2014-06-10(Tue)

政界のことが10分で分かる解説 「敵を知る」編

貧困の原因を探るシリーズは、ちょっと忙しいのでお休みして、このところついた離れたとウルサイ政界のことについて、ちょっとコメントをしておきたい。

どうでもいい政党がどうでもいい離合集散をしている、というのはその通りなのだが、そうは言ってもイザ選挙になったらその中から選ばなくてはならない。
各グループの何がどうで、どの部分では手を組めて、どの部分では手を組めないのか、明らかにしておく必要がある。
ドーデモいいと捨て置くのはちょっと危険だと思うのである。

ワケのわからん連中を、ざっと理解するためには、何が敵なのかを押さえておくことだ。
これは、前回の記事に書いたとおり

下手くそな図にするとこういうことになる

20140910-1.jpg

まず第一の敵は、新自由主義を掲げて日本の富を食い尽くそうとしている国際金融資本。
わかりやすく言うと「アメリカ」ということだが、アメリカも実際は金融資本の働きアリにすぎない。忠実な働きアリであったために、アメリカの国会財政はボロボロになってしまった。
オバマは少しばかり抵抗しているようだが、基本的な役割は変わらない。

右の方に細い線で区分しているのは、現在の新自由主義の主流から外れた、旧来の日本利権グループだ。いわゆるジャパンハンドラーズと言われている人々の一部である。
何が主流と違うのかというと、新自由主義の主流は「日本=おサイフ」論なのだ。直接カネをジャンジャンむしり取る。とにかく今もっているものを、有無を言わせず供出させる。

旧来の利権派は、日本に稼がせてその上前をはねるピンハネ方式だったので、旧来グループはまだその手法をとろうとするのだが、主流派「稼ぐ」とか「ピンハネ」などという時間のかかるまだるっこしいことは考えていない。実にストレートに、ホールドアップ、金を出せ なのである。
そうやって持っていくカネは数十兆、数百兆という単位である。

第二の敵は、国家ぐるみのシロアリ軍団である。
数千億、数兆円という単位で国民の稼いだ富を、自分たちで食ってしまう連中だ。国民の目にもいちばん目につきやすい存在でもある。いわゆる原子力村などと言うのも、ここの超有力メンバーである。

この連中は、戦後の米国支配のなかで育成されてきたので、そのほとんどが対米従属という基本的な性格をもっている。ただ、原子力村を筆頭に新自由主義の主流派の動きにはついて行けていない。幸か不幸かはわからないが。
旧来の「稼いでみかじめ料を上納する」という旧来のやりかたでいいと、今でも信じている連中がほとんどなので、新自由主義はかなりイライラしている。

また、中にはごく少数だが国内的な利権を守ろうとする官僚や諸勢力もあり、TPPに反対したりしてアメリカを激怒させている。JAが取りつぶしの憂き目に遭いそうなのは、まさにここに由来している。
ただし、このグループの多くは国内というより国粋に傾きがちな性向を有していることも注意が必要だ。

第三の敵は、全国通津浦々に根を張る、利権グループであり。これは贈収賄的な利権もあれば、通常の商売の範囲内の利権もある。地域社会で暮らしていれば、日常茶飯事にかかわらざるを得ない関係だ。
この根っこが、まさに自民党の地方組織であり、票田だ。同業組合、自治会、PTA、なんやらかんやら数え切れないくらい色んな組織を作って、網を広げている。
公明党創価学会との共存は、このレベルからくみ上げられているから、そう簡単に離れることができないのだ。

このグループは、実はあまり政治的にどうのこうのと言う人は少ない。ほとんど人間関係で縛っているので、従米もへったくれもない、長いものに巻かれる、面倒なことはしたくない、ということ。
ただし、一部には第1グループや第2グループのような巨額の利権を操る者に対する妬みと怒りが入り交じった極端な上昇志向が生まれることがある。

第四の敵は、ファシズムである。
ファシズムというのは、強権的な為政者のことを言うのではない。冷や飯を食わされてきたものが、妬みと差別を心理的なエネルギーにして、極めてエゴイスティックな暴力で旧来の利権構造をひっくり返すところに特徴がある。
安倍晋三も、石原慎太郎もファシストにはなれないのだ。

