2015-09-19(Sat)

「落選運動」では勝てない

戦争法案に反対してきた人々の中に、この流れを「落選運動」につなげようという意見があるようだ。
テレビなどでも若手のメンバーが (自分の意見としてではなく)「そういう意見が多い」と紹介していた。

しかし、結論から言うと、「落選運動」だけでは自公はほとんどダメージを受けない。
まして、政権交代して戦争法制を廃止することはできない。

何かを実現する時は、まず気持ちや覚悟が大事だ。
しかし、同時に醒めた頭で何が可能か、どうすればできるか、考えることが必要だ。
それがなくなった時、反戦運動は決意主義・精神主義の特攻隊になってしまう。
結果は見えている。

■■

現在の参議院の構成は以下の通りだ。
戦争法案の賛成・反対に分けて整理した。

20150919-1.jpg
(クリックで拡大)

賛成148 反対90 だったので、各1名棄権していることになる。
※その後の発表で、少々数字に間違いがあることが判明したが、論旨に影響はないので記事はこのままにさせていただく。
 詳細はこちらを→ 参議院HP東京新聞


さて、来年夏の選挙で、まずは逆転を狙うとしたらどうなればいいのか。
現在の92議席を122議席にしなければならいのだから、
122-(92-56)=86人の当選が必要と言うことだ。

改選議席120のうちの、実に72%を勝利しなければならない。
別に見方をすると、現在賛成派がとっている議席のうち、やく半分の30議席を逆転しなければならい。

つまり、落選運動という意味では、実に半数を落とす必要があるのだ。

夢見るのは簡単だが、これがいかに大変なことか、選挙の実際を少しでも知っていれば分かるはずだ。

■■

選挙区の定員は以下の通りだ。

6人 東京都
4人 神奈川県、大阪府、愛知県
3人 北海道、埼玉県、千葉県、兵庫県、福岡県
2人 茨城県、静岡県、京都府、広島県

これ以外の32選挙区は1人区。
(高知と徳島、島根と鳥取は 2県で1人)

仮に、3/2の得票がえられたとすると、比例は32議席
(本当は大政党のほうが有利だが、甘めにみておく)

複数区も大甘に見て得票数に応じて23議席としておく。

これでもまだ55であり、31議席足りない。
つまり、1人区の32選挙区中、31で勝たなければならない!

現実的には無理な数字ではあるが、これに近づけるためにはどうしたらいいのか。
まず、絶対的な前提条件は

「票を割らない」

ということだ。

これまでのように、野党がいくつもバラバラに出ている状況では、まったく箸にも棒にもかからない。

それだけではない。
仮に民主と維新が合流して、生活と社民がそれに選挙協力したとしても、
共産党が単独で走る限り、大量勝利は無理だ。

その理由の一つは、共産党は大躍進するだろうということだ。
これまでの議員数からすれば、おそらく倍増、3倍増になるだろう。

ということは、1人区においてはそれだけ票が割れる、ということになる。

いくら落選運動で賛成派の票を目減りさせても、共産党とそれ以外の2つの野党が1人区に並び立つかぎり、どんなに希望的にみても勝率は6割。つまり20議席が精一杯ということになる。

合計で75。たしかに大勝かもしれないが、逆転して衆参ねじれにはできない。
2013年の賛成派の84にも及ばない。

■■

以上、大甘の予測で考えても、落選運動で敵の票を目減りさせるだけでは、決定的な勝利は得られないと言うことが分かる。

実際には2/3の票が得られても、ドント方式の比例なので、野党がバラバラならもっと少なくなる。
複数区も得票率で勝てることはない。

せいぜい現在の64:56を逆転するのが精一杯ではないだろうか。

よって、選挙でひっくり返して安保法制を葬ることを考えるならば、落選運動ではなく、「野党ばらけるな」運動をするべきだ。

比例で大躍進だけを望んでいる共産党だけは、「落選運動」ウエルカム だろうが、「本当に止める」気があるのならば「落選運動」では意味がない。

その意味では、あの国会前などの大衆運動は、だれが言ってもなかなか耳を貸さない共産党に対して、「ダメじゃん」と言える勢力ができたということかもしれない。
そうであってほしいと願っている。

それを言わずに、あの議員は賛成派だ!落とせ!と叫ぶ「落選運動」に走ってしまうことは、個人攻撃を嫌う日本人の習性からすると、かえって逆効果にすらならなかと危惧している。

