2013-08-15(Thu)

敗戦を終戦と言い換えたペテン記念日

1945年8月15日は、敗戦記念日だ。大日本帝国が米国ならびに連合国軍に対して敗北したことを、自国民に公表した日だ。
降伏を受諾したのは8月14日で、正式な敗戦の日はミズーリ号で降伏調印した9月2日だが、自らの負けを最高責任者の天皇が臣民に公表したのが8月15日だから、敗戦記念日としても間違いではない。

そして、1952年8月15日は、敗戦記念日を終戦記念日と言い換えたペテンの記念日だ。
朝鮮戦争へと日本もふたたび戦争加担し、この年の4月28日に、米国の占領支配を継続しながら形だけ「独立」するというサンフランシスコ条約が発効。そんな1952年の敗戦記念日は、「終戦」記念日と名前が変えられた。

この大ペテンが、戦後の日本を象徴している。

ここから先は、2008年に書いた記事を読んでいただきたい

 貴い犠牲なんて無い

 ひき続き「尊い犠牲」について

こうして、巨悪は絶対に責任を取らない、やりたい放題を当たり前のように許してしまう日本が作られてきた。
今日の惨状は、こうした68年の積み重ねの結果である。

原発を爆発させ、放射能をまき散らし、今なお大量の核物質を海に流し続けても、悪いのは「天」だったり「みんな」だったりする。
決して誰一人として責任を取らない。取らないどころか、巨悪は巨額の退職金やら天下りやらで悠々自適の老後を楽しんでいる。(聞くところによりと、多くは海外移住済みとか)

決して反省しない、責任を問わない日本のこの姿は、68年前に占領軍にプログラミングされた結果だ。
仕込まれたように、唯々諾々と使い捨てられていくしか、私たちに道は無いのか。

大手新聞の8月15日の社説は、目を覆うようなものばかりだが、地方紙ではまだこんな格調高い社説があった。

終戦記念日に考える 日本人自らの手で戦争総括を
2013年08月15日

(略)
しかしあえて言えば、最も重大な問題は隣国の反応自体ではなく、戦後70年近くを経て私たちが本当に日中戦争以降の一連の戦争を自らの手で総括できているのか‐ということではないか。
 家族のため、日本のためにと戦い、遠い戦地で没した数多くの一般兵士、米軍による無差別爆撃で命を失った人々と、確たる見通しもないまま戦争に突っ走り、「一億玉砕」などの言葉で終戦を遅らせた軍首脳や政治家とを、戦争犠牲者としてまったく同列に扱って良いのかどうか。いまだに国論として決着がついていないのが現状だ。

(引用以上)

自らの手で戦争総括をしない限り、日本は自立できない。
より正確に言えば、日本を自立させないために、戦争総括をさせなかった のである。
そして、戦争総括に代わるものとして与えられたのが日本国憲法だった。
1条(戦争責任の放棄)と9条(戦争の放棄)が併存するという論理破綻を内包した、しかし非戦と人権という意味では世界に比類のない、えも言われぬ不思議な憲法が日本に存在することになった。

戦争責任を曖昧にする代わりに、戦争放棄と人権を守ります、という妥協の契約書が、日本国憲法なのだ。

逆に言えば、戦争総括を日本人の手できっちりとやりきり、天皇を含めた戦争責任を明らかにし、責任を取らせるまでは、憲法は絶対に変えてはいけない。ということでもある。
それをせずしての改憲は、一方的な戦争責任の放棄であり、戦争の加害者であると同時に悲惨な被害者であった日本国民は、そのような憲法のもとに統合される必然性はない。それはもはや、国ではない。

いま、安倍晋三は、改憲手続きをとらない改憲に踏み切った。
集団的自衛権の行使とは、もはや憲法を守りません という宣言に他ならない。

選挙で選ばれた大統領を捕らえ、憲法を停止したエジプトとなんら変わるところはない。
違うのは、エジプトは国民が激怒し、無差別殺戮にも負けずに闘っているが、日本では憲法無視を宣言した自民党が圧勝し、国民はほぼ無関心ということだ。

エジプト、反政府デモを強制排除―少なくとも278人が死亡
2013.8.15 WSJ.com


時の政権が「憲法を守りません」と公言して、それを「ふ~ん」と聞き流している国民は「国民」ではない。
もはや国としての体を成していないからだ。
憲法を無視すると公言した以上、この政権に法的な根拠はない。
自民党、官僚組織、米国などに率いられた、クーデター権力であり、これを許す「国民」は1億2千万人の無法集団である。

これほどに、日本の状況は戦争に向けて逼迫している。
ほんとにヤバイ。ものすごくヤバイのだけれど、集団的自衛権に反対する政治家も,市民運動家も、反応がイマイチ鈍い。大丈夫か。

敵は、こちらが用心する10倍も100倍も悪どい。
まさかそこまでは、なんて思っていたら、あっというまに戦場にほうりこまれる。

3.11で、原発の爆発で、敵は本気で開き直った。
もう、手のつけようがないということを、敵は誰よりもよく知っている。だから、もう後のことなんてどうでもいいと思っている。自分たちの安泰な老後さえ確保すれば、日本という国が滅びようが知ったことかと思っている。

68年目の敗戦の日。

終戦ではない、敗戦の日に記す。


※読んでない方は、昨日の記事もよろしく
 → 敗戦の日が開戦の日にならないことを願って



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