2017-04-17(Mon)

無名の若者が自公維新に勝利した島本町長選挙から勝てる「政策」を学ぶ

昨日は、宝塚市長選挙(兵庫県)では中川ともこ氏、島本町長選挙(大阪府)では山田こうへい氏が当選した。

宝塚の中川氏は現職の強みはあったが、自民推薦と元県議というなかなかの強敵2人を向こうに回して圧勝した。
党の推薦は受けていないが、街頭演説はまるで野党共闘のような様相だったようだ。

島本町の山田氏は新顔どころか無名の青年であり、それが自民・公明・維新の相乗り候補に圧勝した。
市ではなく町なので、無所属・町民派を名乗っていた。

私はお手伝いをしていないが、知人がたくさん応援に参加していた。
みごと勝利したことを、お祝いしたい。

さてそのうえで、私たちはこの勝利から何を学ぶべきだろうか。
とくに、無名から圧勝した島本町の山田氏のたたかいには、大いに参考になるものがあるのではないだろうか。
選挙戦術については私は参加していないのでわからないが、とりあげたいのは政策である。

山田氏の政策をHPから大項目だけ抜粋してみる

山田こうへいの政策提言

子育て支援と教育の充実したまち
強い財政力と都市計画の優れたまち
誰もがいきいき生活、活躍できるまち
産業活性化と観光振興による稼ぐまち
水と緑を守り、環境を大切にするまち

(引用以上)

一見してわかるように、いわゆる革新系のスローガンは並んでいない。
子育てと教育がトップに来ているが、これについては、マーケティングがあったのではないかと思われる。

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 島本町の合計特殊出生率は、大阪府平均はもちろん全国平均より高い。(グラフは島本町の資料より。グラフはクリックすると拡大)
出生率はおしなべて田舎のほうが高いので、大阪のベッドタウンで全国より上位というのはかなり高いほうだ。

だから、若年層の人口もそれなりに減少を食い止めているが、それでも大きな流れとしての少子高齢化の波はこれから本格化する。(真ん中のグラフ。 出所は上に同じ)
そうした状況は、島本町もデータとしてまとめている。

その現状にピッタリと合ったのが、子育てと教育だった ということだ。
これが、すでに少子化が行き着くとことまで行き着いてしまって、そもそも子どもを産む年齢の女性が減ってしまった自治体で、同じ政策をトップに掲げて通用するだろうか。

また、山田氏の政策で目立つのは 「強い財政力」である。
これもかつての革新系は言わなかった言葉だ。しかし、日本人の気質からいって、これ抜きにいくらイイコトを言っても「絵空事」と思われてしまう。
宝塚の中川氏も「6年連続正味の黒地」という市財政の実績を大きく掲げていた。(右図は中川氏のホームページより)

強い財政とセットなのが、「稼ぐ町」ということだろう。
要するに、子育て教育をメインに据えて、それを保証する財政と産業振興 という構図がわかりやすい。

対するに、自公維新が相乗りした田中てつや氏の政策を見ると、項目的には実は同じようなことを言っている。

 田中てつや 政策

島本は美しく温かい街。まちの魅力を加えて人を呼び込むまちに。
島本は人を大切にする街。まちの活気を加えて起業交流のまちに。
住むところを子育てで選ぶ時代。次代を担うこどもがもっと生き生きと暮らすまちに。
赤ちゃんから年長者まで健康に生きるみんなの願いを叶えるまちに。
行政の効率化を徹底し挑戦と信頼の町役場に。

(引用以上)

何が違うかというと、順番が違うのと、自公維新の候補だ ということ。

同じような政策ならば、自分たちの差し迫った問題を第一に挙げている方がいい。
(つまりマーケティングが成功している)
そして、その課題については、自公維新より町民派のほうがやってくれそう。
(自公維新への消極的支持の裏をついた)

自公や維新に反対する人は、なんとしても「違う」ことを言わなければならないし、「批判」をしなければならない、と思い込んでいるが、それはちょっと違うんじゃないの ということが、島本町長選挙の結果なのではないかと思う。

