2016-12-09(Fri)
この期に及んでなぜTPPを強行採決するのか
今日(12月9日) 参議院でTPPが強行採決されるらしい。
TPP承認案 きょう成立へ、自・公・維など賛成
2016年12月09日 TBS
TPP承認・関連法成立へ 参院委採決、本会議に上程
2016.12.9 中国新聞
米国の離脱で発効の望みのないTPPを、なんで今更強行採決するのか。
ただの面子なのか、やめると口にするのが怖いのか。
二つの見方があるようだ。
一つは、トランプになってから進められるであろう、日米FTAにそなえておくため、と言う話。
しかし、FTAとTPPは性格が全然違うし、トランプの意向は自由貿易ではなく保護貿易をどう調整するかということであり、TPPとは真逆の向きを考えなくてはならない。
とてもTPP関連法をスライドして間に合わせるようなものではないはずだ。
それに、TPPにこだわらず自由貿易の推進のためのルール作りだというのなら、なぜRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の話題がひとつも出てこないのか。
日本では音沙汰ないが、ブルームバーグにはこんな記事も出ている
中国主導のRCEPは早期交渉妥結を、TPPの空白埋める-ADB
2016年12月6日 Bloomberg
米国主導の環太平洋連携協定(TPP)の発効が風前のともしびとなる中、その空白は中国が支持する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が速やかに埋めるべきだ。こうした見方をアジア開発銀行(ADB)の当局者が示した。
(以下略)
アジア開発銀行(ADB)というのは、日本が主導してアジア地域に資本投下してきた機関だ。中国主導のAIIBとよく対比される。
RCEPの推進を、中国系のAIIBが言うのならば不思議はないが、ここでは 日本主導のADBが言っている。
つまり、現場レベル、実務レベルでは、TPPがダメならばすぐにRCEPに乗り換えて進めるべきだ、というのは常識なのだろう。
ところが、日本国内では、政治的な意図が働いて、そのような声はかき消される。
TPPはあれだけゴリゴリと推し進めたのに、RCEPは中国新聞の記事にもあるとおり、交渉は難航している、のひと言で終わりだ。
こうしてみるとやはり、TPP承認と関連法を強行採決するのは、今後の貿易交渉のため という説はどうも信憑性がない。
■
もうひとつの説はこれだ
何ひとつ必要なものはないTPP予算2兆8千億円の内訳
2016年11月30日 田中龍作ジャーナル
独裁者の意向を忖度したのか、それとも霞ヶ関が予算獲得と使い切りに血道をあげた結果なのか。2兆8千億円にものぼる2016年度のTPP関連予算は、すでに執行されてしまった。
(以下略)
田中氏の言う2.8兆の根拠がわからないが、少なくとも1.2兆はあきらか。
日本の予算1兆1900億円 米、TPP離脱を表明
2016年11月23日 東京新聞
予算の消化状況について、内閣官房TPP政府対策本部の担当者は「一五年度分は既に原則執行された。一六年度の予算も各省で適切に執行されている」と説明する。
(略)
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「参加国で統一ルールを作るTPPとFTAは似て非なるもの。米国から厳しい要求を突きつけられ、日本は貿易自由化に逆行する立場に追い込まれる懸念がある」と指摘する。政府が成長戦略や通商政策の再検討を迫られるのは必至だ。
(引用以上)
もうかなり使っちゃったし、これから使う分も絶対返さないよ という話。
(ちなみに第一生命の研究員もTPPとFTAは逆向きだと指摘している。)
参議院TPP特別委 安倍首相「TPP関連予算の執行必要」
2016.12.8 FNN
民進党の舟山議員は、2016年度の当初予算や、第2次補正予算で計上されている、およそ7,000億円のTPP関連予算について、発効の見通しが立たないことを指摘して、執行の停止を求めた。
これに対し、安倍首相は、TPP関連予算は、発効を前提としたものではないと述べ、予定通り執行する考えを示した。
(引用以上)
もう日本語が崩壊している。
TPP関連予算はTPPを前提としていない??? なんだそりゃ。
1兆2千億円は、TPPについて裏切ってきた農家や中小企業へのいわば「買収資金」として、すでにばらまいてしまっている。
執行されていない分も、オイシイ話として約束済みだ。
ある意味で、今年の参院選の自民党の選挙資金だったというわけ。
この巨額の予算で票をかき集めたのに、いまさら返して、とは言えない。
これが、安倍晋三のホンネなのだろう。
■
ひとつめの味方に関連するが、日米安保マフィアの力もあるのではないか。
日米安保の権力と利権に群がる人々にとって、一番困るのは米中の平和共存であり、まして米朝和平となると存在の根拠をなくしてしまう。
(詳しくは、「日本はなぜ戦争ができる国になったのか」などを参照してください)
そうした対中強硬派にたいして、G2論という勢力がある。
平和共存ではないけれども、米中の2大国で世界秩序を保とうという考えだ。
こんな感じで語られる
東アジアで米中G2構造が成立しつつあり、日本の外交が問われている=中国のスタンス、「協調」か「強硬」か?
