2016-01-31(Sun)

安倍晋三の強さと弱さを分析してみる

今の世の中は、勧善懲悪の二分法では理解できない。

右翼と大企業とアメリカも全部一緒くたにして悪人だ、というようなものではなく、ある程度は勢力分けしておいた方が良い。

20140910-1.jpg

これは、一昨年6月の記事に書いた図だ。 (政界のことが10分で分かる解説 「敵を知る」編

こうやって見てみると、なぜ安倍政権がゾンビのように続くのかがわかる。①~④までの、すべての勢力にいい顔をする政権だからだ。

たとえば、小泉・竹中などは①。福田は②と③。民主党の菅・野田は①と②。おおさか維新は③と④の中間の「ねたみ」に依拠している。などなど、全部を網羅する人間はそういない。
そんな中で、安倍晋三は全部から期待され、全部にいい顔をしているから、いくらアホボンでも絶対に倒れないのだ。

ちなみに、米国も一枚岩ではないことがこの2年間で顕著になってきた。米国大統領を執事として使い倒す「新自由主義」と、米国軍を番犬とする産軍複合体とは、かならずしも利害が一致しない。
前者にとって利益になる戦争は好むがそうでない戦争は回避する。しかし、後者にとっては大きな戦争ほど好ましい。

日本に対する要求も当然違ってくる。
前者は在日米軍は整理したがっているが、後者は思いやり予算で沖縄に居残りたい。
前者はカネを出させることが第一だが、後者は戦争準備が第一。
この米国の二つの流れに対しても、安倍晋三はなんとか両方にごまをすってきた。

とはいえ、安倍の本音、本籍がどこにあるのかというと、上図の④=ファシズムにたいする憧れである。独裁者になるために、今のところ他の勢力ともよろしくやっているというのが本性だろう。
これは、オバマもお見通しなので、安倍のことが大嫌いなのである。
「安倍晋三を野放しにしておくと、何をするか分からない。とはいえ、カネずるとして足蹴にするわけにも行かない。くそ!」というのがオバマのあの、安倍晋三を見るときの苦虫をかみつぶしたような表情に現れている。

新自由主義や官僚は、必ずしも日本の戦争準備を手放しでは喜ばない。特に、中国との直接の衝突は望んでいない。
中国本土での戦闘は避けろ。海上封鎖だけでダメージを与えろ。というのがオフショアバランス戦略であり、米国で主流になっている対中国戦略である。
だから、安倍晋三のような男は、本当は危なっかしくて使いたくないのだが、今の日本の状況で、四悪を等しく納得させられる人間は、安倍晋三しかいないため、オバマ我慢している。

こうして、何があっても「問題ない」。何があっても「責任は私にあります。で何か?」 で不沈空母のように揺るがない安倍政権であるが、よく見れば、2014年頃から流れが変わっている。
あのドリル優子など、閣僚の汚職や不祥事が表沙汰になるようになった。あきらかに、力のバランスが崩れ始めたのだ。

安倍にとって幸いなことは、マスメディアコントロールを徹底していたことだ。次々とスキャンダルが暴かれても、官房長官が「問題ない」とひとこと言えばマスメディアは沈黙した。
また、官僚組織に一切逆らわずに聖域に手をつけないことで②からの邪魔も入らないようにしたので、③の不正は暴かれても、巨悪は巧妙に隠されてきた。
この1年、安倍はそうやってきわどく生き延びてきた。

■■

今回の甘利の汚職暴露は、これまでの小物とは違う。TPPの立役者であり、安倍晋三の腹心とも言える実務担当である。
しかも、明らかに計画的にしくまれていた。メディアが一生懸命に言っていたように、罠だったのは間違いない。
ただ、いくら罠だったとしても、まんまと懐に入れたのだから罪であることは言うまでもないが。

安倍晋三が辞任会見の直前まで慰留していたにもかかわらず守り切ることができなかった。
これは、安倍をすげ替えようという2014年秋以来の動きが本格化してきたのではないかと、私は見ている。

ドリル優子らの一連の小物スキャンダルが第一の矢とすれば、今回の甘利辞任が第二の矢。では、第三の矢は誰に刺さるのか。私の予測では、菅義偉ではないかと思う。
安倍晋三が持ちこたえられなくなる限界は、たぶん、菅官房長官だろう。

実は、菅には昨年5月に日歯連マネーの迂回融資が報道されている。

特捜部捜査の日歯連から菅官房長官に3000万円流れた疑惑報道

2004年の裏献金事件で橋本龍太郎が政界から抹殺され小泉の新自由主義政権が暴走する下地作りとなったのが、まさに日歯連事件だ。
個人経営の歯科医が主体である歯科医師会は、一般の医師に対して比較的立場が弱いゆえに、日歯連を通して莫大な政治献金を拠出し、組織内候補も強力に国会に送り込んできた。
その強引な手法は組織内でも批判があったようだが、結果的に疑獄の仕掛けに持ってこいの存在となっていたようだ。