田中てつや氏の失敗は、はじめに緊縮財政をもってきたことだろう。
そして「その範囲で」子育て教育もやるよ という順番になっている。
しかも、自公維新が推薦しているので、子育て教育については
「実行力はあるだろうけど、それほど大したことはしてくれない。」という評価になる。

これで、相手が旧態依然たる革新系で「反対」とか「夢物語」だけを語っていれば、「何もないよりマシ」で田中てつや氏が勝っていたかもしれない。
しかし、山田氏という無名で若い候補が、(実はほぼ同じ)項目の政策を掲げて、出てきたとき、情勢は一変した。

もちろん、政策だけではない地道な努力のたまものだとは思うけれども、一つの教訓としてその点を学ばせてもらいたい。

1)有権者の現状をリサーチし、状況とタイミングにマッチした政策を掲げること
2)複数の政策は、有権者の利益になるものを目玉にして、その実現を保証するものを後ろに続ける
3)政敵と「違う」政策を出す必要は無い。1と2の結果として、項目は同じになってもいい。

ちなみに、山田氏の「町民派」は 見たときに私はハッとした。
行政区の市ではなく、シチズンシップとしての市など成立したことのないこの日本で、「市民」というときの胡散臭さが、「町民」という言葉にはない。
良い意味で泥臭く、むしろ江戸時代の「町人」に通じるかんじがあって、市民社会が成立していない日本にはピッタリな感じがする。

日本人の大半が、自分は「市民」だなんて思っていない。(行政区ではなく、市民権という意味で)
そういう自覚がないところに 「市民派」などと名乗ってしまうと、浮き上がった存在になってしまう。市議選など多数が当選する選挙は「市民派」でもいいと思うが、首長や小選挙区で(とくに新人で)「市民派」を名乗るのはかなりハイリスクだ。
意識的なのか結果的なのかはわからないけれども、山田氏の「町民派」は、そのリスクを回避したことも勝因だったのではないだろうか。

などなど、他にもたくさんあるだろうが、分析を抜きにして「市民派が勝った」と単純に喜んでしまうと、危ない。
これまで通り、自治体選挙では勝てても国政では惨敗する ということを繰り返さないよう、一歩前に進もう。




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なんでボクは家を設計るんだろう  明月社のいえづくり 12

11 からつづく

 とはいえ、いくら植えた木がもったいないからと言っても、それが建材として劣ったものなんだったら感情論で使うべきじゃあない。国産材は建材としての性能は劣っているのか?ちゃんとかくにんしなくては。結論を先に言ってしまえば、劣ってはいない。輸入木材と比べると一長一短、というのが公平なところ。で、「短」の部分は充分に穴埋めできる。

 よく使われる国産材にはスギ、ヒノキ、カラマツという3種類の木がある。他のもあるけど、この3種類で8割近い。なかでも圧倒的なのはスギで、スギだけで国産材のシェアは50%超。もう日本中スギだらけと言ってもいいくらい。なので、国産材代表ということでスギ(杉)について考えてみる。杉の建材としての短所は何かというと、なんと言っても柔らかいということ。「家を作るのに柔らかいなんて致命的じゃないか」って? いやいや、そこまで柔らかくはない。どのくらい堅いか(厳密に言うと「たわみにくさ」)を示すヤング係数という指標がある。輸入材の代表選手であるベイマツ(米松)と比べると、米松:杉=10:7くらいなので、杉のほうが3割ほどたわみやすい。あらら3割も弱いじゃん!
 ところが、「たわみ」は材をちょっとだけ大きくすれば3割くらい簡単に挽回できちゃう。おつりがくるほどなのでご安心を。しかも、最近はそのヤング係数を一本一本計測してラベル貼ってある杉やヒノキもあるので、なんの心配もない。こういう性能を計測された木のことをグレーディング材というので、憶えておくとカッコイイ。

