2013-08-14(Wed)
敗戦の日が開戦の日にならないことを願って
エジプトはついに内戦が始まってしまったようだ。
※注 ここで内戦と書いているのは、非妥協の闘いはいずれ内戦にならざるを得ないという意味であって、今現在起きていることは、武装勢力による、市民デモ参加者の殺戮、虐殺。戦闘集団同志の「内戦」ではない。
軍事独裁政権は、正当な大統領を返せという民衆のデモに対して暴力的に排除、襲撃を始めた。
モルシ派を強制排除、「250人死亡」と同胞団 エジプト
2013年08月14日 AFP通信
上記の記事には、日本の通信社が伝えない生々しい写真がたくさん出ている。
軍事クーデターで政権を強奪するだけにとどまらず、選挙で選ばれた正当な大統領を返せと言う民衆にむけて発砲し、多数の国民を虐殺した。
もう、歴史は逆回転できない。
一方で、イスラエルは、オバマ主導の和平交渉のテーブルに着かざるを得なくなり、なんとかそれを決裂させるための手を撃っている。
交渉開始直前に、パレスチナがもっとも批難している入植の増加を発表し、エジプト軍事政権と連動してシナイ半島のイスラム武装勢力への無人機による空爆や、空港の封鎖などを強行している。
できれば中東で戦争を起こしたくないオバマの懐事情をあざ笑うかのように、イスラエルとエジプト軍事政権は第5次中東戦争にむけて暴走している。
これに激しい内戦が続くシリア情勢がからまる。
ややこしいのは、ムスリム同胞団は反アサドだということ。
米国やイスラエルは、シリアでは反アサドの反体制軍を支援し、エジプトでは反アサドの同胞団を潰そうとしている。そう考えると、訳が分からなくなる。
難しすぎて私には全容は理解できないが、シーア派のアサド大統領はイランへ近づき、国民の多くを占めるスンニ派はシリアのムスリム同胞団が影響力を持ち、いわゆる反体制武装勢力は米国が直接バックに付くアルカイダが主導権を握っている、ということのようだ。
イスラエルにすれば、アサド(イラン)やスンニ派(同胞団)の勝利はあってはならず、アルカイダ率いる隠れ米軍によるアサド政権の打倒のみが頼みの綱ということになる。
そう考えると、エジプトの軍事クーデターとシリア情勢は、あきらかに連動しているということは分かる。
オバマは、どうにもならない自らの懐事情をよくよく分かっているから、なんとしても中東戦争になり米軍が乗り出していくことは避けたいのだが、イスラエルも米国内の産軍複合体も中東の独裁者たちも、そんなことにはお構いなしで戦争へ戦争へと突き進んでいく。
米量的緩和縮小、勝利ではなく「退却」
2013年 08月 7日 ロイター
(略)
FRBは今、流通する米国債のうち金額ベースで5分の1を保有し、新発債の4分の1強を購入している。住宅ローン担保証券(MBS)となると、流通高の4分の1を保有して、毎月の買い入れ額は満期償還や期限前償還を差し引いた組成額よりも大きい。
9月に緩和縮小が開始されれば痛みを伴うとみられ、それ自体は決して確実ではない。だがもし実現するなら、その理由について正直になるべきだ。
(引用以上)
もう米国の財政はいっぱいいっぱいだ。これで9月にFRBが国債や金融リスクの大量購入を辞めたら、2008年リーマンショック以来隠し続けてきた膨大なゆがみが表沙汰になるかもしれない。そうなったら、リーマンショック第2章が始まることになる。
この危機に対して、米国の産軍複合体はもはや自己催眠にかかっており、経済に危機になったら戦争すればいい、と信じている。
戦争で米国経済が浮上できたのは、圧倒的な米国の産業力とドル基軸があってこそだということを、産軍複合体は理解しようとしない。戦争で儲かるのは多国籍企業としての軍需産業であって、米国経済ではない。
アフガンとイラクの実質的な敗戦処理をやらされたオバマは、このことをいやというほど理解しているが、産軍複合体の力、軍の影響力、なによりもイスラエルの暴走とそれを後押しするユダヤロビーに、ぐいぐいと押しまくられて、ついに逃げ場を無くしてしまった。