―元国連報道官の植木上智大学教授
Record china 2015年4月10日
もちろん、安倍晋三や現在の自公政権はバリバリの反G2、対中強硬派なので、
米中「G2」論は古い考え方 首相
2016/1/17 日経
ということになっている。
この今の日本の政治と行政を牛耳っている安保マフィアの勢力にとっては、米国主導のTPPから中国主導のRCEPに乗り換えるなんてことは、言語道断だろう。
RCEPが難航している どころか 難航させている のではないかととも思える。
なにが何でもTPPにこだわるのは、RCEPをジャマして、対中強硬路線を続けるため というベクトルも働いているものと思われる。
■
いずれにしても、国民にとって良からぬことだらけのTPP強行採決。
大阪では、今日(12/9)18:30から JR大阪駅前で緊急抗議行動があるとのこと
ストップ!tpp緊急行動 大阪駅前街宣 強行採決に抗議!
12月9日(金) 18時半~19時半 大阪駅 南東広場(バスターミナル)
ストップ!tpp緊急行動 大阪駅前街宣―強行採決に抗議!
主催:ストップ!tpp緊急行動


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TPP承認案 きょう成立へ、自・公・維など賛成
2016年12月09日 TBS
TPP承認・関連法成立へ 参院委採決、本会議に上程
2016.12.9 中国新聞
米国の離脱で発効の望みのないTPPを、なんで今更強行採決するのか。
ただの面子なのか、やめると口にするのが怖いのか。
二つの見方があるようだ。
一つは、トランプになってから進められるであろう、日米FTAにそなえておくため、と言う話。
しかし、FTAとTPPは性格が全然違うし、トランプの意向は自由貿易ではなく保護貿易をどう調整するかということであり、TPPとは真逆の向きを考えなくてはならない。
とてもTPP関連法をスライドして間に合わせるようなものではないはずだ。
それに、TPPにこだわらず自由貿易の推進のためのルール作りだというのなら、なぜRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の話題がひとつも出てこないのか。
日本では音沙汰ないが、ブルームバーグにはこんな記事も出ている
中国主導のRCEPは早期交渉妥結を、TPPの空白埋める-ADB
2016年12月6日 Bloomberg
米国主導の環太平洋連携協定(TPP)の発効が風前のともしびとなる中、その空白は中国が支持する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が速やかに埋めるべきだ。こうした見方をアジア開発銀行(ADB)の当局者が示した。
(以下略)
アジア開発銀行(ADB)というのは、日本が主導してアジア地域に資本投下してきた機関だ。中国主導のAIIBとよく対比される。
RCEPの推進を、中国系のAIIBが言うのならば不思議はないが、ここでは 日本主導のADBが言っている。
つまり、現場レベル、実務レベルでは、TPPがダメならばすぐにRCEPに乗り換えて進めるべきだ、というのは常識なのだろう。
ところが、日本国内では、政治的な意図が働いて、そのような声はかき消される。
TPPはあれだけゴリゴリと推し進めたのに、RCEPは中国新聞の記事にもあるとおり、交渉は難航している、のひと言で終わりだ。
こうしてみるとやはり、TPP承認と関連法を強行採決するのは、今後の貿易交渉のため という説はどうも信憑性がない。
■
もうひとつの説はこれだ
何ひとつ必要なものはないTPP予算2兆8千億円の内訳
2016年11月30日 田中龍作ジャーナル
独裁者の意向を忖度したのか、それとも霞ヶ関が予算獲得と使い切りに血道をあげた結果なのか。2兆8千億円にものぼる2016年度のTPP関連予算は、すでに執行されてしまった。
