2016-04-21(Thu)
川内原発を止めたら九州は停電するのか?
熊本大分大震災とも言うべき、未曾有の震災が収まらない。
あろう事か 菅官房長官は「大震災ではない」などとうそぶいているが、肝心要の気象庁は「過去にない。予測できない。」と本音を吐露している。
菅義偉官房長官、熊本地震 は「大震災級という状況ではない」
2016.4.20 The Huffington Post
地震拡大「過去にない」 「経験則通じず予測困難」 気象庁
2016年04月16日 西日本新聞
震度7を2回だけでもすさまじいが、5~6クラスが波状的におそってくるような事態は、建築もインフラもまったく想定していない。まさに想定外であり、壊れていないものがあるのはまったくの偶然にすぎない。
理論的にはすべて破壊されていてもおかしくはない。
これを大震災と言わずして何というのか。
菅官房長官の「大震災じゃない」という発言は、「田舎はどうでもいい」という発想から出ていることは間違いない。
そして、その「田舎はどうでもいい」の究極が、川内原発の稼働継続だ。
さすがにテレビでも、南西方向も危ない と言い出した。
また、昨年11月14日に鹿児島の西方沖でM7.0の地震があったことも思い出す人が増えた。
そう、現在揺れている断層の延長線なのである。

この状況を見れば、原発を末永く使いたい原発推進派ならなおさら、ちょっと落ち着くまで止めよう と思うはずだ。
にもかかわらず、頑強に稼働を続けさせるのは、「田舎は早いこと犠牲になってほしい」、「ちょっと放射能漏らして、使用済み核燃料の捨て場になってほしい」と願っているからに他ならない。
■■
その恐るべき企みを、知ってか知らずか、「今、川内原発を止めたらかえって危険だ」という論が横行している。
それには大きく二つあり、「原発を止めると九州が停電して震災復旧に支障をきたす」 というものと 「震災が収まらないうちに止めると、冷温停止する前に停電になって冷やせなくなる」というものがある。
まず前者については、下記のグラフをみればなんの根拠もないことが分かる。

九電の資料をグラフ化したものだ。
原発を再稼働させる前と後で、ピーク電力量も余裕もなんの変わりもない。
では火力が地震で壊れることを心配しているのか?
それならば、原発もせめて同じくらいには壊れることを心配してもらいたいものだ。
その結果の悲惨さは、まったく同じくらいではないけれども。
というわけで、「川内原発を止めると停電する」論は、デマである。
次に、「止めてから冷温停止までに、他の火力や送電網などが壊れたらどうする」論について。
たしかに、川内原発は九州の中でも孤立していて、他の大型火力からは断層帯をとおらないと電気をもって来れない。
なんとかなりそうなのは、宮崎県の水力発電と離島の小さな発電所くらいだ。
しかしここでも不思議な矛盾に気が付く。
冷温停止まで冷やすための電力は、ディーゼルの非常用電源でも賄える程度のものであり、大型の発電所は必要ない。
とすると、この論は、その他のあらゆる電力と隔絶され、非常用電源も破壊され、電源車もたどり着けないような事態を想定していることになる。
もちろん、予測できない震災である以上、その可能性もないとは言えない。
では、そこまで壊滅的な事態になった時、原発は、稼働しているのと停止しているのと、どちらがマシなのか??
620galの耐震性を信じて稼働させ続けるのか、他のなにかの電源を信じて停止させるのか。
この論は、究極そういう選択肢をたてて、前者が安全と言っている。
しかし、他の電源の信頼性は、比較的短時間で上げることができる。
それを、震災のまっただなかだから無理と決めつけて稼働させることの方が安全というのは、原発のリスクをそもそもあまりにも小さく見積もっているといえる。
ただし、この論は、12galを感じた瞬間に止めなかったことの理由にはなる。
冷温停止までの電源確保をする猶予は考慮すべきであろう。
しかし、問題はその努力を全力でやって停止に向けて動いているわけではない ということだ。
結果として、論者の意図はともかく、給電と推進派を大喜びさせることにしかなっていない。
とにかく 可及的速やかに 川内原発を止められるようにしなければならない!!


