2016-12-12(Mon)
韓国では政権を揺るがしているのに日本では報道されない「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」
朴槿恵は、もう死に体になっていた11月23日、日韓軍事情報包括保護協定 いわゆるGSOMIA(ジーソミア)に署名した。
慰安婦・THAAD・韓日軍事情報協定で速度戦、すべて「朴大統領の独断」
2016.11.24 ハンギョレ
対外政策の面で韓日GSOMIAの締結は、昨年末の日本軍「慰安婦」被害者問題に関連した韓日合意(12・28合意)と、7月8日のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の在韓米軍への配備決定と共に検討してこそ、その意味と文脈がより鮮明になる。
12・28合意→THAAD配備決定→韓日GSOMIA締結には共通点がある。第一に、韓米同盟が日米同盟の「従属同盟」化する傾向を加速化する点だ。第二に、北東アジアにおける韓国の立場に重大な影響を及ぼす三つの事案が朴大統領の"独断"によって決定されたという点だ。とくに、三つの事案はいずれも推進の速度と時期を主務省庁ではなく朴大統領の"鶴の一声"で決定しており、その背景をめぐり様々な憶測が流れている。
(略)
韓日GSOMIAは、韓米日3角安保協力の"つまった血管"である韓日軍事協力を本格化する法的基盤を整備したという意味がある。
(略)
「外交安保的な面だけを見ると、ドナルド・トランプ氏の米国大統領当選で状況が流動的になったため、THAAD配備とGSOMIAを進めるスピードをむしろ下げなければならない状況」だとし、「朴大統領が外交安保問題で意識的に対立を引き起こしているようだ」と指摘した。
(引用以上)
これまで国家間の関係がうまくいっていなかったために、同じ米国傘下の国でありながら、日韓の軍事協力は"つまった血管"だった。
これを開通させて、日韓で中朝と対立させるというのが、オバマの一貫した戦略であり、朴槿恵は退陣に追い込まれる直前の置き土産で、その仕上げとも言うべきGSOMIAを 電撃成立させた。
ちなみに、口の悪いトランプと比較して、オバマやクリントンは平和的かのような誤解が広がっているが、オバマは(個人的にはともかく)実施してきた政策はまったく平和主義ではない。
リビアやシリアの独裁者を倒して内戦を勃発させ、誰も止めることのできない泥沼を作り出した。
アジアにおいても、中国や北朝鮮との緊張を強める動きを一貫してやってきた。
日韓関係はトランプ政権下で劇的に悪化する
2016.12.12 東洋経済
オバマ政権は日本では「弱腰」との評価が定着し、中国がアジアの海で勢力を拡大させた問題の“戦犯”とまで位置づけられた。しかし、実はその裏側で、中国に対する包囲網を敷き、真綿で首を絞めるように中国を追い詰めてきた。
習近平指導部がそのオバマ政権の動きに対し、極めて強い警戒心を抱いていたことは、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の果たすべき狙いについて議論がなされるなかでも少しずつ明らかにされたが、それだけではない。
TPPによる経済的な「対中プレッシャー」に加えて、安全保障面では、フィリピンによるオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所への提訴と、その裏側で南シナ海において展開した「航行の自由」作戦。日本に対しては集団的自衛権行使を可能にする安保法制を求め、南シナ海にまで自衛隊を引っ張り出し、最後には中国への配慮から抵抗する韓国を抑え込んで、真の狙いは対中、対ロシアといわれるサードの配備を決めてしまったが、これらはすべてオバマ政権下のことである。
(引用以上)
朴槿恵は、最初はこのオバマ戦略にのらず、むしろ中国との関係を深めていった。
しかし、ここまでに書かれているように、慰安婦問題での妥協を飲まされたところから、一気にオバマの手のひらに落ちていく。
そして、THAADの配備を決定したところで,立場は明確になった。
朴槿恵を擁護するわけではないが、彼女の行動を見ていると、とにかく北朝鮮のミサイルの脅威をなんとかしたい、という一念だったように見える。
そのためなら、中国でもロシアでも米国でも日本でも手を組む、というある意味の節操の無さがあった。
