2015-08-03(Mon)

「民主主義って何だ?」

ちまたでは「民主主義って何だ?」というフレーズが流行っているようだ。

なるほど、学校で「民主主義とは 云々」「「日本は民主主義国家で 云々」と教えられたばかりの若い連中が、ふと現実を見回して「民主主義って何だ?」と口にするのはわかる。
しかし、そんな世の中で何十年も生きてきた私のようなオッサンが、同じ言葉を得々として口にするのはちょっと恥ずかしいのではないかと思い、以下、すこしばかり書いてみる。

民主主義とは、多数決でものを決めること、というのが一番単純な理解だ。
もう少し手が込んでくると、多数決で決めるからこそ、少数意見も尊重すべきだ、なんていう話も入ってくる。

それが民主主義だとするならば、戦後の自民党政治は、民主主義そのものだった。
選挙で多数をとりながら、ある程度は与野党協議で妥協案を作りながら政権を運営してきた。
まったく、これ以上ない理想的な民主主義だったということになる。

革新系にシンパシーを感じる人たちも、これに反論できるだろうか?
「少数意見の尊重」の程度が少ないという文句はあるだろうが、「多数決」という大前提がある以上、「少数意見の尊重」は「少ない」割合であることは当然ではないか。少数意見を聞き過ぎたら、むしろ反民主主義ということになる。

そんな自民党政治も、2000年代に入り、小泉以降は変質した。
少数意見の尊重がどんどん希薄になり、今の第2次安倍政権に至ってはほぼゼロ。「多数決」のみの原理になっている。

では、今叫ばれている「民主主義って何だ?」は、「もうちょっと少数意見も聞いてくれよ」という叫びなのか?
そんな お情けちょうだいの、情けない叫びなのか?
違うはずだ。

■■

民主主義とは、「多数決」と「少数意見の尊重」であるという定義からは、今の「民主主義って何だ?」という心情は説明できない。

「世論調査では反対多数」だから、少数意見ではない、という人もいるだろう。
しかし、「世論調査」で政治を決めることのほうが、実は恐ろしいとは思わないだろうか。選挙以上に、いくらでも操作のできる世論調査に、そこまでの権力と権威を持たせることの方がよほど危険だ。

昨年末の選挙の争点はアベノミクスだった、という人もいるだろう。
しかし、安倍が集団的自衛権の閣議決定をやらかしたのは、昨年夏だ。この歴史を画する閣議決定の半年後の選挙で、戦争が争点になっていないと思う方がおかしいのではないか。

やはり、昨年末の選挙で、懲りずに自民党を圧勝させた日本国民の選択は、棄権という消極的な支持も含めて「安倍晋三に任せる」ということだったのだ。
いくら腹が立ち、理不尽だと思っても、それが「多数決」の結果なのだ。

にもかかわらず、今の現実を目の当たりにしたとき、「民主主義って何だ?」という言葉が口をついて出るのはなぜか。
それは、民主主義とは「多数決」ではないからだ。

民主主義とは多数決ではない。

もちろん、だからといって、テロやクーデターが民主主義だというのではない。
少数意見を武力で強制するのは、文句なしの独裁であり、民主主義の対極なのは言うまでもない。

では、何が「多数決ではない」民主主義なのか。

「民」「主」「主」「義」 四つの条件がある。

■■

「民」 すなわち、国民が当事者意識をもつこと。
自らが「民」であることを自覚すること。

ここが、まさに日本の特殊性だ。
「民」が「民」であるという自覚がない、という国は、世界中に他にないのかもしれない。
日本よりひどい圧政、悪政の国は数多あれど、その国民はその悪政の被害者は自分たちだという自覚がある。
ところが、日本という国だけは、政治の対象が自分たちであるという自覚がないのだ。

これは偶然でも、日本人が間抜けなのでもない。意図的にそのように仕組まれ、誘導されてきた結果である。
1952年以降も、米国が実施的な植民地として支配していくためにとった、政策の結果である。
ぬるま湯の中で、何も考えなくても死ぬまで生きられる、ある意味幸せな国として運営されてきた結果なのである。

この占領政策のなかで、すっかり無くなってしまった「民」としての自覚を取り戻すこと。
これが、民主主義の第一歩だ。
これなしに、何をやっても民主主義のまねごと、抜け殻であり、民主主義らしきものにはならない。

そして、自覚を取り戻す特効薬は、体を動かすことだ。
私が「デモや集会は民主主義の『み』だ」というのは、そういう意味。

観念的に「自覚を促す」と言っても、哲学や宗教のようで、分かったような分からないような話になる。
大事なことは、違和感を感じたらまず体を動かし、民衆運動のなかに身を置いてみることだ。

