2016-11-21(Mon)

「空き家問題 -1000万戸の衝撃」を読んで

牧野知弘という不動産屋さんの書いた本。「空き家問題 -1000万戸の衝撃」祥伝社新書。

前半は問題指摘、後半は解決に向けた提言 という内容になっている。
最初に言ってしまうと、後半はまったく面白くない。ありきたりというか思いつきというか。

しかし、前半の問題指摘は本当に衝撃的だ。
人口予測と同じで、空き家についてもかなりの精度で予測可能な分野だ。
人口が減っても、それなりに生きていけばいいじゃないかという論に、ちょっと待ったをかける。

人口が減っても、膨大な固定資産は減らない。以前に書いた老朽化するインフラ(都市のインスペクション~怖いのは陥没だけじゃない~)も同じだが、個人の所有する家もそう。
至る所がスラム化する危険が、かなり目の前に迫ってきている。

現在でも空き家率は15%に迫っている。そのうち半分くらいは、売り家、貸家、別荘だったりするが、あとの半分は買い手がつかない、借り手がつかない、売りも貸しもしていない、などなどの手の付けようがない空き家だ。
もはや、朽ち果てるのを待つしかない。

そして、そういう家は、均等に存在するのではなく、不便な場所に偏在する。
高級住宅街も例外ではなく、駅から遠い場所は、高級なだけに買い手がつかず空き家が増える。
まして、バス便しかないような郊外のニュータウンはすでに悲惨なことになっている。
郊外楽園プロジェクト 2010.12.20

郊外からさらに田舎にいくと、もう本当に朽ち果てて屋根が崩れ落ちているような家は、そこら中で目にする。
まさに、田舎で進行した過疎化が郊外が後追いし、これから都心が追いかけている、と言う状態だ。

郊外のニュータウンに話を戻す。大阪駅から通勤時間1時間くらいでも、50坪の土地に一応住める家がついて500万くらいで売っている。
逆に言うと、500万円でも売れる家は新しい住み手が入るけれども、諸事情でそういうわけにはいかない家は、朽ち果てるまで空き家のまま。

諸事情とは、ほぼ「担保」だ。
その家のローンの担保のこともあれば、バブル期に他の借金の担保にしていたなんていうのもある。
担保がついているから、それ以下の金額では売れない。
でも、そんな金額では買い手がいない。
で、朽ち果てるのを待つ。
これが、郊外ニュータウンの惨状だ。

郊外ニュータウンの次に惨状をさらすのは、たぶん都心(の周辺)の分譲マンションだ。
都心から1時間以内。そこそこ便利は便利。でもイマイチさえない。
そんな場所にある、かつて2000万円くらいで分譲されていたマンション。

これは都心の新しいマンションとの競争もあるけれども、そもそも建て替えが(ほぼ)できないという致命傷がある。
公団や公社などの土地に余裕のあるマンションは別として、民間のマンションの建て替えは100%自己資金であり、お年寄りはほとんど賛成しないので、まず建て替えは成立しない。

賃貸に回しても雀の涙ほどの賃料しか取れず、管理組合は機能している間は、それでもなんとかなるが、やがてスラム化していくことは免れない。

そこに、インフラの老朽化が追い打ちをかける。
手入れのされないボロボロのマンションの周辺で、道路が陥没したり水道管が破裂して水が噴き上がるという図は、悪夢ではなく現実に起きそうなはなしだ。



一方で、住む場所がない、という問題もある。

大学卒業時点で借金6百万…過酷な奨学金返済で貧困転落続出 貧困で路上生活の若者も
2016年5月2日 ビジネスジャーナル


実家に住める人はともかく、それがない人は、一度住む場所を無くすと、住処を確保するためのまとまった資金に事欠いて路上生活になることが少なからずある。
路上まで行かなくても、こんな家に住みたいとは誰も思わない。

脱法ハウスって何? 違法なシェアハウスの問題とは
2013年05月23日 ハフィントンポスト


2畳もない空間に人間を押し込む貧困ビジネス。
のほほんとしたシェアハウスのイメージとはかけ離れた脱法ハウスは、なかなか発見することも難しく、かなり横行しているようだ。

シェアではないが、ワンルームマンションに家族で暮らしているなんていうのもよく耳にする。

一方でこんな劣悪な住宅事情がありながら、他方では家が余りまくって空き家が朽ちていく。
ここをマッチングするのは、政治の役割だ。

例えば新婚や子育て世帯への家賃補助。高い家賃に補助を出すのではなく、空き家活用に回すべきだ。
公営住宅を建てるよりは、空き家をリノベして活用した方が安上がり。
そういう発想を駆使して、家のない人と、人のない家をマッチングすることだ。

朽ち果てるのを待つ家は、全国でおよそ500万戸ある。
そのうち100万戸でも活用できれば、住む場所に困る人たちはかなり解消するだろう。
1戸あたり平均200万円かけても2兆円でできる。

空き家問題。あまり政治の世界では問題にされていないけれど、結構深刻な問題だ。


■■お知らせ

自由党大阪府連大会
11月26日(土)14時から
大阪市立社会福祉センター(上本町)
小沢一郎共同代表も登場
大阪府以外の方や、党員サポーター以外もオブザーバ参加できます

詳しくは → https://www.facebook.com/events/328157494223706/



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