2016-12-09(Fri)

人手不足なのに給料が上がらない不思議(なぜ世界3位の経済大国が貧乏になるのか 2)

この世に不思議はいろいろあれど、私が不思議でたまらないのは、「人手不足なのに給料が下がる」 という昨今の風潮だ。

私が身を置いている建築の世界でも、震災復興とオリンピックとアベノミクスで金持ちの株が上がったことなどなどが相まって、関東ではかなりの人手不足になっているという話が聞こえてくる。 おかげで建築費が高騰して大変だ とも。

建築ばかりでなく、実際に数字上の人手不足はウソではない

有効求人倍率、25年2カ月ぶり高水準 10月1.40倍
2016/11/29 日経


求人倍率1.4倍というのは、あのバブル景気ピークの1990年~91年と同じだ。

20161210-1.png
(ブラック企業ハローワーク.com さんより)

ところが、あのころのように、猫も杓子もウハウハ調子に乗っている話は聞かない。

たしかに、完全失業率3%で求人倍率1.4倍と言うことは、働こうと思えばいつでも仕事がある状態であり、それなりにアベノミクスが評価されてしまっている原因だろうという指摘も故無きことではない。

しかし、その内容はどうか。
大きな流れは正規が減り非正規が増えているのは一目瞭然だ。

20161210-2.jpg
(総務省統計局)

これだけ非正規が増えれば、平均給与は当然さがっていくのは当然。
やはり、求人が増えて給料が下がる一番の原因はここにある。

そのうえで、ごく最近は違う動きもあるという。

「正社員の有効求人倍率過去最高!」を素直に喜べない理由
現代ビジネス 2016.12.7


アベノミクスの失敗が言われる一方で、安倍内閣が高い支持率を維持しているのは、「身近なところで失業者が出ていない」「働こうと思えば職が見つかる」といった雇用環境に負うところが大きいのだろう。

ただ、雇用環境の好転が、必ずしも家計の懐を潤わせていないという面がある。安倍首相は企業経営者に「賃上げ」を繰り返し求めているが、なかなか給与が増えないのだ。アベノミクスによる大胆な金融緩和で円高が大幅に修正され、輸出企業を中心に企業収益は改善している。

それが給与の増加になって表れれば、国民の幅広い層で景気回復を実感できるようになるのだが、現実にはそうなっていない。
(略)
非正規よりも正規の雇用が増えているのは、正規の方が残業などを求めやすいという人手不足対策の面がある一方、非正規雇用の時給が大きく上昇したことで、非正規雇用が必ずしも割安の雇用形態でなくなってきたことを示している。

もちろん、サービス残業や長時間残業の恒常化など、人手不足と共に労働環境が悪化している面もある。

(引用以上)

流動性の高いパートの時給が上がる → パート雇うより正社員をこき使った方が安上がり → ブラック化

という流れが 人手不足で給料が下がる原因だという。
もうひとつ付け加えるならば、労働組合がほぼ壊滅していることと、長期不況のせいで社員の側が極度に弱気になっていることで、ブラック化しても文句を言えなくなっている、という事情があるだろう。

それ以外によく言われるのが、日本の企業の生産性が低すぎて、いくら仕事が多くても給料をたくさん払うだけ稼げない、という話だ。

なぜ賃金は上がらない?/人手不足倒産の原因
2016年08月29日 ハフィントンポスト


損益分岐点の売上数量がごく小さく、その生産技術を誰でも使うことができて、なおかつ新規参入と退出が自由な分野は、やがて「産業の長期均衡」に到達してしまう。超過利潤がゼロになってしまう。

おそらく介護や警備、牛丼チェーン、引っ越し業などの分野は、長期均衡に近づいている業界なのではないか。競争の激化により利益が薄くなり、人件費を引き上げることができない水準まで生産性が悪化しているのだろう。

(引用以上)

この著者は他にも色々と指摘しているが、要するに、企業が貧乏暇無しだから、給料も上がらない、と言う理屈だ。

同じ流れで、こんな話もある。

人手不足でも賃金停滞の謎-悲鳴上げるサービス業は生産性に弱点
2016年12月6日 ブルームバーク


問題は、人手不足が生産性の低いサービス業で顕著なことだという。つまり、賃上げに回せる利益が乏しい業種に求人が集中しているということだ。

20161210-3.png
20161210-4.png
(引用以上)

全体として生産性が低いけれど、とりわけ生産性の低い業種に人手不足が集中している というのだ。
逆に言うと、人海戦術でしごとをする業種は生産性が低い、ということなのだろう。

こう言われてみると、なるほどなあ と納得してしまいそうになる。

しかし、こんなデータもある

20161210-5.png
(公益財団法人 日本生産性本部)

水色が労働生産性、濃い青が給料だ。何のことはない、ぜんぜん比例していない。
それどころか、派遣労働が解禁された1998年より後は、リーマンショック時をのぞいて、まるっきり正反対。
むしろ、給料をさげることで労働生産性を上げてきたのではないか。



これまでの色々の指摘をまとめて考えてみると、日本の企業は、給料をさげて利益を確保している。
給料を上げると利益がなくなる。
その状態で仕事はたくさんある。
そういう状態だ、ということだ。

もっとわかりやすく言うと

給料が安いから求人がたくさんある

ということだ。

人件費を上げるととたんに業績が悪化して求人も減る。

なぜそんなことになるのか。
それは、本当の付加価値を生み出していないから。
あるいは、生み出しても海外に流出しているから。
たぶん、その両方だ。

ここではこれ以上の検討は省くけれども、しつこく追求したい方は

なぜ世界3位の経済大国がどんどん貧乏になっているのか(その1)

とか
付加価値って何?  ~貧困の原因を探る 1~
から続くシリーズをお読みいただきたい




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