2017-01-31(Tue)
大統領令の効力はいつから有効か?
またまたトランプの大統領令で、世界中が大騒ぎになっている。
米大統領令に提訴相次ぐ 司法省の長官代行解任も
2017年1月31日 NHK
今回の提訴で、アメリカで暮らすイスラム教徒は、トランプ大統領による大統領令はイスラム教徒の多く住む国を対象にしており、イスラム教徒を狙い撃ちにしたものだとして、信教の自由を保障したアメリカの憲法の修正第1条などに違反すると主張しています。
そのうえで、大統領令が憲法に違反するという判断を示すことや、トランプ大統領らに対して、入国や旅行などを禁じる措置の停止を命じるよう求めています。
これに対して、トランプ大統領は29日の声明で、「イスラム教徒を標的にした禁止ではない。宗教の問題ではなく、テロと国家の安全の問題だ」として、イスラム教徒を排除しようとするものではないと強調しています。
アメリカのメディアは、大統領令が宗教に基づいてイスラム教徒を標的にしたものかどうかが焦点になると指摘しています。
(引用以上)
宗教差別かどうかは司法の判断を待つとしても、とりあえずいきなり入国審査の基準が変わってしまったら、現場が大混乱するのは当然ではある。
極端な話、入国禁止の7カ国の人は、飛行機に乗っている間にNGになってしまった人だっていたはずだ。
入管の職員だって、何をどうして良いのか 頭を抱えただろう。
大統領令は、議会の審議もなく、サイン一つで出てくるから、誰も知らないうちに法律が変わっていた ということになる。
こんなんで、昨日まで合法だったものが、今朝からは違法になって捕まっちゃう、みたいなことが アメリカではおきるのか。
トランプの命令の内容もさることながら、制度としてもちょっと酷すぎじゃないの。
と思いながら少し検索していたら、この記事を見つけた。
トランプの研究(3):トランプ大統領がTPP離脱を指示した「大統領令」とは何か―その法的根拠と効力
2017.1.26 中岡望 Yahoo!news
TPP離脱に関する文書は、「大統領令」ではなく、「大統領覚書(Presidential Memoranda)」の項目に掲載されていた。TPP離脱は「大統領令」によって行われるのではない。他の新聞の記述は確かめていないが、おそらく「大統領令」という言葉を使っているのではないかと思う。大統領が取ることができる政策(presidential actions)は3つある。「大統領令」、「大統領覚書」、「大統領声明(Proclamations)」である。2009年1月に司法省は、「大統領令」と「大統領声明」は同じ法的な効果を持つという見解を発表している。
(略)
議会調査局(CRS)によれば、「大統領令、大統領覚書、大統領声明は、政策目標を達成したり、行政府の運用基準を設定したり、あるいは民間人の行動に影響を与える狙いで政策に関する政府の見解を示すために、大統領が出すことができるものである。合衆国憲法は大統領の政策手段に関して規定しておらず、大統領に命令、覚書、声明を出す権限を明確には与えていない。にもかかわらず、そうした命令は大統領に固有の権限として受け入れられている。さらに、そうした命令が適切な権限に基づいているなら、法律と同じ力と効力を持つことになる」と説明されている。
(略)
「大統領令」は政府の内部通達であるが、官報である「連邦公報」(日本の官報)に掲載することが義務付けられている。これに対して「大統領覚書」と「大統領声明」にはそうした義務は課されていない。今回のTPP離脱は「大統領覚書」として出されており、連邦公報に掲載する必要はないが、トランプ大統領は通商代表部代表に連邦公報に掲載するように指示しているのは、そのためである。「大統領令」は連邦公報に掲載されてから30日後に効力を発する。したがって、通商代表部代表がTPP関係国に書面で離脱を通告するのは、連邦公報掲載後、30日を経過してからになる。
(引用以上)
赤文字に注目である。
やっぱり、いくらなんでも ある朝起きたらいきなり法律変わってた ということはないらしい。公報に掲載してから30日の周知期間があるという。運用規定なども、この間に決めるのだろう。
なるほどなあ と思いながら ふと最初のニュースを思い出す。
あれ? 空港での入国拒否とか 大統領令が出た直後から始まってるよなあ。。。
効力は30日後なら、直後から始まるのはおかしいんじゃないの?
