2015-06-26(Fri)

「それでも非武装」と言い切るためには

昨年4月に、こんなイベントをやった。

政権交代・虎の穴 「安全保障と自衛隊」

社民党の服部良一さんと、生活の党の渡辺義彦さんにパネラーになってもらい、自衛隊は必要という人、絶対非武装という人、白熱議論をしようという試みだった。もちろん、前提として「戦争はアカン」という共通認識はある。

私自身は、結論としては 「絶対非武装」 だ。
自衛隊は、予算も人員もそのまま国境なき災害救助隊に再編すべきだと思っている。

しかし、この議論の中で「絶対非武装」派の人が言っているロジックには、違和感を覚えた。
どういうロジックかというと、「日本を侵略する国は(たぶん)ない」 だから非武装だ という論理である。

違和感その1。
まず、絶対に侵略がないとは言えない。北朝鮮や中国だけを仮装侵略国にしている場合ではない。
日本を戦争に引きずり込むために、ISISが親分(イスラエルと米国)に言われて攻撃してくるかもしれない。
中国だって、局地的な侵略は、米中関係の展開如何によっては皆無とは言い切れない。

もちろん、日本が先に出ていかない限り、きわめて可能性は低いとは思う。
が、「絶対にない」という話は説得力を持たないし、「たぶんない」では誰も納得しない。

違和感その2。
このロジックでは、万万が一にも侵略された場合には、やはり自衛隊が戦うのか ということだ。
本当に「絶対非武装」を主張するならば、侵略されたときは、武装敵校はせずに占領される ということを明言しなければならない。
いかに可能性が低くとも、誰もが疑問に思うそのリスクを隠しての「絶対非武装」は、心に響かない。

違和感その3。
絶対非武装派は、なぜか日本の米国からの完全独立を言わない。独立=独自武装 だと決めてかかっているからだ。
しかしその発想は、無意識のうちに米軍に頼っている。米軍の傘の下での非武装という思考にハマってしまっているのだ。
米軍が永続駐留したままの非武装などありえない。
完全非武装を言うならば、即刻米軍は一兵残らず出て行くことであり、それは即ち米国からの独立である。

■■

今、安倍晋三が日本を戦争へ、戦闘開始へとゴリゴリ引きずっているこのときに、自衛隊は必要という人もいらないという人も、力を合わせて抵抗しているし、しなければならない。
ただ、日本の反戦運動がもっている弱さは、「攻められたらどうするの?」と言われたときに、ちゃんと答えられないことだ。
安倍晋三が無理矢理に開戦してしまった後、是非はともかく「闘わねば負ける」という状況に追い込まれるだろう。そのときに、どうするのか。

こういう時だからこそ、「闘うより負けろ」「戦争するより侵略される方がマシ」と言い切る必要があると思うのだ。

簡単な話だが、こちらが武装していなければ、侵略は戦争を伴わない。
敵は武器を担いで占領すればいいだけだ。
抵抗するものを撃ち殺すことはあるだろうが、何せこちらは非武装なのだから、ぜったいに戦争にはならない。
一方的に蹂躙されるだけだ。

そう、蹂躙はされる。
ひどい目に遭うだろう。
それでも、戦争よりはマシだ というのが「絶対非武装」であり「非暴力不服従」だろう。

非武装でも、たぶん、いままでのように安閑と過ごしていける という言い方は、やはり誠実ではないと思うのだ。
リスクはある、リスクが現実化すればひどい目にも遭う、でも、戦争の惨禍に比べればまだマシだ。
そのことは、他ならぬ沖縄の歴史が教えてくれる。

周知のように琉球国は非武装の国だった。
清と大和に挟まれながら、絶妙のバランスをとりつつ貿易国として非武装で生きていた。

もちろんリスクはあった。1609年には薩摩藩が「琉球征伐」と称して侵略。武力を背景にした収奪を続けた。
1879年には「琉球処分」と称して大日本帝国が侵略。完全にその領土とされた。
そして、今に至るまで屈辱的な支配をうけ、捨て石として差別は続けられている。

しかし、その沖縄の歴史の中で、もっとも悲惨な事態は、やはりあの沖縄戦であろう。
自国の軍隊が押し寄せる米軍と戦い、多くの住民が殺されたあの沖縄戦。
「ありったけの地獄をひとまとめにした」と表現されるあの沖縄戦は、琉球に軍隊がいたが故に起きたのだ。
自国軍がおらず、すぐに白旗を揚げていれば、あのようなことにはならなかった。

完全非武装とは、琉球処分のような屈辱的な支配を受けるリスクはある。
しかし、沖縄戦のような地獄は回避できる。
そういうことなのだ。

■■

もちろん、「処分」される可能性を最小にする努力はしなければならない。
その一つが、国境なき災害救助隊 である。

きれい事ではない。
これ見よがしに 世界中を助けてあげることで、日本には手を出しにくくするのだ。
ドイツが国家戦略として「エコ」を掲げたように、日本の防衛戦略として「国境なき災害救助隊」を再編するのだ。
自衛隊の実績と予算と能力を再編すれば、世界に比類なき部隊を作ることができるはずだ。

