2015-10-28(Wed)

道はない しかし 道はできる

今回の記事は今年の3月2日に書いた「第二の敗戦に備えて」の改訂版です。
新しいことはあまり書いていないけれども、9月18日から一連の記事として書いてきた内容の、まとめになるかと思い、手を入れて再録します。

**************

2012年、原発が爆発しても自民党を圧勝させたことで、敵のスイッチが入ってしまった。あまりに酷いことをすると、さすがの日本人も逆上するのではないかという心配が、全くの杞憂だったと知ってしまったからだ。

そして、2013年参院選、2014年衆院選と、念には念を入れて確認をした後、「戦争になっても革命は起きない」という確信を得て、安倍晋三をして実質的な宣戦布告に踏み切って既成事実をつくり、さらに戦争法案を強行採決した。
直接の敵はIS(イスラム国)であるが、おそらくはWWⅢに向かっていく発端に過ぎない。

世界の政治家だけを見ていれば、オバマもプーチンも習近平も、世界規模の戦争は望んでいない。
しかし、中東で本格的に戦争の火が付けば、局地戦で終わる保証はどこにもない。むしろ、次々と火種を投げ込んでは、戦闘地域を広げていく可能性は大きい。

なぜか。

この地球上に、経済的なフロンティアがほとんど無くなってしまったからだ。
地球上を飛び回っている、世界の経済活動の何倍ものマネーを、投資する先がないのだ。
いくらr>gだといっても、投資する先がなければマネーは金利が払えず破綻する。
金融資本はどんどん膨らんでいくが、地球は大きくはならない。

まだ経済発展していない地域に投資して、上がりをかすめることで世界の「経済」は成り立ってきた。
しかし、もはや投資する先が少なくなったばかりでなく、南米にしろアフリカにしろアラブ世界にしろ、おとなしく上がりを上納しなくなった。

上納しなくなった理由の半分は、現地の傀儡政権が、(金融資本から見れば)勘違いして本気で独裁者になってしまったこと。後の半分は、民族意識や宗教意識などのたかまりで抵抗運動が大きくなったこと。
困窮しはじめた金融資本は、後者を使って前者を倒すという、アラブの春のようなことをやり、その国を内乱や内戦にしてきた。政治も経済も「リセット」しようということなのだろう。

マルクスの時代の資本主義は恐慌でリセットされたが、今日の資本主義は、戦争による制度と資産の徹底破壊によってのみリセットされる。

しかし、実際にリセットされるのは機械でも電気信号でもなく、生きた人間だ。
リセットされることで、多くの命が奪われるが、金融資本はそのようなことを気にかける機能を持ち合わせていない。

金融資本を動かしているのは、米国を中心とした1%x1%x1%の人間たちだ。
だが、いわゆるユダヤの云々のような、個人的な陰謀ではない。マネーがマネーを生み、一瞬でも休んだらマネーに押しつぶされる圧力で、0.0001%の人間たちも、止まれば死ぬという危機感で必死に走り続けているのだ。

絶えず投資するフロンティアを必要とするマネーは、あえて貧困を作り出し、戦争による廃墟を作り出し、内戦による荒廃を作り出して、マッチポンプで拡大を続けてきたが、もうそろそろこのような場当たり的なやり方に限界が来ていることに気がついている。
巨大なマネーは、世界を大きくリセットする必要に迫られている。

極右を使ったウクライナの政変も、IS(イスラム国)なる集団の出現も、そうした必要から生まれてきた。
世界大戦というリアリティの前に、オバマやプーチンや習近平が辛うじて踏みとどまっていることで、今のところ大戦争にまでは至っていないけれども、何かの留め金が外れれば、取りかえしの付かないことになる。