20代を中心に、働いても食えない現状は、ひとつ間違うとファシズムが激発するマグマになり得る。安倍や石原や田母神の威勢のいい言葉遊びは、言っている本人が驚愕しひっくりかえり踏みしだかれる勢いで、ファシズムというエネルギーを呼び起こしてしまうかもしれない。

幸いにして橋下というキャラクターが失墜したおかげで今すぐにファシズムの頭目になれる人物は見当たらないが、熱のあるところには人物はかならず登場する。
第2グループの国粋派の一部や、第3グループの極端な上昇志向などを吸収して、より広汎な「「食えない」層を扇動し、一時的とは言えまさに血で血を洗う世界を現出させる。

ちなみに歴史を振り返っても、国際金融資本は基本的にはファシズムを嫌うけれども、どうしようもないと判断するとファシズム化を放置、または促進させておいて、その後にたたき潰すというマッチポンプで一儲けするという荒技もやってのける。
まさに、その「ファシズム化」と「たたき潰す」の両方を経験した日本人としては、忘れてはいけない。

■■

この構図を頭において今の政界を眺めてみると、自民党は第1~第3までを広く含んでいるのはわかる。
分かりにくいのは、安倍晋三の位置だ。
新自由主義が安倍晋三に期待しているのは、第2グループの国粋派を暴走させずに、うまいことなだめつつ「日本=おサイフ」路線に抵抗させないことだ。そのために、能力はないが国粋派に人気のある安倍を首相に据えたのだ。

ところが、安倍はむしろ国粋派に引っぱられて、新自由主義に抵抗するそぶりすら見せている。わずかとはいえTPPに抵抗したり、いくら止めろと言っても中国にケンカを売るし、オバマが顔を見たくないほど嫌うのも無理はない。

では安倍晋三は意外や意外、日本国民の利益を守っているのか、というとそんなことはない。
医療保険であるとか、年金やゆうちょなどの数百兆円の国民財産はさっさと差し上げますと段取りを整えているし、自衛隊をつかって中国を恫喝する快感を味わいたい安倍は、本来の意味も考えずに集団的自衛権に突っ走っている。

核心的なところでは国民の利益をぶち壊しつつ、国粋派の喜びそうなところだけワンポイントでアメリカを怒らせる、という考えられる限り最悪の選択を行っているのが安倍晋三なのである。

もう一つ、分かりにくい人物がいる。小泉純一郎だ。
なぜいきなり反原発を言い出したのか。

小泉は親子共々、生粋の新自由主義の主流派だ。良くも悪しくも旧利権に引きずられずに、現在の主流派に忠実に動いていると見ることができる。
では、新自由主義の主流派は、日本の原発をどう見ているかというと、「ムダ使い」と考えているはずだ。
自分たちが吸い上げるはずのカネを、原発という金食い虫が食ってしまうことを苦々しく思っている。

また、米軍がカネを使わないために自衛隊を世界中で戦わせるためには、狭い日本の沿岸にびっしりと原発が建ち並んでいるなどというパロディにすらならない状況は容認できない。日本に原発など、彼らに言わせれば「平和ボケ」ということになる。

さらには、新自由主義から見た日本というのは、いつファシズム化するかわからない危険な国であり、北朝鮮以上に核武装を警戒している。技術力・資金力があるだけにその気になったら直ぐにできてしまう。
単純な従米である時代は問題にならなかったが、日本でファシズムの芽が見えてきた今、原発はもたせない方がいいという判断があるはずだ。

そんなこんなで、小泉純一郎のことを「新自由主義のくせに脱原発なんて信用できない」と言う人が多いが、そんなことはない。彼は「新自由主義だから脱原発」なのである。
その限りにおいては、真剣に脱原発なのであるから、脱原発に限ってどこまで手を組むかは、状況に応じて判断すればいいのである。

橋下徹は、その出自は地元利権の「妬みパワー」にあることは間違いない。
彼は、当初のその路線を貫いていれば、立派なファシストとして今ごろ大成功していたかもしれない。。。

が、橋下の失敗はオイシイ話に飛びついたことだ。
新自由主義から粉をかけられて竹中平蔵にすり寄った。
よもや政権をとるのかという絶頂でハシゴを外され竹中に捨てられると、安倍晋三にすり寄った。
安倍に相手にされずにオロオロしているところに、第2グループ国粋派に位置する石原慎太郎が、子泣きジジイのように負ぶさってきた。ある意味で、石原は橋下に対する刺客だった。
ほとんど何の魅力もなくなって、今や新自由主義の旧利権派である前原にすり寄って吸収してもらおうと画策している。

