2013-09-17(Tue)
安倍とオバマのねじれは長くは続かない。自衛隊は中東に向かっている
シリアへの爆撃が、当面は回避された。とりあえずは第5次中東戦争の危機は先延ばしされた。
しかし、シリアの内戦は何も解決されていないし、サウジ経由で反政府軍にわたった化学兵器は野放しだし、米国の産軍複合体の戦争圧力は増すばかりだし、安倍晋三の集団的自衛権への執念は変わらずに燃えさかっている。
よかったよかった とお茶をすすっている場合じゃない。
今回のシリア爆撃回避については、表向きはロシアが立役者になっているが、じつは本当にその役割を果たしたのは、実に皮肉なことに安倍晋三なのである。
安倍は、オバマからの猛烈な「戦費出せ」圧力にたいして、言を左右にして逃げ回った。おそらくは数兆円規模の拠出を迫られて、コイズミだったら1秒で「出します」と答えるところを、なぜか逃げ回った。
安倍晋三は「右翼」であることでどうにか権威を保ち、政治声明をつないでいる。
戦後の占領下において、日本が精神的に独立できないように仕込まれた「嫌韓嫌中思想」を体現することで、安倍晋三は人気を保ち、支持基盤を固めてきた。
ところが、オバマの方針は「米中基軸(G2)」であり、アジアは中国に任す、という考えである。
クリントンはもっと好戦的だったが、ケリーに変わってからは明確にこの方針を進めている。
しかし、オバマも巨大な産軍複合体とユダヤロビーには逆らえない。まともに逆らえば暗殺かスキャンダルが待っている。
彼らが待ち望んでいるのは、中東大戦争だ。米国の産軍複合体の恐ろしいところは、米国という国がどうなろうとも、何が何でも戦争をやろうとするところだ。もやは国家の枠組みでコントロールできる範囲を超えている。
したがって、中国封じ込めと、中東戦争のどちらをとるかとなれば、当然中東戦争ということになる。
ただしオバマは理性を完全に失った人間ではないので、中東大戦争がカタストロフィーであることを理解し、それを回避しつつイスラエルや軍需産業が納得する道を探った。
そして、財政的に2正面作戦はとても維持できない米国は、日本に対しても「中国とは和解しろ」と持ちかけた。
ところが、「右翼」ポーズで生き残ってきた安倍晋三は、そう簡単に「イエス ボス」とは言えない。だだをこねて中国にケンカを売って見せたものだから、オバマは激怒した。
2月の日米会談と、6月の米中会談の違いを見れば明らかだ。
8月になり、オバマはついに「レッドライントラップ」にはまった。
自らが「レッドライン」と表現したシリアでの化学兵器を突きつけられ、開戦を余儀なくされた。
もちろん、十中八九は使用された化学兵器は、もともとは米国がサウジ経由で反政府軍に与えたものだが、まさか米国の大統領がそれを言うわけにもいかず、オバマは進退窮まった。
ここまで来て「やっぱりやめました」では、大統領としての権威が完全に失墜する。これ以降の政権運営はオバマ抜きで進んでいくだろう。なんとか「限定的な」爆撃でお茶を濁したい。それがオバマの方針だったはずだ。
そこで最も問題になったのが戦費だ。
財政の崖で軍事費の強制削減という環境にある米軍は、独自でシリア戦争をまかなう資金は持っていない。
サウジに出させるにしても、サウジだけではあまりにも戦争意図が見え見えで、「国際社会」という名目を使えない。
どうしても、日本に出させる必要があった。
ところが、中国とはどうしても和解したくない安倍晋三は、逃げて逃げて逃げ回った。当初はG20に出席するかどうかもわからないと言って安倍との会談を拒否していたオバマが、自分から無理やり会談を設定したにもかかわらず、安倍は「出します」とは言わなかった。
この様子を見ていたプーチンが、カネのない米国の足下を見て、「化学兵器禁止条約への加盟」という妥協案をだしてきたのだ。オバマがドン詰まりではなかったら、この妥協策も日の目を見ることはなかったろう。その意味で、シリア爆撃を回避した立役者は、なんとビックリ安倍晋三なのである。
もちろん、本人はそんなつもりはサラサラなく、ただただ中国と和解したくなかっただけなのだが。
■■