(以下略)
田中氏の言う2.8兆の根拠がわからないが、少なくとも1.2兆はあきらか。
日本の予算1兆1900億円 米、TPP離脱を表明
2016年11月23日 東京新聞
予算の消化状況について、内閣官房TPP政府対策本部の担当者は「一五年度分は既に原則執行された。一六年度の予算も各省で適切に執行されている」と説明する。
(略)
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「参加国で統一ルールを作るTPPとFTAは似て非なるもの。米国から厳しい要求を突きつけられ、日本は貿易自由化に逆行する立場に追い込まれる懸念がある」と指摘する。政府が成長戦略や通商政策の再検討を迫られるのは必至だ。
(引用以上)
もうかなり使っちゃったし、これから使う分も絶対返さないよ という話。
(ちなみに第一生命の研究員もTPPとFTAは逆向きだと指摘している。)
参議院TPP特別委 安倍首相「TPP関連予算の執行必要」
2016.12.8 FNN
民進党の舟山議員は、2016年度の当初予算や、第2次補正予算で計上されている、およそ7,000億円のTPP関連予算について、発効の見通しが立たないことを指摘して、執行の停止を求めた。
これに対し、安倍首相は、TPP関連予算は、発効を前提としたものではないと述べ、予定通り執行する考えを示した。
(引用以上)
もう日本語が崩壊している。
TPP関連予算はTPPを前提としていない??? なんだそりゃ。
1兆2千億円は、TPPについて裏切ってきた農家や中小企業へのいわば「買収資金」として、すでにばらまいてしまっている。
執行されていない分も、オイシイ話として約束済みだ。
ある意味で、今年の参院選の自民党の選挙資金だったというわけ。
この巨額の予算で票をかき集めたのに、いまさら返して、とは言えない。
これが、安倍晋三のホンネなのだろう。
■
ひとつめの味方に関連するが、日米安保マフィアの力もあるのではないか。
日米安保の権力と利権に群がる人々にとって、一番困るのは米中の平和共存であり、まして米朝和平となると存在の根拠をなくしてしまう。
(詳しくは、「日本はなぜ戦争ができる国になったのか」などを参照してください)
そうした対中強硬派にたいして、G2論という勢力がある。
平和共存ではないけれども、米中の2大国で世界秩序を保とうという考えだ。
こんな感じで語られる
東アジアで米中G2構造が成立しつつあり、日本の外交が問われている=中国のスタンス、「協調」か「強硬」か?
―元国連報道官の植木上智大学教授
Record china 2015年4月10日
もちろん、安倍晋三や現在の自公政権はバリバリの反G2、対中強硬派なので、
米中「G2」論は古い考え方 首相
2016/1/17 日経
ということになっている。
この今の日本の政治と行政を牛耳っている安保マフィアの勢力にとっては、米国主導のTPPから中国主導のRCEPに乗り換えるなんてことは、言語道断だろう。
RCEPが難航している どころか 難航させている のではないかととも思える。
なにが何でもTPPにこだわるのは、RCEPをジャマして、対中強硬路線を続けるため というベクトルも働いているものと思われる。
■
いずれにしても、国民にとって良からぬことだらけのTPP強行採決。
大阪では、今日(12/9)18:30から JR大阪駅前で緊急抗議行動があるとのこと
ストップ!tpp緊急行動 大阪駅前街宣 強行採決に抗議!
12月9日(金) 18時半~19時半 大阪駅 南東広場(バスターミナル)
ストップ!tpp緊急行動 大阪駅前街宣―強行採決に抗議!
主催:ストップ!tpp緊急行動


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