2014-05-12(Mon)

錬金術 ~貧困の原因を探る 3~

AさんとBさんは 幼なじみです。
Aさんは会社を経営し、Bさんは銀行に勤めています。

あるときAさんはBさんに、1億円貸してくれと頼みました。
ところがBさんの銀行には、100万円の預金しかありません。「残念だけど貸せないよ」とBさんは断りました。

しかしAさんは1億円借りないと、会社が潰れてしまいます。なんとかしてほしいと涙ながらに懇願する姿を見てBさんは、ある方法を思いつきました。ばれたら二人ともクビどころか、逮捕されるでしょう。でも、幼なじみのAさんを放っておけなかったのです。

まずBさんはAさんに偽札を1億円作り、それを持って銀行に来るように言いました。
Bさんは、窓口でAさんから偽の1億円を受け取り、気がつかないふりをしてAさんの口座に「預金1億円」と書き込みました。

Bさんは1億円の預金を書き込むと同時に、その1億円の預金をAさんに貸し出したように記録したのです。そして、偽札の1億円は、金庫に持っていくふりをして、すべて燃やしてしまいました。

その結果、Aさんの口座には、借金が1億円と預金が1億円ということになり、見事に1億円借りたのと同じことになりました。
また、Bさんの銀行でも、1億円の預かりと1億円の貸し出しでプラスマイナスゼロ。何も問題はありません。

偽札をそのまま使っていれば、直ぐに発覚して捕まってしまったでしょう。しかし、AさんとBさんは、偽札の1億円を、まんまと使える1億円の借金に変身させたのです。

証拠を消してしまった今となっては、誰も困らないどころか、Aさんは1億円を使って会社を潰さずに済み、Bさんの銀行はAさんから利息を受け取ることができ、Bさんは幼なじみのAさんと美味しい酒を飲むことができました。

■■

ここでは人情噺にしたけれども、現実は極めてビジネスライクに、これと同じことがやられている。
違うのは、偽札の1億円の代わりに、Bさんの銀行にあった100万円の預金を日銀に預けることだけ。

AさんとBさんは危険を冒して偽札を作らなくても、Bさんの銀行の預金100万円を「準備預金」として日銀に預けておけば、その100倍、つまり1億円までのオカネを貸し出して良いということになっている。
なっている、と簡単に書いたけれども、いくら日銀が良いと言っても、無い袖は振れない、無いカネは貸せないはずだ。なんで無いカネを貸せるのか。

それは、1億円を貸したときに同時に「1億円の預金ができる」からだ。
Aさんの口座に、1億円の貸し出しと1億円の預金を同時に書き込むので、卵とニワトリではないが、預金があったつもりでカネを貸す、カネを貸したことによって貸すための原資ができる、という訳の分からない現象がおきるのである。

要するに、上のお話しで書いたような、偽札が一瞬生まれて消えたということだ。これはどう見てもサギであり、犯罪だ。しかし、このような犯罪行為のことを 「信用創造」といって、景気をよくする立派な銀行の業務ということになっている。

なにせ無いカネを作り出して、そこから利子を取っていいのだから、銀行が儲からないわけがない。
銀行が儲かるのはかまわないけれども、問題は、世の中に出回るオカネには、こうしてすべて利子が付く、ということだ。

日本国内であれば、およそ500兆円くらいの価値が毎年生み出され、その取引に使える通貨が最初から存在していれば、まさにカネは天下の回りもので、とくに問題はないはずだ。しかし、実際に回っているオカネはこの「信用創造」という錬金術で生み出されたものがほとんどだ。このオカネは、その仕組み故に全額借金だ。かならず利子を払わなければならない。

ものや価値が生み出される何段階もの工程で、イチイチ利息の負担のあるお金を使う。それが積もり積もって、一説ではものの価格の25%くらいが利子負担だという話もある。

いくらGDPを500兆かせぐ日本人でも、毎年25%が利子に取られていては青息吐息になるのも無理はない。単純に考えると、500兆のウチ125兆円は様々なルートから利息として抜かれていき、残った375兆円を元手にして来年の500兆円を稼ぎ出さなくてはならない。
こりゃもう大変だ。いち企業で考えたら、利子負担が25%なんていったら、もう終わっている。

■■

世の中のオカネのほとんどが借金であり、すべからく利子負担があるという現実は、この世の有り様を決めてしまっている。経済成長が絶対条件なのも、一見豊かになればなるほど、かえってあくせくあくせくと身を削って働かされるのも、すべてこの利子負担という宿命が原因だ。

では、こうして吸い上げられた利子。架空のオカネをエサにしてじゃんじゃん吸い上げていく利子。こいつは何処に消えているのだろうか。なんでもう一度世の中に回ってこないのだろうか。

そもそも本当に利子は必要なのか。利子のない社会は存在しないのか。

考えれば考えるほど、いくらでも疑問は出てくる。

次回、もうすこし利子について考えてみたい

 永遠にゼロにならない利子負担 ~貧困の原因を探る 4~


※貧困の原因を探るシリーズ これまでの記事

1.付加価値って何?
2.みんなそろって金持ちになれるか?





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資本論はよう読みません

あるみさん こんにちは
今大事なことは、自分の頭と経験と直感で、今ある世界を感じることだと思います。
そして、誰にでも伝わる自分の言葉で表現することだと思います。
学問的な言葉と厳密さは、学者さんにお任せします。

No title

これは「利子生み資本」G-G’という、モノやサービスの「生産」を経ないで剰余価値のみ生み出すヤツが、自己運動して巨大化し、実態生産を破壊するというものです。「資本論」の2巻や3巻をよく読めば、このへんのことが書いてあります。
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