それが、国民の怒りにつながる導火線になっていたのだろう。
朴槿恵の失脚で、このオバマ戦略はどうなるのだろうか。
THAADミサイル韓国配備、韓国大統領辞任で配備計画は御破算の可能性
BusinessNewsline 2016.12.1
朴槿恵大統領はまた、北朝鮮の核開発とオバマ政権による「先制核兵器不使用」に対抗するために、独自の核兵器開発の可能性についても初期的研究を開始していたともされており、朴槿恵大統領辞任により韓国の核武装化の可能性もまた大きく後退するものともなっている。
北朝鮮に続いて韓国が核武装を行った場合、その隣国の日本も核武装を行う懸念が生じていた
(引用以上)
THAAD:朴大統領の弾劾案可決で米中対立が再浮上
2016.12.12 朝鮮日報
米国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾案可決後も戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓半島(朝鮮半島)配備問題は揺らぐことなく推進すべきだとの見解を示した。一方の中国は国営メディアを通してTHAAD撤回を主張、THAADをめぐる米中対立が再浮上している。
(引用以上)
こうしてみると、あらためて朴槿恵をめぐるスキャンダルは、韓国がオバマ戦略にのるかどうかのせめぎ合いの中で出てきたということがわかる。
そして、オバマ戦略に乗るばかりか、独自核武装まで画策した朴槿恵が、舞台から抹消されたということだ。
■■
では、日本はどうなるのか。
オバマ戦略において、日本はもう一方の当事者であり、朴槿恵が進めて命取りになった政策の全てにおいて片翼を担っている。
(日本のXバンドレーダーはTHAADシステムの一部である)
これまでの日本の政策は、朴槿恵のような逡巡や試行錯誤の跡はなく、単純にシンプルにバカみたいにオバマ戦略そのものだ。
率先垂範して 模範的な奴隷頭を勤めてきた。
朴槿恵は消されて、安倍晋三はそのまま生き延びるのか。
安倍晋三も、たぶん安倍も同じ運命にある。
まだ、その本当の危機に気が付いていないようだが、それでも「ヤバい」という追い込まれた感じは持っているのだろう。
その危機感が、トランプへのクリスマスプレゼントである カジノ法(IR推進法)だ。
かつて、一度は「使用済み」になって突然の辞任をやらされている安倍にとって、その恐怖は人一倍であるはずだ。
ここで山ほど貢ぎ物をしておかないと自分も消されるという危機感が、あのなりふり構わない国会運営をやらせている。
しかし、貢ぎ物は本質ではない。
トランプ戦略を理解して、その意味での優秀な奴隷頭に衣替えできないときは、安倍晋三は使用済みということになるだろう。
トランプが平和主義ではないのはもちろんだ。
だが、トランプにとっての武力は、相手を脅迫して経済的な利益を得るための手段にすぎない。
トランプにとって必要なのは、戦争ではなく強盗なのだ。撃たずに盗る、それがビジネスマンの手腕だ。
その戦略の転換に、安倍晋三がついていけないならば、安倍政権の危機が訪れるだろう。
その時、安倍を打倒するために執念を燃やしてきた日本の勢力は、何をどう考えるべきなのか。
トランプの尻馬に乗って安倍打倒に向かうのか。
流れには乗りながら、自分たちの立ち位置を確保することができるのか。
いま、韓国を見る時に、そこを学ぶ必要がある。
THAAD:米中対立、野党は韓中関係・与党は韓米同盟重視
2016/12/12 朝鮮日報
セヌリ党と米国がTHAAD配備を推進する一方で、野党と中国が違う方向で反対するという戦線が展開されることになりそうだ。
(略)
共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は「崔順実(チェ・スンシル)疑惑」直前の10月初めの時点では「政府が同盟国である米国との合意を覆すのは容易でないだろう」と白紙化や撤回は要求していなかった。
しかし、朴大統領退陣を求めるろうそく集会が本格化した先月26日には、「朴大統領はTHAAD配備・GSOMIA・国定教科書のすべてから手を引き、次の政権に先延ばしせよ」と主張した。秋美愛代表は今年7月「THAADは軍事的・外交的・経済的敗北の原因であり、間違いだ」と、先月には「米国の新政権で調整可能だ」と述べた。
(引用以上)
