2014-03-25(Tue)

反戦運動が戦争を止められない理由

残念なことに、これまで反戦運動で止まった戦争を寡聞にして知らない。

戦争は、戦争の終結によってのみ終わりを迎えることを繰り返してきた。いくら悲惨でも愚かでもどれだけ人が死のうとも、何度も何度も飽くことなく繰り返してきた。

しかし、世界中の戦争が唯々諾々と始まったわけではない、様々な階層による反戦運動があり、しかしそれが敗北することによって戦争へと突入していった。
なぜ、世界中の反戦運動は一度として勝つことができないのだろうか。

これはおそらく、反戦運動が対処療法にとどまり、戦争の原因を取り除く力になってこなかったからではないかと思う。
戦争は何の理由もなく始まるわけではない。クラウゼビッツの言うとおり、暴力をもってする政治の延長なのであって、爆弾を落としてスッキリしたいからと戦争をするわけではない。

ではその理由とは何か。個々の事情は思い切って捨象するならば、ある政体の社会が行き詰まり、暴力的な打開を図ろうとすること、と言えるのではないか。
簡単に言えば、「そのままでは食えなくなってしまった」ということだ。

国民を食わせることのできない政治体制は、その社会から退場するか、さもなくば他から奪ってくるしかない。
そして、食えない国民の多くは「奪ってくる」ことに賛成してきた。

「食う」というのは、直接的な意味の場合もあるが、むしろこれまでの地位や暮らしが崩壊するという意味だ。
米国はベトナム戦争をやらなくても「食う」には困らなかっただろうし、めり込まなければ違った歴史を歩んだかもしれないが、しかし、共産主義に負けて世界1の暮らしを奪われるかもしれないという恐怖感は、そうした理性を吹き飛ばした。

ベトナム戦争の米国はただちに食うに困るわけではなかったから、それだけ反戦運動も大きくなったが、今日食うものにもこと欠く国では、反戦運動をする余裕すらない。

「人はパンのみにて生きるにあらず」という言葉を「パンがなくても生きられる」と誤解してる人が多いようだが、「食うこと」を卑しめるのは大間違いだ。「どうやったら皆が食っていけるのか」 この答えを(ウソでも)示したものが天下を握る。そして、示される「答え」とは多くの場合、戦争だったのである。

今また日本でも、それが繰り返されようとしている。いまのままだと、「答え」を示すのはファシストになってしまう。時間がない。

反戦運動は単なる「戦争反対」運動ではなく、より深く、生きる運動、「皆が生きることができる運動」にならなければ必ず負ける。
すでに、反戦運動や脱原発運動を「小金持ちの道楽」と見ている若者が少なくない。彼らは、安倍や田母神のインモラルで強引なやり口に希望を感じている。

こうすれば皆食っていける。年寄りの勝ち逃げではなく、若者に富の配分が行き渡る。そのことをリアルに示すことができなければ、どんなに「戦争反対!」と声を枯らしても負ける。
戦争は始まる。

■■

これまた残念なことに、正真正銘の非暴力な革命というのも聞いたことがない。

何かというと非暴力不服従のガンジーの話になるが、ガンジーの時代のインドと世界をよく見る必要がある。
当時のインドは、血で血を洗う暴動と弾圧が吹き荒れていた。一方で隣の中国では人民解放軍が勢いを増し、英国は妥協を迫られていた。

まさにこうした情勢にあって、ガンジーは自ら「落としどころ」になったのである。
もちろん、ガンジーは思想を戦術に結実させる天才であったし、それを実行する不屈の闘志であった。そして同時に、徹底抗戦ではなく、情勢判断のなかで現実的な結果を導く政治家でもあったのだ。

暴動の嵐もなく、中国革命も目の前に迫っていない状況で、同じ非暴力不服従をすれば、ガンジーは獄死していてもおかしくはない。だから、ガンジーを非暴力で勝利した英雄と見るのは、私は間違いだと思う。

