2016-11-03(Thu)
国産材住宅とTPP
私の本業は、政治でも物書きでもなくて、国産材の住宅を設計することだ。
これまで、土佐材、吉野材、球磨材など様々な産地と関係を作りながら、山から家まで顔が見えるもの作りを目指してやってきた。
ところが、ここに来て大問題が起きている。
TPPだ。
TPPについては、あまりにも多くの問題が指摘されていて、いちいち憶えきれない。
そのなかでも、個人的に衝撃的だったのは、食品の「産地表示」ができなくなる、という話だった。
食品でできないなら、木材でもできなくなる可能性大だ。
そもそも、木材も輸入材と国産材がしのぎを削っている分野だし、平成12年には米国からの要求(年次改革要望書)で、日本の建築基準法が大々的に改正されちゃったなんていう歴史もあるのだから、かなり心配だ。
TPPには、ISD条項というとりきめがある。加盟国の企業が、他の加盟国を訴えることができるという制度だ。
たとえば、今日本には「地域型住宅グリーン化支援事業」という補助金制度がある。国交省の管轄だ。
国産の木材を使って家を作るための林業から設計から施工までの企業グループを作って国交省に登録する。その登録されたグループを通して一定の基準を満たした家を建てると100万円とか165万円とかのかなり高額な補助がでる という仕組みだ。
これは、輸入材や輸入住宅のメーカーから見れば、あきらかに自分たちを排除する国の仕組みに見えるだろう。
TPPが発効されたら、こんな補助制度は、間違いなくISD条項で訴えられるはずだ。
公共事業に地域の国産材を使うという取り組みも、かなり広範におこなわれているが、これもまたしかり。
例えばこんなのも(木づかい運動)、こんなのも(奈良の木を使用した住宅への助成制度)、のきなみみ~んなアウトになりそうだ。
日本中から「国産材」とか「○○県産材」とか言う文句が消えていく日は近いのか。
私が20年近く、そればかりやってきた国産材の住宅というジャンルが消えてなくなるのか?
TPPで食品の「産地表示」ができなくなる、という話をきいたとき、私の頭の中にはその不安が渦巻いた。
もちろん、ISD条項は相手が訴えなければ何事もない。
しかし、相手が訴えないということは、訴えなくても国産材が輸入材に全ぜんぜん太刀打ちできていないということだから、それはそれでアカン状態だ。
国産材がたくさん使われて、日本の山がきれいになって、水害も減って、補助金も有効に使われて、ということになりかけると、このときとばかりにISD条項という魔物が鎌首をもたげる。
ああ、やばい。
TPPは明日にも委員会で強行採決かとか言われている。
米国ももしクリントンが勝ってしまうと、裏では財界とTPP推進を約束しているらしいし、ほんまにやばい。


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これまで、土佐材、吉野材、球磨材など様々な産地と関係を作りながら、山から家まで顔が見えるもの作りを目指してやってきた。
ところが、ここに来て大問題が起きている。
TPPだ。
TPPについては、あまりにも多くの問題が指摘されていて、いちいち憶えきれない。
そのなかでも、個人的に衝撃的だったのは、食品の「産地表示」ができなくなる、という話だった。
食品でできないなら、木材でもできなくなる可能性大だ。
そもそも、木材も輸入材と国産材がしのぎを削っている分野だし、平成12年には米国からの要求(年次改革要望書)で、日本の建築基準法が大々的に改正されちゃったなんていう歴史もあるのだから、かなり心配だ。
TPPには、ISD条項というとりきめがある。加盟国の企業が、他の加盟国を訴えることができるという制度だ。
たとえば、今日本には「地域型住宅グリーン化支援事業」という補助金制度がある。国交省の管轄だ。
国産の木材を使って家を作るための林業から設計から施工までの企業グループを作って国交省に登録する。その登録されたグループを通して一定の基準を満たした家を建てると100万円とか165万円とかのかなり高額な補助がでる という仕組みだ。
これは、輸入材や輸入住宅のメーカーから見れば、あきらかに自分たちを排除する国の仕組みに見えるだろう。
TPPが発効されたら、こんな補助制度は、間違いなくISD条項で訴えられるはずだ。
公共事業に地域の国産材を使うという取り組みも、かなり広範におこなわれているが、これもまたしかり。
例えばこんなのも(木づかい運動)、こんなのも(奈良の木を使用した住宅への助成制度)、のきなみみ~んなアウトになりそうだ。
日本中から「国産材」とか「○○県産材」とか言う文句が消えていく日は近いのか。
私が20年近く、そればかりやってきた国産材の住宅というジャンルが消えてなくなるのか?
TPPで食品の「産地表示」ができなくなる、という話をきいたとき、私の頭の中にはその不安が渦巻いた。
もちろん、ISD条項は相手が訴えなければ何事もない。
しかし、相手が訴えないということは、訴えなくても国産材が輸入材に全ぜんぜん太刀打ちできていないということだから、それはそれでアカン状態だ。
国産材がたくさん使われて、日本の山がきれいになって、水害も減って、補助金も有効に使われて、ということになりかけると、このときとばかりにISD条項という魔物が鎌首をもたげる。
ああ、やばい。
TPPは明日にも委員会で強行採決かとか言われている。
米国ももしクリントンが勝ってしまうと、裏では財界とTPP推進を約束しているらしいし、ほんまにやばい。


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