2017-05-20(Sat)

そもそも 日本人は自分の運命を自分で決めたことがあるのだろうか

治安維持法が衆院の委員会で可決されてしまった。
法律の名前はテロ対策ナンタラカンタラで、またの名を共謀罪というが、ようするに治安維持法だ。

まだ衆院本会議も、参議院審議も残っているが、安倍政権が倒れないかぎりは、どうにも止まらない。
仮に国会を占拠したところで、大幅延長で通年選挙にされてしまえば、時間の問題だ。

昔の自民党のように、妥協や取引が通用する相手ではないので、止める方法がまったく見当たらない。
また、野党側にも腹芸のできる人間は皆無であり、M問題やK問題とひきかえに共謀罪を流させるなんてことは思いつきもしないだろう。

以前から書いているとおり、安倍政権をもしかしたらひっくり返せる可能性でいえば、共謀罪よりも森友や加計学園問題のほうが、まだしも可能性は高い。
それ自体に違法性があること、自民党内の非安倍派も乗りやすいこと、ポピュラー(一般の感情に受け入れやすい)なこと、などなど。

しかし、問題それ自体の重さ、今後の国のあり方を決めてしまう影響力で言えば、桁がいくつも違う。もちろん、共謀罪のほうが大きい。
森友や加計の問題は、自民党にとっては日常茶飯事で探ればゴロゴロしている話しだが、共謀罪は国家と人民の関係が一変する。

「考えて相談しただけで犯罪」ということの もっとも恐ろしいことは、「いくらでも証拠をねつ造できる」ということだ。
ほぼ無制限にえん罪を作り出すことができる。
実行行為の証拠をねつ造するのはそれなりに大変だが、共謀の証拠など、その気になれば一瞬で無限に作れる。

20170520-3.jpeg治安維持法が、戦前の軍事独裁をしっかりと支えられたのは、この「えん罪製造能力」ゆえである。
処刑したい対象があれば、スパイを送り込んで他愛もない話しをさせておいて、「この人からこんな相談を受けました」と証言させればいい。簡単だ。
その効力が行き渡れば、最後は証拠すらいらなくなる。
よくしられた話しだが、あの吉田茂ですら治安維持法で投獄されていたのである。

この治安維持法を葬れるのであれば、M問題やらK問題やらと取引しても、どんなキタナイ手をつかっても私はOKだと思うけれども、昨今の野党や高尚なリベラル諸氏はこんなキタナイことはお嫌いなのだろう。
今あるリソースをギリギリまで使い倒して、現実的に何ができるか、という発想は、政治の世界ではおよそ耳にしない。
(ビジネスの世界ではあたりまえなんだけどね)

もちろん、キタナイ妥協は禍根を残すが、どっちがマシか、どっちがより致命的か、と言う選択の問題だ。



勧善懲悪、白と黒 という価値基準と行動規範しかもたない日本人の特徴は、トランプの理解と評価にも端的に表れている。
トランプの行動は、まさに今あるリソースをギリギリまで使い倒して、現実的に何ができるか、ということに貫かれている。その表面的な妥協や挑発を見て、黒だ黒だと大騒ぎしているのが日本のリベラルである。
そのような妥協や挑発をすることで、何をどこまで獲ろうとしているのか、ということには目を向けない。

しかし考えてみれば、日本人はこれまで「自分たちで自分たちの運命を決める」という経験をしていないのだから、仕方ないのかもしれない。
人間にとって、一つの社会集団(民族とか国民とか)にとって、本当に自分たちの行動に運命がかかっている というトンデモナイ重圧を経験したことがあるかないかは、決定的な違いである。

革命にしろ独立にしろ、アメリカを含むほとんどの国が一度や二度は経験している。
日本でも明治維新があるじゃないかとか、戦後民主主義がある とかいう意見もあるだろうが、それは まったくあたらない。