■■
遡ること1年3ヶ月。
オバマと当時日本の首相だった野田が首脳会談を行った。
オバマは、迫り来る経済危機と、戦争のリスクに対して、ひとつのプランをもっていた。
世界有数の予算と兵員を持ち、米軍よりも米国に忠実な軍隊を、有効活用することだ。
勝手に暴走することだけは押さえつけなくてはならないが、米軍の一部として活用するには、こんなにありがたい軍隊はない。
ロシア軍に匹敵する軍事予算、フランス軍を越える兵員を擁し、1ドルたりとも米国の予算を使う必要が無く、完全に米国の指揮下で闘う軍隊。
ただ、ひとつだけ難点があり、それは実戦経験が無く、国境を越えるのが非常に難しい。
専守防衛とかいうタテマエになっているらしい。
これを完全に変えるには、憲法を変えなくてはならず、何年もかかるという。
米国の情勢は、そんな悠長なことを言ってられない。
でも、そこには妙案があった。
勝手に軍隊を海外に出すことは禁じながら、米国の一部としてならば無制限に出動するという、もう夢のような方法がある。
Right of collective self-defense
日本語では 集団的自衛権 というらしい
昨年5月にオバマと会談した野田は、集団的自衛権に基づいて、アジア太平洋エリアで米軍の肩代わりをすることを約束した。
詳しくは、当時の記事を見ていただきたい。
→ 憲法9条を捨てたも同然の日米共同声明
ワンワン! としっぽを振った野田に対し、矢継ぎ早にテストが行われた。
口だけじゃないよな ホントにやるんだろうな。
7月に入ってクリントンがだめ押しにやってきた。
→ 近日中に尖閣戦争勃発の予感(冗談抜きで)
ややこしいのは、小泉や前原などの米国産軍複合体直系の子分たちは、本気で戦争をする気はなかったということだ。適当に緊張関係を高めて、せっせと米国に貢ぐ平和な日本、という従来の日本支配のスキームを踏襲している。前原が、漁船の衝突をオオゴトに仕立てたのも、その限りでのことだ。
しかし、オバマ・クリントンはそんな腰抜けなアンシャンレジュームはもう要らないと切って捨てたのだ。
それに、野田はOKしたのである。
ところが、野田は最終的には決断できなかった。
一人で泥を被る決断もできず、誰かに押しつけることもできなかった。
その代わりとして、安倍晋三にその役割を禅譲することで話が付いたのではないかと、私は濃厚に疑っている。
12月の解散劇は、そういうものとして、仕組まれた。
同時に、米国側の事情も刻々と変化していた。
12月時点では、今さら尖閣どころじゃない。中国とはもう手打ちをしたから、バカなことはするんじゃない。
それよりも、とっとと集団的自衛権を使えるようにするんだ。
弾のひとつも撃てない軍隊を、実戦でばっちり鍛えてやる。
オバマの腹の内は、こんな感じだったはずだ。
■■
ところが、安倍晋三にはややこしい支持者層がある。
右翼だ。
平和に貢ぐ、という日本支配の形を支える右足。それが日本に育成された右翼だった。
自主独立という旗を、戦争居直り勢力である右翼に持たせておくことで、左翼を含めて日本全体が自主独立に向かわないようにする。そういう高等戦術を、占領軍は使った。
その現場指導はおそらく、統一協会がおこなってきたのだろう。
統一協会に操られた右翼たちは、その自らの役割にはまったく無自覚で、右翼チックな安倍晋三が大好きなのだ。
これまでしっかり米国の支配を守ってきてくれた右翼を、あっさりと切り捨てるわけにも行かず、右翼ポーズとアメポチを両立させなくてならない。安倍晋三の宿痾は、身体的病気以前にこの支持母体なのである。
そのため、参院選までは安倍晋三は改憲だと騒いで見せた。
これにはオバマは怒り心頭である。
そんな呑気なこと言っている場合か。改憲なんて何年かかると思ってんだ。お~ま~え~は~あ~ほ~か
当然ながら、見せしめのように酷薄な扱いをうけ、わざと中国や韓国とは親密な様子を見せつけられた。
もう、アジアは米中韓でやる。
日本は、金も人も出し尽くして、消滅すればいい。一刻の猶予もない!