■■

ただし、私は安易な野党再編には期待していない。

小沢氏の言うように、それぞれの党籍をのこしたまま、選挙用の党をつくるのがベターだろう。
昔の自民党の派閥のようなものだ。

そのほうが、投票する側もわかりやすい。

まだ色々書きたいこともあるのだが、時間切れなので、次にしたいと思う。

戦争法案は通ってしまった。
私たちは、私たちの現実を思い知った。
民主主義というものが、ただの仮面にすぎなかったことも目の当たりにした。
実は、ちょっと恵まれた環境の植民地にすぎなかったことを胸に刻み、次の一歩を探していこう。



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高村副総裁の本音が明らかに――米軍は日本を守ってくれないかもしれない

 ぐずぐずしている間に、一週間たってしまった。  以下は、今後のための資料になればと思ってアップする次第。これからの日本のあり方――もう少し限定するなら安全保障のあり方――について考えようとする人たちに、なんらかの参考になれば幸いと思います

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「平和安全法が成立」

2015年9月19日未明参議院本会議は、「平和安全法案」の採択を記名投票で行い、自公与党などの賛成多数で法律が成立しました。
安倍政権、自公政権の任意の選択、若しくは意図的にあるいはお手軽にご自由にこの法律を適用して世界中どこででも戦争に突入することが出来る状態となりました。
地球の裏側で日本軍が戦争をしていても日本の領土、領空、領海と国内にいる日本人=国民には、何らの影響もない一見平穏な状態でありましょう。
第2次世界大戦でヨーロッパ戦線とアジア戦線で大勢の兵士が激烈な戦闘を繰り広げたアメリカでもアメリカ本土での戦闘などはありませんでした。
しかし今日では、戦争のやり方自体が大きく様変わりしています。
国と国が戦争をすると言った単純な構造は粗無くなり、多国間対多国籍の一定勢力の戦線不明の戦争行為、戦闘が中東などで行われ、世界中でゲリラ的破壊攻撃の危険性が充満し敵対国に対しては、世界中のどこででも当該国民を攻撃すると宣言しています。戦線,戦場だけで戦争が限局される状態ではないことは911、湾岸戦争前から明白となっていました。
イラク戦争ではうまく利権を独り占めにしたものの、その後の各地での介入では、撤退を繰り返し多大な戦費の消耗によりアメリカ自身の国力が傾倒するところにまで来ています。
とはいっても、軍需産業を儲けさせ続けるには、巨額の軍事費を支出して兵器を購入し続けなければならず。アメリカ軍も世界中で戦争を維持できる軍隊を維持しなければなりません。
アメリカは、NATO、アラブ諸国と日本にも兵士の肩代わりと戦費・軍事費の提供をこれまでも強力に要求してきました。日本では、戦費・軍事費の肩代わりは相当進んだものの兵士の代行までは憲法もあり行われていませんでした。
日本では、アメリカが求め続けてきたが歯止めがあり踏み込めなかった領域、軍人の戦地への提供が可能となりました。
戦場で戦争していれば戦争の片が付くことのない時代に戦争に突入することになりました。
日本国民全員が世界中のどこででも、又、日本国内の何処に居ても戦争の標的となる状況が生み出されるのです。安倍政権の戦争施策によって。

この状態を改変するのは、成立した「戦争法」の廃止しかありません。
利権を貪り国民を切り捨てる悪徳国会議員は、落選させましょうなどとの平和な時代の「時代継続欲求」のような半分自己利益維持、保身のための運動が「生死」が降りかかったこの時代に何の役にも立たないことは明白です。
われわれ国民は、戦争法案に反対した野党5党に対し、共同して「戦争法」の廃止を求め、「戦争法廃止」の一点だけででも一致して政府を樹立し「戦争法」を廃止する運動が必要となったのです。

No title

どくだみさんのlinkから来ました

分析と指摘に感心しました
そして その奥にある思いにも触れたような気になっています
意識的な連携や意見交換などによる 政治勢力をつくり出すことが
そう簡単ではないけれど その方向を向くことが必要と思います

選挙だけでは世の中は変わらない 選挙も利用して
現政権の国民蔑視の愚かさも利用して 民の力を蓄えていければ 勝てるはず
楽観?しています

これからもよろしくお願いします
自由党 近畿ブロック
国民の生活が第一!
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自由党
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山本太郎となかまたち
bnr_nakamatachi.png
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
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