2016-03-08(Tue)

「国」という枠組み

最近やたらとこのブログで書いている、右翼と左翼という存在こそ占領政策の要だという話。
それを突き詰めると、「国」という枠組みをどうとらえるのか、ということになるように思う。

言うまでもないが右翼と言われる人は「国」が大好きだ。「国家」と言うと条件反射で喜ぶ。
左翼と言われる人は、「国」というとビクッと反応し、「国家」というとあからさまに眉をひそめる。

無理もないとは言える。
敗戦までの国家至上主義を是とするのが右翼で、否とするのが左翼という分類からすれば、当然そうなるわけだから。
しかし不思議なのは、日本「国」憲法を護る護憲派の「国」会議員までが、「国」という枠組みを否定的にとらえているように見えることだ。

批判の対象としては「国」という枠組みを使うけれども、積極的な意味では使わない。
これがおおざっぱに「左」と言われてきた人たちの共通の特徴ではないだろうか。
もちろん、私自身も例外ではなかったし、心情的には今でもそうだ。

■■

その心情は、政治のみならず文化領域まで行き渡ってしまった感がある。
和風と言うだけでそこはかとなく右の風が吹き、モダンスタイルはすなわちリベラルかのような印象を持つ人は多いだろう。
実際は、ムッソリーニはモダンスタイルが大好きだったし、和風社会主義ともいうべき安藤昌益のような人もいたわけで、何の関係もないのだが、心情的に離反させるには都合が良いために、そのような印象操作はかなり徹底されてきた。

これも、たしかに敗戦までの国家至上主義のなかで、日本文化至上主義=他文化破壊も公然とされてきた歴史を省みれば、「日本文化」と聞いただけで「また出たか」と警戒するのは理解できる。
しかし、ここに大きな誤解があることに、右も左も気がついていない。

「世界に冠たる日本の伝統文化がー」と右翼が自慢するものの多くは、実は伝統でも何でもなかったりするということだ。
桃山時代から江戸時代に爛熟した、まさに日本の伝統文化は、明治維新で大きく否定された。庶民レベルでは残っていた様々な風習も、法律でなかば強制的になくしていった。
廃城処分、廃仏毀釈令、散髪脱刀令、混浴禁止令、狂言綺語禁令など、日本の伝統文化を壊していったのは、右翼諸氏が愛してやまない明治の偉人たちなのである。
廃仏毀釈などタリバンも真っ青だし、廃城処分などしていなければ、今頃日本は観光立国で十分食っていけたかもしれない。

明治時代に行われたことは、伝統文化の破壊であると同時に、ねつ造でもあった。
軍国日本にふさわしそうな部分だけを剽窃し、日本の伝統文化「なるもの」を作り上げた。
辛気くさくて白黒の世界が、あたかも和風であるかのようにしてしまった。

20160308.jpg

これは、昨日たまたま見てきた、五百羅漢図の一部である。芝増上寺で12日まで公開されている。

明治の直前に活躍した狩野一信の作である。100幅を志して書き始め、あと4幅というところで命がつきたのが1863年、明治維新の5年前だった。
この極彩色の爛熟さ、まるでウルトラマンのような羅漢たちの大活躍図、庶民生活の悲喜、生き物の躍動、じつに息をのむような迫力である。これこそが、日本の伝統文化だ、と私は思いたい。

江戸時代を妙に理想化する論には与しないが、しかし、明治が躍起になって破壊し、昭和がむりやりねつ造した「伝統文化」ではなく、それ以前に形作られてきた伝統文化には、目を見張るものがあるのは事実だ。
ねつ造伝統文化を憎むあまり、それらまで一緒くたにして否定してしまうのは、あきらかに間違っている。

■■

閑話休題。
政治的な意味での「国」に戻る。

国という枠組みが、絶対普遍のものであるとは思わない。
個々人に優先するものであるという至上主義も間違っている。
どんな中身でも国を愛せという愛国主義もまっぴらだし、他国を侮辱する排外主義はもってのほかだ。
しかし、思いつく限りの将来では国という枠組みで考えざるを得ないし、だからこそ「国」会であり日本「国」憲法なのだし、インターナショナルだって、無国主義ではなくて国際主義、国と国の関係を連帯しようという話なのだから、もうこれは観念すべきではないのか。

国に変わるなにか良い方法を思いつくまでは、国という枠組み自体にネガティブなイメージを貼り付けて心のどこかで忌避するのはやめにした方が良い。
その心情こそが、右翼と左翼という分離支配に活用されているのだから。


■■明月社から完成見学会のお知らせ■■

2016年3月21日(月祝)
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①11:00 ②13:30 ③15:30
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No title

絶対支配を目的とする支配層は、隷従の手段に「分割して統治する」ことを常套する。

右翼と左翼、共和と民主とか自民と民進だっけ、或いは善と悪とか、使い分けはいろいろですが、根っこは同じ。

No title

右翼が国家主義でいくなら、左翼は国民主義でいけば良いのではないですか?
江戸時代って結構国民主義だったと思うんですよね。だって江戸をはじめ京都以外は天子様なんて存在そのものだって認識されていなかったわけですし。江戸は「御上」が最上部で、それだって一般民衆の生活には殆ど関係ないですよね。まぁ、御法度は国家が決めて、それに触れれば首が飛んだかも知れませんがね(笑)
今の右翼は十両盗むその御法度を犯しても首が飛ばないのが問題なんでしょう。左翼はチョッと道路に引いて有る黄色線を越えただけで「確保ー」されちまう、、。
これこそ「差別」ってえェもんだ!
え!?江戸の昔も同じだって!?アハハ(^_^;)
「お主もワルよのゥ」ってやってましたかね、、(笑)
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