何がキッカケになるかは、可能性がたくさんありすぎて分からないけれども、かなりギリギリの瀬戸際にいることは間違いない。

■■

そうした世界の中での、安倍晋三だ。

中東から東欧を主戦場とする大戦に火がついた時、いったい誰が闘うのか?。
誰もが、米軍が主役であると想像するだろうが、米軍にはあるものが決定的に不足している。
それは カネ だ。

マネーのための戦争をするのに、マネーが不足しているという冗談のようなことが、現実に起きている。
金融資本は、戦費は負担しない。戦費は、貧者から税金という形で徴収し、武器弾薬費として金融資本が吸い上げていく。だから、戦費自体は投資ではない。
戦費を使って廃墟にした後に、金融資本は悠々と投資をするのである。

ところが、ここに至るまでに金融資本は、国家自体を徹底的に食い物にしてきた。
自分たちだけはどんどん減税し、そもそも巨額の経済活動は国家が把握して課税することすらできないようにしてしまった。
だから、世界中で税収が不足し、国の運営はままならなくなっている。

その典型が米軍である。
2013年から強制歳出削減が始まり、年10%を超える予算減を余儀なくされてきた。
2016年度は ウクライナとISの「おかげ」で増額するらしいが、それでも世界大戦をひかえた世界に冠たる米軍の姿にはほど遠い。

そこで、アフガン戦争からは、身代わり作戦を取りはじめた。
多国籍軍とかいうタテマエで、NATO軍に戦わせたりしてきたが、なにせヨーロッパの国はそれほど従順ではない。
いくら米国が「テロとの戦い」と叫んでも、自分の国の利害で判断する。

そこでクローズアップされるのが、世界8位の軍隊を持ち、米国の言うことなら自国の利害を無視してしたがうあの国である。
経済的にも、世界3位であり、まだまだ絞りとる余力がある あの隷属国家である。

隷属国家のトップには、次の条件が必要だった。
①絶対に自分の頭でものを考えない
②戦争にあこがれている
③自意識過剰
④恥とか常識が完全に欠落している

こうして、一度政権を投げ出した政治的欠格者が、再び政権の座につけられることになった。
彼の使命は、日本を「米軍の代わりに世界で戦争のできる国」にすること。

2012年末に政権に返り咲いたその男、安倍晋三は、2013年参院選、2014年衆院選という念押しをした後、ついに宣戦布告をした。
本人は渡されたとおりの台詞を言っただけで、宣戦布告をしたという自覚はないかも知れないが、カイロにおいて、また人質殺害後の会見において、実質的な宣戦布告をやってしまった。

そして、その布告を実行するための法律をも、憲法も国会も常識も踏みにじって、文字通り暴力的につくってしまった。

安倍晋三を引きずり下ろし、せめてもう少しでも自制の効いた人間をトップに据えない限りは、この戦争は止まらない。
どこかで戦端が切られるやいなや、大戦争に引きずり込まれる。
引きずり込まれるどころか、高揚した安倍晋三は、歓喜に血走った目で自衛隊を戦場に駆り出すだろう。

■■

事態はここまで来てしまった。
にもかかわらず、その危機感を共有できる場面すら極端に少ない。

既成の政党は、この事態の深刻さに比べたらどうでもいいことでゴチャゴチャともめ事がつづき、それに嫌気がさした人たちは得手勝手に自己満足に浸る。
トップランナーたるべき人が、各地方に数十人いれば何か打開の糸口はできるのではないか。そう思っていろいろと試行錯誤してきたけれども、私の微力では何も手が及ばないことが明らかになってきた。

この自己矛盾をかかえながら、それでも何とか前を向くためには、焦点距離を変えるしかないと思いつつある。
1年単位ではなく、10年単位で見ると言うことだ。

と、言うのは簡単だ。
しかし、今10年単位でものを考えると言うことは、その経過のなかに、おそらくは戦争があり、敗戦がある ということだ。

そんなことは考えたくない。
でも、冷静に考えれば考えるほど、それを覚悟せざるを得ない。

そうなったとき、そこまで行ってしまったときに、ふたたび1945.8.15を繰り返すのか。マッカーサーに万歳三唱しながら、自分たちの犯罪をけろっと開き直るのか。
それとも自分たちの頭で、本気で反省するのか。
その時点を見つめざるを得ない。