愛人だの裏口入学だののワイドショーではなく、まさに東アジアをめぐるダイナミックな変化として、自らに降りかかっていることとして、注視していきたい。


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慰安婦・THAAD・韓日軍事情報協定で速度戦、すべて「朴大統領の独断」
2016.11.24 ハンギョレ
対外政策の面で韓日GSOMIAの締結は、昨年末の日本軍「慰安婦」被害者問題に関連した韓日合意(12・28合意)と、7月8日のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の在韓米軍への配備決定と共に検討してこそ、その意味と文脈がより鮮明になる。
12・28合意→THAAD配備決定→韓日GSOMIA締結には共通点がある。第一に、韓米同盟が日米同盟の「従属同盟」化する傾向を加速化する点だ。第二に、北東アジアにおける韓国の立場に重大な影響を及ぼす三つの事案が朴大統領の"独断"によって決定されたという点だ。とくに、三つの事案はいずれも推進の速度と時期を主務省庁ではなく朴大統領の"鶴の一声"で決定しており、その背景をめぐり様々な憶測が流れている。
(略)
韓日GSOMIAは、韓米日3角安保協力の"つまった血管"である韓日軍事協力を本格化する法的基盤を整備したという意味がある。
(略)
「外交安保的な面だけを見ると、ドナルド・トランプ氏の米国大統領当選で状況が流動的になったため、THAAD配備とGSOMIAを進めるスピードをむしろ下げなければならない状況」だとし、「朴大統領が外交安保問題で意識的に対立を引き起こしているようだ」と指摘した。
(引用以上)
これまで国家間の関係がうまくいっていなかったために、同じ米国傘下の国でありながら、日韓の軍事協力は"つまった血管"だった。
これを開通させて、日韓で中朝と対立させるというのが、オバマの一貫した戦略であり、朴槿恵は退陣に追い込まれる直前の置き土産で、その仕上げとも言うべきGSOMIAを 電撃成立させた。
ちなみに、口の悪いトランプと比較して、オバマやクリントンは平和的かのような誤解が広がっているが、オバマは(個人的にはともかく)実施してきた政策はまったく平和主義ではない。
リビアやシリアの独裁者を倒して内戦を勃発させ、誰も止めることのできない泥沼を作り出した。
アジアにおいても、中国や北朝鮮との緊張を強める動きを一貫してやってきた。
日韓関係はトランプ政権下で劇的に悪化する
2016.12.12 東洋経済
オバマ政権は日本では「弱腰」との評価が定着し、中国がアジアの海で勢力を拡大させた問題の“戦犯”とまで位置づけられた。しかし、実はその裏側で、中国に対する包囲網を敷き、真綿で首を絞めるように中国を追い詰めてきた。
習近平指導部がそのオバマ政権の動きに対し、極めて強い警戒心を抱いていたことは、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の果たすべき狙いについて議論がなされるなかでも少しずつ明らかにされたが、それだけではない。
TPPによる経済的な「対中プレッシャー」に加えて、安全保障面では、フィリピンによるオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所への提訴と、その裏側で南シナ海において展開した「航行の自由」作戦。日本に対しては集団的自衛権行使を可能にする安保法制を求め、南シナ海にまで自衛隊を引っ張り出し、最後には中国への配慮から抵抗する韓国を抑え込んで、真の狙いは対中、対ロシアといわれるサードの配備を決めてしまったが、これらはすべてオバマ政権下のことである。
(引用以上)
朴槿恵は、最初はこのオバマ戦略にのらず、むしろ中国との関係を深めていった。
しかし、ここまでに書かれているように、慰安婦問題での妥協を飲まされたところから、一気にオバマの手のひらに落ちていく。
そして、THAADの配備を決定したところで,立場は明確になった。
朴槿恵を擁護するわけではないが、彼女の行動を見ていると、とにかく北朝鮮のミサイルの脅威をなんとかしたい、という一念だったように見える。
そのためなら、中国でもロシアでも米国でも日本でも手を組む、というある意味の節操の無さがあった。
それが、国民の怒りにつながる導火線になっていたのだろう。