そう迫られた安倍晋三は、自分たちの身の安全だけを担保に、日本のある人・モノ・金・情報のすべてを差し出すことを決心した。
参議院選の次の日から、その怒濤の流れが始まった。
まずは、集団的自衛権の行使について、極めて実践的に全方位の整備を急ピッチで始めている。
→ 集団的自衛権+秘密保全法=戦争開始(早ければ今年中)
この秋の国会で、集団的自衛権の行使を宣言し、来春にオバマが国賓(!)として来日するまでには実戦配備スタンバイ状態まで持っていくつもりではないか。
オバマの置かれている危機から判断すれば、そのくらいのスピード感でなければオバマは激怒するだろう。
※この記事を書き終わった直後にこんなニュースに気がついた。
集団的自衛権、米国以外にも 有識者懇、対象国拡大提言へ
2013/08/13 共同通信
(略)
中東からの石油輸送のシーレーン(海上交通路)確保などを想定し、政府が幅広く選択できるようにすべきだと判断した。
(略)
「密接な関係にある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶとき」に集団的自衛権が行使できるとの趣旨の提言を検討している
(引用以上)
友達の友達の友達はみな友達だ~♪ て謳ってる場合じゃない。米国の同盟国はみな同盟国。
とくに、シーレーン防衛とわざわざ書いてあり、中東が目標なのは明らかだ。
■■
25万の兵員と5兆円の軍事予算を米軍に差し出すことを決定した安倍晋三は、並行してTPPにも突き進んでいる。
米国の産業界は必ずしも日本の参加を歓迎しなかったようだが、安倍晋三はどんな不平等条約でも構いません、と頭をこすりつけて交渉に潜り込んだ。
産業界はある程度は平等な交渉を前提に、日本の参入はあまりうれしくないと思ったのだろうが、当の安倍晋三はハナから平等な交渉なんて頭にない。いかに不平等な交渉を自国民に押しつけるか。
そこに自分たちの将来がかかっているのだから、もう必死である。
もう安倍晋三の頭の中に、日本の将来とか、日本人の暮らしとか、まして被災者の生活などこれっぽっちも存在しない。
でなければ、放射能汚染水がドバドバ海に流れ出し、全国で豪雨災害が相次ぐまさにその時に、10日間も夏休みを取ります~と公言するわけがない。もう、ウソでも心配するふりもする気はない。
心底、もうどうでもいいのだ。
昔の、つまり平和に米国に貢ぐ戦後レジュームのときの自民党は、ウソでも国民の生活を心配して見せた。
極めて不平等ながら、国民が食っていけることを考えていた。
その自民党は、もうこの国にはない。
残党はあるかもしれないが、もはや勢力としては残っていない。
小泉がぶち壊し、安倍晋三が木っ端微塵に吹き飛ばしてしまった。
次の総選挙まで3年余り。
それまで、この国で暮らす私たちの生活や命はもつのだろうか。
68年目の敗戦記念日が、新たな開戦記念日にならないように、私たちは意志を表すことを学ばなくてはならない。
「平和に貢ぐ」戦後レジームのなかで、牙ならぬ舌を抜かれた日本人が、自らの言葉を取りもどさなくてはならない。
自分が一番正しいと思う気持ちと、実はみんなそう思っているという現実を、ちゃんと自分の中で統合する訓練をしなくてはならない。
仲間割れは、個性や宿命の問題ではなく、明らかに敵に仕込まれたDNAなのだということを理解しよう。
参院選後にあちらこちらから聞こえてくる喧噪を、そういう目で冷静に見てみよう。
■■
私の親しくさせてもらっているベテランの編集者の人が、こんなことを書いている。
30年の編集生活の中で、学んで培ってきた「インタビューで伝える」「文字で伝える」「文字で届ける」「言葉が届く」という鍛錬をしてきたことが、もし参考になればと、と思い書いてみました。
1.「語るとは聞くこと」という捉え方です。
2.聞くとは「聞く、聴く、訊く」という捉え方です。
1.は8割を質問して2割で語って伝える。つまり、相手から引き出した答えをこちらが整理してまとめてあげる。あくまでも答えは相手にあると捉える。
2.相手の中にある答えを引き出すために聴く。質問する。
「聞く」=相手に対する先入観や印象のまま聞く。(これでやると必ず齟齬が生じる)