明治維新は、少なくとも政治権力に関するかぎりは薩長によるクーデターであり、相楽総三ひきいる赤報隊や自由民権などに端緒的にみられた民衆の意思と力は、利用するだけ利用したあとは血で粛正された。
資本主義のめばえすら、国家独占資本によって封殺してしまった。日本は、明治から今日まで、国家独占資本主義であり、その「進化」形の新自由主義であって、これは資本主義ではない。
20170520-1.jpeg
天皇の戦争責任も問えず、沖縄を売り渡し、ケーディスに作ってもらわねば憲法草案すら満足に作れなかった戦後の日本の、どこに自決の歴史があるというのか。
あの悲惨きわまりない戦争のあとで、なぜ自分たちで革命(運命をあらためること)できなかったのか。私は、わが歴史として心が痛い。恥ずかしい。
そして、この恥辱を感ずることのない「戦後民主主義」の、直線的ななれの果てが現在の惨状だ。

その後は、60年安保で大きな運動はおきたけれども、選挙になれば自民党が圧勝した。
70年安保では、戦後民主主義にたいする疑義を含めてラディカルな問題提起はされたけれども、当事者たる全共闘世代は独占資本の主力として吸収されていき、いまや悠々自適の団塊ライフである。



自決(自分で自分の運命を決める)の経験がない という希有な国民、たぐいまれな民族。
何がおきても、何をされても、本気で怒ることがない国民。
流れに身を任せていればなんとかなる という歴史的な潜在意識に支配された民族。

ある意味で、治安維持法に反対する声もろくに上がらない国に、治安維持法なんて必要ないのじゃないかとすら思うのだが、警察にとっては「あれば超便利」な打ち出の小槌(ふれば即座にほしい証拠が出てくる)だから、答弁拒否して一気に作ってしまえ!ということになった。
ちなみに、金田は「答弁できないのに法務大臣やってる」 のではなく 「答弁できないから法務大臣やってる」のである。
官邸の「答弁など全部拒否!」という方針に、ピッタリな人材だったのである。

これも前から書いている通り、安倍政権自体はガタガタだ。風前の灯火である。
日本のようなたぐいまれな国民でなければ、確実に5~6回は総辞職している。
そんな内閣すら倒すことができず、逆にやりたい放題で治安維持法を作られてしまう体たらく。

20170520-2.png 声を上げよう というのは簡単だ。
しかし、10万にやそこらが声を上げても、どうにもならないということは実証済みだ。
しかも、その声を「大きな音だね」と言ってのけた野郎が、野党第一党の幹事長におさまってるんだから、なにをか言わんや。

やはり、原点に立ち戻るべきなのではないか。
原点とは、自分たちのことは自分たちで決める、すなわち、日本の独立 である。

対米従属を批判する人は多いのに、日本の自立を求める話しはさっぱりウケない。この矛盾を矛盾とすら感じない人が多い。
日本の民が解放されるためには、まず「独立=独自核武装」という刷り込みを消し去らなければならない。反戦な独立という展望を語らなければならない。

私たちに欠けているのは、知識でも良識でもない。
「自分で決める」という重圧を受け止める覚悟である。

責任をアイマイにすることで享受してきた「戦後民主主義」に対する、深い(ラディカル)反省から、あらためて自決する覚悟を涵養すること。
遠回りなようで、それが唯一の道なのではないか。
歴史上はじめての責任に、立ち向かうことの始まりなのではないだろうか。




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No title

>日本は、明治から今日まで、国家独占資本主義であり、その「進化」形の新自由主義であって、これは資本主義ではない。

日本が明治から今日まで、ある種の国家独占資本主義であるのは事実ですが、新自由主義は、新古典派経済学的な経済観で、バリバリの資本主義ですよ。

ブログ主さんは、経済に関しては新自由主義者の竹中平蔵と非常に馬が合うでしょうね。ブログ主さんが、そんなに新自由主義的な構造改革を望んでおられるのならば、日本維新の会を支持・応援されると良いと思いますよ。