2月27日から ということになるはず。
もっとも、猶予期間があったら、その間に怪しい人も含めて ドッと入国してくるだろうから、この大統領令にどれだけ意味があるのか と言う気もする。
それに、30日後に効力という話は、この記事以外では見つけることができなかった。
う~ん 真相はどうなのだろう。
記事を書いている中岡望氏のプロフィールを見ると、こんな事務的な話で間違いを書くようには見えない。記事の中の説明もかなり詳しい。
もし、中岡氏の書いている通り、大統領令は公報に掲載してから30日後に効力 だとすると、一体今おきている現場の大混乱は何なのだろう。
入管職員の先走りか? 大統領の意向を忖度して、まだ効力がないのに入国拒否しちゃってるのか?
それとも、30日後ということを知らずにパニクってるのか?
末端の職員は それもあるかもしれない。
しかし、法務省の長官代理はどうだ。あるいは、全国の州の裁判所や司法長官はどうだ?
そもそも 入管を管轄する国務省の上役は?
大統領令の効力がいつから発するのか、いくらなんでも知っているだろう。
せめて「変更は2月27日からだ」と言ってやればいいのに、なぜ知らんぷりして現場の混乱を放置するのか。
30日ルールについての確実な資料を見つけられないので断言は避けるが、なんだか違和感を感じるのである。
(「トランプ叩き」叩きじゃなくって、ホントのことが知りたいだけ。だれか、30日ルールについて知っていたら教えてほしい。)
PS.30日では無くて、連邦公報(FEDERAL REGISTER)に公布されたら有効 という見解も発見。
しかし、現時点ではまだ公布されていない → 2017 Donald Trump Executive Orders
あと2日くらいで出るかもしれないけど、しかし少なくとも、今は出ていない。
■■「家づくり」のほうのお知らせ■■
2月19日(日) 木の家完成見学会
場所:堺市北区東浅香山 (地下鉄北花田から徒歩15分)
開始時間: ①11時 ②14時30分
お名前・ご住所・電話番号・希望回 を記載の上
info@mei-getsu.com までお申し込みください
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米大統領令に提訴相次ぐ 司法省の長官代行解任も
2017年1月31日 NHK
今回の提訴で、アメリカで暮らすイスラム教徒は、トランプ大統領による大統領令はイスラム教徒の多く住む国を対象にしており、イスラム教徒を狙い撃ちにしたものだとして、信教の自由を保障したアメリカの憲法の修正第1条などに違反すると主張しています。
そのうえで、大統領令が憲法に違反するという判断を示すことや、トランプ大統領らに対して、入国や旅行などを禁じる措置の停止を命じるよう求めています。
これに対して、トランプ大統領は29日の声明で、「イスラム教徒を標的にした禁止ではない。宗教の問題ではなく、テロと国家の安全の問題だ」として、イスラム教徒を排除しようとするものではないと強調しています。
アメリカのメディアは、大統領令が宗教に基づいてイスラム教徒を標的にしたものかどうかが焦点になると指摘しています。
(引用以上)
宗教差別かどうかは司法の判断を待つとしても、とりあえずいきなり入国審査の基準が変わってしまったら、現場が大混乱するのは当然ではある。
極端な話、入国禁止の7カ国の人は、飛行機に乗っている間にNGになってしまった人だっていたはずだ。
入管の職員だって、何をどうして良いのか 頭を抱えただろう。
大統領令は、議会の審議もなく、サイン一つで出てくるから、誰も知らないうちに法律が変わっていた ということになる。
こんなんで、昨日まで合法だったものが、今朝からは違法になって捕まっちゃう、みたいなことが アメリカではおきるのか。
トランプの命令の内容もさることながら、制度としてもちょっと酷すぎじゃないの。
と思いながら少し検索していたら、この記事を見つけた。
トランプの研究(3):トランプ大統領がTPP離脱を指示した「大統領令」とは何か―その法的根拠と効力
2017.1.26 中岡望 Yahoo!news
