2016-12-06(Tue)
なぜ世界3位の経済大国がどんどん貧乏になっているのか(その1)
まずは、このグラフから

(FX羅針盤というサイトからお借りしたものに目盛り線を加えました)
赤が貿易収支、青が経常収支、緑が円相場(右目盛り)
経常収支は、ザックリ言うと外国の銀行に預けている金利なども含まれている数字。
普通は、貿易が黒字になる(グラフ上がる)と円は上がりだし、円が上がると貿易黒字は減りはじめる。あるいは、円が上がると貿易黒字は減り、貿易黒字が減ると円は下がる。こうしてバランスがとれる というのが教科書的な説明になる。
輸出して売った代金はドルだから、日本に持って帰る時には両替する。すなわち、ドルを売って円を買うことになる。円は買われるので高くなる。円が高くなると、同じ値段の製品がドルにすると値上がりしてしまうので売り上げが落ちて、輸出が減って黒字も減る。
同じことが、円相場のほうが先行しておきることもある。
いずれにしても、長期的には為替相場と貿易の収支はバランスするはず。
グラフで言うと、若干のタイムラグをおいて逆向きに動くはず ということ。
ところが、実際はそのようにバランスすることはあまりなく、貿易黒字と円相場が同じ方向に動いている時もある。
とくに顕著なのが、2002年から2006年と 2012年から2014年だ。
小泉・竹中時代と、アベノミクス時代である。
この期間に特徴的なことはもうひとつあって、赤線と青線の開きが大きくなっている。
つまり、日本に持って帰らずに、外国の銀行などに預けっぱなしにしている売り上げの金利や配当が増えているということ。
持って帰って円に両替するカネが実際より少ないから、バランスする力が働かなかったということではないか。
このように、日本の国や企業や個人の所有だけれども、海外(主に米国)に預けたり投資したりしているマネーを、対外資産という。
もちろん逆パターンもあるので、日本にある外国人所有のマネーは対外負債。
その差額が、対外純資産 という名前で、これが差し引きして日本が「損」してるぶん。
え?なんで「損」なの?? と私もはじめ思った。
アメリカにあろうとどこにあろうと、儲けた金なんだから。
その疑問はちょっとおいておいて、対外純資産がどのくらい増えているかが、次のグラフ

(財務省「本邦対外資産負債残高」より作成)
単位は億円なので、一番上が1000兆円。
で、赤線が対外純資産。
1996年の3倍以上、今年6月末で総額920兆円、差し引きで330兆円もある。
総額でGDPの倍ちかく、差し引きでも3割以上のカネが、海外(主に米国)におきっぱなしになっている。
ではなんで おきっぱなしにすると、日本が貧しくなるのか。
それは簡単なことだ。
金は天下の回りもの だからだ。
つまり、お金は儲けた分を、次々と他に使うから、多くの人の商売が成り立つ。
自分で使わなくても、その国の銀行に預けて、その銀行が他の商売に融資をすれば同じ効果がある。
もし、日本中の人も企業も、みんな超節約をはじめて、稼いだカネは全部タンス預金をしてしまったら、日本経済は秒殺でつぶれる。
あの高度経済成長も、国民に貯金をさせ年金料を徴収し、その金を投融資して実現してきた。
国民ひとり一人は、そんな投資をしているつもりはなかったけれども、じつはそうやってカネを回していた。
ところが、所有権がいくらあっても、国内で投融資できないカネは、ドケチのタンス預金と同じで日本経済にはなんの役にも立たない。所有者には金利が入るからいいかもしれないが、社会全体では燃料切れをおこしてしまう。
では、そのカネは腐っているのかというと、ちゃんと活躍している。そう、米国で。
アメリカは、そうやって他国の他人のカネを集めて、それを投融資することで経済を維持してきた。

われわれ庶民感覚では、他人のカネは他人のカネだと思ってしまうけれども、実際は金利さえ払えば他人のカネは自分のカネなのだ。
こうしたアンバランスを崩さないように、小泉・竹中や、アベノミクスは人為的に努力をしてきた。
その結果、国内で回せるはずの330兆円が、消えてしまった。
稼いでも稼いでも、あがりを吸い取られる日本。
中小零細企業が苦しみ、給料が下がり続け、年金の手当もおぼつかない こんな日本に誰がした。
その目星がついたのではないだろうか。
それにしても、米国にそれだけ投資しているのだから、もっと米国に言うことを聞かせることだってできるのではないか? という疑問もある。
そのあたりは、その2 に書いてみたいと思う。