 国産材を使うにはもう一つ大きな問題がある。これはボクもこの業界に入ってみて驚いたんだけど、木はあるけど木が無い ということが。。。 「○○県産材を使ってくれ」と盛んに言うので、「ほな下さい」と注文すると「ない」と言う返事がくる。。。こんなバカなことが実際にあったりする。山には木は山ほどあるけど、一軒分そろえて家を建てる現場に持って行くことができない。産地をきっちり特定できる国産材で、一軒分を揃えることができる製材所や森林組合はそんなに多くないというのが実情なのだ。だから、「○○産の木で家を建てたい」と思っても、そういう数少ない製材所なんかを見つけ出さないとならない。こりゃたいへんだ。
 この問題を解くには、二つの答えがある。一つは、細かい産地にこだわらずに国産ならよしとする方法。これだったら、どこの工務店から注文しても手に入る。(ただし、グレーディング材が入るかどうかは微妙。) なんで産地が分からないのに国産だと判断できるのかというと、見た目も香りも輸入材は違うから。例えば中国産のスギも流通してるけど一目でそれとわかっちゃう。最近のカリフォルニア米はジャポニカ米に近づけるために改良を重ねてるから食べても分からないらしいけど、輸入のスギはそんな改良してないからすぐ分かる。

 もう一つの答えは、インターネット。インターネットで国産材にこだわっている設計事務所や工務店を探してみる。だいたいこういう会社はインターネットで集客しているので、たくさんヒットするはず。看板倒れのところから、気合いの入ったところまで玉石混淆だけど。ボクの経験値では、国産材とか自然素材とかエコとかの味付けの濃いところは、すごく良いか結構ヒドいかの両極端なような気がする。しっかり選んでいただきたい。もちろん、不安な方はボクにご連絡いただければいいじゃないかなあ、としっかり宣伝もしておく。

 ウチでもヨソでもいいけど、首尾良く国産材を使えることになったとしよう。次はどうするかだ。「産地はどこでも国産材」の場合は無理だけど、産地を特定できる場合はその産地まで出かけることを超お勧めしたい。ボクもこの十数年間でかなりの数のお客さんと山に出かけたけれど、すごく喜んでくれるか、さもなければウルトラ喜んでくれるか。とにかく、口では説明できないものがある。
 ときには12月だというのに標高1000mを超えるような場所での伐採祈願祭となり、しかも途中から大雪が吹雪いてきて遭難するかと思ったこともある。(車で行っているので遭難はしないけど、超絶寒かった。)まあこんなのも、かなり強烈な思い出になる。

 早いものでも40年くらい、古ければ100年を超える木を使う。100年前の1916年、大正5年と言えば第1次大戦のまっただ中、日本では大正デモクラシー全盛で夏目漱石が49歳で亡くなった年。こんな時代から延々と育ってきた木を使って家を建てるんだと思っただけでも感慨ひとしおになる。そして、その木を育んできた山に知らんぷりはできない、アリガトサンのひとことを言いたくなるのが、同じ生き物としての感情なんじゃなかろうか。

13 につづく
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No title

嘗て、革新自治体が続々と成立した時代には、革新自治体で中央を包囲しよう、と呼号されたこともありましたが、国政選挙で政権交代はありませんでした。

地方自治体の首長と議員の選挙では、地方の具体的で住民の眼に見える課題が焦点になるのですが、国政選挙では、経済・財政、安全保障・外交、等と住民の眼からは抽象的で理論的な課題が焦点になり、具体的にイメージしにくいために、
アベ等に誤魔化されてしまう訳です。

また、地方自治体選挙でも、大阪のように「改革」等と呼号し、具体的な課題でさえもイメージ戦略で恰も何か大阪が刷新されるかのような夢を与えられて、未来に期待を抱かせる維新政治に誤魔化されてしまう訳です。

しかし、地方の課題は、矢張り、誰の眼にも見えるので、今回の結果のようになるのでしょう。 

その推論で国政を観ては、これまた、過去の夢の繰り返しになるかも知れません。 

アホノミクスのような似非経済・財政「理論」が未だに通用しているこの国では、悪夢はなかなか覚めない、と思われます。 残念ですが。。。

このままでは、またもや戦後の焼け跡が出来るか、二度目の財政破綻で、戦後の悪性インフレの再来を見るか、何方かの悪夢を見ることになりそうです。 否、両者とも見ることに為るかも知れませんが。
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