2015-08-27(Thu)

「日本のいちばん長い日」 見てきた けど・・・

このところやたらと忙しかった。今日は打ち合わせの帰りにちょうど上映時間がぴったりだったので、「日本のいちばん長い日」を見てきた。

演技はみな達者だし、雰囲気もよく出ていた。
が、それでもリアリティーのなさが拭えず、まったく感動できなかった。

演技に関して言うと、迫水秘書官を演じた堤真一だけは、テレビドラマの乗りで軽すぎた。
これもリアリティのなさの一因かもしれない。

だが違和感を感じたのは、何よりも、昭和20年の民間の現実がほとんど描かれていなかったことだ。
天皇や大臣の意外に優雅な私生活を描いたのは面白いと思ったが、回りの惨状と対比しなければその意味は伝わらない。

また、昭和天皇と阿南陸相をイイヒトに描こうという意図が見え見えすぎる。
戦争終結に動いた者たちにも、狂気に侵された心と、限界を感じる理性の板挟みがひとりの人間の中に存在したはずだ。
そうした人間としての葛藤を見せず、まるでこれまで狂気の戦争を遂行してきた張本人だと言うことを忘れさせるようなイイヒトぶりだ。

仮に、史実があのとおりで、それぞれの立場で終戦に努力したのだとしても、それまでやってきたことがチャラになるわけではない。
ハラキリしたからといって、許されるわけではない。

ハラキリと言えば、阿南の切腹シーンが異常に印象強くなるように描かれている。
原爆や東京空襲のシーンもあるが、それよりも2000万の戦死者よりも、阿南ひとりの切腹が印象深いという作り方が気持ち悪い。
武士道の賛美だ。
責任を感じるのであればあるほど、生きて辱めを受けるべきだったのだ。

結局、悪者を押しつけられた東条他だけが悪者で、自殺したものは美化され、天皇以下の生き残った幹部はちゃっかり戦後はイイ暮らし、という戦後の無責任社会につながっている。

まさに、詔書の文言について「時運のおもむく所」を、それでは行き当たりばったりだから「義命の存する所」とすべきだと主張した迫水秘書官の予言通りである。
演技は軽かったけれど、この映画で唯一胸に響いた台詞だった。

半藤一利の真意がどこにあるのか、原作を読んでいないのでわからないが、この映画からは、結局戦争の総括は、陸軍の暴走という印象しかない。

東京裁判のA級戦犯に黒い責任を、ハラキリした「潔い」幹部に白い責任を、全部責任を押しつけて本当の責任追及をせずに、岸信介をはじめとしたとんでもない連中を大量に戦後社会の中枢に生き残らせたこと。
これこそが、日本の原罪であり、いつまでも「謝罪しろ」と言われ続ける原因だ。

生まれてもいない70年前の戦争の責任を取るとは、「ごめんなさい」と口で言うことでは無く、70年前に置き去りにしてしまった戦争の総括をすることだ。その総括で責めを負うべきものたちを、さかのぼって追放することだ。それを、自国民の力で成し遂げることだ。

それは同時に、自力での総括をさせなかった占領軍の影響をうち払うことでもある。
かつての敵同士だった米軍と日本軍の幹部が手を組んで、戦後の日本を支配してきたのだ。
敗れて弱った日本軍の幹部を、米国に忠誠を誓わせて密かに復活させたのだ。

真の反戦のためには、日本の独立をかちとるしかない。
日米安保=事実上の植民地のままでは、戦争の総括も、未来への反戦も、実現することは出来ない。

「日本のいちばん長い日」
映画の感動よりも、なんだかそんなことを 、そぞろ考えてしまって、1800円もったいなかったかなあ。。



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ  応援お願いします
関連記事

comment form

管理者にだけメッセージを送る

comment

No title

>日本の独立をかちとるしかない
独立を勝ち取ったら、その後の防衛費は今の3倍は覚悟しなきゃいけないんですけど。
独立とかではなく、今の政府行が行う日米安保・地位協定を国民の方を見た体制に変える事じゃないでしょうか?
私は日米安保は必要悪だと考えています。日米どっちにもメリットの有るものなのですが、今は米国にしかメリットがないのです。
その益を今以上にしようとしているのが安倍自民党政権だ、と考えています。
この体制を変えるには、国民に被害を与えた者はその国が相手に補償する。飛行機を墜落させ、国民を死傷させたら、落とした国が賠償する。こんなことは当たり前の事です。飛行機は何所の国が運用しても落ちるのです。後はその責任を何所が持つのかの問題だと思います。
これを曖昧にしているから、何時まで経っても、国の方向が定まらないのではないでしょうか?定まれば過去への償いもできるようになると思うのですが。
自由党 近畿ブロック
国民の生活が第一!
KINKILOGO.png
自由党
jiyutoulogo.jpg
山本太郎となかまたち
bnr_nakamatachi.png
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
20140723-3.jpg
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
森友事件 リンク
安倍晋三記念小学校こと森友学園の疑惑について、重要な資料を提供してくれるリンクです
リンク1
貴重な情報をいただいています
(順不同)
リンク2
ブログ内検索
twitter
田中龍作ジャーナル
20140723-4.gif
マガジン9条
パレスチナ・オリーブ
パレスチナで作られたオリーブオイルやオリーブ石けん。これはお勧め。
palestineolive.jpg
RSSフィード
blogranKing.net

カウンター
最近の記事
プロフィール

明月 こと 山岸飛鳥

Author:明月 こと 山岸飛鳥
木の家プロデュース 明月社 主宰
一級建築士
趣味 キコリ 畑
取り柄 貧乏
Email : info@mei-getsu.com

明月社のアルバム
明月社の作品や家づくりのアイディアなど ちょくちょく更新しています
アルバムLOGO
木の家プロデュース明月社
私のホームページ
meigetsusha.jpg
明月社へのご連絡

名前:
メール:
件名:
本文:

明月社 facebookページ
六甲菜園ブログ
郊外楽園プロジェクトの六甲菜園
rokkou-sides.jpg
おすすめの本
こんな時代だから、お薦めしたい本。アフィリエイトではありません。

自伝的戦後史(羽仁五郎) jidentekisengosi.jpg

おすすめの本 2
日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか

nihonhanaze.jpg

おすすめの本 3
日本はなぜ「戦争ができる国」になったのか
nihonnhanaze2.jpg
おすすめの本 4
世界超恐慌の正体

sekaichoukyoukou.jpg

おすすめの本 5
そして、日本の富は略奪される

sositenihonnno.jpg

おすすめの本 6
コンクリートが危ない

conclete.jpg

おすすめの本 7
家を建てる。家づくりはたたかいだ

iewotateru.jpg