そんな日歯連の実力者であり、昨年の迂回融資で逮捕された高木幹正前会長と、菅義偉官房長官とのパイプの太さをあらわすのが、かの迂回献金である。

政界とのパイプ強化、前面に 逮捕の日歯連前会長
2015年10月1日 朝日


昨年発覚した迂回献金自体は違法にはならないかもしれないが、すでに「握られている」可能性はありうる。
ディープ横浜の人脈で政界にのし上がった菅義偉だけに、これまでは安倍の傘で守られてきたけれども、叩かれれば出る埃はいろいろあるのかもしれない。

【総理の影・菅義偉の正体】(06) 菅が築いた“最強の人脈”


この菅義偉に火の粉が飛ぶようなことがあれば、いよいよ安倍政権の命脈がつきるシグナルだ。
場合によっては、予算審議後の5月に総辞職&総裁選ということになるかもしれない。

■■

しかし、もし安倍晋三の命脈がつきるようなことがあっても、また、その際にいわゆる「ハト派」が政権についたとしても、それはあくまで新自由主義・国際金融資本の意向によるものであって、日本の民衆の力ではない。

そして気をつけなくてはならないのは、③土着利権、④ファシズムを切り捨てるという流れの中では、おおさか維新は捨てられて、民主維新は取り込まれる可能性があるということだ。
逆に、典型的な①政党であるみんなの党を母体とする維新と、①②に忠誠を誓ってクーデターを起こして小沢一郎を排除した民主は、大連立に取り込まれる可能性がある。

改憲、安保法案という戦争マターを掲げる安倍晋三だけを主敵に据えて考えていると、したたかな自民党には勝てない。
敵は、勝つためには何でもやる。安倍晋三が④に寄りすぎて、①に嫌われたとみれば、バランスをとって別の顔を立ててくるだろう。
まず勝。しかる後に考える。というのが自公の強さの秘訣なのだ。

日本が直接戦争に出かけていくリスクは数年先延ばしされるかもしれないが、その分、日本の財産はどばっと持って行かれる。かつての経済大国は、ため込んだ資産を根こそぎ奪われて、貧困大国へと転落していくだろう。

ただし、政権が揺らぐことはひとつのチャンスではある。安倍を打倒したぞなどと浮かれるのではなく、あくまでチャンスとして何をつかむのか。もし5月総辞職という、一般には驚がくの事態になったとしても、そのくらいの冷静さで受け止めなければならないだろう。
そうだとしても、盤石に見えた安倍政権に、甘利辞任というきしみが見えたのはいいことだ。

こちらの得点ではないにしても、敵失を指をくわえてみていることはない。


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第三次世界大戦はどこから

こんにちは

1月は、あっという間に去ってしまいました。
年末慌ただしく、右翼勢力の国体護持の拠り所であった慰安婦問題を、ファシスト安倍がいとも簡単に韓国政府と手打ちをしてしまったので、日韓を和解させて「こと」に対処しなければならない急遽の事情とは、どんな事情が出てくるのかと見ていた処1月6日主席様の誕生日をお祝いして水爆花火が打ち上げられました。
米日韓共同戦闘態勢を北に示しておかなければならない必然的な状況だったのです。
そうして更に北は、近々ミサイル=大陸間弾道弾なるものの発射実験を行うとの通告が米国から来て、迎撃を命じられた首都東京を始め全国各地の自衛隊基地では、迎撃ミサイルを設置する姿がTVニュースで華々しく放送されました。
北のミサイルがどれほど性能が優秀でも、10発や20発のミサイルで米国と戦争出来る訳もなく、仮に戦争を始めたとしても1週間もあれば米国は、北の全土を占領してしまうのではないかと思える戦力の差は歴然としています。
ところが、にわかに戦争突入への雰囲気作りが向上させられています。
中国を巻き込んで、「北・中国」と米日韓の連合軍との戦争が画策されているのかもしれません。
日本軍ミサイルの「北大陸間弾道弾」迎撃が実施され、迎撃されてもされなくても、これを契機に戦争状態へ突入するなどの図絵が、中国を巻き込む他の要因とも絡めて用意されているのではないかと考えています。
アメリカはあくまでも中国と戦争になったとしても中国本土を戦場とすることはありません。
主戦場は日本本土です。日本こそがこの戦争の主役、発端とならなければなりません。アメリカは援軍、応援団で、日本の要請に応じて参戦している立場を貫くでしょう。戦争で使用される武器弾薬は、すべて日本が米国から購入して日米両軍に提供されます。敗戦で焼け野原となった日本でも、米国から購入した軍需物資の代金は、きれいさっぱり支払うことが出来ます。
日本国が保有する莫大な米国国債などの金融資産を米国が回収し、復興資金の貸し付けをすることが出来れば、米国の巨額赤字の解消と不況払拭の一石二鳥とできるかも。
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