「聴く」=先入観をはずして、事実に基づいて正確に聞こうとする。受け止めようとする。
「訊く」=相手の言葉、表情の奥にある「本音」「後悔」「訴え」「喜び」「本音の奥にある本心」を受け止めようとする。(ここに相手が望んでいる本当の答えがあるようです)
「聴く、語る」「訊く、語る」でのやりとりなら、誤解や齟齬が少なくなります。
(引用以上)
ぜひ参考にして、言葉を紡ぎ、届ける鍛錬を始めよう。


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※注 ここで内戦と書いているのは、非妥協の闘いはいずれ内戦にならざるを得ないという意味であって、今現在起きていることは、武装勢力による、市民デモ参加者の殺戮、虐殺。戦闘集団同志の「内戦」ではない。
軍事独裁政権は、正当な大統領を返せという民衆のデモに対して暴力的に排除、襲撃を始めた。
モルシ派を強制排除、「250人死亡」と同胞団 エジプト
2013年08月14日 AFP通信
上記の記事には、日本の通信社が伝えない生々しい写真がたくさん出ている。
軍事クーデターで政権を強奪するだけにとどまらず、選挙で選ばれた正当な大統領を返せと言う民衆にむけて発砲し、多数の国民を虐殺した。
もう、歴史は逆回転できない。
一方で、イスラエルは、オバマ主導の和平交渉のテーブルに着かざるを得なくなり、なんとかそれを決裂させるための手を撃っている。
交渉開始直前に、パレスチナがもっとも批難している入植の増加を発表し、エジプト軍事政権と連動してシナイ半島のイスラム武装勢力への無人機による空爆や、空港の封鎖などを強行している。
できれば中東で戦争を起こしたくないオバマの懐事情をあざ笑うかのように、イスラエルとエジプト軍事政権は第5次中東戦争にむけて暴走している。
これに激しい内戦が続くシリア情勢がからまる。
ややこしいのは、ムスリム同胞団は反アサドだということ。
米国やイスラエルは、シリアでは反アサドの反体制軍を支援し、エジプトでは反アサドの同胞団を潰そうとしている。そう考えると、訳が分からなくなる。
難しすぎて私には全容は理解できないが、シーア派のアサド大統領はイランへ近づき、国民の多くを占めるスンニ派はシリアのムスリム同胞団が影響力を持ち、いわゆる反体制武装勢力は米国が直接バックに付くアルカイダが主導権を握っている、ということのようだ。
イスラエルにすれば、アサド(イラン)やスンニ派(同胞団)の勝利はあってはならず、アルカイダ率いる隠れ米軍によるアサド政権の打倒のみが頼みの綱ということになる。
そう考えると、エジプトの軍事クーデターとシリア情勢は、あきらかに連動しているということは分かる。
オバマは、どうにもならない自らの懐事情をよくよく分かっているから、なんとしても中東戦争になり米軍が乗り出していくことは避けたいのだが、イスラエルも米国内の産軍複合体も中東の独裁者たちも、そんなことにはお構いなしで戦争へ戦争へと突き進んでいく。
米量的緩和縮小、勝利ではなく「退却」
2013年 08月 7日 ロイター
(略)
FRBは今、流通する米国債のうち金額ベースで5分の1を保有し、新発債の4分の1強を購入している。住宅ローン担保証券(MBS)となると、流通高の4分の1を保有して、毎月の買い入れ額は満期償還や期限前償還を差し引いた組成額よりも大きい。
9月に緩和縮小が開始されれば痛みを伴うとみられ、それ自体は決して確実ではない。だがもし実現するなら、その理由について正直になるべきだ。
(引用以上)
もう米国の財政はいっぱいいっぱいだ。これで9月にFRBが国債や金融リスクの大量購入を辞めたら、2008年リーマンショック以来隠し続けてきた膨大なゆがみが表沙汰になるかもしれない。そうなったら、リーマンショック第2章が始まることになる。
この危機に対して、米国の産軍複合体はもはや自己催眠にかかっており、経済に危機になったら戦争すればいい、と信じている。
戦争で米国経済が浮上できたのは、圧倒的な米国の産業力とドル基軸があってこそだということを、産軍複合体は理解しようとしない。戦争で儲かるのは多国籍企業としての軍需産業であって、米国経済ではない。