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あろう事か 菅官房長官は「大震災ではない」などとうそぶいているが、肝心要の気象庁は「過去にない。予測できない。」と本音を吐露している。
菅義偉官房長官、熊本地震 は「大震災級という状況ではない」
2016.4.20 The Huffington Post
地震拡大「過去にない」 「経験則通じず予測困難」 気象庁
2016年04月16日 西日本新聞
震度7を2回だけでもすさまじいが、5~6クラスが波状的におそってくるような事態は、建築もインフラもまったく想定していない。まさに想定外であり、壊れていないものがあるのはまったくの偶然にすぎない。
理論的にはすべて破壊されていてもおかしくはない。
これを大震災と言わずして何というのか。
菅官房長官の「大震災じゃない」という発言は、「田舎はどうでもいい」という発想から出ていることは間違いない。
そして、その「田舎はどうでもいい」の究極が、川内原発の稼働継続だ。
さすがにテレビでも、南西方向も危ない と言い出した。
また、昨年11月14日に鹿児島の西方沖でM7.0の地震があったことも思い出す人が増えた。
そう、現在揺れている断層の延長線なのである。

この状況を見れば、原発を末永く使いたい原発推進派ならなおさら、ちょっと落ち着くまで止めよう と思うはずだ。
にもかかわらず、頑強に稼働を続けさせるのは、「田舎は早いこと犠牲になってほしい」、「ちょっと放射能漏らして、使用済み核燃料の捨て場になってほしい」と願っているからに他ならない。
■■
その恐るべき企みを、知ってか知らずか、「今、川内原発を止めたらかえって危険だ」という論が横行している。
それには大きく二つあり、「原発を止めると九州が停電して震災復旧に支障をきたす」 というものと 「震災が収まらないうちに止めると、冷温停止する前に停電になって冷やせなくなる」というものがある。
まず前者については、下記のグラフをみればなんの根拠もないことが分かる。

九電の資料をグラフ化したものだ。
原発を再稼働させる前と後で、ピーク電力量も余裕もなんの変わりもない。
では火力が地震で壊れることを心配しているのか?
それならば、原発もせめて同じくらいには壊れることを心配してもらいたいものだ。
その結果の悲惨さは、まったく同じくらいではないけれども。
というわけで、「川内原発を止めると停電する」論は、デマである。
次に、「止めてから冷温停止までに、他の火力や送電網などが壊れたらどうする」論について。
たしかに、川内原発は九州の中でも孤立していて、他の大型火力からは断層帯をとおらないと電気をもって来れない。
なんとかなりそうなのは、宮崎県の水力発電と離島の小さな発電所くらいだ。
しかしここでも不思議な矛盾に気が付く。
冷温停止まで冷やすための電力は、ディーゼルの非常用電源でも賄える程度のものであり、大型の発電所は必要ない。
とすると、この論は、その他のあらゆる電力と隔絶され、非常用電源も破壊され、電源車もたどり着けないような事態を想定していることになる。
もちろん、予測できない震災である以上、その可能性もないとは言えない。
では、そこまで壊滅的な事態になった時、原発は、稼働しているのと停止しているのと、どちらがマシなのか??
620galの耐震性を信じて稼働させ続けるのか、他のなにかの電源を信じて停止させるのか。
この論は、究極そういう選択肢をたてて、前者が安全と言っている。
しかし、他の電源の信頼性は、比較的短時間で上げることができる。
それを、震災のまっただなかだから無理と決めつけて稼働させることの方が安全というのは、原発のリスクをそもそもあまりにも小さく見積もっているといえる。
ただし、この論は、12galを感じた瞬間に止めなかったことの理由にはなる。
冷温停止までの電源確保をする猶予は考慮すべきであろう。
しかし、問題はその努力を全力でやって停止に向けて動いているわけではない ということだ。
結果として、論者の意図はともかく、給電と推進派を大喜びさせることにしかなっていない。
とにかく 可及的速やかに 川内原発を止められるようにしなければならない!!


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