そんなこんなで、シリア爆撃が当面は無くなったことで、日本国内ではこの問題への関心が急速に無くなっている。
「のど元過ぎれば」の国民性は健在のようで、ニュースにもならないし、ツイッターのタイムラインをみても、まったく見かけなくなってしまった。
しかし、中東の危機と、日本の参戦という現実は、何も変わらずに迫っている。
米国の軍需産業は、毎年数十兆円の兵器を作っているという。この巨大産業を維持するには、数年に1度の戦争と、その戦費をまかなう国が必要だ。何が何でも必要だ。
その意向と、安倍晋三の「右翼ポーズ」の利害が一致するのが「集団的自衛権」である。
米国の戦争を肩代わりし、その戦費を負担し、しかも「右翼」ブリッ子できる。
安倍晋三は、中国と仲良くしたくないだけで、中東に攻めていくことには何のためらいもない。
自衛隊は、5月にペルシャ湾で米軍と合同軍事演習をやっている。
さらに、12月には自衛隊の護衛艦とP3Cが海賊対策名目の多国籍軍に編入される。多国籍軍というのは実質は米第五艦隊であり、その拠点はペルシャ湾のバーレーンだ。
それ以外にも、米軍の自衛隊の合同演習は、陸海空をとわずひっきりなし行われている。
基地の島・沖縄でやられることが多いが、そればかりではなくグアムやアラスカまで自衛隊が進出していって行われている。
もう、どこが「自衛」隊やねん と言いたくなるくらい、集団的自衛権の現実は進行している。
宣言がされていないだけで、実態は着々と進んでいる。宣言されたら、即開戦できる用意はすでに調っているのだ。
秘密保護法も、強引に作られようとしている。
山本太郎さんや藤原紀香さんが危機感をもって反対を表明している秘密保護法。
この本当の目的は、日本が米軍の傘下に入ったとき、日本の情報を日本人には秘密裏に米国に渡すためのものだ。これは、憶測でも何でもなく、新聞なんかの報道ですら書いてある。
秘密保全法案を提出へ 秋の臨時国会、公務員の罰則強化
2013年7月27日 朝日新聞
安倍政権は、国の機密情報を流出させた公務員への罰則を強化する秘密保全法案を秋の臨時国会に提出する方針を固めた。外交・安全保障の司令塔として国家安全保障会議(日本版NSC)を設置する法案を提出するのにあわせ、同盟国の米国と情報共有を進めるために必要だと判断した。
(引用以上)
もちろん、この勢いは今も変わらない
集団的自衛権:議論再開 17日安保法制懇
毎日新聞 2013年09月16日
安倍晋三首相は17日、自身の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)を首相官邸で開き、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更に向けた議論を再開する。安保法制懇は2月8日の初会合以来2回目だが、柳井氏ら主要メンバーは非公式に協議を重ねており、12月ごろ報告書をまとめる方針。
(引用以上)
むしろ、2月からコッソリやっていた「柳井懇」を大ぴらに再開し、公明党にも圧力をかけ、12月には「行使する」と宣言するつもりだ。
ここで黙っていると、何十年後かに「お父さんは(おじいちゃんは)あのとき何で止めてくれなかったの」と言われることになる。
ごまめの歯ぎしりだって良い。歯ぎしりも、10が100,100が万、万が100万になれば、日本中に響き渡る。
まずは200人。関西で200人の人に集まってもらいたい。
ネットの歯ぎしりは、やはり響きが弱い。パソコンの前からちょと立ち上がって、10月13日、大阪は天神橋筋3丁目のPLP会館に足を運んでいただきたい。
「戦後史の正体」の孫崎享さんと、参議院沖縄で勝利した糸数圭子さん、お二人の話を一度に聞ける、なんともラッキーな講演集会 題して「集団的自衛権の正体 ~いったい何を衛るつもりなんだろう~」
会場は定員200人。
誰かがやってくれる ではなく、ちょっこら行ってみよか、がすべての始まり。
申込みは info@mei-getsu.com(山岸)まで、名前と連絡先を
集会の詳細は下記のチラシの通り
(クリックすると大きなPDFファイルが開きます)


