一層悪化した。中韓の反発に対し、首相は国会答弁で「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と開き直った。
 中国、韓国と連携できず、北朝鮮への対応で蚊帳の外に置かれれば、安倍政権が日朝間の最重要課題と位置づける拉致問題解決も遠ざかる。

(引用以上)

それどころか、中国+韓国に傾斜していく米国オバマを何とか引き留めようと、安倍政権はなかば絶望的に中国韓国にケンカを売っている。
わざとケンカをして、ボクのほうをかばってよ~ と泣きついているのだ。

安倍晋三が、ことさらに改憲を騒ぎ立てるのは、もちろんあわよくば本当に改憲してやろうと思っているのはたしかだが、当面の一番の目的はこういうことだ。
中国や韓国を怒らせるのは、なんといっても歴史観であり、侵略の開き直りだ。
そのために、ムキになってわめき回ったのである。

その結果が、あのローズガーデンを散歩する写真だ。
安倍晋三の悪あがきは、親分であるオバマにバッサリと切り捨てられた。
 今後は、超右翼ぶった言動は影を潜め、コンサートに飛び入りしたり、ハフィントンポストにブログ書いたり、被災地を回ったりという軟派な人気取りの行動が増えていくだろう。

それは一方で、これまで安倍晋三を支えてきた連中の不満を大きくし、安倍はまたしても板挟みになり体調を崩すのではないか。
その板挟みを解消し、真性マゾならぬ真性従米政権を確立するためには、ひょっとしたらダブル選挙と言うこともあり得る。

その時に主役になるのは、小泉進次郎であり、野田、前原、長島といった民主党側の同類項も合流する。

■■

安倍晋三が改憲をメインテーマのように打ち出したもう一つの目的は、TPPと被曝という直接国民の命に関わるテーマを誤魔化すためだ。

以前にも書いたけれども、国民が羊化されていれば、改憲は必要ない。
支配者は憲法を変えるよりも、無視する方がはるかに簡単で時間もかからない。
そして、今がまさにその状態である。

だから、よりウマイ支配をしようと思うならば、殊更に改憲を騒ぐよりも、情報統制をより徹底して、なし崩しに憲法を無視したらいい。
にも関わらず、わざと大騒ぎするのは、それなりの目的があるからだ。

一つは中国・韓国とケンカしたかった。そしてもう一つは、目の前の深刻なテーマを隠したかった。
被曝の恐怖と、TPPによる生活破壊は、まった無しで命を壊していく。

いくら情報統制しても、マスメディアでウソを流しても、進行していく現実があまりに非道ければ、人の口に戸は立てられない。
そういうテーマで選挙をたたかうよりも、改憲でごまかしたほうがいい。そう判断したのだ。

ある意味正しいのだけれども、マスメディアでコントロールしきれない知識階級は、「改憲」という言葉に極めて敏感に反応する。もう、他のことはほっといて、ここに殺到してくる。
それを狙ったのである。

20130513-2.jpgこれは、敵ながら巧いこと考えたなあと、歯がみしていたのだが、ここに来て安倍戦略は軌道修正を余儀なくされている。
残念ながら国民の力や声ではなく、中国・韓国の怒りと、それを尊重する親分アメリカの判断によって。

せっかくテレビドラマもコナン君も自衛隊を活躍させる段取り組んで自ら戦車に乗って張りきったのに、コーセツとデュエットする軟派な安倍ちゃん路線に転換だ。

96条先行「こだわらず」 自民幹事長 党内異論に配慮
2013年5月11日 東京新聞


■■

このような情勢を読んだ上で思うに、安倍主敵論で戦うのは得策ではないのではないか。
安倍晋三は、いずれにせよ近いうちに使い捨てにされる。
だからこその弱点もあるが、いくら安倍退陣を叫んでも、顔だけすげ替えても意味はない。

安倍を使い捨てた後は、石破と小泉進次郎のダブルキャストで来るだろう。
ここに 前原や長島などのCSIS直系メンバーが合流し、現在の安倍政権のような日本的混成保守従米右翼政権から、真性従米政権に衣替えすることになる。

ちなみに、石破は96条の先行改正に慎重な立場だし、進次郎も改憲は後回しと言っている。前原と長島は民主党内の96条改正派の急先鋒だが、本質的に思想も節操もない連中のことだから、自分たちに不利と見ればすぐに引っ込めるだろう。
改憲などの、安倍の右翼ポーズだけに振り回されて、安倍主敵論で進んでしまうと、スカッと肩すかしを食って、真性従米政権にTPP決められて終わってしまうだろう。

やはり、日本で生活しているほとんどの人にとって、やはり最大の問題は「被曝」と「TPP]だ。
被曝は、もうここでは繰り返さない。

最近の情報としては、こちらの西尾正道さん(北海道地方がんセンター名誉院長)の講演をどうぞ。
被曝ってことが、よくわかる。

http://www.ustream.tv/recorded/32725209

原発や被曝は、ほとんどの人がある程度の知識はある。
あるけれども、諦めたり、見たくないものは無かったことにすると言う日本式対処をしている。

ところが、TPPは、分かっている人は分かっているが、ほとんどの人はまったくと言って良いほど知識がない。
これは、無視とか諦めとか言う以前に、知識がない。
自由貿易で農業が困るんでしょ という知識しかない。

20130513-6.jpgあまりにも影響が大きいが故に、徹底的に報道管制、情報操作がゆきわたり、しかも現物が目の前にあるものじゃないから、報道されていない部分は、ほんとうにまったく知られていない。
せっかく知られていないのだから、争点になどせずに静かに進めてしまえ、というのが安倍晋三の作戦だった。