TPP離脱に関する文書は、「大統領令」ではなく、「大統領覚書(Presidential Memoranda)」の項目に掲載されていた。TPP離脱は「大統領令」によって行われるのではない。他の新聞の記述は確かめていないが、おそらく「大統領令」という言葉を使っているのではないかと思う。大統領が取ることができる政策(presidential actions)は3つある。「大統領令」、「大統領覚書」、「大統領声明(Proclamations)」である。2009年1月に司法省は、「大統領令」と「大統領声明」は同じ法的な効果を持つという見解を発表している。
(略)
議会調査局(CRS)によれば、「大統領令、大統領覚書、大統領声明は、政策目標を達成したり、行政府の運用基準を設定したり、あるいは民間人の行動に影響を与える狙いで政策に関する政府の見解を示すために、大統領が出すことができるものである。合衆国憲法は大統領の政策手段に関して規定しておらず、大統領に命令、覚書、声明を出す権限を明確には与えていない。にもかかわらず、そうした命令は大統領に固有の権限として受け入れられている。さらに、そうした命令が適切な権限に基づいているなら、法律と同じ力と効力を持つことになる」と説明されている。
(略)
「大統領令」は政府の内部通達であるが、官報である「連邦公報」(日本の官報)に掲載することが義務付けられている。これに対して「大統領覚書」と「大統領声明」にはそうした義務は課されていない。今回のTPP離脱は「大統領覚書」として出されており、連邦公報に掲載する必要はないが、トランプ大統領は通商代表部代表に連邦公報に掲載するように指示しているのは、そのためである。「大統領令」は連邦公報に掲載されてから30日後に効力を発する。したがって、通商代表部代表がTPP関係国に書面で離脱を通告するのは、連邦公報掲載後、30日を経過してからになる。
(引用以上)
赤文字に注目である。
やっぱり、いくらなんでも ある朝起きたらいきなり法律変わってた ということはないらしい。公報に掲載してから30日の周知期間があるという。運用規定なども、この間に決めるのだろう。
なるほどなあ と思いながら ふと最初のニュースを思い出す。
あれ? 空港での入国拒否とか 大統領令が出た直後から始まってるよなあ。。。
効力は30日後なら、直後から始まるのはおかしいんじゃないの?
2月27日から ということになるはず。
もっとも、猶予期間があったら、その間に怪しい人も含めて ドッと入国してくるだろうから、この大統領令にどれだけ意味があるのか と言う気もする。
それに、30日後に効力という話は、この記事以外では見つけることができなかった。
う~ん 真相はどうなのだろう。
記事を書いている中岡望氏のプロフィールを見ると、こんな事務的な話で間違いを書くようには見えない。記事の中の説明もかなり詳しい。
もし、中岡氏の書いている通り、大統領令は公報に掲載してから30日後に効力 だとすると、一体今おきている現場の大混乱は何なのだろう。
入管職員の先走りか? 大統領の意向を忖度して、まだ効力がないのに入国拒否しちゃってるのか?
それとも、30日後ということを知らずにパニクってるのか?
末端の職員は それもあるかもしれない。
しかし、法務省の長官代理はどうだ。あるいは、全国の州の裁判所や司法長官はどうだ?
そもそも 入管を管轄する国務省の上役は?
大統領令の効力がいつから発するのか、いくらなんでも知っているだろう。
せめて「変更は2月27日からだ」と言ってやればいいのに、なぜ知らんぷりして現場の混乱を放置するのか。
30日ルールについての確実な資料を見つけられないので断言は避けるが、なんだか違和感を感じるのである。
(「トランプ叩き」叩きじゃなくって、ホントのことが知りたいだけ。だれか、30日ルールについて知っていたら教えてほしい。)
PS.30日では無くて、連邦公報(FEDERAL REGISTER)に公布されたら有効 という見解も発見。
しかし、現時点ではまだ公布されていない → 2017 Donald Trump Executive Orders
あと2日くらいで出るかもしれないけど、しかし少なくとも、今は出ていない。
■■「家づくり」のほうのお知らせ■■
2月19日(日) 木の家完成見学会
場所:堺市北区東浅香山 (地下鉄北花田から徒歩15分)
開始時間: ①11時 ②14時30分
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