2014-05-24(Sat)

金融という化け物 ~貧困の原因を探る 5~

さて、性懲りもなく第5回です。

貧困の原因を探る というタイトルにしたけれども、貧困よりは生活苦とか生活不安 と言ったほうが、多く人の実感にはあっているかもしれません。そんな、多くの人が直面している日常から、どうやったら不安無く生きられるのか、考えてみたい、などと大それたことを考えています。
1~4回については、文末にリンクをまとめていますので、そちらからどうぞ。

例によって、これまでの復習から

① 新たな富を生み出す源泉は3つある。
1.原価がタダの自然エネルギー
2.余分の原価がかからない人間の工夫
3.再生のための原価を支払わない資源エネルギー

①-2 膨張を続ける付加価値の押し売りのために貧困な人口爆発が作られる

② 価値の源泉のうち資源エネルギー(石油)が圧倒的であり、それを握っている者に富は集中する

③ 世のおカネのほとんどは日銀券ではなく市中銀行が原資もないのに貸し出した借金(信用創造)

④ 生み出された価値は不労所得(利子と地代)でゴッソリ天引きされ、どこかに溜めこまれる

せっせと働いて、新しい価値が生まれても、それを世界中に押し売りするために膨大な貧しい人々が生み出され、その富は石油を握っている者が上から順番に分捕り、なおかつ魔法のように生み出したおカネをもとにした利子で天引きされる。

③の信用創造と④の利子の天引きは不可分一体なので、もう一度説明しておきたい

Aさんは銀行に100万円預けました。
銀行はその100万円を日銀に預けました。(準備預金)
銀行はBさんに年利3%で1億円貸しました。(信用創造)
Bさんは銀行に利子として300万円と、元金1億円を返しました
銀行は、事務手続き以外なにもせずに、300万円を手にしました

銀行は元手すら使っていない。最初の100万円だってAさんのカネだ。
Bさんに貸した1億円だって持っていない。帳簿操作に過ぎない。
帳簿に数字を書き込む以外何もしていないのに、銀行は300万円ゲット。
その間、銀行は何も新しい価値を生み出していないのだから、社会全体の富は300万円減ったということになる。

たちが悪いのは、貸し出した元金は魔法だが、取られる利子や担保は実体があるということ。
100万も元手で、3万円を天引きするのならば、社会全体への影響は大したことはない。しかし、100万円の元手で、300万円も天引きできるのだから、社会からはどんどん価値や富が吸い上げられていく。
一般企業も含めて、必要以上にキリキリ働かなくては立ちゆかなくなる。

必要以上に働いて新しい価値を生み出すから、それをどこかに売らなくてはならない。先進国の需要はそのうち満たされてしまい、爆発的に売上は上昇しない。で、自給自足の「後進国」に進出していき、おカネをもちこんで自給自足社会をぶち壊し、膨大な貧困な人々を作り出し、「市場」を開拓する。

こうやって、おカネはどんどんどんどん増え続け、どこかに貯めこまれていった。

そうこうするうちに、65億人の地球の人口と、「市場」開拓のために作り出された人口爆発も、おカネの膨張速度にはついて行けなくなった。
おカネの膨張について行けるものは、、、おカネだけだ。

こうして、実体のある富や価値を売り買いする世界からおカネは溢れだし、金融の世界に流れ込んだ。
いや、流れ込んだなんて言うものではない。地球が真っ二つに割れて、そこに海の水が落ち込んでいくくらいの勢いである。

もともと、石油利権と利子の天引きで、膨大なおカネがたまっていた。それを何十倍にも膨らますことのできる信用創造という魔法を使って、幾何級数的に増やしていった。

そのカネをつかって、我も我もと博打にのめり込んだのだ。

■■

この博打は、実際に運用する金額の何倍もの取引をする。
我々が競馬で馬券を買うときに、買ったら払うから1枚分のカネで10枚売ってくれ、といったら相手にもされないし、しつこく粘れば警備員にたたき出されるだろう。

ところが、金融の世界の博打は、自分が持っているカネの何倍もの賭けができるシステムになっている。無いカネをあるつもりで賭けることができるのだから、これも一種の信用創造、錬金術と言うことになる。FXとか、先物取引とかでご存じの方も多いだろう。

100万円で100万円の株を買って1%上がれば1万円の儲け。これがノーマル。
ところが、100万円の元手で、1億円かけることができる。
1%値上がりすれば100万円の儲け。つまり、元手は倍になるというオイシイ話。
ただし、1%値下がりすれば無一文。2%下がれば100万円の借金という恐ろしいシステムでもある。

さらに、こっちの株が1%値上がりすると、こっちの商品は連動して20%値上がりするなんていう訳の分からん仕掛けを作り出した。買う方も膨らまし、値上がりも膨らます、ダブルバブルである。

こうなると、100万円の元手で1億円かけて、1%上がると2000万円の儲けということになる。もちろん、1%下がれば1900万円の借金が残る。

こんなシステムだから、掛け金はあっと言う間に天文学的な数字になる。
このややこしいシステムを生み出した金融工学という史上最大のバカどもは、ついに自分たちが作り出したものが、総額いくらになったのか、自分たちでも把握できなくなった。