朴槿恵の失脚で、このオバマ戦略はどうなるのだろうか。
THAADミサイル韓国配備、韓国大統領辞任で配備計画は御破算の可能性
BusinessNewsline 2016.12.1
朴槿恵大統領はまた、北朝鮮の核開発とオバマ政権による「先制核兵器不使用」に対抗するために、独自の核兵器開発の可能性についても初期的研究を開始していたともされており、朴槿恵大統領辞任により韓国の核武装化の可能性もまた大きく後退するものともなっている。
北朝鮮に続いて韓国が核武装を行った場合、その隣国の日本も核武装を行う懸念が生じていた
(引用以上)
THAAD:朴大統領の弾劾案可決で米中対立が再浮上
2016.12.12 朝鮮日報
米国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾案可決後も戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓半島(朝鮮半島)配備問題は揺らぐことなく推進すべきだとの見解を示した。一方の中国は国営メディアを通してTHAAD撤回を主張、THAADをめぐる米中対立が再浮上している。
(引用以上)
こうしてみると、あらためて朴槿恵をめぐるスキャンダルは、韓国がオバマ戦略にのるかどうかのせめぎ合いの中で出てきたということがわかる。
そして、オバマ戦略に乗るばかりか、独自核武装まで画策した朴槿恵が、舞台から抹消されたということだ。
■■
では、日本はどうなるのか。
オバマ戦略において、日本はもう一方の当事者であり、朴槿恵が進めて命取りになった政策の全てにおいて片翼を担っている。
(日本のXバンドレーダーはTHAADシステムの一部である)
これまでの日本の政策は、朴槿恵のような逡巡や試行錯誤の跡はなく、単純にシンプルにバカみたいにオバマ戦略そのものだ。
率先垂範して 模範的な奴隷頭を勤めてきた。
朴槿恵は消されて、安倍晋三はそのまま生き延びるのか。
安倍晋三も、たぶん安倍も同じ運命にある。
まだ、その本当の危機に気が付いていないようだが、それでも「ヤバい」という追い込まれた感じは持っているのだろう。
その危機感が、トランプへのクリスマスプレゼントである カジノ法(IR推進法)だ。
かつて、一度は「使用済み」になって突然の辞任をやらされている安倍にとって、その恐怖は人一倍であるはずだ。
ここで山ほど貢ぎ物をしておかないと自分も消されるという危機感が、あのなりふり構わない国会運営をやらせている。
しかし、貢ぎ物は本質ではない。
トランプ戦略を理解して、その意味での優秀な奴隷頭に衣替えできないときは、安倍晋三は使用済みということになるだろう。
トランプが平和主義ではないのはもちろんだ。
だが、トランプにとっての武力は、相手を脅迫して経済的な利益を得るための手段にすぎない。
トランプにとって必要なのは、戦争ではなく強盗なのだ。撃たずに盗る、それがビジネスマンの手腕だ。
その戦略の転換に、安倍晋三がついていけないならば、安倍政権の危機が訪れるだろう。
その時、安倍を打倒するために執念を燃やしてきた日本の勢力は、何をどう考えるべきなのか。
トランプの尻馬に乗って安倍打倒に向かうのか。
流れには乗りながら、自分たちの立ち位置を確保することができるのか。
いま、韓国を見る時に、そこを学ぶ必要がある。
THAAD:米中対立、野党は韓中関係・与党は韓米同盟重視
2016/12/12 朝鮮日報
セヌリ党と米国がTHAAD配備を推進する一方で、野党と中国が違う方向で反対するという戦線が展開されることになりそうだ。
(略)
共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は「崔順実(チェ・スンシル)疑惑」直前の10月初めの時点では「政府が同盟国である米国との合意を覆すのは容易でないだろう」と白紙化や撤回は要求していなかった。
しかし、朴大統領退陣を求めるろうそく集会が本格化した先月26日には、「朴大統領はTHAAD配備・GSOMIA・国定教科書のすべてから手を引き、次の政権に先延ばしせよ」と主張した。秋美愛代表は今年7月「THAADは軍事的・外交的・経済的敗北の原因であり、間違いだ」と、先月には「米国の新政権で調整可能だ」と述べた。
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