2015-01-05(Mon)

彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し

2015年が始まった。

2016年夏まであと1年半。そのスタートの号砲が鳴った。

このままいけば、安倍政権は来年夏の参院選にあわせて衆院解散をぶつけ、ダブル選挙に打って出ることはほぼ間違いない。自民党だけで両院とも2/3を確保することに焦点をあわせてくる。

ここが、選挙で政権の暴走にブレーキをかけられる最後のチャンスになる。
ここで何らかの有効打を打てないと、非常に大きな犠牲を払う必要が出てしまうだろう。

様々な課題に取り組んでいる人々が、力を合わせて「2016夏」にむけて「選挙に勝つ」ことに集中しなければ、それぞれの課題も全部撃破され、あるいは取り込まれ、跡形もなくなる。文字の通りの「決戦」になる。

2016夏に政権交代まで持ち込めるかどうかは、正直かなり厳しいかもしれない。
それは、生々しい話だが選挙資金が足りないからだ。民意の受け皿を完璧に作るには、現行の選挙制度では100億はかかる。
民意はあっても、受け皿がなくては政権交代は難しい。

しかし、自民単独過半数を阻止するということは、現実的な目標になる。
そのためには、小なりとも受け皿の存在感をもった党(グループ)の台頭が絶対である。

今から1年半を進むために、私たちは大きく二つのことを確認する必要がある。

A 「誰が敵なのか。何と闘うのか。」
B 「誰と組むのか。誰と組まないのか。」

彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆(あやう)し。
今の私たちはこの状態だ。だから負け続けている。

スタートラインにいる今このときにこそ、彼を知り己を知ることをしなければならない。
走り始めたらもうゆっくり考えている余裕は無くなる。

本稿では「誰が敵なのか。何と闘うのか。」を書いてみたい。

■■

何ヶ月か前に下記のような図を書いたことがある

20140910-1.jpg

反自民、反安倍政権の人々が「敵」と思っている相手にも、実は4つの種類がある。
そして、それぞれは必ずしも仲が良いわけではない。

差し迫った危機を回避するためには、敵同士の対立は利用すべきだし、時と場合によってはその片方と組むことだってありうる。なんでもかんでも、十把一絡げに「敵だ」と言って一律に排斥するのは、圧倒的に劣勢にある私たちにとっては、自滅作戦だ。

もちろん、新自由主義の国際資本も、国家のシロアリも、地域の利権屋も、ファシズムも、どれも消えて無くなってほしいけれども、全部一気に一掃できると本気で考えている人はいないだろう。

「今一番ヤバイのはどれか」 「一番ヤバイのと対立するのはどれか」 
その観点を持って敵を分析しなければならない。

私たちの目に一番分かりやすい敵は ③地域利権屋 である。
ワイロとか癒着とか買収とか談合とか、そういいった類の旧来の自民党と地元企業や支持団体とが繰り広げてきたズブズブの関係である。
小渕優子の一件などが典型的だ。

やりかたも泥臭いし、誤魔化しかたもドリルで証拠隠滅したりして漫画的であり、国民の目には「悪」として分かりやすい。
出てくる「悪」のレベルも、観劇やワインなど私たちの日常感覚のレベルなので、腹が立ちやすい。

しかし、このグループは、今や日本を左右する力はもっていない。主導する地位にはいない。
敵陣営の中に寄生し、大きな悪事の邪魔をせず、協力することを条件に見逃してもらっているにすぎない。場合によってはスケープゴートとして、ドリル小渕やウチワ松島や号泣議員のように生贄(いけにえ)になることもある。

この地域利権を取り上げてたたかっているひとはたくさんいる。地方議員やオンブズマンなど、自分の地元のことに地道にとりくんでいる。
こうした人たちの力も、このまま分散したままにするのではなく、2016夏に向けて結集しなければならない。この1年半だけは地元のことをちょっとだけお休みしてでも、国の行く末に目を向けてもらいたい。

次によく登場するのが、②シロアリ である。
毎年200兆円の国家予算を食いつぶす官僚とそれに群がる利権集団。
財務省、特殊法人、天下り、これらに対する敵意は、国民の中に根強く存在する。