 →自衛隊は、武器を捨てて「国境なき救助隊」に2011.9.16

しかしそれでもリスクは残る。
その意識は国民が共有し、いざとなったら草の根で抵抗するための覚悟をもつことだ。
それが、それこそが、本当の民主主義の第一歩だ。

占領されても蹂躙されても、しぶとく抵抗を貫くのは、自分たちの国や社会に誇りを持っている場合に限られる。
今の日本のように、過去の罪悪を反省することも賠償することも拒否しているせいで、国民がプライドを持てない国は、占領されてもボケッとしてそんなものかな、と過ごしてしまう。そして、収奪されて苦しいもの同士が、残されたパイをめぐって内輪もめを繰り広げる。ブラック中小企業とワーキングプア。下級官僚と民間社員。正社員と派遣社員。。。。

そんな情けない歴史を清算することが、すべての前提だ。
アジア諸国民への侵略の罪をしっかりと償い、70年間米国に占領されたままの日本の独立を勝ち取ること。

右翼は独立を口にしながら、罪を償わないことで実は独立を阻止してきた。
左翼は謝罪と補償を唱えながら、米国からの独立を口にする勇気が無かった。

これらを乗り越えて、今、反戦と独立を掲げることが、完全非武装の前提だ。
戦争への反対と反省、日本の独立、日本人の独立心。これらを実現できない限り、日本人は武装官僚(自衛隊)に守ってもらおうとし、米軍に守ってもらい、不当な支配には目をそらして、結局自らも侵略者として動員されていく。

その鳥羽口に立っている。

踏みとどまれるのか、行くところまで行ってしまうのか、悲しいけれど私にはわからない。
でも、どういうことになっても、どこかの地点から足を踏ん張って立ち上がらねばならない時が来る。
そのときに向けて、「私たちはどうあるべきなのか」「日本はどうするべきなのか」 を、しっかりと逃げずに語るべきだと思うのだ。

だから、今あえて、「それでも非武装」と言いたい。
そして、それを言うための重い「前提条件」を確認したいのである。

※電車の中で書いた記事なのでやや理路不整然なのはご容赦を

※つづきを書きました → その2

■■お知らせ

生活フォーラム関西は、下記の勉強会を行います

7月25日(土)13時半~15時半
「安保法案はなんで『戦争法案』なの?」
講師:中村てつじさん
会場:大阪市立社会福祉センター1階 第7会議室
   上本町・谷町九丁目
   http://www.shafuku-center.jp/shisetsu.html
会費:500円
申込:http://seikatu-forum.blog.jp/
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チャイナやロシアに支配されて、「いつも貧乏」ですむと思ってるの?シベリア抑留とか聞いたことない?

少々疑問です

突然コメント失礼します。こちらのページはいつも楽しみに拝見させていただいております。

>完全非武装とは、琉球処分のような屈辱的な支配を受けるリスクはある。
>しかし、沖縄戦のような地獄は回避できる。
>そういうことなのだ。

ここについて、最初はなるほどと思ったのですが、自分なりに考えるうちに、以下のような疑問が湧きました。

1.完全非武装であれば、支配を受ける過程での戦禍は免れることはできる(私はこの部分には異論はありません)

2.しかし支配されれば、その支配者の軍隊が駐留することとなり、自分たちの社会が否応無く「完全非武装」ではなくなる

3.結果、後に支配者に対し、軍事的に対立する他の勢力が現れたときに、結局は戦禍を避けられない

そう考えると、上記のプロセスはまさしく沖縄が辿った歴史であるようにも思えます。非武装であったために大日本帝国に容易に支配され、その後に軍事拠点化され、太平洋戦争で戦禍にあったわけですから。

であれば、「完全非武装」で避けられるのは「最初の戦禍」だけであり、その後は支配者によって「完全非武装」を捨てさせられることとなりますので、「完全非武装」を貫くためには「絶対に侵略されない」というのがやはり前提になってしまうと思いますが、いかがでしょうか。

また、支配されてからでも、「草の根で抵抗するための覚悟」を持って支配者と戦って勝利し、また完全非武装の状態に戻せるのであれば少し話が変わってきますが、その場合は、まさしく草の根がその支配者と戦って退ける方法があることを、それなりの具体性を持って示せなければ、説得力を持ち得ないでしょう。


私自身は「完全非武装」が良いと思っているのですが、その意見を他者に納得させるための論拠をもっていないため、あえてこういった形で疑問点を書かせていただきました。

これらの問題点の解消が可能であれば、「完全非武装」論が多数に対しての説得力をより持ち得ると思います。いつかお時間のありますときに、もし考察をいただけましたら幸いです。

No title

別に占領されてもいいと思う。家主がチャイナかロシアに変わるだけで、おれたちビンボー人はいつも貧乏だから。今でも放射能の襲撃で身を縮めて生きているけど、戦争になればこないだうちに寄りついた二匹の野良猫チビのようにめちゃくちゃ警戒して生きればいい。しかし、とにもかくにも食い物が無くなることがいちばん心配だ。
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