これが、70年にわたる占領政策の呪縛から、自らの解き放つ方法だ。

■■

「主1」 主張すること。

大きな集会やデモに足を運んで覚醒した「民」にとって、次のステップは自分の口で主張すること。

これもなかなか根深いものがある。
日本人は心情的にも技術的にも「自己主張」が苦手だ。
これもまた、占領政策の一環として、そういう教育がなされてきたからだ。

強い自己主張を「はしたない」ことと教え、そのための技術はまったく教えてこなかった。
だから、心情的には辛抱たまらなくなって口を開いても、言いたいことが言えなくてもどかしく、聞いている人も何を言いたいのか分からない ということになったり、エキセントリックになって「変な人」という印象を持たれてしまったりする。
この欠落を取り戻さなくては、民主主義は動き出さない。

なるほど、大学生や先生などのインテリは、しっかりしたことを言えるかもしれないが、もっともっと広い生活者の中に、ちゃんと主張できる人たちを生み出すことだ。
インテリに頼るのではなく、自分たちの生活実感から話せる人々がどんどん出てきたとき、世の中の空気は変わり始める。

■■

「主2」 主催すること。

自ら企画し、呼びかけていくことができれば、10人力、100人力だ。

これは少し時間がかかるかもしれないが、考えてみれば、仕事や日常生活では同じようなことをやっている人はたくさんいるはずだ。
イベントの企画や、社員旅行の幹事や、地域の夏祭りや、学園祭や、なんやかんや。

集会や勉強会を主催することは、ハードルが高そうに思えるが、技術的にはそうしたことと変わらない。
本当は、やる気の問題、「自分がやらなきゃ誰がやる」という気力の問題なのだ。

こうした自らが主催者になる、リーダー的にうごく人々が、全国津々浦々に広がれば、もう民主主義の前提は整ったと言える。

■■

「義」  ここに至ってやっと多数決。

何が正しいのか それを決める妥協の技術が多数決だ。
占領政策に首まで、いや頭までどっぷりつかったまま、いきなり妥協せよというのが、これまでの「民主主義」だった。
しかし、「民」「主」「主」というステップを上がってきた時点では、まっとうな妥協が成り立つ可能性がある。

もとより民主主義は理想でも夢でもない。たんに、よりマシな妥協を生み出す技術に過ぎない。もちろん間違うこともある。
過剰な期待は禁物だが、しかし、よりマシな、自分の人生に自分で責任をとれる生き方として、選択していくものだ。

この段階は、具体的には選挙、ということになる。
300の選挙区に「民」が1000人、「主1」が100人、「主2」が10人いれば、間違いなく候補を立てて勝つことができる。

「民」が1万円の年会費を払い、「主1」が運動員として空き時間を活用し、「主2」がそれらの人々に指示を出し、本当に多数を納得させる主張の候補を立てれば、負けるはずがない。

これで初めて、民主主義の政治が実現するのだ。

これだけの地層を積み重ねなければ、70年にわたる占領の圧力に抗することなどできるわけがない。

2009年の選挙は、「民」「主」「主」を欠いた、「義」だけの勝利だったから、あっという間にひっくり返され、結果的によりひどい政治不信=占領政策の貫徹 を招いてしまった。
同じ轍を踏んではいけない。

「民主主義って何だ?」という問いかけに対して、この日本に50数年生きてきた私は、以上のように答えたい。




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オール沖縄からオール庄原

こんばんは 

自民・無所属・共産・社民の地方議員、「オール庄原」の反安保法制組織結成
筆者: 橋本正人 更新日: 2015年8月2日

自民党の県会議員が会長となり、無所属、共産党、社民党の市議らが参加した「『ストップ・ザ・安保法制』庄原市民の会」が、2015年7月31日、広島県庄原(しょうばら)市で誕生しました。同会には、自民党の県会議員1人と庄原市議20人のうち19人が「個人として」参加しています。広島県北東部の山深い土地に突如として出現した「オール庄原」の安保法制反対組織が意味するものは何なのか。「『ストップ・ザ・安保法制』庄原市民の会」設立集会で、県議・市議らにインタビューしました。
http://ideanews.jp/archives/7051

安倍首相が強力に推進する「平和安全法制案」についての審議が参議院特別委員会で連日行われています。
「手りゅう弾」も「ミサイル」も武器ではないから米軍に提供できる。「核ミサイル」も武器ではないから輸送できるなどと防衛大臣が答弁しています。
鴻池参院安保特別委員長が磯崎補佐官を説教したとはいえ、政府与党がこの法案を遅くとも9月9日までに成立させることは既定の路線と見られます。
例年よりもより暑さを感じさせる今年の夏の真ん中で、1か月足らずの決戦は、待ったなしの土俵際に来ています。
高校野球に浮かれ、夏休みを謳歌していると、戦争法案がアッサリキッパリ成立してしまう状態です。
全国各地の地域世論がオール庄原のように纏まり、憲法違反を叫ぶ大多数の学者が汗を流してもっと大声で叫び、その声が国論を圧倒する状態を、高校野球の大歓声を上回る勢いで世論化していくことが最終版の国民に残された道ではないかと考えます。
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