シロアリはたしかに③の地域の利権より何桁もスケールが大きいし、その利権を護るために国家を左右する力を官僚は持っているし、現実に行使している。政治の根幹は、「税金の集め方と配り方」なのだから、シロアリ退治は一番大事な課題であると言える。

しかし、それでもなお、現在の危機の中心はシロアリではない。
悪事の実働部隊はシロアリ軍団ではあるが、その意志決定はシロアリが自ら下しているのではない。甘い甘い蜜をエサに、働かされているのである。

■■

そのシロアリの親分こそが、①の新自由主義・国際金融資本であり、その大番頭である米国政府である。
世界中のGDPの数十倍のマネーが、投機先を探して飛び回っている。シロアリがかじりつく規模をはるかに凌駕するそのマネーは、世界中の企業、政府、軍を飲み込みつつある。

アフリカの貧困や飢餓も、アメリカに都合の悪い政権だけが倒されるアラブの春も、すべて新自由主義の巨額マネーのなせるわざだ。新たな投資先がほとんどなくなった今日、アラブ、アフリカ、ロシア、中国をどうやって浸食するのかが彼らのメインテーマだ。独善的で腐敗した政権を倒して内戦をおこさせ、その混乱に乗じてマネーを投下する。

アフリカとアラブはこの方法で、泥沼にたたきこまれた。今まさにそのただ中にある。
次にロシアを狙ってウクライナを責めたが、これは新自由主義も少々手こずっている。
中国は簡単に手を出せないために、手を組むか攻め込むか、さすがの新自由主義も迷っている。

日本はもちろんそのターゲットである。もっとも従順に言うことを聞く生き餌である。あまりに従順なので、内戦にする必要も無く、地域(日本)政権がそのまま米国の下請けとして機能してきた。
1980年代の中曽根内閣以降、はっきりと浸食されはじめ、1998年の金融危機で決定的に影響下におかれ、小泉内閣はその総仕上げとなった。
キーワードは「改革」だ。日本的なガードを全部取り払い、巨額のマネーの自由を最大限に確保し、ぺんぺん草が生えないほどに奪い尽くしていく。

実態はマネーであり金融機関であるが、対日本政府への要求は米国政府を代理人としてつきつけてくる。正規の政府の場合もあれば、「知日派元高官」という連中の場合もある。
いずれにしても、日本の官僚は大きくは米国の意向を第一に考えながら判断している。

その力の大きさは、まさに第一の敵というに相応しい。
今の地球で、第一の敵は、文句なしに新自由主義であり巨額のマネーでありそれを動かす少数の人々、金融マフィアである。99%vs1%の1%の人々である。

■■

ところが、新自由主義の思い通りにならない事態が最近になって起きている。
それは、国家のシロアリ(②)や地域土着利権(③)が思いのほか粘り強く、なかなか一掃できないということと、極右の台頭である。

2008年の金融恐慌で深く傷ついた金融マネーは、それ以前のような圧倒的な力を失いつつある。
日本の原発も、消費増税も、新自由主義にすればナンセンスなシロモノだ。ドルを投資して確実にハイリターンを生み出すことと、日本の資産をドルに投資させて決してリターンを与えないことが重要なのであって、日本の企業や官僚だけが利益を貪るような原発や消費増税には、新自由主義は反対なのだ。

雑魚が撒き餌を食い尽くしてしまうようなもので、釣り人にしたら腹が立つことこの上ない。
だから、竹中平蔵は消費増税に反対し、小泉純一郎は原発に反対する。
単純な話だ。

しかし、原子力村も財務省も、そう簡単に新自由主義の言うことを聞かない。
一度膨らんでしまった目の前の利権は、大きな網を振り回してもすくえないのだ。

さらに、新自由主義の本命であるはずのTPPまでもが暗礁に乗り上げた。
従順だったはずの日本が、まさにシロアリのようにしつこく利権を食い続け、新自由主義に明け渡そうとしない。