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しかし、シリアの内戦は何も解決されていないし、サウジ経由で反政府軍にわたった化学兵器は野放しだし、米国の産軍複合体の戦争圧力は増すばかりだし、安倍晋三の集団的自衛権への執念は変わらずに燃えさかっている。
よかったよかった とお茶をすすっている場合じゃない。
今回のシリア爆撃回避については、表向きはロシアが立役者になっているが、じつは本当にその役割を果たしたのは、実に皮肉なことに安倍晋三なのである。
安倍は、オバマからの猛烈な「戦費出せ」圧力にたいして、言を左右にして逃げ回った。おそらくは数兆円規模の拠出を迫られて、コイズミだったら1秒で「出します」と答えるところを、なぜか逃げ回った。
安倍晋三は「右翼」であることでどうにか権威を保ち、政治声明をつないでいる。
戦後の占領下において、日本が精神的に独立できないように仕込まれた「嫌韓嫌中思想」を体現することで、安倍晋三は人気を保ち、支持基盤を固めてきた。
ところが、オバマの方針は「米中基軸(G2)」であり、アジアは中国に任す、という考えである。
クリントンはもっと好戦的だったが、ケリーに変わってからは明確にこの方針を進めている。
しかし、オバマも巨大な産軍複合体とユダヤロビーには逆らえない。まともに逆らえば暗殺かスキャンダルが待っている。
彼らが待ち望んでいるのは、中東大戦争だ。米国の産軍複合体の恐ろしいところは、米国という国がどうなろうとも、何が何でも戦争をやろうとするところだ。もやは国家の枠組みでコントロールできる範囲を超えている。
したがって、中国封じ込めと、中東戦争のどちらをとるかとなれば、当然中東戦争ということになる。
ただしオバマは理性を完全に失った人間ではないので、中東大戦争がカタストロフィーであることを理解し、それを回避しつつイスラエルや軍需産業が納得する道を探った。
そして、財政的に2正面作戦はとても維持できない米国は、日本に対しても「中国とは和解しろ」と持ちかけた。
ところが、「右翼」ポーズで生き残ってきた安倍晋三は、そう簡単に「イエス ボス」とは言えない。だだをこねて中国にケンカを売って見せたものだから、オバマは激怒した。
2月の日米会談と、6月の米中会談の違いを見れば明らかだ。
8月になり、オバマはついに「レッドライントラップ」にはまった。
自らが「レッドライン」と表現したシリアでの化学兵器を突きつけられ、開戦を余儀なくされた。
もちろん、十中八九は使用された化学兵器は、もともとは米国がサウジ経由で反政府軍に与えたものだが、まさか米国の大統領がそれを言うわけにもいかず、オバマは進退窮まった。
ここまで来て「やっぱりやめました」では、大統領としての権威が完全に失墜する。これ以降の政権運営はオバマ抜きで進んでいくだろう。なんとか「限定的な」爆撃でお茶を濁したい。それがオバマの方針だったはずだ。
そこで最も問題になったのが戦費だ。
財政の崖で軍事費の強制削減という環境にある米軍は、独自でシリア戦争をまかなう資金は持っていない。
サウジに出させるにしても、サウジだけではあまりにも戦争意図が見え見えで、「国際社会」という名目を使えない。
どうしても、日本に出させる必要があった。
ところが、中国とはどうしても和解したくない安倍晋三は、逃げて逃げて逃げ回った。当初はG20に出席するかどうかもわからないと言って安倍との会談を拒否していたオバマが、自分から無理やり会談を設定したにもかかわらず、安倍は「出します」とは言わなかった。
この様子を見ていたプーチンが、カネのない米国の足下を見て、「化学兵器禁止条約への加盟」という妥協案をだしてきたのだ。オバマがドン詰まりではなかったら、この妥協策も日の目を見ることはなかったろう。その意味で、シリア爆撃を回避した立役者は、なんとビックリ安倍晋三なのである。
もちろん、本人はそんなつもりはサラサラなく、ただただ中国と和解したくなかっただけなのだが。
■■
そんなこんなで、シリア爆撃が当面は無くなったことで、日本国内ではこの問題への関心が急速に無くなっている。