みんなの党は、もともとは純粋な新自由主義から出発しているはずだ。第1グループの立場から第2グループを批判することによって、国家のシロアリの悪行に嫌気が差していた国民から一定の支持を得た。
ところが、新自由主義の期待に沿うほどの働きをできず、中途半端な存在で固まってしまい、おそらく新自由主義に捨てられたのだろう。 焦った渡辺喜美は仮想敵であった自民党に急接近し墓穴を掘った。

図で言うならば、みんなの党は第1グループから第2グループに転落していく状態で、結いの党はぎりぎり第1グループに留まっている状態だ。
みんなの党は早晩、自民党に吸収されていくだろうし、結いは橋下や前原と合流するだろう。前原と結いは立ち位置がほぼ同じであるし、橋下はもはや拾ってもらえるなら何でもアリだ。

現在の民主党は、連合などの大企業や公務員の労組を代表する政党である。だが、その組合幹部は労働貴族と呼ばれて第3グループの一部に位置する。
一方、ここにきて急に元気はつらつな前原は第1グループ旧利権派に身を置いていると見て間違いない。前原誠司や長島昭久に、自民党に行け と言う人がいるが、彼らは自民党には行かない。なぜなら、新自由主義から彼らに与えられた使命は、野党をいかにおとなしくさせるか、抵抗させないか、というところにあるからだ。

今や民主党は、議員であり続けられればなんでもいい、という人たちの集まりになり果てている。
その代表が海江田であり、求心力も影響力も何にもない。確信犯である前原に、存在感がないことが取り柄の海江田が敵うわけがない。近々、海江田はまた泪の会見をすることになるだろう。

それは即ち、ほんのわずかに残されてきた労働組合の政治表現が、完全に断ち切られるということを意味する。
労働貴族は、組合員を裏切って、前原・結い・橋下連合につくだろう。それはもはや、労働組合と呼べるようなものではなくなる。

石原慎太郎は、どっから見ても第2グループ国粋派である。
しかし、私は実は隠れ第1グループ主流派ではないかと思っている。
生粋の新自由主義の主流派、小泉純一郎や竹中平蔵と、実は立場を同じくするのではないか。。。

2010年に旧利権派である前原が尖閣を巡って中国船と衝突をやらかし、対中国の関係悪化を図ったときに、石原はアメリカの命をうけて東京都による購入を打ち出した。
これは今にして思うと、「棚上げ」に戻すための妥協策だったと思える。東京都による購入は東京都への編入ではないし、国有化ほどのインパクトはない。
じっさい、石原の構想に対しては中国はあまり反応しなかった。

「尖閣購入」に中国が激怒しないのは
2012年6月1日 Newsweek


結局これは、中国との関係を悪化させて活躍の場を増やしたい旧来のジャパンハンドラーズと、中国とは争いたくない金融資本とのせめぎ合いだった。
結果は、言うまでもないが、今でもアメリカは「尖閣は安保の範囲内だが、話し合いで解決しろ」と何度もしつこく言っている。

その後、橋下がファシスト党として勢いに乗りかけたとき、子泣き爺のように背中に貼りついた。
橋下の終わりの始まりだった。

たぶん石原慎太郎の心の中は、息子伸晃を新自由主義の旗頭として総理大臣にすることしかないのではないか。
そのために、国粋派を吸収し、維新を潰し、従米旧利権派とも争いつつ、隠れ新自由主義の働きに邁進しているのだろう。
誤解してはいけないのは、見た目と違うからと言って、善人でもなければ国民の利益でもない。生き血をすする最悪の新自由主義のスパイだということだ。

■■

こんな地獄図を見ただけでは絶望しか生まれない。
これらの敵に相対する勢力のことを書かなければならないのだが、残念ながら今日は時間切れ。

共産党、社民党、生活の党、新党ひとりひとり、議席はない緑の党、あるいは政治嫌いな多くの市民運動。

ということで、今日はここまで

あ、ひとつだけ。
今日の記事でこき下ろした連中とは、何が何でも手を組むなという話ではない。自民党の一部を含めて、ケースバイケースで戦術的に連携することはアリだ。
そのためにも、正体をちゃんと知っておく必要がある ということ。



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