2009年の民主党政権は、シロアリに手を突っ込もうとしたがはね返され、しかも新自由主義にも従順ではなかった。
クーデターとも言うべき2010年6月からの後期民主党政権は、かなり従順に新自由主義にしたがったが、シロアリを操縦する術も気力もまったく持ち合わせておらず、口先だけで何の役にも立たないことが証明された。

■■

この状況に業を煮やし、誕生したのが安倍内閣である。
新自由主義が安倍内閣に期待したのは、ファシズム的な装いで国内利権(戦後レジューム)をぶち壊し、その果実を国際金融資本に渡すことだ。

これはかなりのアクロバットである。本来は、外来の金融資本と極右やファシズムとは相容れない。
ファシズムは既存の巨大利権と闘うポーズをとって現れるのであり、巨大資本と目に見えて結託していたのでは民衆の熱狂は作れない。
金融資本からすれば、マネーの論理で動かないファシズムはがん細胞のようなものだ。お互いにまったく相容れず、第2次大戦はその間の戦争だったとも言える。

その二つの要素をあやつって、極右でありながら成果は金融資本へ という使命を与えられ、普通はあり得ない2度目の政権に安倍晋三は押し上げられた。
実は、第1次のときはこの二つの勢力に板挟みになり、耐えられなくなって政権放棄した。だから安倍晋三にとっては、これは最後のチャンス、失敗すれば政治生命が絶たれるほどの崖っぷちの政権奪回だった。

こうした誕生した2012年末の安倍政権は、新自由主義と極右の双方を利する目玉政策として、集団的自衛権にとり組んだ。極右は自衛隊が世界で戦争できることを喜び、新自由主義は米軍の負担が大幅に減ることを喜んだ。

新自由主義の巨大にふくれあがったマネーの信用は、つまるところ米軍の力によっている。
金本位ではなく、米軍本位制といえるこのマネーを維持するために、米軍の力はなんとしても保たなくてはならない。
しかし、2008年の金融危機を米国政府に救済させたために、米軍の維持は非常な困難に直面している。まさに、タコが時分の足を食ってしまったようなものだ。

そこで登場したのが、自衛隊の活用である。
野田政権時には「動的防衛力」という名で約束され、さらに安倍政権が憲法解釈を変えたと明言して集団的自衛権の行使を可能にしてしまった。毎年数兆円の予算と、自衛隊の軍備、人命が米軍に差し出されることになった。

ただ、この過程でとんでもなく増長したのが極右勢力であり、ファシズムの卵たちである。
彼らは、米軍の下請けになるとは思っていない。70年前の戦争を聖戦として居直り、やっと日本軍が復活できたと大喜びである。閣僚でいうならば、稲田朋美や山谷えり子のような、真性極右の連中だ。

今や、この連中が安倍政権を牛耳る勢いであり、新自由主義はまたもや計算違いの結果にぶつかっている。
米軍の下請けだから意味があるのであって、完全独自武装や、まして核武装のような強大な抵抗力をもつことは、新自由主義は絶対に許さない。
制約のない軍備のための憲法改正も、新自由主義は望んでいない。仮にも憲法の制約下の軍備だからこそ、米軍の配下におけるのである。

■■

しかし調子に乗った安倍晋三は、2017年に憲法改正の国民投票をすると宣言した。

【第3次安倍内閣発足】 自民、17年にも国民投票 世論の理解獲得が課題
2014.12.25 共同


安倍晋三は、極右のふりをして新自由主義に成果を渡すのではなく、新自由主義にワイロを渡すことで極右路線を認めてもらう戦略に軸足を定めたようだ。

集団的自衛権=自衛隊の下請け化、の次のワイロは TPPだろう。ここまで引っ張っておいたTPPを、コメの自由化も含めて最大限米国にもったいをつけて妥結することで、改憲路線を認めさせるつもりだ。