■■

「自分たちの頭で」 「本気で反省する」

これが日本の戦後に決定的に欠落してきたことだ。
意図的に、スポイルされてきた要諦だ。

そして、この「自分たちの頭で」 「本気で反省する」 を言い換えると、「自立と共生」になる。
そしてさらにより具体的に言い換えると、日本の独立と、反戦なのだ。

小沢一郎氏の言う「自立と共生」の具体的な内容は、「独立と反戦」なのだと私は確信している。

右翼が戦争を反省しなかったことと、左翼が日本の独立を言わないことは、実はワンセットだ。
相互に反発しながら相互に補完してきたのである。

実質的に植民地化されてきたことは、関岡英之氏、孫崎享氏の著作、そして矢部宏治氏の「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」 を読めば明々白々である。左派の人たちも、今では否定する人はいないだろう。

にもかかわらず、左派は「日本の独立」を言わない。それを言うと「右翼みたいだ」という理由で。
こんなバカなことはない。植民地が独立せずに民主主義を得ることがありうるか?
絶対にない。

左翼の願う反戦は、独立を勝ち取ってはじめて、自分たちの力で実現できるのだ。

逆も同じだ。
数少ない反米右翼は、戦争への反省を意地でもしない。
遠因を作ったのは米英かもしれないが、それでもやってしまった愚行はキッパリと反省し謝罪すべきなのである。

戦争を謝罪し反省する右翼こそが、日本の独立を牽引できるはずだ。

こんなに明白なことが、しかし、ほとんど理解されない。
戦争を正当化する右翼と、独立をないがしろにする左翼が、対立しながら実は相互補完してきたという、この「戦後民主主義」の真相を理解しない限り、孫悟空のように、宗主国の手のひらの上で転がされて終わってしまう。

今度こそ、今度いくところまで行ってしまったときこそ、右翼と左翼という分裂ではなく、「自立と共生」なのか、それとも「従属と開き直り」なのか、という切り分けができるようにしたい。
右も左もほとんどが後者に入ってしまった70年前を、繰り返さないようにしたい。

そこに至るまでに流される血の量を思うと、あまりにも沈痛だ。
心が痛い。割れそうに痛い。

同じ痛みを共有してくださる方は、なんとか耐えて、来るべきカタストロフィーに備えていただきたい。
どんな悲劇があろうとも、私たちは生きていかなければならない。
罪も責任も無い子どもたちに、何らかの形でバトンタッチせざるを得ない。

その現実と向き合っていく。

■■

9月18日から、一連のつもりで書いた記事をまとめておきたい

■情勢

「落選運動」では勝てない

野党大連合の可能性について

■主体

エリート主義を超えて

お任せ 頼りきり 縋りつき からの脱却

■課題

日本のベールをはいだ安倍晋三

日本の貧困化を直視しよう

■運動論

大同小異ではなく、一同多異でいこう

デモや集会は有効な手段か?

「組織」は時代遅れか?

そして、本稿がまとめである。

「組織は時代遅れか?」に書いたように、山本太郎さんを「反戦と独立」の旗として、動ける組織をつくることが、これから数年の中心課題だと、私は考えている。

その具体的な道筋として、永田町恐怖新聞や、それにかわるチラシのポスティングや街頭宣伝活動を、統一的に行っていくことだ。
バラバラは、敵から見ても、2500万人の流動層から見ても、「力」にはならない。

とは言え、道はどこにあるのか、どちらへ進めば良いのか、実は誰にもわからない。
わからなくて 当然なのだ。

魯迅は言う。
「希望は本来有というものでもなく、無というものでもない。これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る。」(「故郷」より)

心に刻もう。




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