アフガンとイラクの実質的な敗戦処理をやらされたオバマは、このことをいやというほど理解しているが、産軍複合体の力、軍の影響力、なによりもイスラエルの暴走とそれを後押しするユダヤロビーに、ぐいぐいと押しまくられて、ついに逃げ場を無くしてしまった。
■■
遡ること1年3ヶ月。
オバマと当時日本の首相だった野田が首脳会談を行った。
オバマは、迫り来る経済危機と、戦争のリスクに対して、ひとつのプランをもっていた。
世界有数の予算と兵員を持ち、米軍よりも米国に忠実な軍隊を、有効活用することだ。
勝手に暴走することだけは押さえつけなくてはならないが、米軍の一部として活用するには、こんなにありがたい軍隊はない。
ロシア軍に匹敵する軍事予算、フランス軍を越える兵員を擁し、1ドルたりとも米国の予算を使う必要が無く、完全に米国の指揮下で闘う軍隊。
ただ、ひとつだけ難点があり、それは実戦経験が無く、国境を越えるのが非常に難しい。
専守防衛とかいうタテマエになっているらしい。
これを完全に変えるには、憲法を変えなくてはならず、何年もかかるという。
米国の情勢は、そんな悠長なことを言ってられない。
でも、そこには妙案があった。
勝手に軍隊を海外に出すことは禁じながら、米国の一部としてならば無制限に出動するという、もう夢のような方法がある。
Right of collective self-defense
日本語では 集団的自衛権 というらしい
昨年5月にオバマと会談した野田は、集団的自衛権に基づいて、アジア太平洋エリアで米軍の肩代わりをすることを約束した。
詳しくは、当時の記事を見ていただきたい。
→ 憲法9条を捨てたも同然の日米共同声明
ワンワン! としっぽを振った野田に対し、矢継ぎ早にテストが行われた。
口だけじゃないよな ホントにやるんだろうな。
7月に入ってクリントンがだめ押しにやってきた。
→ 近日中に尖閣戦争勃発の予感(冗談抜きで)
ややこしいのは、小泉や前原などの米国産軍複合体直系の子分たちは、本気で戦争をする気はなかったということだ。適当に緊張関係を高めて、せっせと米国に貢ぐ平和な日本、という従来の日本支配のスキームを踏襲している。前原が、漁船の衝突をオオゴトに仕立てたのも、その限りでのことだ。
しかし、オバマ・クリントンはそんな腰抜けなアンシャンレジュームはもう要らないと切って捨てたのだ。
それに、野田はOKしたのである。
ところが、野田は最終的には決断できなかった。
一人で泥を被る決断もできず、誰かに押しつけることもできなかった。
その代わりとして、安倍晋三にその役割を禅譲することで話が付いたのではないかと、私は濃厚に疑っている。
12月の解散劇は、そういうものとして、仕組まれた。
同時に、米国側の事情も刻々と変化していた。
12月時点では、今さら尖閣どころじゃない。中国とはもう手打ちをしたから、バカなことはするんじゃない。
それよりも、とっとと集団的自衛権を使えるようにするんだ。
弾のひとつも撃てない軍隊を、実戦でばっちり鍛えてやる。
オバマの腹の内は、こんな感じだったはずだ。
■■
ところが、安倍晋三にはややこしい支持者層がある。
右翼だ。
平和に貢ぐ、という日本支配の形を支える右足。それが日本に育成された右翼だった。
自主独立という旗を、戦争居直り勢力である右翼に持たせておくことで、左翼を含めて日本全体が自主独立に向かわないようにする。そういう高等戦術を、占領軍は使った。
その現場指導はおそらく、統一協会がおこなってきたのだろう。
統一協会に操られた右翼たちは、その自らの役割にはまったく無自覚で、右翼チックな安倍晋三が大好きなのだ。
これまでしっかり米国の支配を守ってきてくれた右翼を、あっさりと切り捨てるわけにも行かず、右翼ポーズとアメポチを両立させなくてならない。安倍晋三の宿痾は、身体的病気以前にこの支持母体なのである。
そのため、参院選までは安倍晋三は改憲だと騒いで見せた。
これにはオバマは怒り心頭である。
そんな呑気なこと言っている場合か。改憲なんて何年かかると思ってんだ。お~ま~え~は~あ~ほ~か
当然ながら、見せしめのように酷薄な扱いをうけ、わざと中国や韓国とは親密な様子を見せつけられた。
もう、アジアは米中韓でやる。
日本は、金も人も出し尽くして、消滅すればいい。一刻の猶予もない!