「のど元過ぎれば」の国民性は健在のようで、ニュースにもならないし、ツイッターのタイムラインをみても、まったく見かけなくなってしまった。
しかし、中東の危機と、日本の参戦という現実は、何も変わらずに迫っている。
米国の軍需産業は、毎年数十兆円の兵器を作っているという。この巨大産業を維持するには、数年に1度の戦争と、その戦費をまかなう国が必要だ。何が何でも必要だ。
その意向と、安倍晋三の「右翼ポーズ」の利害が一致するのが「集団的自衛権」である。
米国の戦争を肩代わりし、その戦費を負担し、しかも「右翼」ブリッ子できる。
安倍晋三は、中国と仲良くしたくないだけで、中東に攻めていくことには何のためらいもない。
自衛隊は、5月にペルシャ湾で米軍と合同軍事演習をやっている。
さらに、12月には自衛隊の護衛艦とP3Cが海賊対策名目の多国籍軍に編入される。多国籍軍というのは実質は米第五艦隊であり、その拠点はペルシャ湾のバーレーンだ。
それ以外にも、米軍の自衛隊の合同演習は、陸海空をとわずひっきりなし行われている。
基地の島・沖縄でやられることが多いが、そればかりではなくグアムやアラスカまで自衛隊が進出していって行われている。
もう、どこが「自衛」隊やねん と言いたくなるくらい、集団的自衛権の現実は進行している。
宣言がされていないだけで、実態は着々と進んでいる。宣言されたら、即開戦できる用意はすでに調っているのだ。
秘密保護法も、強引に作られようとしている。
山本太郎さんや藤原紀香さんが危機感をもって反対を表明している秘密保護法。
この本当の目的は、日本が米軍の傘下に入ったとき、日本の情報を日本人には秘密裏に米国に渡すためのものだ。これは、憶測でも何でもなく、新聞なんかの報道ですら書いてある。
秘密保全法案を提出へ 秋の臨時国会、公務員の罰則強化
2013年7月27日 朝日新聞
安倍政権は、国の機密情報を流出させた公務員への罰則を強化する秘密保全法案を秋の臨時国会に提出する方針を固めた。外交・安全保障の司令塔として国家安全保障会議(日本版NSC)を設置する法案を提出するのにあわせ、同盟国の米国と情報共有を進めるために必要だと判断した。
(引用以上)
もちろん、この勢いは今も変わらない
集団的自衛権:議論再開 17日安保法制懇
毎日新聞 2013年09月16日
安倍晋三首相は17日、自身の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)を首相官邸で開き、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更に向けた議論を再開する。安保法制懇は2月8日の初会合以来2回目だが、柳井氏ら主要メンバーは非公式に協議を重ねており、12月ごろ報告書をまとめる方針。
(引用以上)
むしろ、2月からコッソリやっていた「柳井懇」を大ぴらに再開し、公明党にも圧力をかけ、12月には「行使する」と宣言するつもりだ。
ここで黙っていると、何十年後かに「お父さんは(おじいちゃんは)あのとき何で止めてくれなかったの」と言われることになる。
ごまめの歯ぎしりだって良い。歯ぎしりも、10が100,100が万、万が100万になれば、日本中に響き渡る。
まずは200人。関西で200人の人に集まってもらいたい。
ネットの歯ぎしりは、やはり響きが弱い。パソコンの前からちょと立ち上がって、10月13日、大阪は天神橋筋3丁目のPLP会館に足を運んでいただきたい。
「戦後史の正体」の孫崎享さんと、参議院沖縄で勝利した糸数圭子さん、お二人の話を一度に聞ける、なんともラッキーな講演集会 題して「集団的自衛権の正体 ~いったい何を衛るつもりなんだろう~」
会場は定員200人。
誰かがやってくれる ではなく、ちょっこら行ってみよか、がすべての始まり。
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集会の詳細は下記のチラシの通り
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