TPPをひとことで言えば、不平等条約だ。
細かいことはおいといて、小中学生でもちょっと勉強してる子どもならばわかるような表現で言うならば、不平等条約。

もう少し詳しく言うと、アメリカの貿易赤字を解消しつつ、資本赤字(資本流入)を止めないための魔法の杖だ。

米国の産業のためには、当然米国から輸出をしたい。日本にどんどん商品を売り込んで、日本国内のマネーを根こそぎアメリカに持って行きたい。
ところが、これをやると実はアメリカ自身が困るのである。

今、アメリカには700兆円からの日本国籍のドルがあると言われている。
そのドルは、日本では使えない(円じゃないから)ので、アメリカで貸し出しの減資として使われ、アメリカの経済を支えている。

日本は輸出をすると、ドルで代金をもらう。そのドルは輸出企業から日本の銀行が買い取る。そして日本の銀行はアメリカの銀行にそれをドルのまま預ける。または、米国債を買う。
要するに、お代は全部回収できずにアメリカに置いたままなのである。いくら日銀が札をすっても、片っ端からドルに替えてアメリカに預けてしまうのだから、デフレになるのは当然だ。

アメリカからすると、こうやって国家単位で言うと輸入代金を踏み倒し、踏み倒したカネを国内で回して経済を好調にしている。
貿易赤字の金額が、いわばそのまま踏み倒して自由に使い回せる資金の額になっているのだ。
よって、アメリカからの輸出が増えて貿易赤字が解消されてしまうと、米国経済は落ち込んでいくという矛盾を抱えている。

このあたりのことを詳しく勉強する方は、こちらの本をお勧めする

「黒字亡国」三國陽夫 文春新書

とまあ、輸入代金の踏み倒しはアメリカにとって美味しいかぎりだが、しかし、産業が衰退して借金ばかりで経済拡大した結果、案の定、金融恐慌に突入してしまった。
そこでアメリカが目指すのは、輸出を増やして米国内の雇用も増やしながら、これまでどおり日本国籍のドルの踏み倒しも続けたい ということ。

輸出代金はしっかりドルに替えてアメリカに持ち帰りながら、輸入代金はドルから円に替えさせない。半ば強制的にアメリカの銀行に留め置くか米国債にさせる。
そういう仕組みを考えてくるに違いない。
そして都合の良いことができるのは、為替相場を市場から切り離し、円ドル相場を政策的に決定させるような実質的な固定相場制にするしかない。

こういう手を使わないかぎり、いくら関税撤廃しようが非関税障壁をぶち壊そうが、やがてドルが円にたいしてどんどん上がってしまい、アメリカからの輸出は尻すぼみになる。
そうならないように、適度なドル安を続けるための、市場原理ではない通貨体制がTPPにはくっついてくるだろう。

そうなったら、後は急速に日本の富がアメリカに吸い上げられていくばかりだ。
たぶん、数年のうちに衰退は目に見えて現れ、10年後にはこれがGDP世界2位だった国か・・・という惨状を呈するだろう。

■■

かつてのアメリカは、家畜を殺さないように飼っていたが、いまや屠殺して食ってしまおうというスタンスだ。

TPP、日米協議はここから正念場
2013.5.11 産経


(USTR代表になった)フロマン氏は米金融大手シティグループ役員からホワイトハウス入り。オバマ大統領とはハーバード大法科大学院時代からの古い友人で、昨年の主要国(G8)首脳会議では大統領のシェルパ(個人代表)を務めるなどオバマ氏の信頼が厚い。
 これまでもTPPや欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)をめぐる交渉などにかかわり、通商政策に明るいフロマン氏は、「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉人)」との評判を得ている。

(引用以上)

7月からの「交渉」で、TPPが不平等条約であることはどんどん明らかになる。
マスメディアはもちろん何とかして隠そうと躍起になるだろうが、隠しきれるものではない。

20130513-5.jpg その時、安倍体制なのかゲル+子ネズミ体制なのかは分からないが、この「交渉」と言われる過程をどれだけ暴くことができるか。広く知らしめることができるか。
ここが正念場になるだろう。

目の前に不平等条約の実態を突きつけられても、それでもなおヘラヘラ日本式の対応を続けるのならば、それはもう食われてしまうしかないし、そんな世界に生まれてきた不幸を嘆くしかないのかもしれない。

これから数年の間に隠しようが無くなる被爆被害と、次々に実態が明らかになる不平等条約(TPP)。
なんでもかんでも隠しきることが最上の支配手法だとすれば、ある意味で、支配者としては非常に下手な政治をうたなくてはならないということでもある。

米中韓に軸足を移した米国、その米国に絶対に逆らえない日本の支配層。ゴチャゴチャした日本的右翼的支配層は切り捨てられ、被曝被害が激発する前に短期決戦で日本を食い尽くそうとするアメリカ。
そんな背景から、自民党も追い詰められ、のらりくらりとだまし続ける政治ではなく、正面から国民を痛めつける政治へと転換せざるを得ない。

自民党政権が目に見えて凶暴化するとき、それは民主主義という手法で支配することを諦め、力で支配する独裁体制に移行する瞬間だ。
その時こそ、民主主義のユルイ支配には目をつぶって沈黙を決め込んできた多くの日本人が 「えっ」と感じる時になる かもしれない。

そこで目を覚ますか。逃げて逃げて逃げまくってきた日本式対処に見切りを付けて、子どもらのため、孫のために立ち上がるか。

私たちは試されている。



■■お知らせ■■
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日米関係: 議会にとっての論点 議会調査局報告 慰安婦問題だけではない!翻訳その1

日米関係: 議会にとっての論点 2013年5月1日 7-5700www.crs.govRL33436 米国議会図書館議会調査局 要約 多数の外交政策分野、特に中国軍の近代化に対する防御から、北朝鮮の脅威への反撃に至る

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