そう迫られた安倍晋三は、自分たちの身の安全だけを担保に、日本のある人・モノ・金・情報のすべてを差し出すことを決心した。
参議院選の次の日から、その怒濤の流れが始まった。
まずは、集団的自衛権の行使について、極めて実践的に全方位の整備を急ピッチで始めている。
→ 集団的自衛権+秘密保全法=戦争開始(早ければ今年中)
この秋の国会で、集団的自衛権の行使を宣言し、来春にオバマが国賓(!)として来日するまでには実戦配備スタンバイ状態まで持っていくつもりではないか。
オバマの置かれている危機から判断すれば、そのくらいのスピード感でなければオバマは激怒するだろう。
※この記事を書き終わった直後にこんなニュースに気がついた。
集団的自衛権、米国以外にも 有識者懇、対象国拡大提言へ
2013/08/13 共同通信
(略)
中東からの石油輸送のシーレーン(海上交通路)確保などを想定し、政府が幅広く選択できるようにすべきだと判断した。
(略)
「密接な関係にある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶとき」に集団的自衛権が行使できるとの趣旨の提言を検討している
(引用以上)
友達の友達の友達はみな友達だ~♪ て謳ってる場合じゃない。米国の同盟国はみな同盟国。
とくに、シーレーン防衛とわざわざ書いてあり、中東が目標なのは明らかだ。
■■
25万の兵員と5兆円の軍事予算を米軍に差し出すことを決定した安倍晋三は、並行してTPPにも突き進んでいる。
米国の産業界は必ずしも日本の参加を歓迎しなかったようだが、安倍晋三はどんな不平等条約でも構いません、と頭をこすりつけて交渉に潜り込んだ。
産業界はある程度は平等な交渉を前提に、日本の参入はあまりうれしくないと思ったのだろうが、当の安倍晋三はハナから平等な交渉なんて頭にない。いかに不平等な交渉を自国民に押しつけるか。
そこに自分たちの将来がかかっているのだから、もう必死である。
もう安倍晋三の頭の中に、日本の将来とか、日本人の暮らしとか、まして被災者の生活などこれっぽっちも存在しない。
でなければ、放射能汚染水がドバドバ海に流れ出し、全国で豪雨災害が相次ぐまさにその時に、10日間も夏休みを取ります~と公言するわけがない。もう、ウソでも心配するふりもする気はない。
心底、もうどうでもいいのだ。
昔の、つまり平和に米国に貢ぐ戦後レジュームのときの自民党は、ウソでも国民の生活を心配して見せた。
極めて不平等ながら、国民が食っていけることを考えていた。
その自民党は、もうこの国にはない。
残党はあるかもしれないが、もはや勢力としては残っていない。
小泉がぶち壊し、安倍晋三が木っ端微塵に吹き飛ばしてしまった。
次の総選挙まで3年余り。
それまで、この国で暮らす私たちの生活や命はもつのだろうか。
68年目の敗戦記念日が、新たな開戦記念日にならないように、私たちは意志を表すことを学ばなくてはならない。
「平和に貢ぐ」戦後レジームのなかで、牙ならぬ舌を抜かれた日本人が、自らの言葉を取りもどさなくてはならない。
自分が一番正しいと思う気持ちと、実はみんなそう思っているという現実を、ちゃんと自分の中で統合する訓練をしなくてはならない。
仲間割れは、個性や宿命の問題ではなく、明らかに敵に仕込まれたDNAなのだということを理解しよう。
参院選後にあちらこちらから聞こえてくる喧噪を、そういう目で冷静に見てみよう。
■■
私の親しくさせてもらっているベテランの編集者の人が、こんなことを書いている。
30年の編集生活の中で、学んで培ってきた「インタビューで伝える」「文字で伝える」「文字で届ける」「言葉が届く」という鍛錬をしてきたことが、もし参考になればと、と思い書いてみました。
1.「語るとは聞くこと」という捉え方です。
2.聞くとは「聞く、聴く、訊く」という捉え方です。
1.は8割を質問して2割で語って伝える。つまり、相手から引き出した答えをこちらが整理してまとめてあげる。あくまでも答えは相手にあると捉える。
2.相手の中にある答えを引き出すために聴く。質問する。
「聞く」=相手に対する先入観や印象のまま聞く。(これでやると必ず齟齬が生じる)
「聴く」=先入観をはずして、事実に基づいて正確に聞こうとする。受け止めようとする。
「訊く」=相手の言葉、表情の奥にある「本音」「後悔」「訴え」「喜び」「本音の奥にある本心」を受け止めようとする。(ここに相手が望んでいる本当の答えがあるようです)
「聴く、語る」「訊く、語る」でのやりとりなら、誤解や齟齬が少なくなります。
(引用以上)
ぜひ参考にして、言葉を紡ぎ、届ける鍛錬を始めよう。


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