逆に、TPPを妥結するためにも極右バネを最大限に発揮し、右からの改革者=ファシストのようなポーズを強めていくだろう。

そして、次々と日本の資産を国際金融資本に格安に売り渡し、その見返りにますます極右になり戦争にのめり込んでいく。郵政貯金と年金の300兆円は株式公開を前に風前の灯火。国民の公的年金基金130兆円はすでに流出中。マネーだけでなく、高速道路やダムや上下水道や、ありとあらゆる公共財産が払い下げられていく。最後は軍人と役人ともの言わぬ国民だけの国になり、戦争に突入して壊滅する。
壊滅したところを、ゴッソリとボロ値で買い取られる。
そのころには、日本人は戦争で殺し殺され、挙げ句に収入は半減以下に落ち込んでいく。

■■

こんな近未来に向かって突き進む安倍政権に対して、どんな未来像を描くのか。
そのためには、どこと対決し、どこと対決しないのか。

ターゲットをどこに集中すべきなのか。
あるいは、どのような妥協をすべきなのか。

安倍晋三が今のような、新自由主義にワイロを送って極右に進むという路線を確立する前は、主敵は新自由主義・国際金融資本であると考えていた。
しかし、こうなってくると、差し迫った危機は安倍路線であり、安倍をつまずかせることがまず第1の課題である。

そのためには新自由主義とは一定の妥協もありえる。
小泉純一郎とは共闘すべきであるし、安倍晋三の障害になりそうなものはなんでも使うべきだ。
新自由主義にワイロを送る、と言うと聞こえが悪いが、ある程度の妥協をしてでも安倍路線に反対させるということも考えるべきだろう。

(ちなみに そんなタフな交渉ができる政治家はだれかと考えると、これは、小沢一郎をおいて他にない。
小沢さんをほめているのではなく、他にない では困ると言いたいのである。
この数年間の間に、小沢さんの経験と胆力を引きつぐ政治家を育てることも、不可欠の課題である。)

弱体化したとはいえオバマ政権はあと2年ある。オバマは対中戦争は絶対に避ける態度をとっている。
その意味でも、2016夏が最後のチャンスと言える。
オバマからヒラリーや共和党に変われば、日本は改憲の前に戦争に突っ込まれる。改憲させるより先に、米軍に組み込んでしまうだろう。

2016年夏に完敗してしまえば、戦争でボロボロになり満身創痍になり、再びの戦後を迎えるまで、日本国民が復活するチャンスは巡ってこないだろう

しかし、安倍晋三の本丸は決して鉄壁ではない。
巨大資本に国民の財産をワイロにして渡すことで、極右を許してもらうという情けない構図は、まさに羊頭狗肉、焦点をずらさずに責め続ければ必ずボロを出す。

そのために利用できるものは、利権屋であろうとシロアリであろうと、新自由主義の手先であろうと、ときには手を組むくらいの腹が必要だ。戦略が明確であれば、それは難しいことではない。

すべて同じ比重で反対反対とやってしまうと、かえって安倍のかっこ悪さが目立たなくなってしまう。
お代官様にワイロを渡す越後屋どころか、越後屋に年貢米を渡して暴政を見逃してもらう極悪代官。
この安倍晋三の本質を分かりやすく、暴き出すことが、勝負を分ける。
上手なプレゼンが必要なのだ。

国民は、「自民党は悪いことするけど、経済発展させて国民を食べさせてくれた」、と思い込んでいる。
この60年あまりの洗脳は強烈だ。

だから、「自民党の悪いこと」を少々暴いても、それでは自民を引きずり下ろすことはできない。
極右ブリッこのために、国民の財産も収入もワイロに包んで外国の巨大資本に渡していることを、暴き出さなければならない。

そして、「こうすれば、アベ地獄から抜け出して、みんな食っていける」というビジョンをハッキリ示さなければならない。
「食う」ということを軽んじて、モラルや理論で闘っても、選挙は勝てない。

食い物の恨みは恐ろしいのだ。
思い知らせてやろう

そのためにも、反自民、反安倍のあらゆるジャンルの人々が、2016年夏の選挙に集中して欲しい。
野党共闘とか言うはなしではなく、国民レベル、市民レベルで、バラバラでは勝てない。

どうやってつながっていくべきか、誰とつながっていくべきか、誰はあてにするべきではないか、
次回はそのあたりを書いてみたい。




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