2016-12-05(Mon)

イタリア国民投票が否決 ~世界中でおきるグローバリズムへの叛乱 ~

イタリアの国民投票が否決された。

レンツィ首相が提起した、上院の権限縮小の憲法改正が否定された、ということらしい。

マッテオ・レンツィという人は、2014年2月に39歳でイタリアの首相になった。
市長出身で、演説がうまく、毒舌を吐き、閣僚の半数を女性にしたり高級公用車を競売にかけるなど人気取りが巧妙で、ツイッター中毒で、自らの進退をかけて国民投票。
日本の誰かさんを彷彿とさせる。

就任当初はかなりの期待をされたようだが、結局はEUの緊縮財政を推進するこれまでの政治と大きく変わらないことから、どんどん支持率を下げ、EU離脱派の五つ星という政党にわずかに逆転された。

イタリア五つ星運動の支持率上昇、首相の民主党を逆転=世論調査
2016.7.7 ロイター


そうした情勢の中での、起死回生としてうちだされた国民投票だったわけだが、男前のレンツィは逆転することができなかった。
そして、イタリアの政権は EU離脱派の五つ星運動が担うことになるかもしれない。

イタリア「五つ星運動」、政権に就く用意あると表明
2016.12.5 ロイター


まだ予断は許さないが、イギリスの実例を見た上で、それでもEU離脱をイタリア国民が選ぶとしたら、それはただの勢いではなく国民の判断だと言うこと。
グローバリズム経済の方向ではなく、国民経済の方向を選択するという流れが、イギリス、アメリカに続いてイタリアでも実現することになる。

グローバリズムとか新自由主義とか、言葉だけ聞くとすごくイイコトのようにきこえるので、日本ではこの用語はあまり使わない方が良いかもしれない。
新自由主義のことを強欲資本主義という人がいるが、それでもまだ不正確だし、新自由主義を褒めすぎだ。

新自由主義の「自由」とは、無条件無制限な収奪の「自由」を意味している。
この収奪は、資本主義の「搾取」とは違うものだ。
端的に言って、新自由主義は 資本主義ではない。

資本主義においては、資本を投下して何らかの生産活動をおこなう。
そこで労働者がはたらくことで付加価値が生まれる。
その付加価値の分配をめぐって、搾取をするとかしないとかという問題が生じる。

ちなみに言えば、「搾取の自由」 が旧来の自由主義=リベラルであり、「搾取はまかりならん」というのが社会主義や共産主義である。だから、リベラルとは資本主義であり、社会主義とはもともとは敵同士だった。
ところが、ファシズムや独裁政権が資本の活動を抑制することに対しても、リベラルは「搾取の自由」をもとめて闘った。だから今では リベラルと社会主義が友達みたいに思われている。

それはともかく、新ではない自由主義は、資本と労働力を透過して付加価値を生み出しそれを搾取する自由 は主張していたが、なにもせずにいきなり労働者の財産を奪う自由 は認めていない。
しかし、新自由主義は基本的に生産活動はしない。マネーでマネーを売り買いして巨大バブルを作り、儲けるだけ儲けたら信用崩壊させて担保を奪っていく。
このスキームには付加価値もなければ搾取すらない。ただ、そこにあった富を一方的に奪っていくだけだ。

自由主義=資本主義であれば、労働者はいかに付加価値を搾取されても、少なくとも明日働くための糧は得られたし、次世代を育てることはなんとかできた。
また、それができないほどに過剰に搾取すれば、資本主義にとっても労働力を失うことになるので、そのバランスがあった。

しかし、新自由主義はそんなまだるっこしいことはしない。その国民が疲弊しきったら、別の国に移動すれば良いだけだからだ。
それが世界をまたにかける、グローバリズムということ。
マネーを使う国を吸い尽くすと、こんどはマネーを使っていない自給自足の社会で出かけていって、自給するより簡単に手に入る小麦粉を持ち込む。そうやって自給自足社会を破壊し、モノカルチャーとマネーを持ち込み、収奪のための舞台作りをする。
その国の独裁者が言うことを聞けば手先とし、聞かなければ反政府勢力を育成して内戦をしかける。どんな手を使っても、収奪の舞台を作り続ける。
なにせ、収奪は「自由」なのだから。

もはや地球上に新自由主義の餌食になっていないフロンティアはほとんどなく、やつらは「2周目の収奪」をたくらんでいる。
すなわち、先進国をもういちど吸い尽くす ということ。
リーマンショックでその正体を見られたことで、先進国ではしばらくおとなしくしてきたが、ここ数年貪欲な牙がうごめいている。そして、それに対する国民的な叛乱とも言える現象がうまれている。

ギリシャのツィプラス政権がそうだったし、イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ勝利、そしてイタリアの国民投票否決。
また、フランスのルペン人気や、当選はしなかったがオーストリアの大統領選では極右政党が接戦だったことも、同じ流れにある。
もちろん、2009年の日本の政権交代も、世界的に見ればそうした流れの先駆けだったのだが。。。

