2017-01-16(Mon)

たかが国家 されど国家

50代も後半になると、つい若い頃の自分を忘れてしまうことが多い。

振り返ってみれば、20代のころの私は国家とか政治というものを120%信用していなかった。
国家など、「俺を支配するための暴力装置だ」と思っていたし、「そんなものの権威なんてこれっぽっちも認めないぞ」という信念を持っていた。
政治だって、「あんな八百長で何かが変わるわけないだろう」と思い、投票にだって行ったことはなかった。

たかが国家
たかが政治
こんなモノに縛られてたまるか

そういう頑なだけれども張り詰めた思いを、いつのまにか忘れている自分に、久しぶりに気が付いた。
この数年間、現実の政党や政治にいろいろと関わることも増え、このブログを書き始めた12年前と比べてもずいぶん考え方が変わったなあと思う。
それが良いとか悪いとかじゃなくて、明らかに変わった。

大きく変わっていくキッカケは三つあったように思う。イラク戦争と政権交代と3.11。
イラク戦争はこのブログを書き始めるキッカケでもあったけれども、まがいなりにも憲法で守られているというモラトリアムが崩されていく実感そのものだった。憲法の条文は残っていても、実態が先行してどんどん変わってしまう。護憲の形骸化。憲法ですらそうなのだから、あらゆる政治や法律の「言葉」が実態との関係をぶち切られて意味をなさなくなる。

小泉純一郎の政治は、たかが政治と思っていた私の壁を向こう側から突き破って侵入してきた。
この恐怖感や焦燥感が、私の意識を変え始めることになった。
「たかが政治 と思っていられる時代じゃなくなっちゃった」

それでも最初は、何か行動をするというのではなく、裏側のホントを探る、ということを一所懸命やっていた。
安倍晋三の後援会である安晋会と耐震偽装事件の関係とか、地球温暖化詐欺のこととか。
たまに集会やデモに出かけていくことはあっても、自分が主催者側でかかわるなんて思いもよらなかった。

そうこうしているうちに、2009年を迎え、陸山会事件と政権交代という波が押し寄せてきた。
本気で政権交代を目指すと、保守の大物政治家でもこんな目に遭うのか、という現実を目の当たりにした。
共産党や社民党ではなく、元自民党の小沢一郎がこんな弾圧に遭うというのは、それまでの私の常識を超えたできごとだった。

そこから、個別の事件や政策についてのことだけでなく、大きく「この世の中の仕組み」のようなことに強く関心を持つようになった。
数年後に孫崎享さんや矢部宏治さんが解き明かす植民地日本の姿に、おぼろげながら気が付き始めた。
そして、そのありように最も鋭く対峙してきた政治家が小沢一郎であり、それ故の弾圧なのだと言うことに思い至った時、よし陸山会に入ってやれということになった。

そんな感じで、意識はどんどん生の政治に近づいていったけれども、それでも自分で何かをやるということはほとんどなかった。
それが脳天かち割られたのが、3.11であり、原発の爆発だった。

3.11の直前から、郊外楽園プロジェクトというものに取り組み始めていた。そのブログに反響が大きくて、オフ会にもたくさんの人が集まり、具体的に動き始めようとした矢先に、大震災が起きた。
もう、他のことが手につかず、自分の感情や意思がどこにあるのかも定かでないような、異様な精神状態に陥った。
正直、楽園どころではなくなってしまった。

毎週金曜日には関電前に出かけていき、大阪の脱原発のデモにはほぼ皆勤で参加した。
そうこうしているうちに、長年原発の運動をしている人に誘われて、集会の主催側にも関わるようになり、立ち位置が大きく変わり始まる。
これとほぼ同じ頃、民主党(当時)の政治家の講演会を頻繁にやっていた市民団体からも誘われて、なんとなく主催側に滑り込んでいった。
それと反比例して、3.11以降はブログが書けなくなった。気軽に書くと言うことができなくなり、正体のわからない責任感で指が止まってしまう。
裏側の本当を知って、声を上げようと呼びかける。今まではそれで良かったけれど、もうそれでは済まないのではないか。そんな思いが指を止めてしまうのだった。