リーマンショックの時に、「世界中で失われた資産は2700兆円」とか「7京円(7兆円x1万倍)」とかいう話を耳にしたと思う。まさにあの世界だ。

ところで、「失われた資産」という表現を聞いたときに、???とはならなかっただろうか。私は門外漢であるだけに、非常に違和感を感じた。
油田が爆破されて石油が取れなくなったとか、ビルが火事で燃えたとか、実体のあるモノなら「失われた資産」という実感があるが、株券などの紙っぺらの値段が下がったからといって、博打で損した人がいるというだけのこと。競馬のG1レースの度に、「失われた資産は~~」と言う話は聞いたことがない。

株券というのは、もともとは会社の価値、この記事の趣旨に沿って言うならば新しい価値を生み出す能力を、分割して所有するための証書だ。
だから、どんなに頑張っても1株あたり1万円しか新しい価値を作れないとしたら、それ以上に値上がりするはずはない。ところが、有り余るカネが流れ込んだ結果、株券はまったく意味の違うモノになってしまったのだ。

有り余るマネーを、より一握りが独占するための魔法のカード。
昨日より今日、今日より明日、かならず値が上がる。そう人々に信じさせる、詐欺商法である。

だから株でもなんでも道具は何でも良かった。17世紀のオランダのようにチューリップでも良かったのだが、より多くの人を効率よく騙せるもの、それが株であり、デリバティブなどという派生商品であった。
実体の価値とはまったく無関係に、今日より高くなると思うから多くの人が買う、買うから値が上がる、値が上がるから買う、これを繰り返し、どこまでも額面だけが上がっていく。

この詐欺が競馬と違うのは、競馬は勝ち負けを総計したらゼロになるということ。もちろん胴元の取り分も含めて。
掛け金の総額が10億円しかなければ、払い戻しとJRAの取り分を合わせれば10億円になる。

ところが金融工学がやらかしたのは、掛け金が10億円しかないのにオッズにレバレッジをかけて100億当たるかのように見せかけ、実際はどの馬もゴールせずにコース上にバタバタと転倒し、「失われた資産は100億円」とか言いながら、ちゃっかり掛け金の10億は持ち逃げするということ。
まあ、子細は色々違うけれども、印象としてはそういうこと。

■■

とはいえ、余りまくったお金だけで、自分たちだけで勝手にやってくれる分には、腹立たしいけれども直接の被害はあまりない。
しかし、実際はものつくりのためのカネもかなり奪われ、なによりも、錬金術でお金を企業に貸し出すはずの銀行が、「博打で損したよって、もうびた一文貸しまへん!あんさん、いままで貸したカネ返しておくれやす!!」と、びたっと貸し出しをやめてしまったのだ。これはものつくりの世界を直撃した。

いくら利子をとられる因果なカネだとはいえ、なければ二進も三進もいかない。カネを作る機能を銀行が独占している以上、銀行が貸さなければ企業は新しい価値を生み出す活動はできない。こうして、金融詐欺のバブル大爆発は、実際にモノを作ったりサービスを提供したりするモノの世界を大不況に叩き込んだ。

胴元の超金持ちだけは、大変だ大変だとか言って税金で救済してもらいながら、自家用ジェットに乗って優雅な暮らしをしていた。そりゃそうだ、損したのは額面だけで、ちゃっかり掛け金は回収し、担保と称して実物資産も大量に奪い去った。なにせ元手が魔法なのだから、額面上は損していても、利子やら担保やらを回収していれば実際は何も損などしていない。予定通りなのである。

こうやって、有り余るマネーは定期的に「回収」され、より見えないところに貯蔵されていく。
下っ端の日本の銀行などは、適度に損をして、また再度天引きを始める。そうやって数年で史上最高益をたたき出し、たぶん数年のウチにまた「回収」されるだろう。

この化け物どものマネーは、詐欺でつり上げた金額は別にして、原資はすべて作り出された価値だ。自然と人力と石油から作られる価値。これが搾り取られ「回収」されていくのだ。

バブルで膨らました実体のない何京円とかいう数字で目眩ましをして、実体のある価値を奪っていく。
奪われて奪われて、私たちの暮らしがどんどんジワジワ苦しくなっていくのは、当たり前なのである。

そこに、実はもう一つの搾取、シロアリが待っている。
税金やら社会保険やら、強制的に取られるアレである。

ここまで読まれた方は、まだあるのかよ・・・と暗澹たる気持ちになるかもしれないけれども、残念ながら ある。
徴収された税金等が、ちゃんと再配分されていれば、個人的には損得はあっても、社会的には貧乏にはならない。ところが・・・・ という話だ。

これについて、次回書いてみようと思う。

 シロアリいろいろ ~貧困の原因を探る 6~

ここまでの記事をまとめておく。まだ読んでいない方で、ご興味があったらぜひ目を通していただきたい

貧困の原因を探るシリーズ
①付加価値って何?
②みんなそろって金持ちになれるか?
③錬金術
④永遠にゼロにならない利子負担


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