では、選挙はどうか。
選挙の革命はことごとくクーデターで転覆され潰えた。スペインの人民戦線、チリのアジェンデはその典型だろう。
最近では、ヴェネゼイラのチャベスはたぶん「毒殺」されているし、革命には及ばないが日本の2009も官僚と裏切り者のクーデターであっというまに潰された。

ウクライナのようにファシストが実働隊になって暴力的に国会を占拠した革命が「合法」と言われ、ロシア軍の圧力を背景にしつつも国際監視団が見守る住民投票が「違法」と言われる。
もはや、民主主義というのは、都合の良いときだけのお飾りでしかない。

さらに、最近では日本でも選挙そのものの公正が疑われている。
都知事選で、ほとんどの市町村で、前回の猪瀬票x48%=今回の舛添票 になっているという。
私は自分でちゃんと確認していないので何とも断言は避けるが、こちらのサイトが詳しく数字を計算している
http://ameblo.jp/ghostripon/entry-11772523561.html

もっとも、大きくは様々な調査結果から舛添圧勝であったことはまず間違いないので、現時点では私は選挙という手段が無効になったとは考えていない。
しかし、もし選挙が完全に操作されて意味のないものになったときは、いわゆる民主主義とは別の戦術をもってしかあらがうことはできないということになる。

CIAがバックに付いているわけでもなく、ロシア軍がにらみをきかせているわけでもない状態で、選挙以外にどうすれば戦争が止まるのか、暴走が止まるのか、今の私には見当が付かない。

■■

ただ、はっきりしていることは、圧倒的な支持を背景にして、その国民の支持に具体的に依拠することでしか、「力」は得られないということだ。
Power to the people. であると同時に power from the people. でもある。

2009が簡単にひっくり返されたのは、国民を有権者、すなわち票としてしか捉えずに、権力を共に担う主体として組織する発想がなかったからだ。
このあたりは、さすがの小沢一郎も古い発想だなと思わざるをえないし、国民の側にもまったくそういう意識が芽生える気配もない。

反戦運動はがんばったという自己満足のためにあるのでもなく、悲劇的な結末を迎えるためにあるのではない。勝つために、戦争を止めるためにある。
声を上げることは決して無駄なことではない。はじめの一歩がなければ何も始まらない。しかし、その次を考えなくては必ず負けるという歴史を学ばなくてはならない。

であるならば、圧倒的な支持をあつめるための 「生きる」政策、政治運動であるべきだし、その権力を共に背負っていく覚悟を持たなくてはならない。

「戦争反対!」のスローガンは、まったく正しいけれども、あくまで対処療法なのだということを肝に銘じて、「勝つ」方法を考えよう。

そのためのひとつの試みとして、先日からお知らせしている 政権交代・虎の穴 を考えている。

まだ空席があると思われるので、我もと思う方は連絡をいただきたい。

■■ 以下お知らせ

 政権交代・虎の穴


20140310-3.jpg

どなたでもお越しください と言いたいところなのだが、人数が限られているのと、エキサイトして本物の虎の穴になったら困るので、下記のルールを設けることにしている。

後半の自由討論では
・大声を出さない
・他人の話を遮らない
・司会の制止を振り切らない
・1回の発言は2分以内

というルールを設け、それ以外は何でもアリです。
レフリーは私がつとめます。民主的な運営はしません。ルール守れ
ない方は退場もあり得ます。

主旨をよく理解していただいて、そのうえで参加してみたいという方は、少しご自分の考えなど書いてメールで申し込んで下さい。
メルアドだけでなく、お名前、連絡先もお願いします。討論中はペンネームでOKですが、申込は本名でお願いします。
また、人数オーバーなどでお断りすることもあり得ますので、予めご了解下さい。

申込→ info@mei-getsu.com 

■■■■




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comment

> 国民を有権者、すなわち票としてしか捉えずに、権力を共に担う主体として組織する発想がなかったからだ。

あの政権が初めから国民を裏切りまくっていた理由も、全てここに帰着すると思う。
この国に必要なのは、まさに集団的「自営」権であろう。

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