声を上げようと言うだけでなく、そのための仕掛けを作るところまで踏み込まなくては。声だけでなく、やはり政治決定の仕組みをかえなくては、目の前の惨状は救えないじゃないか。
そうして、市民運動と政治運動を合体させた政治市民プロジェクトを数人の仲間とともに始めた。

これまで政治に距離をおいてきた市民運動に政治に向き合ってもらい、政治家の後援会の枠から出なかった政治活動に市民的な自立を促す。そんな試みは、その後に結成される生活フォーラム関西にも引き継がれたし、大阪での社民党と自由党の協力関係の基礎にも少しばかり貢献したのではないかとおもう。

2012年12月の解散総選挙では、これまで政治や選挙に関わったことのない人たちを、選挙事務所にアテンドする役割をこのプロジェクトで試みた。小沢グループだけでなく、金曜関電前でしりあった人たちも含めてかなりの人数が、関西で原発に反対する候補の事務所に出かけていった。
私自身は、地元である吹田(大阪7区)から立候補していた渡辺義彦さんの事務所に行って、初めての選挙を経験させてもらった。
(ちなみに、その時はじめて渡辺さんにお会いした。)

そんな私自身が選挙や政治の初心者にもかかわらず、どうにもこうにも抜き差しならないことになったのは、この総選挙でぼろ負けしたからだった。勝つとは思わなかったけれども、ここまでの大敗は予想をはるかに超えていた。
政治市民プロジェクトを伝にして選挙事務所に入ってくれた多くの人も、その後はあまり姿を見かけることもなくなった人も多く、私自身も半分ウツのような状態で、円形脱毛症が半年なおらなかった。

この時の悔しさと、「なんでこうなるんだ?」という思いが、私を意地でも政治の世界に縛り付けた。
原発が爆発して自民党が圧勝する国。
ここで絶望すると、もう止めどなく堕ちていくしかないような恐怖感から、私は政治にしがみついた。
そして、国家という枠組みが、どれほど個人を縛り、個人の人生を左右し、命を握られているのかということを、思い知った。

たかが国家、たかが政治、と思っていた私が、思いっきり国家と政治の枠の中に入り浸ってしまった。
されど国家、されど政治。
希望やべき論を語っていても、現実は容赦なく襲ってくるということ。
いくら国家を嫌っても、その枠組みから抜け出すなんて夢想にすぎないということ。
実態の無い理想や正義を語ることよりも、現実の一歩前進を認めざるを得ないことが、確実にあるということ。

理想-戦略-妥協-戦術、という流れを慎重にチェックして、理想を忘れずに、しかし空論に陥らずに一歩を進めること。
このブログも、そんな複雑なテーマが多くなっていった。
そして、そういう明快・痛快でない論調はアクセスも上がらず、それどころか、右翼に転向したかのような目を向けられることもあり、ブログを書く意欲も上がらなくなっていった。



こうして自分の考えが変遷し、自分なりに深まってきたことは間違いでは無かったと思っている。
やはり、政治を軽んじて、あまりにも強大な現実を無視して、理想論の言葉を並べることは、今の私にはできない。
虚しいだけだ。

それでも、なお 「たかが国家」「たかが政治」という、若い時に信じていた自尊心を、もういちど思い起こしたい。
この年末年始に、いろいろ考える中で、どうしても自分が枠に縛られて、檻の中でもがいているような感覚が拭えないのだ。

本当に俺がやりたいことは何なのか。
一度心を解放することから、今年の活動を始めていこうと思う。


■■「家づくり」のほうのお知らせ■■

2月19日(日) 木の家完成見学会

場所:堺市北区東浅香山 (地下鉄北花田から徒歩15分)
開始時間: ①11時  ②14時30分

お名前・ご住所・電話番号・希望回 を記載の上
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