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赤が貿易収支、青が経常収支、緑が円相場(右目盛り)
経常収支は、ザックリ言うと外国の銀行に預けている金利なども含まれている数字。
普通は、貿易が黒字になる(グラフ上がる)と円は上がりだし、円が上がると貿易黒字は減りはじめる。あるいは、円が上がると貿易黒字は減り、貿易黒字が減ると円は下がる。こうしてバランスがとれる というのが教科書的な説明になる。
輸出して売った代金はドルだから、日本に持って帰る時には両替する。すなわち、ドルを売って円を買うことになる。円は買われるので高くなる。円が高くなると、同じ値段の製品がドルにすると値上がりしてしまうので売り上げが落ちて、輸出が減って黒字も減る。
同じことが、円相場のほうが先行しておきることもある。
いずれにしても、長期的には為替相場と貿易の収支はバランスするはず。
グラフで言うと、若干のタイムラグをおいて逆向きに動くはず ということ。
ところが、実際はそのようにバランスすることはあまりなく、貿易黒字と円相場が同じ方向に動いている時もある。
とくに顕著なのが、2002年から2006年と 2012年から2014年だ。
小泉・竹中時代と、アベノミクス時代である。
この期間に特徴的なことはもうひとつあって、赤線と青線の開きが大きくなっている。
つまり、日本に持って帰らずに、外国の銀行などに預けっぱなしにしている売り上げの金利や配当が増えているということ。
持って帰って円に両替するカネが実際より少ないから、バランスする力が働かなかったということではないか。
このように、日本の国や企業や個人の所有だけれども、海外(主に米国)に預けたり投資したりしているマネーを、対外資産という。
もちろん逆パターンもあるので、日本にある外国人所有のマネーは対外負債。
その差額が、対外純資産 という名前で、これが差し引きして日本が「損」してるぶん。
え?なんで「損」なの?? と私もはじめ思った。
アメリカにあろうとどこにあろうと、儲けた金なんだから。
その疑問はちょっとおいておいて、対外純資産がどのくらい増えているかが、次のグラフ

(財務省「本邦対外資産負債残高」より作成)
単位は億円なので、一番上が1000兆円。
で、赤線が対外純資産。
1996年の3倍以上、今年6月末で総額920兆円、差し引きで330兆円もある。
総額でGDPの倍ちかく、差し引きでも3割以上のカネが、海外(主に米国)におきっぱなしになっている。
ではなんで おきっぱなしにすると、日本が貧しくなるのか。
それは簡単なことだ。
金は天下の回りもの だからだ。
つまり、お金は儲けた分を、次々と他に使うから、多くの人の商売が成り立つ。
自分で使わなくても、その国の銀行に預けて、その銀行が他の商売に融資をすれば同じ効果がある。
もし、日本中の人も企業も、みんな超節約をはじめて、稼いだカネは全部タンス預金をしてしまったら、日本経済は秒殺でつぶれる。
あの高度経済成長も、国民に貯金をさせ年金料を徴収し、その金を投融資して実現してきた。
国民ひとり一人は、そんな投資をしているつもりはなかったけれども、じつはそうやってカネを回していた。
ところが、所有権がいくらあっても、国内で投融資できないカネは、ドケチのタンス預金と同じで日本経済にはなんの役にも立たない。所有者には金利が入るからいいかもしれないが、社会全体では燃料切れをおこしてしまう。
では、そのカネは腐っているのかというと、ちゃんと活躍している。そう、米国で。
アメリカは、そうやって他国の他人のカネを集めて、それを投融資することで経済を維持してきた。

われわれ庶民感覚では、他人のカネは他人のカネだと思ってしまうけれども、実際は金利さえ払えば他人のカネは自分のカネなのだ。
こうしたアンバランスを崩さないように、小泉・竹中や、アベノミクスは人為的に努力をしてきた。
その結果、国内で回せるはずの330兆円が、消えてしまった。
稼いでも稼いでも、あがりを吸い取られる日本。
中小零細企業が苦しみ、給料が下がり続け、年金の手当もおぼつかない こんな日本に誰がした。
その目星がついたのではないだろうか。
それにしても、米国にそれだけ投資しているのだから、もっと米国に言うことを聞かせることだってできるのではないか? という疑問もある。
そのあたりは、その2 に書いてみたいと思う。


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