経済を全て市場競争に委ね、国家が市場に介入しなければ、神の見えざる手が働いて万事うまくいくというのは幻想にすぎません。うまくいかないからこそ、ヨーロッパでは新自由主義に反対する極右が台頭してきたのです。ヨーロッパにおける極右の台頭は、単なる移民がどうたらといった話ではなく、新自由主義に対する反発もかなり大きいです。ヨーロッパ諸国は日本よりももっと経済の新自由主義化が進んでいますからね。

以前はリベラル系(中道左派系)を支持していたような低所得層や下層中産階級が極右を支持するようになったのも、1980年代以降、リベラル系はブログ主さんのような新自由主義者、より正確に言えば、新自由主義左派が増えていったからです。リベラル系は反国家的な人々が多いので、リベラル系と、国家の市場に対する介入に反対する新自由主義は非常に相性が良いんですよ。

日本は明治から今日まで、ある種の国家独占資本主義で、経済的な既得権益(=自由貿易で言うところの「非関税障壁」)がヨーロッパ諸国に比べると非常に多いので、日本はヨーロッパ諸国に比べると経済を新自由主義化するのが難しいんですよ。まあ、そのおかげで、日本はヨーロッパ諸国に比べてそれほど経済の生産性が高いわけでもないのにも拘らず、失業率が非常に低い(低いどころか人手不足)のですが。

安倍政権がTPPに参加したがっていた最大の理由も、そういった日本独特の経済ルールを破壊したかったからなんですけどね。TPPに参加すれば、経済のルールが参加諸国間で一つに統一されるので、日本独特の経済ルールも強制的に破壊することができますからね。

まあ、いずれにせよ、反安倍派が新自由主義的な主張をしても安倍政権は倒せないと思いますよ。というのも、小泉政権の新自由主義的な構造改革に懲りている人々も多いし、安倍政権もブログ主さんほどではないにせよ、基本的に新自由主義推進で政治的スタンスが被ることになりますからね。政治的スタンスが被った場合、当然、政権担当経験が豊富な自公勢力の方が有権者によって選択されるでしょう。

もっとも、仮に、反安倍派がブログ主さん的な新自由主義路線で自公政権を倒すことに成功したとしても、新自由主義国家のアメリカのように、GDPは増えるかもしれませんが、庶民(特に低所得層や下層中産階級)の暮らしが破壊され、格差と貧困が今以上に拡大するだけですけどね。

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No title

日本人のような「洗脳」に耐性の無い国民には治安維持法等は要らない、と思いますがね。

例えば、少し政府とマスコミが努めると右から左まで「地球温暖化教」の信者になる国民ですから。

温暖化に対する施策全廃を掲げた候補が大統領になる国とは、根本的な相違があります。

阿保な国民は、戦時中の洗脳も溶けていません。 未だに、真珠湾攻撃は成功した、と思っているくらいの馬鹿です。 

浅瀬の岸壁に係留された艦船が沈没する筈が無いのに。 

全部が着底しただけで、旧式戦艦を除き、全艦船が短期間で現役に復帰した、との事実を知らないのです。 

加えて、港湾施設を全く攻撃しなかったので、貯油施設も含めて全施設が無傷で残り、更に、主な攻撃目標であった航空母艦は出航していて不在のため撃ち漏らし、潜水艦全艦も、攻撃せず仕舞い、爾後の米軍反撃の有効な戦力となりました。 

即ち、戦争の始めから大失敗。

それなのに、今でも、作戦成功、と信じている阿保な国民です。

ゼロ戦信仰も、未だに衰えません。 こちらは、戦後の神話ですが。 防弾設備ゼロ、急降下すると空中分解のボロが米軍相手にまともに戦える筈はありません。 

全てこの調子ですから、仕方がありません。 これからも欧米の後を追うのが宿命なのです。 政治も含めて。 
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