日本がなんで景気が悪いのか。
腐っても500兆円のGDPがあるのに、なんで財政赤字になるのか。
なんで企業がブラックになり、社員は過労死するのか。

すべての根源は、じつは非常に単純だ。
吸い取られているからだ。
それは、搾取だけでなく、富そのものを吸い取られているからだ。

その根本問題を抜きにして、じつは中小企業対策や、年金問題を論じても埒はあかない。
では、なんで私がここ数日、中小零細対策とか年金問題について書いているのか。

切り口は、具体的であるべきだからだ。

「シンジユウシュギ」などと連呼するのではなく、敵を批判したり揶揄したりすることでもなく、本当に直面している問題から切り込んでいく。そしてその先に、だんだん敵の姿が見えてくる。
やはり、これが普通の感じ方であり思考法だ。

新自由主義への叛乱の流れを見据えつつ、日本の中小零細企業対策を考える。
これが、政権交代に必要な政治の課題だろう。




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No title

>2009年の日本の政権交代も、世界的に見ればそうした流れの先駆けだったのだが。。。

民主党は反グローバリズムを掲げていたわけではないので、今の欧米諸国における反グローバリズムの政治的うねりとは質的に全く異なります。もっとも、既存の体制に対する人々の不満を吸収して、党勢を拡大していったというポピュリズム的な側面は似ていますが。


ネットでは、新自由主義やグローバリズムに関して間違った知識が流れている場合が多いので、グローバリズムや新自由主義とは何か?ということを述べておきます。

◆グローバリズム・・・EUやNAFTAやTPPが典型ですが、市場(のルール)を一つに統合し、人、財(物やサービス)、お金が国境を越えて自由に行き来できるようにしていくことです。別の言い方をすれば、経済的な国境の壁(関税、経済のルールや慣習、社会制度、文化、言語、政情的リスクなど)を薄くしていくことです。なお、グローバリズムの結果として、底辺への競争が発生します。

◆新自由主義・・・市場原理主義【市場(労働市場、財の市場、金融市場)の規制の徹底した緩和】、小さな政府【公共支出、特に社会保障の削減】、税制のフラット化【法人税や所得税といった直接税の減税や累進課税の緩和】、自己責任主義【様々な社会問題の個人化】で、換言すれば弱肉強食主義・社会ダーウィニズムです。


◎誤解している方々も多いのですが、グローバリズム=新自由主義ではありません。が、しかし、グローバリズムを前提とした場合は、新自由主義的な政策の採用は避けられません。

というのも、資本(人的資本や技術的資本も含む)はより直接税の安い方へ、また、市場の規制の緩い方へ流れていくので、グローバリズムを前提とした場合は、国家は資本の海外への逃避を防ぐために、或は自国に資本を呼び込み、景気をよくするために、或はグローバルな経済競争に勝つために、政府は(社会保障の大きな財源である)直接税を安くしていったり、市場の規制を緩くしていくといった新自由主義的な政策を採用していかざるを得なくなるからです。

◎グローバリズムに関して、その本質を表現したもっと分りやすい言説があります。2013年4月23日付の朝日新聞に掲載されたブラック企業の代名詞とも言える「ユニクロ」を中心とした企業グループ持株会社であるファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏の下記の主張です。

<――いまの離職率が高いのはどう考えていますか。
「それはグローバル化の問題だ。10年前から社員にもいってきた。将来は、年収1億円か100万円に分かれて、中間層が減っていく。仕事を通じて付加価値がつけられないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、年収100万円のほうになっていくのは仕方がない」
 ――付加価値をつけられなかった人が退職する、場合によってはうつになったりすると。
「そういうことだと思う。日本人にとっては厳しいかもしれないけれど。でも海外の人は全部、頑張っているわけだ」「僕が心配しているのは、途上国から海外に出稼ぎにでている人がいる、それも下働きの仕事で。グローバル競争のもとで、他国の人ができない付加価値を作り出せなかったら、日本人もそうやって働くしかなくなる。グローバル経済というのは『Grow or Die(グロウ・オア・ダイ)』(成長か、さもなければ死か)。非常にエキサイティングな時代だ。変わらなければ死ぬ、と社員にもいっている」>

グローバリズムを推進するという事は簡単に言えば、日本の労働者が、日本よりもはるかに労働賃金が低く、かつ労働環境も劣悪な国々の労働者との底辺への競争を強いられるという事を意味します。グローバリズム先進国の米国や韓国は日本よりももっと格差と貧困が深刻ですが、グローバリズムを推進すればする程、グローバルな労働のダンピング合戦によって、先進国では格差と貧困が拡大していきます。また、労働環境も劣悪なものになっていきます。

No title

リベラル(自由主義)とリベラルっぽい社会主義の力が物凄い勢いで落ちていってるのは、矢張り新自由主義の力なんですかね?だってその分極左が凄い勢いで拡大したりはしてませんからね。
ということは極右は新自由主義の隠れ蓑じゃないのですか?極右が政権を執ったら、今以上に搾取されるだけじゃないんですか?アメリカやイギリスにイタリアも、更に次の選挙で政変が起きるかもしれない、フランスにオーストリアも今以上に、収奪されるかな、、。
中国のように共産主義に於ける独裁政権に資本主義を合体した国造りをしている所も有ります。ああいう国の制度はマルクスの「主義の収斂」そのものですよね?あそこから新自由主義に向かっても行くんでしょうね、、。今新興国で左派主義の国が衰退、崩壊の危機です。それこそ新自由主義の包囲網に耐えられなくなってしまっているからです。トランプは台湾と先に電話会談をしました。(安倍の訪問はどうでもイイ)中国はコケにされたと怒っている(笑)
まァ、何にしろ、物凄い『混沌』の世界が始まっていることだけは事実ですね。
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